映画「2分の1の魔法」は登場人物がすべてファンタジー上の生き物&モンスターという世界の物語です
そんなファンタジーな世界なのに魔法は忘れ去られており、我々現代人のように科学をベースにした文明を作り出して、生きています。
なかなかトリッキーで面白そうな設定の映画でありますが、その中でストーリーのキーキャラクターとして登場するのがマンティコアのコーリー。
マンティコアというモンスターはファンタジー系の小説や漫画、ゲームなどをたしなむ人には良く知られたモンスターですが、知られているのその姿かたちと攻撃方法などではないでしょうか。
そういう僕も、若いころにファンタジーゲームをたしなんだ人種でしたが、マンティコアの姿かたちは知っていても、世界のどのエリアが気全のモンスターなのか、ということははっきりと知りませんでした。
今回はそんなマンティコアの起源や歴史などの詳細を調べてみましたので、紹介していきたいと思います。
映画「2分の1の魔法」に登場するマンティコアのコーリー
映画「2分の1の魔法」に登場するマンティコアのコーリーはレストランオーナーとして自分のレストランを経営していました。
映画で見た感じではファミリーレストランっぽい路線で攻めているようです。
が、昔は冒険に出ていたアドベンチャーで、呪いを破る力を持つ魔剣をふるって、多くのクエストをクリアーしてきた凄腕のようです。
レストランの片隅にコーリーが征服したクエストに関する展示スペースがあるほど。
そんなバックグランドを知っていたバーリーが、父親を完全に蘇らせるために必要な「不死鳥の石」のありかを聞き出すために、二人が訪れることになります。
一方でマンティコアとしての標準的な姿かたちは、
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・ライオンの胴体
・老人のような顔
・しっぽがサソリもしくは複数(12本、24本など)のとげを持つ形
・とげを持っている場合は獲物めがけてそのとげを発射か可能
・コウモリのよう様な羽をもっていて飛行が可能
となっています。
僕が知ったマンティコアは「人間の顔である」とされていましたが、近年はライオン顔のマンティコアのイラストもよく見るようになっています。
僕が知る限り、話をしたり、魔法を使ったり、という知性を備えたマンティコアという設定のゲームは思いつきません。
が、ゲームによってはしゃべったり魔法を使えたりするマンティコアが、存在するとは思います。
とはいえ、映画「2分の1の魔法」の場合は、どんなモンスターも話すはもちろん、人間のように日常の生活を送っていますので、コーリーがレストランのオーナーになっていてもおかしくはないでしょう。
それよりも、続いてはゲームなどで有名なマンティコアについて、もともとどのエリアのモンスターなのか、どのようにして付いた名前なのか、姿かたちに移り変わりがあったのか、などについて解説していきます。
マンティコアの起源・イランなどのペルシア地方のモンスター
マンティコアの起源は実はアジアであったことを知って僕もびっくりしました。
紀元前5世紀から紀元前4世紀という大昔に、ペルシアやインドのことを記した歴史書の中でマンティコアについての記述がされているものがあり、このころにヨーロッパ世界に紹介されたもの、と考えられています。
マンティコアの名前の元ネタは「マン・イーター (Man Eater)」
マンティコアの名前の由来はペルシア語で「人を食らう生き物」を意味する「martiya khwar」の誤読からといわれています。
「マンティコア」の
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「マンティ」の部分が「人間」を現す言葉
「コア」の部分が「食する」を現す言葉
から誤読などによって変化していって最終的に英語読みとなる「マンティコア」という名前になったのです。
おそらくその途中では、言語から言語へ訳されるときに発音などが変化した時もあったでしょう。
何しろ想像できるだけで、ペルシア語、ギリシャ語、ラテン語、英語と言葉が4回も変わっています。
2500年ほどの歴史の中で、どんどん変化をしていったとしても不思議はないと思います。
もともとのマンティコアの姿かたちは「人面ライオン」
しかしこのころの歴史書に描かれているマンティコアの姿は「人面ライオン」です。
それもそのはずで、マンティコアが紹介された歴史書にも、
- ・人の顔
・鋭いしっぽ
を持つ人食いトラ
として紹介されていました。
そして人の顔といっても、口が耳まで裂けた顔に鋭い牙を持つ、とされていたのです。
その後、時代の流れとともに、
- マンドリルのような足を持つ
とか、鋭いしっぽが、
- サソリのしっぽ
にとってかわったり、
- 複数のとげが生えた尻尾で、そのとげを飛ばすことができる
という描写にかわっていったのでした。
とある書物には、
- 犬歯のような鋭い牙
あるいは、
- イノシシのような大きい牙
を持つ、という描写もあるほどです。
また、ヨーロッパに移ったことにより、アジアのトラよりもアフリカのライオンのほうが、地理的に親近感があることにもより、トラからライオン、それも雄ライオンの姿である、と変化していったのです。
ヨーロッパへ移った後の歴史解説などの詳細
さらに時が流れ、王家や騎士たちが活躍するヨーロッパ中世時代になってくると、そのマンティコア強さに人気が出て、紋章に登場するようになります。
ハリポタでおなじみのグリフィンとか、フェニックスやドラゴンと同じような部類に入っていったのでしょうね。
そして紋章として採用されたがために、よりカッコよさを求められたのでしょう、顔がライオンとして描かれるものも増えました。
ただし、絵画として残るマンティコアの姿を見てみると、翼を持つものよりも翼のない姿で描かれている姿のほうが目立ちます。
つまり、とある時代まで、マンティコアには翼はなく、空を飛べる、という認識はなかったようです。
が、キリスト教徒の結びつきによって、マンティコアなどのモンスターは悪魔と結び付けられて考えられるようになり、悪魔が持つコウモリの翼をもつ姿で描かれるようになります。
これがマンティコアが空を飛べるようになった理由で、映画でも空を飛んでいますね。
さらに時代が進み、17世紀に出版された書物の中で、マンティコアの姿かたちを説明するものが出てきました。
それによると、
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・ライオンのような体
・人の顔に鋭い牙
・サソリの尾
・赤毛の毛並み
が、マンティコアの姿である、とされています。
この場合の「赤毛」はヨーロッパ人のいう「赤毛」であり、「真紅」というよりは「茶髪」という色合いなのでしょう。
何はともあれ、17世紀にはこのようの描かれているほど、しっかりと姿かたちに共通認識がなされるようになっており、その時点でもまだ完全に、翼は持っている、という認識にはなっていないことが分かって面白いですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
マンティコアの歴史を調べてみると、かなり面白い事実が分かりますね。
もともとはペルシア地方の「人を捕食する生き物」という意味であったのが、ヨーロッパに伝わるころには「人面ライオン」となっており、「鋭いしっぽ」という描写説明が、ペルシア地方に生息すると考えられていたサソリと結びついて、いつしかサソリのしっぽを持つようになっていました。
そして「人を捕食する生き物」という意味であった現地語が、そのままモンスターの名前になってしまったというのが、名前の由来です。
ちなみに、年齢がバレそうですが、僕にはマンティコアといえばゲームブックの「ソーサリー・シリーズ」の1作目「魔法使いの丘」が思い出されます。
オリジナルの表紙にマンティコアが描かれていましたけど、かっこよかったなぁ、としみじみと思い出してしまいました。
今はそれほどゲームにも詳しくなくなってしまいましたが、もしかすると美少女化したマンティコアが登場するゲームなどもあるのでしょうね。
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