映画ファーストマンが公開され、人類で初めて月面を歩いたニール・アームストロングの栄光が再注目されています。
映画自体の評価も高く、大絶賛といったところですが、実際に映画を見てみるとニール・アームストロングの英雄物語とは全く違った話であることに、最初驚くと思います。
が、映画を見ていくうちに一人の人間として共感していくことでしょう。
ニール・アームストロング自身もそうですが、彼の家族は特に、アポロ計画に振り回された印象を受けました。
ニールは自分の夢を追いかけているからまだいいですが、特に妻のジャネットの苦悩は見ていて心配になってしまいます。
映画を見終わった後、いろいろと調べてみたのですが、案の定というか、ニールとジャネットは離婚していました。
思わず、その背景を知りたくなっていろいろと調べてみましたので、紹介したいと思います。
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月から帰ってきた後のニール・アームストロング
映画では月から戻ったニール・アームストロングは、数週間の隔離生活を送った後、ジャネットとガラス越しで再会し、終了します。
実際には身体に異常がないことがわかったのち、1ヶ月半に及ぶ凱旋ツアーをアメリカだけでなく全世界に向けて行ったのでした。
このツアーでニールを含むマイケル・コリンズ、バズ・オルドリンの3名の宇宙飛行士が日本にもやってきて銀座をパレードしています。
ニールは宇宙飛行士としては引退を表明し、二度と宇宙へいくことはありませんでした。
しかし世界初の月面歩行者という肩書は、彼を放っておくはずもなく、まず国防高等研究計画局の航空部門管理者協会副会長に就任します。
と言ってもその副会長職は1年とちょっとで辞任し、月面歩行から約2年後にはNASAすらも退官したのでした。
その後、シンシナティ大学で教鞭をとり、また母校であるインディアナ州のパデュー大学でも生徒に航空宇宙工学を教えていました。
ちなみにこのパデュー大学はニール・アームストロングだけでなく、計23名の宇宙飛行士が卒業しています。
彼らがこなしたスペースミッションの総数はなんと47回。
この数字は1981年以降に遂行されたミッションのうちの35%に当たります。
航空宇宙工学ではアメリカトップクラスのレベルを保ち、宇宙飛行士だけでなくエンジニアもNASAや他の機関で多数、活躍しています。
そんな大学で生徒に対して授業をしていましたが、他の有名大学では誘いがあっても断っていたようです。
その理由として、彼自身、航空宇宙工学の博士号は持っておらず、最終学歴が修士課程であったため、正式な博士ではないので他の教授との間に余計な摩擦を起こしたくなかったため、と言われています。
もちろんその著名な立場から政治家にならないかという打診も多く受けていましたが、それは全て断っています。
また後年、彼の名前や彼の偉業が無許可で使用されているという問題が多発します。
これらのことに対して何度となく裁判を起こして対処する以外にありませんでした。
さらに1990年代半ばという時代において、すでにニール・アームストロングのサインが高額で転売されているという問題が起きていることから、自筆のサインに対する依頼を一切断るようになってしまいました。
有名になるということは本当にいいことばかりではありませんね。
ジャネット・アームストロングの人物像とは
ジャネット・アームストロングは映画公開の直前、2018年の夏に死去されています。
それまで、特に脚本執筆の段階で監督のデイミアン・チャゼルや脚本担当のジョシュ・シンガーに協力して作品作りに関わっていました。
過去のジャネットへのインタビューを見てみると、かなり心の強い女性であったことが伺えます。
宇宙飛行士の妻たちの集まりである団体を作ったり、学生時代にシンクロナイズド・スイミングの選手だったこともあって、1964年にシンクロナイズド・スイミングチームを作ってコーチをしています。
1969年にニール・アームストロングが月へ向かう準備をしている最中にもシンクロナイズド・スイミングチームのコーチングは続けられていたほどでした。
インタビューでは「ニール・アームストロングに嫁いだけど、宇宙飛行士に嫁いだつもりはない。ニールが常々月に行きたいということは知っていたが、だからといってそのことで何かを変えるつもりはなかった。ニールは私にとって夫であり、二人の息子の父親であった。」とニールのこと、ニールとの結婚生活のことを語っていました。
だからこそニールが月面着陸と歩行を成功させ、無事に地球に帰還したことで世間が沸き立ち、メディアによって英雄の家族として追いかけ回されることになっても、カメラの前では笑顔を振りまいていましたが、実際はニールのこと、家族のことだけを心配していたのでしょう。
映画の中でもメディアや一般人のいないところでは、ただただ不安そうな表情でニールを心配していたように受け取れました。
おおよそ、夫の成功によって一躍セレブの立場になったことで舞い上がって、メディアでチャラチャラするような、性格ではなかったのでしょう。
二人が離婚をした理由を考察
そんな二人が最終的に離婚をしてしまったのは、なぜでしょうか?
宇宙飛行士を引退しても時の人として、またアメリカの英雄として注目され続けていたニールは、アメリカだけでなく世界中を飛び回る忙しい生活を送っていました。
それは当然、宇宙飛行士ニール・アームストロングを期待してのものです。
もちろん、アメリカですので、招かれた先にニールの妻として同行してもなんの不自然もありません。
しかしジャネットはほとんど同行することはなかったようです。
ニールが自分の夢である月への飛行を目指しているときに、ジャネットは自分のしたいことであったシンクロナイズド・スイミングチームのコーチをやめていない程でしたから、自分のしたいこと、したくないことの線引は明確に自分の中で決めていたのでしょう。
特に、ニールに同行した場合、ニールの妻としてよりも人類初の月面歩行をした宇宙飛行士の妻としか見られないでしょうから。
はっきりとした期間はわかりませんが、ニールとジャネットは最終的に離婚する前に、すでに別居状態であったようです。
長い結婚生活の末、特に子供が独立した後は、お互いにやりたいことが違う二人の人間となってしまっていたのでしょう。
そういう関係になった夫婦、というより大人の二人が一緒に住む必要はありませんし、一緒に住んでいないのであれば、夫婦という関係のままでいる必要もありません。
おそらく彼らの離婚は、泥沼に陥ることもなく、円満に進んだのではないか、と思うのでした。
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まとめ
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・ニールは宇宙飛行士を引退し、約2年後にはNASAも退官した。
・母校の大学で航空宇宙工学を教授として教えていた。
・公演などで世界各国を旅行して回っていた。
・ジャネットは自分のしたいことを情熱を持ってやっていた。
・成功した宇宙飛行士の妻として見られることを好まなかった。
・留守がちのニールについて回ることはなく、すれ違いの生活が続いていた。
これらの結果、最終的に二人は離婚に至ったと考えられます。
とはいえ、二人とも納得の上での離婚ではなかったか、と思われます。
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