映画アナと雪の女王2でダムを作った理由が納得できない!説明のない謎を考察してみた

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映画「アナと雪の女王2」ではアランデール王国の北にが広がる魔法の森とそこに住むノーサルドラの人々が、エルサの魔法の力の謎に大きく絡んでストーリーが進んでいきました。

エルサとアナの祖父に当たるルナード国王の過ちを知ることになった二人は、その過ちを正すことを選択します。

その結果、アレンデール王国が無くなってしまうことになるとしても。


その過ちとはルナード国王が築いたダムだったのですが、アナの活躍でダムは無事破壊され、エルサの活躍でアレンデール王国は無事、守られました。


が、よくよく考えてみるとこのダムが本当に必要だったのか、という疑問が湧いてきたのでした。

そこが気になってくると、映画の中でいくつか謎に思えるものがあることに気が付き、さらに納得のいく説明されていないことにも気づいたのです。


今回はそれらの謎を紹介し、その答えを考察してみたいと思います。









映画「アナと雪の女王2」でダムが作られた理由



映画「アナと雪の女王2」でルナード国王によって魔法の森にダムが作られたのは、表向きはノーサルドラの人々への平和を象徴する贈り物としてでした。

が、実際には精霊の力を借りて魔法を操るノーサルドラの人々に脅威を感じたルナード国王が、ダムを作ることで精霊たちの力を弱めることが本当の目的であったことが作品内で語られます。

実際、ダムの完成を祝うアレンデール王国とノーサルドラの人々との式典の前に、ノーサルドラの長がルナード国王にダムのせいで精霊の力が弱まってきていることについて苦情を言っているシーンも映し出されました。


つまりは、ルナード国王のもくろんだ真の狙いが、ダムを建設したことによって、うまく効果を発揮しだしていることが読み取れます。

魔法の森にダムを築いた理由は、

    魔法の森の精霊達の力を弱め、ノーサルドラの人々が魔法を使えないようにするため

ということでした。

説明のない謎の数々



ところがわざわざダムを建設し、見事に作り終えた後、ルナード国王はなぜそんなことをしたのか、と首を傾げてしまう行動に撃って出ます。

しかもそれによって魔法の森は通り抜けできない霧に囲まれてしまうことになるのでした。

ルナード国王がダムを作った目的



ルナード国王がダムを作った目的は先にまとめたように、

    魔法の森の精霊達の力を弱め、ノーサルドラの人々が魔法を使えないようにするため

という理由からです。


であるならなぜ、ダムを作り終えた後、ルナード国王はノーサルドラの人々をだまし討ちするような命令を出したのでしょうか?

すでにノーサルドラの長は、ルナード国王に精霊の力が弱まっていることを伝えています。

つまりダム建設の効果は表れている、ということになります。

そのまま時間をかければ、さらに精霊の力は弱まり、やがて消滅するかもしれません。

何になぜルナード国王は不意打ちでノーサルドラの長を亡き者にしたのでしょう?


もし、だまし討ちや不意打ちでノーサルドラを攻撃すると初めから決めていたのであれば、ダムを建設する必要はなかったことになります。

ダムの規模を見てみると、ちょっとやそっとで建設できるような代物ではありません。
時間もかかったでしょうし、建設のために必要な物資やマンパワーも膨大なものだったに違いありません。

そしてダムは平和の象徴としてアレンデールからノーサルドラへ贈られたものですので、ノーサルドラ側からは一切の出費はなかったと考えるのが普通でしょう。


ダムができてから不意打ちをするのであれば、ダムができる前に不意打ちをしてノーサルドラの人々を消滅させてしまったほうが、無駄がなかったと思わざるをえません。


考えようによってはノーサルドラの人々を消滅させたとしても魔法の森が存在したままでは魔法の力はなくなっておらず、ノーサルドラの人々に代わる誰かが住み着いて魔法を操れるようになってしまう、と懸念はゼロではありませんが。


しかしそうであってもわざわざダムを築かずに、ノーサルドラの人々を消滅させてから、もしくは消滅させる一環として魔法の森も焼き払ってしまうという手があったと思います。

こちらのほうが、ダムを建設するよりもはるかに少ないコストで目的を達成させることができるでしょう。


どうしてもダムを建設しなくてはいけない理由がほかにあったのかもしれません。

それこそ治水対策としてダムを作らないとアレンデール王国に危険が迫る可能性が高い、という場合などです。


が、フィヨルドという地形に位置するアレンデール王国が洪水で被害を受けるということは考えにくいと思います。

なにしろフィヨルドは日本語訳すれば峡湾、つまり海水であり、川ではありません。

いくら大雨で大量の水が流れ込んだとしてもそれは海に流れ込むので海面が上昇することはまずないでしょう。


逆にダムを作って水を貯め、それを破壊して鉄砲水現象を起こしたほうが、アレンデール王国のようなフィヨルドの入り口付近に位置する場所には、壊滅的なダメージが期待できます。

まさに映画のように。


こう考えるとルナード国王がダムを建設した理由が謎すぎます

もともとの策略のために作り、それがうまく機能しつつあるにもかかわらず、ダムを建設した意味が全くないものとなる行動を決断したルナード国王が無能だった、ということしか説明が付きません。

しかもルナード国王が無能であることをもっと決定づけるのは、不意打ちでノーサルドラの人々を襲ったにもかかわらず、反撃を受け、自分自身は戦死したことです

一体何がしたかったのか…。

あまりに感情的で計画性がなく、個人の疑心暗鬼から国の行く末を危険にさらした、全くの愚かな王様としか、評価できません。

ノーサルドラが霧に閉じ込められたきっかけ



さらに不思議なのは、魔法の森が霧に覆われ、ノーサルドラの人々が閉じ込められてしまったきっかけです。

映画の描写を見てみると、アレンデール王国側がノーサルドラの人々に不意打ちを仕掛け、森の中で戦争が起こったことで霧が発生したようです。

となると、アレンデールの不意打ちに怒った森が、霧を発生させたと考えられます。


ところが、この霧はアナがダムを破壊したことで晴れました。

となると、ダムの存在が精霊を怒らせて霧を作り出した、とも見て取れます。


さらにこの霧に関しての疑問は、精霊たちのと関係ではないでしょうか。

霧によって精霊たちも森の外に出られなくなっているのでしょうか?

それとも精霊たちは森から出る気はなく、外からの侵入者を締め出したいがために霧を作り出したのでしょうか?

実際、森の外からアレンデールの人々がやってきて、その結果ノーサルドラの人々と争いを始めたわけですので、森にすむ精霊たちがこれ以上、外から誰も来てほしくない、として霧を発生させた、という流れのほうが、説得力がありそうです


が、そうなると、ダムを破壊したことで霧が晴れたのはどう説明すればいいのでしょうか?

ルナード国王が築いたダムは、魔法の森を破壊するためのものであり、外からの侵入者が魔法の森に対して持っている悪意そのものです。

ですから、それを破壊するという行為は、魔法の森に対する謝罪の第一歩であるとみていいでしょう。

しかし魔法の森にしてみれば、その中の精霊の力を弱めるダムが無くなったからといって外からやってくる人々に無条件でウエルカムというわけにはならないでしょう。

話は聞くけど、基本的には疑ってかかるという態度であっても、その心情は理解できると思います。


何はともあれ、魔法の森を閉ざすために覆っていた霧が何を理由に発生したのか、その設定が漠然としたものになってしまっていて、明確に決められていたのではないのでは、と思わざるを得ませんでした。

ダムが映画「アナと雪の女王2」のストーリーに含まれた本当の理由



映画「アナと雪の女王2」でダムがストーリーのキーアイテムになっている本当の理由は、今はやりの「ポリティカル・コレクトネス」ではないか、と思われます

というのも、前作の「アナと雪の女王」でノルウェーをモデルにした世界観を作り上げ、特にクリストフがノルウェーの先住民族であるサーミ人の衣裳を着て、さらに音楽もサーミ人の伝統音楽からヒントを得たものを使っていたにもかかわらず、サーミ人に当たるキャラクターが全く登場していないことにたいして、苦情が出たという経緯があったからです。


そのため「アナと雪の女王2」ではサーミ人の文化や伝統をより正確に作品内に反映させるために、サーミ議会やサーミ評議会とディズニーは契約を結び、専門家の監修のもと、ノーサルドラの人々を描いていったのでした。


そしてダムに関しても1970年代にサーミの人々が住む地域で持ち上がったダム建設問題が大きく影響をしているといって間違いはないでしょう。

計画では、サーミ人にとってとても大切なトナカイの生活環境へ多大な影響を与え、またサーミ人の村がダム湖の底に沈むという問題があったことから、サーミ人による反対運動がおこりました。

そしてダム計画の反対運動は、少数民族として虐げられてきたサーミ人の迫害の歴史に対する機運と混ざり合い、マスコミを通じて世界中に伝えられ、フォーカスされるようになったのでした。


その結果、ダムは建設されたもののこの反対運動によってサーミ人の権利は大きく見直されることとなり、ノルウェー政府によってサーミ人の土地が保障され、サーミ人の言語や文化の保存にも協力的になっていくのでした。


つまりこのダム建設反対運動は、ダムの建設はなされたものの、それまで虐げられてきていたサーミ人が、自身のアイデンティティをはっきりと意識して国を相手に協力して戦い、その後のサーミ人たちの立場をより良いものにしていったものとして記憶されているのです。


そんなサーミ人にとっても大きな転換点となる事件であっただけに、「アナと雪の女王2」でも現実世界でおこった出来事をストーリーに加えることになったのでしょう。

考察のまとめ



「アナと雪の女王2」でルナード国王によってダムが作られた理由は、明確な目的があったものの、その後のルナード国王の疑心暗鬼からくる感情的な決断によってダムが作られた意義がなくなってしまったのでした。

さらにその決断によって戦闘が開始され、不意打ちができたにもかかわらず、大した戦果を挙げられなかったばかりか、ルナード国王自身は戦死してしまうという完全な失策をしてしまったわけで、悪役な上にとても間抜けな国王として描かれてしまっています。


そしてダムがストーリーのキーアイテムとして使われている理由は、ノーサルドラの人々のモデルとなったサーミ人が、彼らの土地や文化、言語を守っていくためにとても重要な運動となったダム建設反対運動をしたという歴史的事実からヒントを受け、映画に取り入れたのだと思われます。


ただ、全体的にみると、主題であるエルサの魔法の秘密とうまく絡めることができなかったという印象を受けました。

エルサの魔法とダムの意味と破壊がそれぞれ独立した話として進んでいったように感じてしまい、映画のストーリーとしてまとまりがなかったように感じてしまったのでした。

関連記事:映画アナと雪の女王2で登場したノーサルドラのモデルはサーミ人

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