映画パイレーツオブカリビアン2でエリザベスのコンパスがジャックを指した理由を考察

ディズニー実写

映画「パイレーツオブカリビアン デッドマンズチェスト」の中でほしいもののありかを指し示すジャックのコンパスをエリザベスが持つシーンがありました。

そしてそんな中、エリザベスの手の中にあるコンパスが、ジャックを指し示すシーンが数度、ありました。

そんなコンパスを見てエリザベスはその考えを振り払うかのようにコンパスを振ったり、閉じたりしています。


はたして、なぜコンパスはジャックを指し示していたのでしょうか?

この点について、考察していきたいと思います。







映画「パイレーツオブカリビアン2」に登場するジャックのコンパス

映画「パイレーツオブカリビアン2 デッドマンズチェスト」だけでなく、「パイレーツオブカリビアン」シリーズを通して登場するコンパス。

ジャックの持ち物の中でも特に魔法の力を感じるこのコンパスは北を指し示す代わりに持ち主が本当に欲しいもののありかを指し示す力があるのでした。


ところが今回の映画の中では、ジャックが開いた手の中でコンパスの針がふらふらと指し示す方向を特定できない場面があります。

これはジャックが本当に欲しいものが何であるかわからない状態を表しているということで、本作から登場したティア・ダルマも、

「スパロウ船長が自分の欲しいものもわからないだなんて。」

とコメントしていました。

エリザベスがコンパスを持った理由

エリザベスがジャックのコンパスを持った理由は、ジャックに利用されたから、というのが一番正確なところでしょう。

ジャックとしてはデイヴィ・ジョーンズとの契約を保護にしたいことが最も望むものです。

しかしそのためには、デイヴィ・ジョーンズにジャックのいうことを承諾させる必要がありました。


その方法としてデイビー・ジョーンズの心臓がおさめられているデッドマンズ・チェストに目を付けたジャック。

そのチェストを開けるためのカギが、ジャックが一番欲しいものを手にするために必要なものということになります。

ですが、そのカギはフライング・ダッチマンの中にあり、手に入れるためにはデイヴィ・ジョーンズと対峙しなくてはなりません。


その事実に恐怖しているジャックにとってデイヴィ・ジョーンズと相対せずに済むことも、最も望むことの一つでもあったわけです。

ですので、コンパスがどこを指し示していいか決まらず、ふらふらとしていたのでした。


そんな時ジャックはエリザベスに出会います。

彼女はデイヴィ・ジョーンズのことは全く知らず、ただ一途にウィルに会いたい、と願っていました。

ジャックによってウィルの境遇を知り、彼を捕まえてフライング・ダッチマンに縛り付けているデイヴィ・ジョーンズをどうにかしたい、と考えます。

そしてジャックによってデッドマンズチェストのことを知り、これを手に入れればウィルを解放させることができると理解して、チェストの隠し場所を見つけたいと願うのでした。

これによってブラックパール号は行き先が決まり、ジャックも彼自身で決定しなくていい立場に甘えて、エリザベスのコンパスを持たせ続けます。

エリザベスがほしいものを指すコンパスの先はジャック?

ところが、エリザベスがコンパスを見ていると、時々コンパスがジャックを指し示すことに気が付きます。

そんなはずがない、と彼女自身、認めようとはしませんが、ジャックと時間を過ごしたことで、二人の間が微妙な距離感になってしまうのでした。


ちなみに「パイレーツオブカリビアン」シリーズの脚本を担当したテッド・エリオットとテリー・ロッシオが、DVDのコメンタリーの中で明らかにしていますが、脚本と書いた時点では二人は、互いの存在を気にしているものの、そのことを認めたくないという感情を持っているという設定があったそうです。

映画内ではカットされていますが、セリフの中でこのことを指摘する、「ジャックがおかしいのはエリザベスが原因かも…。」という直接的な表現もあったとのこと。


そんな裏設定があったことで、エリザベスが持っていたコンパスがジャックを指し示す場面が映画内で映し出されるシーンが出てきたと考えられるでしょう。

さらに二人のコメントでは、ジャックがコンパスを持っていた際に、コンパスがエリザベスを指し示していたという設定を付け加えていたそうです。

そして、ジャックはそのことに気が付いていながら、認めたくないという矛盾を抱えていたことが、ジャックがコンパスを持っていた時に鍼が定まらなかった原因である、とも話していました。

しかし、ただ単純な色恋の、興味本位の感情だけがコンパスがジャックを指し示した理由だったのでしょうか?

コンパスがジャックを指した理由の考察

エリザベスが持ったコンパスがジャックを指し示した理由をより詳しくみて、考察していきたいと思います。

エリザベスはジャックに魅かれ始めた?

エリザベスがジャックに魅かれ始めていて、その気持ちの表れとしてコンパスの針が彼を指し示した可能性はあると思います。

しかしエリザベスはウィルと結婚を控え、結婚式の日に投獄され、死刑の判決を下されていました。

そんな状況の女性が、ジャックに恋愛感情を持ち始めるでしょうか?


それは恋愛感情というよりは、これまで知っている男性とはまったくタイプの違うジャックという人間性に興味を持った、というレベルだと思います。

総督の娘として育てられてきた彼女の周りには貴族の男子はいても、海賊の船乗りはいなかったでしょう。

ウィルにひかれて結婚までしてしまう程ですから、貴族の男子よりも自由な市民や船乗りといった男性のほうに好意を寄せてしまう性格であったことが察せられます。


しかし先に述べたとおり、ウィルとの結婚を目前に控えて引き裂かれた現状を考えると、彼女が新らしい恋を始めてしまうという感覚を持ったことには、賛成しかねます。

しかも自分の今置かれたミッションを成功させられなかったら、愛する人を永遠に失う可能性がある、という状態でもあるわけですから。


となると、コンパスの針がジャックを指し示した理由はいったいなんであったのでしょうか?

エリザベスが本当に必要としているものとは

この時点でエリザベスが本当に必要としているものは何だったのでしょう?

それは、

    ウィルを取り戻すこと

です。


では、ウィルを取り戻すために、単純にウィルが今どこにいるのかがわかれば良かったのでしょうか?

答えは「否」です。

フライング・ダッチマンの居場所が分かったとしても、単純にウィルをブラックパール号に乗せ換えて終わり、というわけではありませんでした。


ウィルをフライング・ダッチマンから取り戻すには、デイヴィ・ジョーンズにウィルをあきらめさせなければなりません。

ところでこの時点でデイヴィ・ジョーンズが一番欲していたのはジャックに契約を履行させることでした。

つまり、ジャックをフライング・ダッチマンの船員として100年、こき使うこと。

それ以外のことは、彼の思い通りにならなかったとしてもそれほど、気にすることではありませんでした。

ウィルを船員として一生フライング・ダッチマンでこき使うことには、ジャックに対する執着に比べれば、どちらでも良かったわけです。


こうやって見てみると、エリザベスの取ってウィルを救い出す方法は、何もデッドマンズチェストを探し出し、中におさめられているデイヴィ・ジョーンズの心臓を手に入れて彼を脅したうえで、要求を飲ませるだけではありませんでした。

デイヴィ・ジョーンズが一番欲しているものを提供する代わりに、代償としてウィルを解放させる方法も、実行可能であったのです。


さらに未来のことについても考えてみましょう。

デイヴィ・ジョーンズを倒してウィルを助け出したとしても、二人の英国海軍および東インド会社から追われる立場は何も変わっていません。

ベケット卿は、ジャックのコンパスを持ち帰ることが二人の死罪を取り消す条件だと言っています。


ベケット卿の目的はデイヴィ・ジョーンズを自分の支配下に置き、7つの海を自分のものとすることにあったので、その目的をくじくためにデイヴィ・ジョーンズを抹殺することは、有効な手段ではありました。

しかしそれは、二人が幸せをつかむためには英国海軍、と東インド会社の艦隊と対決して勝利し、ベケット卿に命令を撤回させないといけないことを意味します。


もちろんディズニー映画としてヴィランの一人であるベケット卿をヒーロー達が倒すというストーリーは、絶対必要でしょう。

しかしこういう問題解決の方法もあると思います。

    1. ジャックをデイヴィ・ジョーンズに渡し、ウィルを解放させる。

    2. コンパスをベケット卿に届け、死刑命令を撤回させる。

    3. ベケット卿はコンパスを使ってデイヴィ・ジョーンズの心臓を探す。

    4. デイヴィ・ジョーンズは自身の身を守るためにベケット卿率いる艦隊対決する。

ベケット卿がコンパスを手に入れてもデッドマンズチェストを開けるカギは持っていませんので、デイヴィ・ジョーンズに命令することはできません。

とはいえ、自身の心臓の入ったデッドマンズチェストがベケット卿の手元にある状況は、デイヴィ・ジョーンズとしては、気が気ではないでしょう。

ですので、この二人の間で、どちらかが倒れるまで終わらない戦いが始まってしまうと考えられます。

が、ウィルとエリザベスがデイヴィ・ジョーンズとベケット卿との戦いに巻き込まれる可能性は低いと考えられます。

この両者の戦いを見越して、安全な場所に非難することも可能でしょう。


もちろん、ウィルとしてはフライング・ダッチマンにしばりつけられている父親を解放するという目的ができていましたが、コンパスがジャックを指し示した時点ではエリザベスにはそのことを知る由もありません。

つまり、エリザベスがウィルと平和な結婚生活を送るには、ジャックが必要であったわけです。

ジャックの犠牲の上で手に入れることができるものではありますが、コンパスはそこまで考慮に入れて、一番欲しているもののありかを指し示すわけではないでしょう。

コンパスは、エリザベスが一番望んでいるものを手に入れるために、デイヴィ・ジョーンズの心臓だけではなく、「ジャック・スパロウ」でも可能性はあるよ、ということを指し示すため、ジャックを指し示したのではないでしょうか。

まとめ

エリザベスがコンパスを手にしていた際に、コンパスの針がジャックを指し示した理由。

映画を担当した脚本家のテッド・エリオットとテリー・ロッシオは、エリザベスがジャックに、これまであったことのないタイプの男性として興味を持ち始めたことを表すために、このシーンを入れたことを明かしています。


しかし、深読みをしてみると、ジャックの身柄をデイヴィ・ジョーンズに、コンパスをベケット卿に渡すことで、ウィルとの平穏な結婚生活を送れるという事実から、ジャックを指し示していた可能性も出てきました。

もちろん、こちらの場合は、ディズニー映画にあるまじき、ヴィランズと戦わず、その後の世界の混乱に知らん顔する展開になるため、採用されるわけがないでしょう。

ただ、そのような都合を度外視し、ただエリザベスが望むウィルとの平和な結婚生活を実現させるためだけであれば、それを可能にするジャックという存在に対してコンパスの針が指し示していたことは、あながち間違いではない、と言えるのではないでしょうか。









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