映画「スカイスクレイパー」は香港に建設された超高層ビルを舞台に繰り広げられるドウェイン・ジョンソン主演のアクション映画です。
楽しい映画です。
アクションもよかったですし、中だるみもなく、いい感じのストーリー展開で見られました。
ただ、それだけ、というか、あまり残らない感じの映画なんですよね。
例えばパクリとの噂のある「ダイ・ハード」。
あの映画は時々フッとまた見たくなってDVDを探すことがあるのですが、この「スカイスクレイパー」は見終わっても、また見たいな、という気になりませんでした。
つまらない、というのではなく、「結構良かったよ」という感想だけで、おそらくDVDがリリースしてもほしいと思うことはないさくひんなんだろうなと。
ネットフリックスで見かけたら、また見ようという気になるかもしれませんが、今の所、
すぐにまた見たいという気にはならない程度の面白さでした。
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予告動画はこちら
キャストの紹介
ウィル・ソーヤー: ドウェイン・ジョンソン
もとFBIの人質救出チームリーダー。10年前の事件で左足を無くし、FBIを引退してセキュリティ会社を経営している。
サラ・ソーヤー: ネーヴ・キャンベル
ウィルの妻。
ツァオ・ロン・ジー: チン・ハン
世界最高の高層ビル「パール」を建設した企業家。ウィルにビルのセキュリティチェックを依頼する。
コレス・ボータ:ローランド・ムーラー
「パール」に侵入し、火災を発生させ、ツァオの誘拐を企む。
シャア:ハンナ・クイリヴァン(クン・リン)
コレスの部下。別働隊を率いて「パール」のセキュリティシステムをコントロールする。
簡単なあらすじ
「ワイルド・スピード」シリーズや「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」などの大ヒット作で活躍する人気アクション俳優ドウェイン・ジョンソンが、高さ1000メートルを超える超高層ビルを舞台に、犯罪組織が巻き起こした火災から家族を救出するため孤軍奮闘する主人公を演じたアクション大作。
かつてFBIの人質救出部隊のリーダーとして活躍していたウィルは、ある事件で左脚が義足になる大怪我を負い辞職する。
それから10年を経た今は、愛する家族も得て、危機管理コンサルタントとして働いていた。
香港に建設された高さ3500フィート(1066メートル)の史上最大のビル「ザ・パール」の本格開業に向け、ビルのオーナーのジャオから安全管理のチェックを任されたウィルは、家族を伴ってザ・パールに滞在するが、ビルに隠されたある秘密を狙う犯罪組織もまた、ザ・パールに侵入しており……。
監督・脚本は、「セントラル・インテリジェンス」でもジョンソンとタッグを組んだローソン・マーシャル・サーバー。
引用「映画ドットコム:eiga.com/movie/88162/」
ネタバレ感想 1 ダイ・ハードとタワーインフェルノのパクリ?
映画の予告が公開されて以来、よく「ダイ・ハードのコピー?」と言われていたのは耳にしていました。
自分自身で予告を見たときには、そこまで「ダイ・ハード」に酷似しているという印象は持ちませんでしたが、映画本編をみて改めて考えると、シチュエーションは似通っていると思わざるを得ません。
ともに「巻き込まれ系」として事件に関わりますし、今回は子供もいるとはいえ、家族が人質になるところも似ています。
実際は、家族を火災から救出するという演出が前半のメインで、人質の奪回作戦は後半というか最後の方だけ、ですが、そこまで違いが際立っている感じがせず、結果、受けた印象も「人質になった家族の救出」となってしまっていました。
そういう意味では、違いを際立たせることに、成功したとは言えないのではないかと思うわけです。
僕自身「タワーインフェルノ」はまだ見ていないので、どうとも言えませんが、世間で言われている以上、印象的には似ているのでしょう。
「ダイ・ハード」に話を戻すと、ジョン・マクレーンが完全に「巻き込まれ」型で事件に首を突っ込む羽目になり、全くのバックグランドを知らない状態でのアクションかつ敵の狙いを観客と一緒に、徐々に知っていくという展開にワクワクしたものでした。
一方で「スカイスクレイパー」では敵の目的は不明なものの、ドゥエイン・ジョンソン演じるウィル・ソーヤーはセキュリティのプロフェッショナルとしてビルのことにかなり詳しい状態での参戦となります。
ウィルの立場が「ダイ・ハード」のジョンに比べて、内情をすでに知っているスタッフ観があるためか、何も知らない観客との一体感が薄い気がします。
またそんな立場にいるためか、ビルが超最新鋭であることの違いはありますが、ウィルがクリアしないといけないクエストの難易度が妙に高いのでは、とも感じました。
その分アクションはもっと手に汗握る、というものになりますが、そういうアクションをストーリーに入れる説得力はあるものの、やはり、観客との同じ目線というか、同じ立ち位置、というものは感じにくいように思いました。
あと、彼の左足が義足である必要があったのかは、少し謎です。
義足であったためにより手に汗握るシチュエーションとなったアクションは一箇所。
義足であったために、手詰まりにならず、話が進んだ箇所も一箇所。
義足であることがより強調された格闘シーンが一箇所。
ただし、もちろんそれでも勝ちますが。
実際に映画として見ることが出来たら、違いを感じるのかもしれませんが、ウィルが義足でなく、両足を持っていて映画の全編が進んだとしても、それほど変化はなかったのでは、と思ってしまいました。
ネタバレ感想 2 細かいツッコミは入れるべきではないかも、ですが
細かいツッコミになってしまうので、入れるべきではないかもしれませんが、
10年前の事件
ウィルが足を失い、後にサラと出会うことになる事件ですが、そこで2つ。
一つは家族を人質にとった父親が立てこもる台所に突入したシーン。
壁を爆破して特殊部隊が侵入します。
コンロのある角付近に背を向けて、爆発音から両手を頭の部分、おそらく耳を抑えて立っている父親。その背中に銃の照準であるレーザーポイントが当てられます。
次の瞬間、父親が振り向くとその両腕には息子が抱えられている。
絶対に無理です。
少なくとも背を向けている状態のとき、右手は完全に右耳を塞いでいました。
左手の位置は、はっきりとは見えていませんが、左肘は頭のレベルまで上がっています。
そんな両腕の位置で、スワット隊に見えないように、息子を抱きかかえていることは出来ません。
なぜ、背を向けて床にしゃがんでいるような体勢にしなかったのでしょうか?
それでもキツイかな?
そして2つ目は父親の爆発自殺。
どれだけの爆薬を抱えていたかははっきりしませんが、爆弾を体に巻きつけていたように見受けられました。
そして、爆発は屋外で起こるのと屋内で起こるのとでは破壊力が異なります。
限られた空間内で起こる爆発は、その反発力が壁などで跳ね返ってくるため、全く遮蔽物のない屋外で起こった場合よりも何倍も威力が増してしまうのです。
しかも、現場は台所。
鍋や包丁などの調理器具、そして食器などといった小道具が爆発によって飛び回ることになるので、現場にいる人間はまず助かりません。
左足を失って命が助かるとか、同僚のベンのようにやけどだけで済むなんてありえないのです。
香港に超高層ビルを
香港に超高層ビルを、と200階を超え、3500フィート(約1100メートル)に建てたわけですが、本当に大丈夫なのでしょうか?
香港は台湾の南岸とほぼ一緒の緯度に位置しており、まさに台風の通り道にあたっています。
先日の大阪を襲った台風21号の被害を考えると、もっと南に位置する香港なら、より大型の台風が上陸することも不思議ではありません。
そんな香港に超高層ビルを建設していいのか、と心配してしまうわけです。
一方で地震の心配は、それほどないようで、香港を震源とした地震はまず起きない、と言われています。
それは、香港は地震が起きやすい地震帯である環太平洋造山帯からズレているからなんですが、それでも東日本大震災のことを思い出すと、日本で起こった地震がもとで津波が襲うという可能性は、捨てきれないのではないでしょうか。
とはいえ、香港にはすでに多くの超高層ビルが建設されています。
というもの、東京都の半分くらいしかないエリアに730万人という人口を抱えているので、どうしても上に広がっていくしか、方法がないのですね。
100メートル以上のビルの数は2300棟を超え、世界の中でもダントツの数字です。
香港のビルとして一番高いのは484メートルの世界貿易センタービルですが、世界を見渡すと、高さの順位はトップテンに入っていません。
映画の超高層ビル「パール」は1100メートルということですので、この倍以上。
そんなモノ建ててどうするの?と思わなくもありませんが、今現在一番高い高層ビルはドバイにある、高さ828メートルのブルジェ・ハリファ。
そしておなくじ中東のクウェートで高さ1001メートルとなる高層ビル「ブルジュ・ムバーラク・アル=カビール」が建設中です。
この数字を見ていると映画の高さ1100メートルのパールも、非現実的ではないと思えてきます。
9/18 追加
香港に大型台風が直撃したら、超高層ビル破断丈夫なのか、と心配しましたが、実際に台風22号が上陸して大きな被害をもたらしたというニュースを見つけました。
先日、大阪を中心に大きな被害を出した台風21号よりも、更に強力な台風とのこと。
映像をみましたが、確かに大阪で撮影された、台風21号通過時の映像よりも更にひどいのではないか、というものばかりでした。
その映像はこちら。
さすがに、すでに建っている建物が崩落した、というような被害はなかったようなものの、多くの窓ガラスが割れている高層ビルを見ると、とんでもないな、と思います。
映画内の「パール」ではビルの高い位置で風力発電を行っている設定になっていますが、映像にあるような台風22号のような強風に耐えきれるだけの強度を持っているのか、心配になってしまいます。
地上管理室占拠の方法が乱暴すぎない?
「パール」の安全管理を行う地上施設がビルから離れた香港市内にあるのですが、コレスは自身の犯罪目的を全うするために、シャアに別働隊を率いさせて制圧をさせます。
10人前後の作業員が働いているコントロール室に侵入し、5人ほどの手下にマシンガンを乱射させて皆殺しにするのですが、彼ら作業員が立っている後ろにはいくつものコントロールパネルがあるのですよ。
ろくに狙いも定めずにマシンガンを乱射させてコントロールパネルやディバイスに傷一つつかないのは、あまりにご都合主義がひどくありませんか?
下手すりゃ、銃撃で破損したために、コントロールが効かなくなることもありえるというのに。
なんでも派手にやればいいってもんでもないと思うのですけど。
様子を見に行った警官たちに制圧される戦闘のプロたち
ウィルの活躍から無事「パール」から避難したサラ。
ビル内で犯人たちと遭遇したときの記憶から、彼らの逃走ルートを推理し、警察を説得して、怪しいと思われる場所を確認に行きます。
すると、案の定、敵の地上部隊が迎えの準備をしており、パトカーの接近に気がついて銃撃戦が開始されます。
ここで不思議なのは、確認に向かったパトカーは4台。しかもアジアらしく小型車で一台に大人4人乗れるくらいの大きさのもの。
つまり最大で15名の警官とサラという人選になります。
対して敵の地上部隊は画面から確認できるだけで7名程度。
人数差はほぼ倍ですが、警察官の所持している武器がハンドガンに対して、1/2の人数とはいえマシンガンの地上部隊。
しかも待ち構える形となり、警察官は乗り捨てた車を盾にするしかありません。
映画ではよく、車を建てに銃撃戦が繰り広げられますが、実際には銃弾はいとも簡単に車を貫通してしまうそうです。
ですので、警察官は全く役に立たないものを盾にして戦っているわけですね。
まぁ、これは映画全般に言えるお約束のご都合主義ですので、いいとして、指摘したいのは武器を含めた戦力差があまりに警察側に不利ではないかということです。
しかし10数分後には犯罪者全員を制圧完了。
いや、無理でしょ。反対に皆殺しにあいますよ。
ネタバレ感想 3 ドウェイン・ジョンソンの映画は飽食気味?
ドウェイン・ジョンソン主演映画といえば、今年に入って「ジュマンジ ウェルカムジャングル」や「ランペイジ 巨獣大乱闘」に続いて3作目となります。
そのせいもあってか、この「スカイスクレイパー」は北米での興行成績はそれほど大したことはありませんでした。
通常映画の新作は毎週金曜に公開され、実際には前日の木曜に本当の初公開が上映されます。
その木曜夜の興行収入が195万ドル(日本円で約2億1500万円)という結果に終わり、前作の「ランペイジ 巨獣大乱闘」の240万ドルを下回る結果となったという統計が出ていました。
そして公開初週末の収益も、当初は3200万ドルから4000万ドル(約35億円から約44億円)と予想していたものの、実際には2550万ドル(約28億円)と惨敗。
最終的には北米での興行収入は6745万ドル(約84億円)となりました。
制作費は1億2500万ドルから1億3000ドル(約137億円から143億円)でしたので、半分しか稼げていません。
数字的には大赤字となりますが、香港を舞台にしていることもあり、最初から北米での売上をそれほど最重要視していなかったようです。
というのも、中国での売上の行方が、昨今の映画興行成績には一番重要で、「スカイスクレイパー」も7/20に中国で公開されてから9/2までの集計で、なんと9845万ドル(約118億円)と1億ドルに届く勢い。
9/2までの全世界での興行成績が2億9355万ドル(約323億円)となっており、中国は全体の33.5%を稼ぎ出している計算になります。
ちなみに「ランペイジ 巨獣大乱闘」でも中国の売上が1億5600万ドル(約171億円)で、北米での売上9900万ドル(約11億円)より上回っており、全体の36.6%を稼ぎ出しています。
ということもあり、ドウェイン・ジョンソンも中国で熱心に映画のプロモーションをしたとのニュースが上がっていました。
商売の鉄則ではありますが、一番売上を期待できるお得意様に営業活動を集中するべし、で最近の映画を見ていると、かなり中国を意識した描写が入っているものに気づきます。
その中でも今年春に公開された「パシフィック・リム アップライジング」での中国と日本の扱いは、個人的に見ていて感じの良いものではないレベルだと感じました。
これを中国への妬み、という多少下劣な感情なのではないかと思ったりもしましたが、この先も映画を見ながら、同じ様な感情を持つ機会が増えるのではないか、と諦めています。
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