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映画トイ・ストーリー4で登場した「RMR F97」ってどういう意味?トイ・ストーリー2との繋がりと裏話

2019/07/22
 
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「トイ・ストーリー」シリーズの最新作、4が公開されています。

全く新しいストーリーと展開に、これまでのシリーズとは違い、新たな冒険が始まる予感がするお話でした。


そんな映画の中で、冒頭にあったボー・ピープがアンディの家からいなくなった経緯を説明する回想シーンがあります。

そのシーンの中で、ボー・ピープを譲られた男性の自動車に取り付けられていたナンバープレート「RMR F97」という文字列が話題を読んでいます。

何かと隠しキャラや隠しメッセージを作品内に潜ませて遊んでいるピクサー

この文字列もただの意味のないアルファベットと数字ではありませんでした。

その裏には、「トイ・ストーリー2」の制作秘話ともしかしたら今のピクサーが存在していなかったかもしれないとんでもない事件が隠されていたのです。

今回はその裏話を紹介していくことにしましょう。







トイ・ストーリー2が制作されていた頃のピクサー

「トイ・ストーリー」を大ヒットさせ、前途洋々の滑り出しをしたピクサー。

事件が起こった1997年には、すでに次の作品である「バグズ・ライフ」の作成に取り掛かっていました。


実はピクサーはディズニーとの契約で7本のアニメーションを制作することになっていたのです。

その7本の内訳は、3本が映画館上映用の作品、残りの4本がOVAで劇場公開されることなくDVDとして販売されるというものでした。

ピクサーの実力と「トイ・ストーリー」発表からその後の作品を考えれば、劇場公開無し作品が半分以上という契約は、とんでもない間違いのような気がします。

しかし1990年台後半の映画業界事情では、このような処置は通例として普通に行われていました。

というのも、ディズニー自体が自身の大ヒット作品の続編を完成させながら、劇場公開ではなくその当時主流であったVHSビデオ販売のみ、という流れに沿っていたのです。

ちょっと思いつくだけでも「アラジン」、「ライオンキング」など続編が作られたものの劇場公開していないという作品がたくさんありますよね。

これは、その当時、続編を作成するにあたって新人の監督やアニメーターを起用し、彼らに経験を積ませる場として考えられていたところに大きな理由がありました。

この流れのとおり、ピクサーにとって3作目、続編作品としては初めてという「トイ・ストーリー2」もDVDのみでの公開と決まっていたのです。


ちなみに今では、この流れは改められ、新人監督やアニメーターに経験を積ませる場としてピクサーは、短編作品を使用することにしたのでした。

そしてご存知のとおり、すでに多くの作品が発表されています。


話を「トイ・ストーリー2」に戻しますと、最初はDVD公開のみで作成されていたものの、段々と形ができあがってくるに連れ、制作陣はもとよりピクサー上層部の誰もが、DVD公開のみの作品にするにはとてももったいないほどの出来であることに気が付き始めます。

しかしピクサー内の制作人員は劇場公開予定されたピクサー作品2作目の「バグズ・ライフ」に多数、取られており、もともとDVD公開のみの予定であった「トイ・ストーリー2」には僅かな人員しか割けていない状況でした。


さらにこの頃の会社のコンピューターネットワークシステムについても説明しておきましょう。

この頃のコンピューターネットワークシステムは、会社内にある巨大コンピューターに社員がそれぞれアクセスして、必要なデータを取り出したり、更新したり、必要があれば削除したりしていました。

もちろん、自分が関連している仕事に関する必要な情報しかアクセスできないように管理されてはいますが、小さな会社、特にその当時のピクサーのような会社は一人の社員がアクセスできるデータの割合は、かなり大きなものになっていたのです。

しかもピクサーはアニメーション作成を手がけており、どのような仕事に携わっていたとしても最終的に全体像を把握した上で、今時分がしている仕事が他と調和しているかどうかを確認しないといけないため、パスワードコードでアクセス制限はされていたものの、殆どの社員がどのデータ、例えば上層部のステーブ・ジョブのファイルやジョン・ラセターのファイルにもアクセスできる、という状況でした。


この様に、2時間にも及ぶアニメーション映画の作成を少人数で切り盛りし、しかもほとんどノーパスで誰でも最高機密ファイルにアクセスできるような状況で、もし間違いが起こったら・・・。

そしてその間違いはとんでもない大きなものとして、ある日トイ・ストーリー2に降り掛かってしまうのでした。

全消去コマンドコード

ここで登場するのが、「トイ・ストーリー4」で登場したナンバープレートとして使われた文字列です。

RMR F97」

正式なコマンドコードは、

/bin/rm -r -f*(アスタリスク)

コマンドコードとしての詳しい説明を省いて、簡単に説明すると、このコマンドによってできるのは、

全消去

なのでした。


まるで昔のアニメにあった自爆ボタンのような、全消去コマンドがなぜ必要なのか?と思うかもしれませんが、コンピューターで仕事をしている場合、とくにグラフィックを多用する映画作成のような仕事の場合、作っては試して手直し、作っては試して手直し、の繰り返しになります。

その際に、手直しした元のデータとは別に新しいセーブデータとして残しておかないと、手直しが上手くいかなかったときに、別の方法を試せなくなってしまうということが起こるため、徐々に膨大なデータが溜まっていくことになってしまいます。

ある時点で、これはもう必要のないデータ群というものを消去する必要が出てくるのですが、その時、コマンド一発で消去できればとても楽ですよね。

例えばウィンドウズコンピューターでゴミ箱に大量にいらないデータが溜まった場合、「ゴミ箱を空にする」のアイコンがなくて、一つ一つ消去作業をしないといけないと考えたらゾッとする人も出てくるでしょう。


というわけで、ピクサーのメインコンピューターの中に「トイ・ストーリー2」というフォルダーが作られ、その中に沢山の枝分かれした各プロジェクト、ウッディやバスといった各キャラクターや背景、音楽などに関連するファイルが作られ、それらの一番下に「不要ファイル」が作られていて、必要のなくなったデータをこのファイルに移動していたわけです。

そしてこの全消去コマンドがこの不要ファイルに対して使用され、コンピューター内のメモリースペースに余裕をもたせるはずが、誰だかわかっていませんが、一番元となるの「トイ・ストーリー2」ファイルに対して全消去コマンドを入力してしまったのです!


幸運にもその時、ピクサーのシステム技術員長であったオーエン・ジェイコブが「トイ・ストーリー2」ファイルを閲覧していたのです。

すると次々と中に入っているはずのファイルが消えていくではありませんか。

そして何もいなくなったのです・・・。

異変に気づいたオーエンはすぐに事態を会社内に連絡し、マスターコンピューターでの全作業を停止させ、再起動を行うのでした。

バックアップ作業へ

メインコンピューターを再起動させても消えたデータは戻りませんでした。

「トイ・ストーリー2」のデータは完全に消えてしまったのです。

とはいえ、もちろんコンピューターで作業をする人には常識の、常々バックアップをとっておくことの重要さをピクサー制作陣もきちんと理解していました。

そのバックアップデータをコンピューターに入れ直せば、元通りになるはずです。

が、その当時、バックアップのためにデータを入れておく物というと、磁気テープのVNSカセット、そう、ビデオカセットテープだったのです。

今からでは考えられないかもしれませんし、その存在を知らない世代の人も多いと思いますが、このような一つのカセットテープにおおよそ4ギガのデータが収納できるのでした。

しかも「トイ・ストーリー2」の全データ量はなんとわずか10ギガ。

カセットテープ3本にも満たない量でしたので、バックアップは時間の問題と思われていたのです


ところが、実際にバックアップ作業を開始してみると、思わぬ不具合が発生してしまいます。

バックアップデータをテープにコピーしている最中、テープの容量が満タンになると警告信号が出て、新しいテープに変更するように告げるシステムが構築されていましたが、この警告信号システムがきちんと作動していなかったのです。

理由はおそらく警告信号システムはテープの容量がなくなる寸前で作動するはずが、システム自体の容量が限りなくゼロに近い、微々たるものであったため、テープの容量いっぱいまでデータを詰め込んでしまい、それによってシステムが作動するだけの容量がなくて警告信号を発せなかったのだと思われます。

詳しい技術的なことは、正直、僕にはわかりませんが、とにかくバックアップテープにはデータが詰め込まれていき、それは容量が一杯になってもどんどんと続けられる結果になりました。

それで実際に出来上がったバックアップデータのテープには、容量が一杯になってからも更にデータが転送されてくるため、最初に入れたデータを消去して新しいデータを保存していくという事が起こっていたのです。

つまり、最新の「トイ・ストーリー2」のデータは残っているものの、初期の段階で完成させたデータはところどころが虫食いのように失われていることが判明したのでした。

しかも更に悪いことに、実際にどのデータが失われているか、どのデータが残っているのかも、その段階でははっきりわからず、それを調べるだけでもとんでもない時間がかかることがわかったのです。

結論から言うとバックアップデータはバックアップの用をなさず、「トイ・ストーリー2」は完全に最初から作り直したほうが早いというレベルの壊滅的なダメージを受けていたのでした

もちろん、そんな事をした場合、予定されている公開日に間に合うはずもなく、公開予定日を守れなかったというスキャンダルは、ピクサーの信用を地に落として再起不能にするほどのインパクトのある重大なものだったのです。

トイ・ストーリー2の復活

現実には「トイ・ストーリー2」は予定通り劇場公開され、全作に続いて大ヒットを記録。
「トイ・ストーリーシリーズ」をピクサーの代表的なシリーズ作品の一つとなっています。

では、ほとんど完全に破壊されたトイ・ストーリー2のデータはどのようにして復活したのでしょうか?

その鍵となる人物は「ゲイリン・サスマン」。

彼女はピクサーのスタッフとして「トイ・ストーリー2」の作成に携わっていました。

と、同時に妊娠もしており、この事件が起こる前に妊娠休暇に入っていたのです。

そして休暇中に家で作業を継続させることができるよう、「トイ・ストーリー2」の全データを自身の家のコンピューターにコピーして所持していたのでした。


おそらくピクサーの会社では最重要会議が行われていた事でしょう。
ピクサーの幹部が一堂に会し、自体の収拾に知恵を絞っていたはずです。

が、雰囲気は決していいものではなく、ほとんど「積んだ」状態からなんとか抜け出せる方法はないか、沈黙の会議室の中で皆が重苦しい圧力に押しつぶされそうになっていたのではないでしょうか?

そんなとき、ゲイリン・サスマンが自宅のコンピューターに「トイ・ストーリー2」のデータをコピーしてことを思い出します

皆、一斉に動き出し、すぐさまゲイリン・サスマンとオーエン・ジェイコブは急いでゲイリンの自宅へコンピューターを取りに戻りました。

厳重な警護と、過度とも言える安全運転の末、コンピューターをピクサーに持ち帰って立ち上げた結果、、、

「トイ・ストーリー2」は復活を果たすのでした!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

トイ・ストーリー4の最初に登場した隠しメッセージRMR F97

このメッセージの背後には、実はピクサーの歴史、そしてアニメーション映画の歴史を変えかねないとてつもない事件が隠されていたのでした。

この事件をなんとか乗り越えたピクサーのその後の活躍は、皆さんがご存知のとおり。

トイ・ストーリーシリーズも、今回で4作目を向かえ、しかもさらに新しい冒険が続きそうな終わり方をしています。

今後のピクサーの作品が楽しみですね。


にしても、コンピューターの作業ではバックアップは本当に大切ですね。

できるだけ、こまめに常にするような習慣を身に着けておくべきだと思いました。

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