映画「ビバリウム」
ごく一般的はカップルの身に降りかかった恐怖とだんだんと蝕まれていく彼らの狂気を描いた映画です。
今回はこの映画の基本情報や予告動画やキャスト情報、そして映画のあらすじを分かりやすく紹介していきます。
映画「ビバリウム」の基本情報
それでは映画「ビバリウム」の詳細あらすじを紹介する前に、映画の基本情報と予告動画、加えて出演キャストの紹介をしておきます。
映画「ビバリウム」の基本情報と予告動画
不動産屋に紹介された住宅地から抜け出せなくなったカップルの運命を描いたサスペンススリラー。
新居を探すトムとジェマのカップルは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、全く同じ家が建ち並ぶ住宅地「Yonder(ヨンダー)」を紹介される。
内見を終えて帰ろうとすると、すぐ近くにいたはずの不動産屋の姿が見当たらない。
2人で帰路につこうと車を走らせるが、周囲の景色は一向に変わらない。
住宅地から抜け出せなくなり戸惑う彼らのもとに、段ボール箱が届く。中には誰の子かわからない赤ん坊が入っており、2人は訳も分からないまま世話をすることに。
追い詰められた2人の精神は次第に崩壊していき……。
「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグと「グリーンルーム」のイモージェン・プーツが主人公カップルを演じる。プーツは第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。
引用:映画ドットコム
映画「ビバリウム」のキャスト紹介
続いてキャストの紹介です。
ジェマ
恋人のトムと一緒に新居を探しにやってきて事件に巻き込まれる主人公。
演じるのはイギリスの女優で「28週後…」のイモージェン・プーツ。
イモージェン・プーツの詳しいプロフィールはこちらの記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
関連記事:映画ビバリウムのジェマ役俳優は誰?イモージェン・プーツのプロフィール紹介!
トム
ジェマの彼氏。ジェマとともに抜け出せない世界「ヨンダー」に閉じ込められる。
演じるのは「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ。
マーティン
ジェマとトムを不思議な世界「ヨンダー」に閉じ込めた不動産屋。
演じるのは英国俳優のジョナサン・アリス。
ジョナサン・アリスのことを調べてみましたので、こちらの記事で紹介しています。
よろしかったらご覧ください。
関連記事:映画ビバリウムの敵役マーティンを演じた俳優のプロフィール紹介!
少年
「ヨンダー」に閉じ込められたジェマとトムのもとに届けられた少年。
無事育てられたら「ヨンダー」から抜け出せるとされていたが…。
少年役を演じるのはセナン・ジェニングス、
成長した青年役はアイナ・ハードウィック。
セナン・ジョニングスとアイナ・ハーデウィックのことを調べてみましたので、こちらの記事で紹介しています。
よろしかったらご覧ください。
関連記事:映画ビバリウム主人公が育てた少年と成長した青年を演じた俳優のプロフィール紹介
映画「ビバリウム」ネタバレあらすじ
それでは映画「ビバリウム」のネタバレ有のあらすじを分かりやすくお届けします。
起・カッコウの種間托卵とジェマとトムが「ヨンダー」に連れていかれるまで
映画はカッコウの種間托卵の様子から始まります。
カッコウが他種の鳥の巣に卵を産み落していきます。
カッコウのひなは卵から孵るとその巣にいる他の雛を巣から落とし、唯一の雛となるのでした。
そしてその巣の母鳥が運んでくる食べ物を食べ、ついには母鳥よりも大きく成長します。
それでもカッコウの雛は、母鳥が運んでくる餌をむさぼり食べるのでした。
小学校の先生をしているジェマは学校が終わった後、校庭で恋人のトムが迎えに来るのを待っています。
すると女子生徒の一人が地面に落ちている鳥の雛2羽を見つけたことに気が付きました。
女子生徒は迎えの親に気が付き、その場を去ります。
それと入れ替わりにやってきたトムが、車に積んであった仕事道具のシャベルで穴を掘って雛の死骸を埋葬し、二人は新居を探しに不動産屋巡りに向かうのでした。
初めて訪れる不動産屋でセールスマンのマーティンが二人に話しかけます。
マーティンは新しく手掛けている分譲住宅地の「ヨンダー」を二人に勧め、今から見に行かないか、と誘うのでした。
ジェマとトムはマーティンの運転する車についていき、「ヨンダー」へ到着します。
そこは、全く同じデザイン、色合いの家が立ち並び、静かで他に誰一人いない、まるで別世界のような雰囲気の場所でした。
マーティンは9番と掲げられた家の中に二人を案内します。
家具が備え付けられた家の中を見て回るジェマとトムですが、裏庭を見学中、ふと気が付くとマーティンの姿がありません。
家の外に出てみるとマーティンの車もなく、二人も自分たちの車に乗り込んで帰ろうとします。
が、何度やっても9番の家に帰ってきてしまいます。
ついには車の燃料が無くなってしまうのでした。
仕方なしに、二人は9番の家で一夜を明かすことにします。
次の日の朝、車に積んであったトムの仕事道具であるはしごをかけ、家の屋根に上ってみます。
が、そんなトムの目には、果てしなく続く同じ家で構成された家並みが広がるだけでした。
そこで二人は空に浮かぶ太陽を目指して一直線に進めば、外に出られるのではないか、と考えて歩き始めます。
家の塀を超えて作り物のような太陽を目指す二人。
疲労困憊した二人は夕方、陽が沈んですぐに見つけた、明かりのついた家にたどり着きます。
が、そこは9番の家に逆戻りしただけでした。
二人はふと、道に置かれている段ボールの箱に気が付きます。
中には缶詰めと真空パックされた食料が入っていました。
トムはその箱をもって家の中に入っていき、持っていたライターで火をつけます。
これによって誰かが家の火事をみてくれることの期待からでした。
二人は家の前で家が燃えるのを見ていましたが、誰も現れません。
そのうちに二人は寝入ってしまうのでした。
翌朝、朝もやの中に目を覚ました二人の目の前には、まるで何もなかったかのように9番の家が建っていました。
そしてジェマが再び、道の上に置かれた段ボールの箱を見つけます。
箱の中身を確認した彼女は、中に男の子の赤ん坊が入っていることに驚くのでした。
さらに箱を調べてみると、
「育てれば開放する」
とメッセージが書かれていることに気が付きます。
承・赤ん坊を育て上げれば抜け出せられる
3か月後、赤ん坊だった男の子は7歳くらいの大きさまであっという間に成長していました。
話す言葉は大人びていて、トムとジェマの話していた会話をそっくりまねして話します。
そして空腹を覚えると、食事を要求して耳障りな高音を出すのでした。
その他には、トムとジェマの行為を盗み見て真似をしたり、家の今に備え付けてあるテレビに映る、白黒の怪しげな映像を視聴していたりもしました。
人間とは思えない男の子との生活と、この世ではない不可思議な世界に閉じ込められている現状にトムとジェマの精神はだんだんと病んでいきます。
ある日トムは庭の土が普通でないことに気が付き、シャベルで穴を掘り始めます。
この穴を掘るという行為を、トムは日々の目的を感じ始め、どんどんと深くなっていっても止められなくなっていくのでした。
そして、穴の底から何か音がすることに気が付いたトムは、前にも増して穴掘りに没頭していきます。
転・ジェマとトムのすれ違いと仲直りにトムの死
トムは日に日に健康を害していきました。
それは肉体的だけでなく精神的にもです。
ある日、ついにトムは少年を車に閉じ込めて殺そうと試みます。
が、いやいやながらも赤ん坊のころから世話をしていたジェマの中に、母性が生まれていたらしく、トムに逆らって少年を助け出すのでした。
それ以来、トムはジェマと一緒に時間を過ごすことを止めてしまいます。
一人で食事をし、穴掘りばかりをして、眠るのも穴の底でした。
一人ぼっちになったジェマは少年と一緒に過ごす時間が多くなります。
少年と話をするようになり、少年が空想したり夢を見たりするようになったことを知るのでした。
ある日、いつの間にか少年が姿を消してしまいます。
家の外を探し回っていたジェマは、いつの間にか本をもって9番の家の庭に立っている少年に気が付きます。
本の中に書かれているのは、全く訳の分からない記号で、その他に人間のような恰好をした喉袋を持つ生物のイラストでした。
ジェマは少年に、誰からこの本をもらったのか、聞いてみます。
すると少年は喉袋を大きく膨らませ、人間には出すことのできない、効いたことのない音を発するのでした。
少年に親近感を抱いていたジェマでしたが、ここではっきりと自分が相手をしている少年が人間ではないことを思い知らされ、恐怖に震えることになったのです。
更に時は流れ、ついに少年は青年に成長しました。
成人となったことでジェマは恐怖を感じるようになり、そのことからトムと過ごす時間が増えることになります。
が、トムは日に日に弱々しくなり、彼の健康が損なわれていることが見て取れるのでした。
そしてそのことはジェマにも当てはまっていたのです。
青年となった少年は毎日9番の家からどこかに出かけます。
ジェマは彼がどこに行くのか後を追いかけますが、必ず見失ってしまうのでした。
一方で穴を掘り続けていたトムは、古びた袋を掘り当てます。
その中には人間の頭蓋骨があることに気が付くのでした。
穴をはい出したトムですが、体の具合はとても悪くなってしまっています。
それに気が付いたジェマはトムを助けて家の中に入ろうとしますが、扉にかぎがかかっていることに気が付きます。
中にいる青年に扉を開けるように要求しますが、彼は聞こえていないかのようにまるっきり無視を決め込むのでした。
トムはジェマに抱きかかえられ、彼がジェマに初めて会ったときの思い出話をし始めます。
そしてその話がジェマへの感謝を述べて終わったとき、トムは息を引き取るのでした。
悲しむジェマの前に青年が立っていることに気が付きます。
青年は無表情で死体袋を取り出し、何の感情も見せずにトムの亡骸を袋に入れ、トムが掘っていた穴の底に投げ入れるのでした。
結・ジェマの反撃と死、そしてまた繰り返される
車で眠りについていたジェマは、次の朝、家から青年が出てきたことに気が付くと、そっと車からおります。
そして青年の背後から、トムの商売道具のつるはしをふるって、青年を殺そうとするのでした。
不意打ちを食らった青年でしたが、傷を負っただけで助かり、蟲のような奇声を上げたかと思うと四つん這いで逃げ出します。
歩道の端を持ち上げて隙間を作り、その中に逃げ込むのでした。
ジェマも閉じそうになる隙間につるはしを差し込み、中に滑り込みます。
そこには別の空間が広がっており、ゆがんだ状態の部屋のようになっていました。
ジェマは奥に進み、青年が逃げ込んだ扉を開けて入っていきます。
そこでまず、赤い色の世界に迷い込んだジェマは、奇声を発する別の少年と、ダイニングテーブルで絶望で泣いている女性の前に現れます。
が、ジェマの立っている床が変形し、ジェマをゆっくりと飲み込んでいくのでした。
続いての青色の世界で、とあるカップルが寝室で夜の営みをしている場面に出くわします。
寝室の扉の隙間からは、その行為を覗き見る別の少年の顔が見えるのでした。
しかしまたしてもジェマは床に飲み込まれていきます。
そして今度はバスルームのシャワー室にいることに気が付きました。
シャワー室の外には浴槽があり、浴槽のカーテンが閉められていて中を見ることはできません。
恐る恐るカーテンを開いてみると男性が湯船の中で自殺をしていました。
それに驚いたジェマはまたもや別の世界に移動させられます。
気が付くと階段から転げ落ちており、ふらふらと立ち上がって扉を確認すると、そこは9番の家に戻ってきていたのでした。
ついにジェマも最後の時を迎えます。
青年は死体袋を持ってきて衰弱したジェマを中に入れます。
その最中、青年はジェマに母親の役目、
「子供を育て、成長した後は死を迎えるだけ」
を言って聞かせます。
が、ジェマは「私はお前の母親ではない」と返して絶命するのでした。
青年はジェマの入った死体袋をトムの亡骸がある穴の中にほりこみます。
そして穴を埋め、ジェマの車に燃料を入れて「ヨンダー」から去るのでした。
マーティンのいる不動産屋に着くと、マーティンは老衰して亡くなっています。
マーティンがつけていた名札を外して身に着け、亡骸を死体袋に入れた後、袋を丸めて大きな引き出しの中にしまうのでした。
机に座ってしばらくすると、若いカップルが店の中に入ってきます。
その客に対し、マーティン青年は商売のために挨拶をするのでした。
タイトル「ビバリウム」の意味を解説
タイトルの「ビバリウム」ですが、もともとはラテン語であり、その意味は、
-
「生物の住む場所」
となります。
それが転じて
-
「生物が住むための限られた空間としての施設」
という意味で使われており、いわゆるアクアリウム等の水槽はビバリウムの一つ、ということができるのです。
もちろん、大きさによる制限みたいなものはなく、動物園の檻もビバリウムの一つと言えるのでした。
本作品のタイトルとして使われている理由は、9番の家のある「ヨンダー」が、少年が安心して安全に成長するための空間であるから、ということでしょう。
ただし映画の中では、世話をする両親に当たるジェマとトムが空間の中に閉じ込められており、閉じ込めているのが、成長を必要としている少年であることが、普通とは違ったシチュエーションでしょうか。
インパクトがあり、普通と違っているシチュエーションであることがひねりにもなっている、なかなか味のある題名だと感じました。
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