完璧なようで違和感のある世界。
その違和感に気づいてしまった自分は狂ってしまったのか?
それともこの世界が狂っていて、ほかの人たちは気づかないふりをしているだけなのか?
そんなじわじわとくる恐怖を味わえる作品。
思わず引き込まれて、始まりから終わりまで楽しめます。
今回はこの映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」の基本情報や予告動画や登場人物情報、そして映画のあらすじを分かりやすく紹介していきます。
映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」の基本情報
それでは映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」の詳細あらすじを紹介する前に、映画の基本情報と予告動画、そして登場人物の紹介をしておきます。
映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」の基本情報と予告動画
「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」で監督として高く評価された俳優オリビア・ワイルドの長編監督第2作。
「ミッドサマー」のフローレンス・ピューを主演に迎えて描いたユートピアスリラー。
完璧な生活が保証された街で夫ジャックと幸せな日々を送るアリスは、隣人が赤い服の男たちに連れ去られるところを目撃する。それ以降、彼女の周囲では不可解な出来事が続発。次第に精神が不安定となり周囲からも心配されるアリスだったが、あることをきっかけに、この街に疑問を抱くようになる。
「ダンケルク」で俳優としても注目を集めたイギリスの人気歌手ハリー・スタイルズがアリスの夫ジャックを演じ、「ワンダーウーマン」シリーズのクリス・パイン、「クレイジー・リッチ!」のジェンマ・チャンが共演。
引用:映画ドットコム
映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」の登場人物紹介
続いて登場人物紹介です。
アリス・チェンバーズ
夫ジャックを献身的に支える妻だったが、現在の生活に異変を感じるようになる。
演じるのはフローレンス・ピュー。
ジャック・チェンバーズ
アリスを愛する良き夫。仕事中毒気味。
演じるのはハリー・スタイルズ。
フランク
ジャックの上司でビクトリー社が進めるビクトリープロジェクト責任者
演じるのはクリス・パイン。
バニー
アリスの隣人で親友。
演じるのはオリヴィア・ワイルド。
マーガレット・ワトキンス
アリスの隣人。彼女の奇妙な行動からアリスは現実世界の異変に気が付き始める。
演じるのはキキ・レイン。
映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」の見どころ紹介
映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」の見どころはなんといっても完璧に思えた生活にほころびが見え始め、徐々に崩壊していく様にあると思います。
そしてそのことに自分だけしか気が付かない、明らかにおかしいのに周りはそのことを疑問にも感じようとしないもどかしさと異質さ。
そういった描写がなんとも言えない不気味さと手に汗握る恐怖を醸し出しているのでしょう。
さらには、真相に辿り着いた後、主人公アリスがとった行動。
果たしてそれは無事、成就するのか?
もちろんアリスの望むような展開にはさせまいとする敵の存在もあり、最後のクライマックスまでハラハラドキドキする展開となっています。
見終わって改めて考えれば、設定にいくつか穴があることに気が付いてしまうのは少し残念でした。
が、見ている最中はそんなことは気にならないほど、引き込まれること請け合いです。
映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」ネタバレあらすじを分かりやすく解説
それでは映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」のネタバレ有のあらすじを分かりやすくお届けします。
起・完璧なビクトリー社社宅街の生活に見え始めたほころび
1950年代を思わせるアメリカ・カリフォルニア州のとある町。
そこはビクトリー社の本社近くに建設された社宅街でした。
そこでは毎朝、旦那が砂漠の真ん中にあるビクトリー社本社に仕事に行き、家で留守を預かる妻たちは、掃除・洗濯・夕食の用意をする毎日を繰り返しています。
典型的な1950年代の一般家庭の生活が営まれており、妻たちは家事の合間にできた時間を近所づきあいや習いものをして、生活しているのでした。
しかしそんな完璧な生活を送っている中にも守らなくてはいけないルールがありました。
それは
-
・妻たちは旦那が携わっている仕事について詮索をしてはいけないこと。
・そして本社近くには立ち入らないこと。
でした。
そんな中隣人の一人、マーガレットは他の女性と距離ができるようになります。
彼女の息子が砂漠で行方不明となり、死亡宣告がなされたことが原因でした。
しかしマーガレットは、ルールを犯した代償としてビクトリー社によって罰せられた結果であると信じていたのです。
ある日、アリスとジャックはジャックの上司フランクが主催するホームパーティに招待されます。
そこにはすべての住人が招待されており、皆、楽しいひと時を過ごしていたのですが、その最中にアリスは、マーガレットの夫ディーンがマーガレットにとある薬を勧めているのを目撃してしまいます。
その後、ジャックがアリスを求めてきたので、フランクの寝室に忍び込んで行為をしてしまう二人。
そんな最中、アリスはフランクが二人の行為を覗き見ていることに気が付きます。
が、しばらくするとフランクは立ち去り、その後、二人も行為を終えるのでした。
ある朝、アリスは街中を走る路面バスに乗って移動をしていました。
すると小型飛行機が砂漠の中で墜落するのを目撃してしまいます。
路面バスは決められた運航路線外には行けないため、アリスは一人、砂漠の中へ入っていって墜落した飛行機の救助に向かうのでした。
が、アリスはビクトリー社の本社に辿り着いてしまいます。
しかし本社といっても彼女の目の前にあるものはこじんまりとした建物で周りにだれもおらず、鏡のような窓が一面に取り付けられている奇妙な様態をしていました。
アリスはその鏡のような窓の一枚に触れてみますが、そのとたん、わけのわからない非現実的な幻覚に襲われるのでした。
そして気が付くと、時間はすでに夜となっており、アリスは自身の寝室でベッドに横たわっていたのです。
帰宅していたジャックには、アリスは寝室で寝てしまっていた、と言われ、普段と変わりない夫の様子。
しかしアリスには違和感しか残っていないのでした。
承・不信感と幻覚に悩まされるアリス
翌日、アリスは奇妙な幻覚に悩まされ続けます。
そんな中、マーガレットから電話を受け取るのでした。
電話でマーガレットは、彼女もアリスが見た幻覚を見たことがあると伝えます。
アリスはマーガレットに会いに行くことにし、家を訪ねますが、そこでアリスが見たものは屋根の上に立っていたマーガレットが自身の手で、自身ののどを掻っ切るところでした。
屋根から落ちたマーガレットのそばに駆け寄ろうとするアリスでしたが、赤い作業つなぎを身にまとった男性数名がアリスを取り押さえ、その場から自宅に連れ戻されてしまいます。
仕事から戻ったジャックにその出来事を話しますが、彼はアリスの話を信じません。
窓の掃除をしていて誤って落ち、命に別状はないと聞いていると言います。
ジャックは街の医者コリンズ医師が発していたもので、人々もこの話を信じていくのでした。
医師はアリスのことを心配し、とある薬をおいていきます。
しかしアリスの疑心暗鬼は大きくなる一方で、誰も信じられなくなっていたのでした。
一方ジャックは会社で昇進を果たし、そのイベントが、社員家族を招待して行われます。
アリスも出席しますが、壇上でフランクに祝福されるジャックを見ている最中に取り乱し、トイレに逃げ込むのでした。
心配した親友のバニーが様子を見に来ます。
アリスは彼女に、感じている不信感をすべて話そうとしますが、バニーは聞く耳を持たず、アリスの気の迷いのせいだ、とだけ言って立ち去ってしまうのでした。
その後しばらくしてアリスとジャックは(バニーとその夫ディーンは含まない)近所の友人数組とフランクとその妻シェリーを夕食に招待します。
アリスが夕食をキッチンで準備しているとフランクが一人でやってきて、二人だけで会話をする機会ができたのでした。
その会話の中でフランクはアリスに対し、彼女が抱いている不信感は正しいものであるようにほのめかします。
皆で夕食を囲む段階になり、キッチンでのフランクとの会話のこともあって自信を深めったアリスは、夫と招待した客全員に対し、この世界は何かがおかしいこと、そしてそれにビクトリー社とフランクが絡んでいるという疑惑を投げつけます。
しかし疑惑を指摘されたフランクは動揺することもなく、逆にアリスに対して静かに反論を示すのでした。
フランクの指摘は的確で説得力もあり、アリスが妄想に取りつかれていると信じるに値するものだったのです。
その場にいた客や夫ジャックはアリスに疑惑の目を向けます。
アリス自身も自分の主張に自信が持てなくなってしまいました。
これは「ガスライティング」と呼ばれる心理的虐待方法の一種を駆使したフランクの巧妙な作戦だったのです。
ちなみに「ガスライティング」とは、被害者に些細な嫌がらせ行為をしたり、故意に誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚、正気、もしくは自身の認識を疑うよう仕向ける手法のことをいうのでした。
夕食会が終わったあと、アリスはジャックに街を出ることを懇願します。
ジャックはそれに同意し、二人は車に乗り込むのですが、突然赤い作業着を着た男たちが現れ、アリスを車から連れ出してしまうのでした。
ジャックはその一部始終を目撃しながら、アリスを助けようとはしません。
男たちはアリスをコリンズ医師のもとに連れて行きます。
そこで彼女は電気けいれん療法を施されることになるのでした。
転・真相
電気けいれん療法を施されている最中、アリスは今の生活と全く異なったジャックとの生活の様子を見ることになります。
そこではアリスの名前は「アリス・ウォーレン」といい、看護師として激務をこなす毎日を送っているのでした。
ジャックは無職で頼りがいがなく、将来に何の希望もありません。
アリスはジャックに対すして何の感情も持てずにいたのでした。
治療が終わったとしてビクトリーに戻ってきたアリスでしたが、その後も幻覚とフラッシュバックに悩まされ続けます。
そしてそのころにはアリスは真実のすべてを思い出していたのでした。
ビクトリーの世界はフランクによって作られた仮想現実の世界だったのです。
アリスとの関係の破局を恐れたジャックがアリスには内緒で、二人でこの仮想現実で完璧な結婚生活を送るために参加を決めたのでした。
ジャックはアリスがすべての真実を思い出したことに気が付きます。
彼はアリスに悲惨な現実に疲れ果てたアリスのことを思ってこの世界に連れてきたのだ、というのでした。
しかしアリスはどんなに悲惨な生活を送っていたとしても自分の意思で生きていく、当然の権利を勝手に奪われてしまったことに対する怒りを彼にぶつけます。
アリスに抱き着いてこのままこの仮想世界で生きることを懇願するジャックでしたが、アリスはその願いは到底受け入れられませんでした。
もみ合う二人でしたが、ジャックから逃れるために、お酒の入ったタンブラーを彼の頭に打ち付けてしまいます。
これによってジャックは仮想世界だけでなく、現実世界でも死んでしまうのでした。
結・脱出
ジャックの死に気が付いたフランクはアリスをとらえるために追っ手を差し向けます。
一方アリスですが、バニーが彼女のもとに現れ、自身はこの世界が仮想現実であったことをずっと前から知っていたことを打ち明けるのでした。
現実世界では死んでしまった子供との生活を、仮想現実世界で体験できる生活のために彼女の意思であきらめたが理由です。
バニーは本社に行くようにと、アリスに言います。
そこがビクトリーの仮想現実世界から抜け出すための出口だったからでした。
ビクトリーの住人のうち、妻たちはここが仮想現実の世界であることに気が付き始めます。
そして彼女らの夫は、自分の妻が真実に気が付き始めたことにパニックを起こしているのでした。
アリスはジャックの車を運転して本社の建物を目指します。
コリンズ医師と多数の追手が迫りますが、アリスは反撃し、彼らが互いに衝突する事故を起こすことで何とか振り切りました。
一方フランクの自宅では妻のシェリーが現実を思い出し始めます。
そしてすべてを思い出した後、怒りのあまりフランクを刺し殺してしまうのでした。
本社に到着したアリスのもとにジャックの映像が現れます。
そしてアリスに仮想現実世界にとどまるように懇願するのでした。
が、アリスはその映像を無視し、迫る赤い作業着の追手がもう少しで彼女を捕らえるかという瞬間、本社から仮想現実世界より脱出することの成功します。
現実世界で大きく息をのみながら、意識を取り戻すアリスが映し出されます。
すぐ後に映画のタイトルである「ドント・ウォーリー・ダーリン」が映し出されて、映画は終了するのでした。
最後に簡単な感想
最後まで見終わると映画タイトルである「ドント・ウォーリー・ダーリン」、
-
心配しないで、あなた
の真の意味が突き刺さるようでした。
真相は、現状の不幸な境遇に対して、そもそも多くの責任があると思われるジャックが、現実逃避という方法を使ってアリスに幸せな生活を与えようとしたわけです。
が、それに対してのアリスの意思は全く無視しています。
だからこそ、「心配しないで。自分で自分の未来を決められるから」という意味の、本音でいえば、
-
負け犬の浅はかな現実逃避に付き合わなければ幸せになれないと見くびるな!
という強いメッセージだったわけですね。
真実を思い出す過程で自分が狂ってしまったのではないか、いや、明らかにこの世界は何かおかしい、という恐怖を感じることができました。
そして最後のメッセージが強力ですので、終始楽しめたのですが、後から思い返せば腑に落ちない部分もいくつか出てきてしまいます。
一つ例に挙げれば、なぜバニーだけ真実を知っていて他の夫妻はすべて妻が秘密裏に仮想世界に連れてこられたことになっているのでしょうか?
ジャックとアリスの関係でもそうですが、夫婦ともに納得してこのシステムを利用していれば、心に深い傷を持っている人々の大きな助けとして有益に利用できると思うのわけです。
映画としてスリラー要素を入れるには、秘密裏に仮想世界に連れられてきたという設定にしないと成り立たないのは理解できます。
しかし利用している住人のほぼ全員というのは、ちょっとやりすぎだったような気がしますね。
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