映画「2分の1の魔法」では、魔法が忘れ去られたファンタジー世界で主人公のエルフ、イアンとバーリーが魔法の杖を手に入れたことから大冒険に出かける物語です。
そんな面白い設定の世界でのストーリーですが、魔法の杖ということで一つ疑問が生じました。
魔法が登場する有名な作品として「ハリポタ」シリーズがありますが、あのシリーズの魔法が使えるキャラクターは、すべてオーケストラの指揮者が使うような短い棒を魔法の杖として使って、魔法を唱えています。
一方で映画「2分の1の魔法」で登場する魔法の杖は、歩く際に補助として使ってもいいほどの大きさでした。
なぜ同じ「魔法の杖」でこんな違いがあるのでしょうか?
今回は「魔法の杖」について考察してみたいと思います。
映画「2分の1の魔法」イアンの使う魔法の杖は「スタッフ」
映画「2分の1の魔法」でイアンが使う魔法の杖は、英語で「スタッフ(Staff)」と表現される種類の杖になります。
基本的に「スタッフ」という形状の杖は、概して大きくがっちりしているものとなります。
現代の世界に当てはめて考えてみると、
- 歩くために補助として利用できるような大きさのもの
とすれば、想像がつきやすいと思います。
「ハリポタ」シリーズの杖は「ワンド」
「ハリポタ」シリーズで魔法が使えるキャラクターが持っている杖は、英語で「ワンド(Wand)」と表現される杖になるでしょう。
この「ワンド」、簡単に説明すればオーケストラの指揮者がもつようなタイプの物で、「杖」というより「棒」といったほうがいいのかもしれません。
ちなみにGoogle先生に「指揮杖」と「指揮棒」で検索をしてみました。
すると、「指揮棒」はやはりオーケストラ指揮者が使う棒がイメージとして表示されましたが、工事現場などで使用する警告灯も「指揮棒」として認識されているようです。
一方で「指揮杖」になると、軍隊の行進の際に一番先頭で歩く人が持つような、1 m以上はあるかと思われる装飾品の杖がイメージとして表示されました。
やはり「ハリポタ」シリーズの魔法の杖は、確実にオーケストラ指揮者の使う感じの棒ですので、正確に表現すれば「魔法の杖」ではなく「魔法の棒」という、なんとも締まらない名前となってしまうことになってしまいます。
「スタッフ」と「ワンド」を持つキャラクターから考えてみる
それではなぜイアンの魔法の杖は「スタッフ」のような形状をしており、「ハリポタ」シリーズの「ワンド」のような形状ではないのでしょうか。
そこには、どうしてもファンタジー作品として第一に挙げられるあの有名な作品の影響があるからでしょう。
そう、それは「指輪物語」
このシリーズに登場するガンダルフの持つ杖が、スタッフの形状であったことが大きいといえます。
実際、ガンダルフだけでなくサラマンも同じような形状の杖を持っていました。
そして、「指輪物語」の影響をとても大きく受けたテーブルトーク・ファンタジーPRゲーム「ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下D&D)」も、映画「2分の1の魔法」でイアンの魔法の杖が「スタッフ」形状のものになった理由の一つでしょう。
D&Dの魔法使いはガンダルフのような魔法の杖を持つことで魔法が使えるという設定になっています。
ですので、魔法使いといえば、あの大掛かりな杖、というイメージで、イアンの魔法の杖が「スタッフ」形状となったのです。
一方で「ハリポタ」シリーズの「ワンド」形状の魔法の杖も、ほかの作品で目にすることがあります。
それは、
-
・シンデレラのフェアリー・ゴッドマザー
・眠れる森の美女の三人の妖精
・オズの魔法使いの北の魔女グリンダ
彼らは「ワンド」形状の魔法の杖を使って魔法を唱えていました。
ただ、面白いのは「眠れる森の美女」の悪役マレフィセントは「スタッフ」形状のものを持ち歩いており、「ワンド」形状のものは使っていなさそうです。
また、「オズの魔法使い」に登場する西の悪い魔女は魔法の箒は持っていますが、それ以外に魔法の杖らしきものは使わないようです。
こうしていろいろほかの作品まで手を伸ばして考えてみると、面白いものですね。
結局は「見た目」と「印象」
で、問題なのは、「スタッフ」と「ワンド」の使用理由の区別がどうしてつけられているか?です。
僕が考え付いた結論を言ってしまうと、なんとなく「そこかい!」と突っ込みが入りそうで怖いのですが、実は「見た目」なのではないでしょうか。
どういうことか、説明しますと、指輪物語のガンダルフがオーケストラの指揮棒のような魔法の杖を使っているところを想像してみてもらうと分かると思います。
いまいち迫力に欠けますよね。
逆にシンデレラのフェアリー・ゴッドマザーがガンダルフ張りの大きな魔法の杖をもっていたら。
もしくは「ハリポタ」のキャラクターたちが大きな魔法の杖をもって走り回っていたら。
だいたい、「ハリポタ」のキャラクターたちが大きな杖を使わないと魔法が使えないのであれば、マグルの世界で杖を隠し持って歩き回ることは不可能なため、何かと不便なのではないでしょうか。
とまぁ、まず間違いなく見た目でバランスなどを考えて映画「2分の1の魔法」では「スタッフ」形状のものにしたのでしょう。
映画の冒頭のシーンでも、魔法が忘れられた歴史を語るシーンでガンダルフのような魔法使いが、花火の魔法を披露していました。
「指輪物語」の影響は大きいことが、このシーンからでもわかると思います。
まとめ
映画「2分の1の魔法」でイアンが手に入れた魔法の杖が「スタッフ」形状のものである理由は、「指輪物語」と「D&D」の強い影響と考えられます。
また、これまでの魔法が関係する作品の中で、「指輪物語」系列に分類される「スタッフ」状の魔法の杖と「ハリポタ」シリーズ系列に分類される「ワンド」状の魔法の杖が存在することが分かりました。
この二つの使い分けは、それを持った場合のキャラクターの見た目が、どちらの形状のほうが良く見えるか、ということで決められていると思われます。
最後に「ワンド」状の魔法の杖であった場合、「懐に隠せる」=「拳銃を隠し持っている」ということに似ていると思います。
一方で「スタッフ」状の魔法の杖を持っていた場合、「常に武器を持ち歩ている」=「ライフルを肩に担いで歩き回っている」状態といっていいのではないでしょうか。
そういう意味では「ハリポタ」の世界はまだ、安全なのかもしれません。
「指輪物語」系列であった場合、魔法使いがいつでも魔法を使えるので、恐ろしくて仕方がない、といえるでしょうね。
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