映画「ハクソー・リッジ」は太平洋戦争の沖縄戦で従軍した衛生兵、デズモンドの実話を
元に制作された作品です。
敵を一人も殺すことなく、70名以上の負傷者を助け、名誉勲章を受章するまでになった
お話は、殺伐とした戦争の中でとても感動的でした。
が、そんな感動的な映画の中で幾つかの映像ミスと時代考証間違いが見つかっています
ので、ばらして興ざめさせてしまうのもどうかとは思いますが、紹介したいと思います。
関連記事: 映画ハクソーリッジのネタバレ感想とあらすじ!激戦地となった場所は沖縄のどこ?
1番目から4番目まで
その1 父ちゃん、行ってきた戦争は1つ目?2つ目?
信仰を貫いて上司の命令を聞かず、軍法会議にかけられた主人公デズモンド。
そんな彼を救ったのは第一次世界大戦の帰還兵で、その大戦で精神的にダメージを受けて
しまった父親のトムでした。
従軍していた時の制服に、授与した勲章までつけて、軍法会議にのりこんできたのですが、
トムの制服は第2次大戦中の陸軍制服。
父ちゃん、せっかくの見せ場が台無し。
その2 新型戦艦参戦!
デズモンドの部隊が沖縄戦線に投入され、前線へ移動していく最中の一コマで、背後に
広がる海にはアイオワ級戦艦を中心とした揚陸艦部隊が展開しています。
が、映画で扱われた「ハクソーリッジの戦い」が行われた時期に4隻あったアイオワ級
戦艦は沖縄戦線に来ていませんでした。
しかも映画内で映っているアイオワ級戦艦の艦影は1980年代のものです。
その3 時代を先取りしたバッジをつける教官
デズモンドが軍隊に参加を決意し、訓練を受けることになる1942年。
その訓練期間中、ハウエル軍曹の帽子に部隊などを表すミリタリーバッジが輝いています。
が、このバッジ、1943年11月からしかつけられないはずのものでした。
軍曹のファッションセンスは時代を先取りしているのです。
その4 戦場でも身だしなみは重要です
昼間の激戦をくぐり抜け、一息つくデズモンド。
その手には恋人ドロシーから貰った聖書と彼女の写真があり、一時の静寂の中で平安を
感じるのでした。
それはいいんですが、日中の激戦で体中汚れてしまったはずですよね?
5番目から7番目まで
その5 トラックの中で居場所を変える死体
初めて沖縄の前線へ送り出されたデズモンドとその部隊。あまりの激戦に死体の山を積んだ
トラックが通り過ぎるのを、驚きとこれから起こるであろう恐怖に襲われながら見守る
のでした。
が、遠くから見えてた足、近づくにつれ、なくなっていませんか?
こっちは隠れていた顔が、
ひょっこり出てきています。
(注:衝撃的な画像のため、一部を編集してお届けしています)
その6 見送りにこたえるために
軍隊に入隊し、訓練のために基地へ移動するバスに乗り込むデズモンドとそれを見送りに
来たドロシー。
もちろん、見送り人がいるバスの右側に陣取って最後の別れを惜しんでいます。
あれ、移動中のバスではデズモンド、バスの左側に座っていますよ?移動させられたんでしょうか?
その7 そのままにしておくメリットは?
ハクソーリッジの崖にアメリカ軍が設置したネットのハシゴ。これを登ると激戦の
前線が広がります。
て、いうか、何度も撃退されていて頂上は未だ日本軍の制圧下にあるのに、このネット
どうやって設置したんでしょうか?
設置が可能だとしたとしても、なぜ、アメリカ軍を押し戻した日本軍はこのネット、切って
使えなくしてしまわないんでしょうか?
不思議です。
8番目から最後の10番目まで
その8 こんな作戦じゃ何度も撃退されるでしょ
死闘を繰り広げるアメリカ軍と日本軍。アメリカ軍の前進をトーチカが気付かれている
ので、そこを破壊しないと前へは進めません。
では、バズーカで破壊しましょう。
そしたらなんと、破壊されたトーチカに隠されていたような2つめのトーチカから機関銃で
攻撃してくるではありませんか。
そんな1つ目のトーチカが破壊されない限り使用できないようなトーチカ、なぜ作る必要が
あったのでしょうか?
そんな謎は置いておいて、このトーチカからの機関銃攻撃、かなり厄介です。これも
破壊する必要がありますね。
だからって、なぜ1つ目のようにバズーカで破壊せず、決死の兵隊に爆弾カバンを持たせて
近接して爆破する必要があるのでしょうか?
しかもまわりには味方からの迫撃砲攻撃の着弾があって、その一つの爆風で飛ばされた上に
気絶してしまうのですよ。
明らかに作戦、おかしいでしょ。
その9 弾の補充は必要なし?
アメリカ軍の主装備であるM-1ガーランドライフルの弾数は8発です。
でも、戦闘シーンで誰一人弾倉の変更をしているようには、見えないのですが。
ハウエル軍曹が使っているM3サブマシンガンを見てみましょう。
こちらの弾倉には30発の弾が入っていますが、映画のように連射すると実際には
どうなるのでしょうか?
1分間に400発から450発発射できる能力のあるこのサブマシンガン、30発のマガジンなら
4秒でカラにしてしまいます…。
その10 実は最新装備の日本兵
火炎放射器によるアメリカ軍の攻撃は穴の中に籠もる日本兵に対して非常に有効的でした。
ですから日本兵も21世紀の耐火手袋を装備して、それに対抗していたのです!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
あまり細かい時代考証をしなくても、映画というエンターテイメントにはそれほど
影響がないのかもしれません。
しかし、細かく見てみると10項目ものおかしなところが見つかってしまいました。
皆さんは、さらに見つけることができますか? 見つけたらぜひお知らせください。
関連記事: 映画ハクソーリッジのネタバレ感想とあらすじ!激戦地となった場所は沖縄のどこ?
コメント
日本軍が主で使ってるのかアメリカ軍が主で使ってるのか作品中わかりませんが、小型ミサイルの様な物を底に一回衝撃を与えて投げるシーンがありますが、第二次世界大戦でドイツの手投げ彈として使っていたもので、この作品設定の時期には存在してない。
アメリカ軍が持つロケットランチャーも作品設定の時期では形が違う。
ブーツが作品設定時期のとは異なる。
他にも17箇所矛盾があるけど書ききれないのでこの辺で♪
錆びたヘルメットさん、コメント、ありがとうございます!
ミリタリー知識、すごく詳しいですね。楽しく拝見させていただきました。
残りの17個の矛盾も気になります。
僕も調べてみたいと思います。