映画「ワース・命の値段」は2011年に起こったアメリカ同時多発テロの被害者遺族に対して、政府が用意した補償制度を巡る、補償基金側と遺族側のドラマを映画化した作品です。
実際に主人公の弁護士ケニス・ファインバーグが記した回顧録を元ネタとして映像化されたもので、人の命の値段について、深く考えさせられる内容となっていました。
今回はこの映画「ワース・命の値段」の基本情報や予告動画や登場人物情報、そして映画のあらすじを分かりやすく紹介していきます。
映画「ワース命の値段」の基本情報
それでは映画「ワース・命の値段」の詳細あらすじを紹介する前に、映画の基本情報と予告動画、そして登場人物の紹介をしておきます。
マイケル・キートン主演で、アメリカ同時多発テロ被害者の補償金分配を束ねた弁護士の実話を映画化した社会派ドラマ。
2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロを受け、米政府は被害者と遺族救済を目的とした補償基金プログラムを立ち上げる。その特別管理人を任された弁護士のケン・ファインバーグは独自の計算式により、個々人の補償金額を算出する方針を打ち出すが、被害者遺族が抱えるさまざまな事情と、彼らの喪失感や悲しみに接する中で、いくつもの矛盾にぶち当たる。
チームが掲げる対象者約7000人の80％の賛同を得る目標に向けた作業が停滞する一方で、プログラム反対派の活動が勢いづいていく。
期限が迫る中、苦境に立たされたファインバーグはある大きな決断を下す。
キートンのほか、「ラブリーボーン」のスタンリー・トゥッチ、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のエイミー・ライアンらが顔をそろえる。監督は「キンダーガーテン・ティーチャー」のサラ・コランジェロ。
引用：映画ドットコム
映画「ワース命の値段」の予告動画
映画「ワース命の値段」の登場人物紹介
続いて登場人物紹介です。
ケニス（ケン）・ファインバーグ
911の被害者遺族への補償配分を決定するチームのリーダーに選ばれた弁護士。
合意率80％以上を目標に動くものの…。
演じるのはマイケル・キートン。
カミラ・ビロス
ケンとともに被害者遺族への補償基金で働く弁護士。
演じるのはエイミー・ライアン。
チャールズ・ウルフ
テロで妻を亡くした被害者遺族の一人。
当初、ケンらによって示された補償金配分に反対の立場をとったグループのリーダー。
演じるのはスタンリー・トゥッチ。
映画「ワース命の値段」ネタバレあらすじを分かりやすく解説
それでは映画「ワース・命の値段」のネタバレ有のあらすじを分かりやすくお届けします。
起・同時多発テロ、発生
主人公ケネス・フェインバーグ（友人や同僚からの呼び名はケン)はコロンビア大学で生徒に授業をしていました。
その日のクラスでは、現行の法律が人の人生に金銭的価値を認めている点について詳しく講義をしていました。
後日、9月11日のアメリカ同時多発テロ事件が発生しました。
世間が騒然となる中、被害者救済のため、被害者補償基金が設立されました。
そしてその特別管理人にケンが任命されることになります。
彼の弁護士仕事仲間のカミラ・ブロスもケンの管理代理人に任命されたのでした。
彼に与えられた任務は、推定7000人にのぼる被害者のそれぞれの収入に基づいて、公平で厳格な補償金額を算出することにありました。
もし被害者遺族数全体の、少なくとも80％が合意署名しなかった場合、遺族は訴訟を起こす可能性が高いと考えられていたのです。
そしてそうなれば、その裁判では高い確率で敗訴するであろうという見込みが立てられていました。
さらに、被害者は航空会社を訴えることも予想されました。
おそらく政府は航空会社を守るために、何らかの対応をせねばならず、その結果、財政破綻・社会不安拡大につながる恐れも十分にあったのです。
ケンは、このような非常に厳しい状況化の中で、2003年12月22日までに80％以上の合意を獲得しなくてはならないのでした。
承・表面化する多くの問題
ケンは最初の被害者との会合で、補償に関しての基金の規則を説明しようとしました。
しかしその行為は、精神的に大きなダメージを負った出席者にとって、非常に事務的で他人事のように映ってしまいました。
中にはケンに対して敵対的な感情をあらわにするグループも出始めます。
しかし、テロで命を失った女性の夫であるチャールズ・ウルフが、まずはケンの発言をすべて聞いてから被害者としての立場を明確にすべきである、という主張をしてその場を収めたのでした。
会合の後、ケンは、フランク・ドナートという人物の話を聞く機会を持ちました。
彼の兄弟であるニック・ドナートはニューヨーク市消防局の消防士で、事件発生日、現場で救助活動に出ていて、命を失いました。
フランクは、ニックがテロ攻撃を受けた貿易センターが崩壊する危険があるという警告が発せられた後、センター内に救助に入っていったことをケンに話します。
この一連の流れから、ニックに警告が届いていない可能性があったと疑っていたのでした。
このことは、コミュニケーションシステムで何らかの故障やニューマンエラーの疑惑につながるため、補償を決定する際の調査書に加えるべきだ、と主張したのです。
しかし、ケンはこのフランクの要望を、弁護士が持つ職業弊害そのままに、断ってしまうのでした。
その後ケンは、会合で反対派グループを落ち着かせてくれたチャールズが、基金の杓子定規で冷淡な主張に納得できず、抗議グループを立ち上げたことを知って動揺してしまいます。
カミラは他のスタッフとともに被害者と面会していました。
その中で、グラハム・モリスという男性と会います。
彼の両親は激しく否定していましたが、彼はテロでパートナーを失っていた殺された同性愛者でした。
補償基金の規則では、バージニア州居住者は、対象外となっていました。
が、彼がまさにバージニア州居住者だったのです。
この事実を知ったカミラは大きなショックを受けるのでした。
また、ケンは複数の弁護士と会うことになります。
彼らは、被害者の中で一般的に上流階級に部類される被害者の遺族グループが雇った弁護士たちでした。
このように、一概に被害者、と言ってひとくくりにできず、個々の問題や要求を持っていたのです。
転・転機
時間は過ぎていきますが、ケンがまとめる補償分配方法は、補償請求を申請した人々のごく一部にしか、評価されていませんでした。
そんな中、ケンは、チャールズが代表となっている反対派グループと非公開の会合を持つことになります。
そこでチャールズは、ケンたちは被害者遺族の補償には無関心で、ただブッシュ政権の利益のために働いている、と非難するのでした。
ある日ケンは、救助活動中に命を落とした消防士、ニックについて、とある弁護士からの電話を受けました。
その弁護士によると、ニックは結婚はしていないものの一緒に二人の娘をもうけた女性パートナーがおり、彼らからの依頼を受けたといいます。
そして、娘二人には補償を受ける権利があることを告げられるのでした。
ケンは、以前は拒否していた補償申請を、娘の名前で行うように説得してほしいと、相手弁護士に伝え、電話を切りした。
月日は容赦なく経つものの、ケンの被害者に対する説得は、失敗続きとなっていました。
ある夜、ケンはオペラを鑑賞に出かけます。
そして劇場で彼に敵対している反対派のチャールズに出会うことになるのでした。
チャールズは、ケンを見かけると彼に近づき声を掛けます。
そして、亡くなった妻が失敗に直面しても忍耐するようにチャールズを励ました何年も前の逸話を語ったのでした。
チャールズとの会話の後、ケンは何か吹っ切れ、新らしい気持ちになっていることに気づきます。
結・残された遺族のために
ケンとカミラは、政府が彼に与えた裁量を逆手にとって利用し始めました。
基金の下でできるだけ多くの被害者をカバーするように規則を拡大解釈することにしたのです。
と同時にケンは被害者遺族に積極的に会い始めました
そして、彼の事務所内に、申請者から贈られた犠牲者の遺品を飾る祭壇をつくったのです。
チャールズは、そんなケンの行動から犠牲者遺族を本当に気遣っていることを確信しました。
それ以来、遺族仲間にケンを信頼するよう説得し始めたのです。
そのかいもあって、締め切り期限の2003年12月22日までに、補償を受ける資格のある遺族の大多数が署名しました。
保障プロジェクトの成功はもう、達成されたも同然となりました。
そんな中、ケンはニックのパートナーのもとを訪れ、彼女と娘のために申請書類の署名を受け取るのでした。
一方、カミラは涙ながらにグラハムに電話します。
彼女はグラハムが居住している州が、同性婚を認めていないことから、グラハムを遺族として認定できなかったため、補償対象に含めることができなかったことを涙ながらに謝罪したのでした。
そして、彼に、同性婚を認めている州に居住していて、パートナーが犠牲となった同性愛遺族を補償対象として補償金を支払うようにしたことを報告したのです。
エンディングでは、ケンとカミラが数十億ドルの政府資金を、適格な被害者の97％に補償分配することができたことを報告します。
そして今でも、彼らは同様の事件に取り組み続けているのでした。
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