映画ナイトメアアリーでスタンのタロット占いを詳しく解説!

スリラー

映画「ナイトメア・アリー」は身寄りのない独り身の男性が、サーカス一座とかかわりを持つことで知らなかった自分の才能に気が付く所から始まる物語。

その才能に磨きをかけ、愛する女性とともにサーカスから華やかな都会のショービジネスの世界で一定の成功をつかんだものの、更に高みを望んで背伸びをした結果、転落してすべてを失い、もとの世界に舞い戻ってしまう、というエンディングです。


そんなスタンという若者が、都会で成功をおさめ、更に大きな成功をつかみ取ろうとして、危険に満ちた道を進もうとしているまさにその時、昔の仲間に再会するシーンで余興にタロット占いをするシーンが有りました。

タロットのカードの表記はフランス語で、絵柄を見ただけでは意味が分からないと思います。

今回はそんなタロットの占いシーンで、いったいどういった結果が出ていたのかを解説していくことにしましょう。







映画「ナイトメア・アリー」でのスタンへのタロット占い

かつてサーカスで働いていた時に、スタンに今仕事にしているサイキックショーの基本を教えたジーナ。

彼女は今スタンがやろうとしていることに不安を感じ、余興と称してタロット占いをしてみることを提案します。

スタンも面白半分にそれを受けますが、二人が行ったタロット占いは通常「スリーカード」と呼ばれる初歩的な基本の方法でした。

タロット占いの方法はスリーカードと呼ばれる基本形

「スリーカード」とは22枚ある大アルカナという種類のタロットカードを3枚引き、それぞれのカードが「過去」「現在」「未来」を暗示しているとする占い方法です。

ちなみに大アルカナとは、「ジョジョの奇妙な冒険・第3部」で登場したスタンドの名前に使われているのが有名で、それぞれに異なった意味をもっているカードです。

更にタロットではめくって表にした際、上下が正しい正位置と上下が逆の逆位置で各カードの意味も異なってくるという性質を持っていることも知っておきましょう。

スタンがひいたカードとその意味を解説

スタンが引いた3枚をそれぞれ詳しく解説していきます。

引いたカードは過去に当たる一枚目が「塔」、現在に当たる二枚目が「恋人」、そして未来に当たる三枚目が「吊された男」の逆位置でした。

塔の正位置

22枚ある大アルカナのカードの内、「塔」は一番縁起の悪い、不幸を示すカードとして認識されています。

その意味もズバリ「破壊」

一方で「破壊」という意味から「価値観の変化」という意味も含むようですが、教育などによる徐々の変化というより、

    突然の予期せぬ出来事から今までの常識が根底から覆された

というような激しいものをより濃い色合いで象徴しています。

恋人の正位置

「恋人」の意味するところは「調和のとれた選択」

さらに言えば

    ・心地よさ
    ・感受性
    ・相思相愛
    ・ひらめき

これらをまとめて見ると、

    自分の中の感覚や感受性に気づき、他者とのつながりの中での「調和」や「選択」を表すカード

と表すことができます。

吊された男の逆位置

「吊された男」は一見すると拷問にでもあっているかのような印象を受けますが、実はこの吊された男性はその境遇を自分の成長のために必要な苦行ととらえていると考えられています。

そんな意味から正位置であれば、このカードは「努力」を表しているのでした。


が、逆位置で「吊された男」が出てしまうと意味が変わってしまいます。
それもネガティブな物に。

    ・無駄な努力
    ・我慢
    ・間違った方向
    ・身動きが取れない

      こういった負のイメージを表してしまうのでした。


      まさにこの後のスタンが経験する未来を言い当てていることが分かります。

      全体的な意味を解説

      スタンのスリーカード占いの結果を考えると次のような答えが見えてきます。


      過去は、まさにスタンの苦しい時代を象徴しているのでしょう。

      何も楽しいことはなく、父親から虐待うけていたほど、「破壊」的でした。


      そんな父を手にかけ、サーカスに出会ってその世界に身を置くことになったのも「価値観の大変化」といってよいでしょう。

      ただ、スタンにとってこの望まなかった「価値観の大変化」は全てが悪いほうにスタンを導いたわけではありませんでした。


      現在はモリーという恋人がおり、スタン自身は満足していないものの成功者の仲間入りをしているほどとなっています。

      やはり今まで天涯孤独だったスタンにモリーという恋人ができたことはまさに「恋人」カードそのものですし、成功するにあたってモリーの協力や二人の協調性はとても大事だったわけです。

      悪かった過去に比べれば、現在はとても素晴らしい状況を迎えているといえるでしょう。


      そして最後の「吊された男」の逆位置。

      それは非常に不吉なカードでした。

      モリーにも黙って進めている降霊関係の仕事は、言ってしまえば詐欺です。

      上手くいけば大金が手に入りますが、失敗した時の破滅のリスクはとてつもなく大きい物となっていました。

      刑事事件として逮捕されることはもとより、有力者を怒らせた結果、闇から闇に葬り去られる危険もあります。


      また、キンボール判事への成功からグリンドルへの仕事につながったように、辞めたくても抜け出せない状態にもはまり込んでいました。

      相手が力を持っている成功した存在であるため、彼らが望んだ時の強引さは「ノー」を言えなくなってしまっています。


      そしてグリンドルがスタンの詐欺に気が付いたことで、スタンは「無駄な努力」をしていただけになってしまったのでした。

      まとめ

      タロット占いという小道具を用いるのは、サーカスの一座というシチュエーションに加え、物語が今後どのような展開を見せるのかを暗示させる、興味深い演出だと感じました。

      すでにタロットに詳しい人がみれば、いわゆるネタバレ的な効果を含ませることができ、本当にエンディングはタロット占いのような結果になるか、という興味を持たせることができたことでしょう。

      もちろん小説が原作で、ストーリーすべてが作り話ですので、タロット占いの結果は、エンディングを知っている作者や脚本家がさらに興味深くするために、状況に沿うように作り出されたものだと思います。

      ただ、そうとわかっていても、スタンに対して、占いの結果のこともあるからもうちょっと手遅れになる前にブレーキを踏む選択肢に気が付いてほしかった、と思わないわけにはいきませんでした。


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