ディズニーアニメの「美女と野獣」でディズニーヴィランズのガストン。
これまでのディズニーヴィランズとは、かなり異なったキャラクターとして作り出され、主人公のベルとともに、新しいディズニーキャラクターを確立させました。
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そんなガストンが映画に登場するシーンで持っていた狩猟用の銃。
銃口が大きく開き、ラッパのような形状をしている珍しい銃です。
このような銃が本当に存在したのでしょうか?
今回は、ガストンが持っていた銃について紹介していこうと思います。
「美女と野獣」のガストンの銃はラッパ銃
「美女と野獣」の原作は1740年にフランスで出版されました。
そのため、「美女と野獣」の時代背景も17世紀から18世紀半ばごろと考えられています。
ヨーロッパではもちろんそのころには、銃の開発が盛んにおこなわれ、いろいろなタイプの銃が、その使用目的や使用状況に合わせて誕生していました。
また、このころの銃はまだ、弾を銃口から装填する前装式のものしか存在していません。
そのため、ガストンの持つような銃口がラッパ状の通称「ラッパ銃」が開発されたのでした。
分類から言えば、マスケット銃、もしくはフリントロック銃になりますが、日本の火縄銃とそれほど大差のない構造の銃です。
厳密に言えばマスケット銃が発達した後年には、ライフリングという、銃砲の銃砲身内に施された螺旋状の溝を加えた銃が開発されます。
これは日本語では施条(しじょう)、あるいは腔綫(腔線)(こうせん)、もしくは腔施と呼ばれるものです。
この螺旋状の浅い溝により、銃身内で加速される弾丸に旋回運動を与え、ジャイロ効果によって弾軸の安定を図り、直進性を高める目的で用いられる技術を応用したものでした。
このライフリングの技術を使った銃の誕生は1849年ですので、「美女と野獣」のころにはまだ存在していません。
ですので、「美女と野獣」で登場する銃は、銃身の中身がつるつるで、前から弾を込める前装式。そして弾は今のような形ではなく丸い弾丸でした。
そして「ラッパ銃」と呼ばれたその形状は、この弾を前から込める前装式に大きく関係していたのです。
銃の普及とともにいろんなところで銃が使われるようになりましたが、前装式の弾込めは銃を使う上で大きなネックとなります。
特に馬上で行わないといけない騎兵であったり、船の上で使用する水兵であったりには、その安定しない状況は、弾込めをより一層難しいものにしたのです。
その問題点を解決するために登場したのが、このラッパ銃。
銃口を大きくすることで弾込めをしやすくしたのでした。
また、馬上や船上という限られた空間の中で使用しやすいように銃身が短くなっていったのも、特徴の一つです。
このころの銃は弾が四方八方に飛び散る散弾銃的な使い方をしていたため、銃口が大きくなることで、飛び散る範囲が広がる効果も期待されていたようです。
実際に10ヤード(約9.1メートル)の距離で実験をしたところ、通常の銃の散弾が53.3センチの広がりを見せたのに対し、ラッパ銃は96.5センチの散会が確認されたという記録があります。。
ガストンの時代にはラッパ銃は、日常的にも鳥を狩るために使用されていました。
そして馬上での移動が普通であったため、銃身は短めになっています。
しかし実際には、アニメに登場するような、本当にラッパのように大きい銃口の銃は存在せず、普通の銃よりも多少大きい、というのが正しいデザインのようです。
アニメとは言え、ガストンの銃の扱いがひどく危険な点
ところでガストンは銃の腕前も良く、たくさんの獲物をしとめているように描写されていましたが、銃の扱いはとんでもなく危ないものでした。
死人やけが人が出てもおかしくないその扱いを列挙しますと、
-
・いきなり町中で銃をぶっ放して鳥をしとめます。
・弾が込められているかどうかはわかりませんが、ベルを指し示すのに銃口を向けています。
・銃をそこらへんにほったらかしにして管理責任を果たしていません。
・他人に銃口を向けるだけでなく、自分の頭部にも向けています。
・酒場で人が群がる酒樽に向けて発砲しています。
とまぁ、これまで事故が起きなかったのが不思議なレベル。
ちなみに酒場でラッパ銃を4連射していますが、構造上、絶対に不可能です。
一度の発砲の度に弾込めをする必要がありますので、散弾して一度の発砲で4つの穴が開くことはあっても、弾込め無しで4連発は不可能です。
野獣襲撃に銃を持参しなかった理由
そんなガストンですが、野獣の襲撃にはラッパ銃をもっていきませんでした。
いったいなぜなのでしょうか?
考えられる理由はいくつかあります。
まず第一に武器として殺傷能力を十分に発揮させるには条件が厳しいこと。
ラッパ銃は射程が短いことが広く知られており、殺傷力を強めるためにはかなりの至近距離から撃たないといけません。
鳥などの小動物であれば問題ないでしょうが、毛皮をまとう人より大きい野獣相手では、その効果は薄くなってしまいます。
さらに、一度発砲した後、再度弾を装填するのに時間がかかり、その間無防備になる、という欠点もあります。
至近距離で使わないと効果がないうえ、さらに外した、もしくはダメージが少なかった、ということになれば、反撃を受ける可能性は高くなってしまうでしょう。
それであれば、弓のほうがまだ使い勝手が良いと思います。
射程距離も長いし、連射もラッパ銃よりはききます。
そういった判断があり、ガストンもラッパ銃を持たずに、弓で野獣をしとめようとしたのでしょう。
まとめ
「美女と野獣」でガストンが持ち歩いていた銃の総称は、見た目そのままに「ラッパ銃」といいます。
主に海上での戦闘に便利なように改良された銃で、陸地では馬上での使用に適しているとして鳥などの小動物を獲物とした狩猟用に使われていました。
ただしラッパ銃といいながら、「美女と野獣」のように本当にラッパ、それよりも大きな管楽器のような形をしていたのか、といわれると、あれは誇張が過ぎるといっていいでしょう。
画像を探してもこのような銃が見つかるだけで、意識して見ると銃口が大きいということに気が付く程度の外見なのです。
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