映画アナと雪の女王でハンスがいつからアレンデール国王の地位を狙っていたのかを考察

ディズニーアニメ

映画「アナと雪の女王」のディズニーヴィランズはサザンアイルズ王国の王子であるハンス・ウェスターガードでした。

これまでのディズニーアニメとは異なって、映画の後半にならないと正体を現さないという今までとは異なるディズニーヴィランズでしたので、その意外性には多くの人が驚かされたのではないでしょうか?


しかし今一度映画を見直してみると、ハンスがいつからアレンデール国王の地位を狙っているディズニーヴィランズであったのか、判断が付きにくいと思わざるを得ませんでした

そして、ハンスは本当のディズニーヴィランズではなかったのでは、という考えが生まれたのです。

では、本当のディズニーヴィランズは誰で、ハンスはいつ、その人物によってアレンデール国王の地位を狙うように仕向けられたのでしょうか?


今回はこの疑問について、考察していきたいと思います。









映画「アナと雪の女王」でハンスがディズニーヴィランズであることのおさらい



いまさら映画「アナと雪の女王」でハンスがディズニーヴィランズであることを知らない人はいないでしょう。

アランデール王国へエルサの戴冠式に招待されたことでサザンアイルズ王国から訪れた王位継承権13位の王子です。


ここでふと気になったのですが、サザンアイルズ王国とアランデール王国との関係はそれほど親密ではないのではないか?、ということでした。

エルサの戴冠式は、新しいアランデール王国の君主の誕生というとても重要な式典です。
そこに王位継承権13位という人物が国の代表として参加しているのは、とても失礼に当たるのではないでしょうか。

本来であれば、サザンアイルズ王国国王と王妃が出席すべきですし、それがかなわなければ次期国王という立場の王位継承権代位1位皇太子が参加すべきでしょう。


2019年に平成天皇が退位され、令和天皇が即位された際の式典に国のトップではなく王位継承権13位の人物がやってきた、となれば、このことがどれほど失礼なのかが想像つきやすいと思います。

アニメの中の話とはいえ、これこそ実際にはあり得ないストーリーで、もしかすると特別な理由があったのでは、と思いました。


閑話休題


何はともあれアランデール王国を訪れたハンスは、自分の国では絶対に王位につけないであろう立場であったため、別の王国のプリンセスと結婚することで、その国のトップに上り詰めることを画策します。

そんな企みを持つハンスにとってアランデール王国の状況はまさにおあつらえ向きだったのでした。


こうしてハンスはアランデール王国の国王となるために、アナと結婚し、エルサを亡き者とした後、アナも後追い自殺に見せかけるという計画を心の中に温め始めます。


そしていよいよエルサとアナを亡き者にできると確信した時、自らの計画をアナに話すのでした。




ハンスというキャラクターの設定裏話



ハンスというキャラクターが「アナと雪の女王」のディズニーヴィランズであり、実はキャラクター設定の際にそう決められて作成されてことが、監督のジェニファー・リーによってインタビューで語られていたのでした。

そのインタビューでの回答によると、

「アナと雪の女王」の原作である「雪の女王」で登場する魔法の鏡。
この鏡が物語の元凶になっています。

そこでディズニーヴィランズであるハンスには、この鏡をイメージしたキャラクター設定を行いました。

つまり、彼は「鏡のように周囲の人物の心象を写し出して行動している」のです。



ということです。

実際にハンスが登場するそれぞれの場面でどのような表情をし、行動しているか、こちらの記事で詳しく解説していますので、興味のある方は参考にしてみてください。


関連記事:アナと雪の女王のディズニーヴィランズ・ハンスは原作の鏡を象徴している

ハンスはいつからアレンデール国王の地位を狙っていたのか?



一見すると、ハンスの狙いは完璧で、アランデール王国を訪れる前からこの邪悪な企みは考えこまれていたように思われます。

ハンスの立場になって考えたら、どの王国の今現在の状況であれば、より簡単に自身の野望が現実のものになるのかをシミュレートしていたに違いありません

行き当たりばったりに出かけていった先の王国で、運良く自分の企みに見合うような状況になっていることを期待していたのであれば、偶然アレンデール王国にやってきて、訪れた先でアナと、これまた偶然知り合ったことになるわけですが、そんな幸運に巡り合えるのは限りなくゼロに近いといえるでしょう。

というわけで、ハンスは王位継承権のある皇女と結婚し、その皇女が女王になった際に自身も国王になるという企みを、自国にいるときから計画し、近隣のどの王国がこの計画に一番都合がよい状況にあるのかを調べていたと考えるほうが自然ではないか、という考えに行きつくのでした。

本当に王国乗っ取りを企画していたのか?



ところが実際に映画を見ると、ハンスの登場シーンから自分自身の計画をアナに明かすまでの彼の行動がわかるわけですが、本当に王国乗っ取りを計画していたのか、と思えてなりません。

そこまで完璧な演技をしていた、といってしまえば、それまでですが、ハンスの表情や行動には王国乗っ取りを本当に考えていたのか、疑ってしまうものが多いといわざるを得ないのです。


まず、最初のシーンは、ハンスとアナが初めて出会ったシーン。

アナが戴冠式に遅れるといって、ハンスの元を離れ、ハンスは海に落ちてしまい、ずぶぬれになりながら、微笑みを浮かべてアナを見送ります。





このハンスの微笑みを見て、誰も長年温めていた計画をついに実行に移す時が来た、と心の中でほくそ笑んでると感じた人はいないでしょう


さらに戴冠式の後でのハンスとアナの「とびらを開けて」での一連のダンスシーン。

ミュージカルアニメーションである「アナと雪の女王」では、たとえ初対面のキャラクターでもあれくらい息の合ったダンスはして当然、といってしまえばそれまでですが、ほぼ初対面であれだけのダンスを二人で繰り広げ、まるで昔から知っているように息が合っていて、気心も知れているような演出であれば、本当に、

    運命の二人

と信じてしまっても仕方ありません。


最後はハンスがアナを救出するためにノースマウンテンに向かい、氷の城でエルサと対峙したシーン。

すでにウェーゼルトン侯爵の手下二人がエルサのもとにたどり着いており、エルサを亡き者にしようとします。

が、魔法の力を使うエルサによって、逆に返り討ちにあいそうになっていました。


そこでハンスは怒りに我を忘れているエルサに正気に戻るように声をかけます。



その声に我に返ったエルサの一瞬のスキを突き、ウェーゼルトン侯爵の手下の一人が手に持ったボウガンをエルサに向けて放とうと身構えるのでした。

が、それに気が付いたハンスがその手下に駆け寄り、ボウガンの狙いをエルサから外し、エルサの命を助けたのです!


エルサを亡き者にして王国乗っ取りを企むハンスがエルサを助けた!



よくよくこのシーンを考えると、おかしいと思いませんか?

王国乗っ取りを企てていたハンスにとって、アレンデール王国を乗っ取るための条件には、

    ・アナと結婚すること。
    ・エルサを亡き者にしてアナが女王となること。

の二つが必要不可欠です。

そしてその順番は、ハンスは「アナと結婚すること」が最初でないといけないと信じていたようですが、全く持ってどちらが先でも問題はありませんでした。

つまり、このシーンで、エルサがボウガンの凶弾に倒れ、帰らぬ人となったとしてもハンスとしては何も問題はないばかりか、後々彼自身が事故に見せかけてエルサを手にかけなければならない手間がなくなるという、とても好都合な状況になったはずなのです。


この時点でエルサが死んでしまったら、アレンデール王国を覆いつくしている冬が終わらないかもしれないから、という理由で、この時は助けた、と考えられるかもしれません。

が、後にハンスが本当にエルサを手にかけようとした時点では、エルサによって呼び出された冬は終わっていませんでした。





このことから冬を終わらせるためにエルサを助けた、という理由は説得力がなくなります。


何にしてもハンスはこの氷の城の時点では「エルサの命を救っている」という事実ができあがっています。

この「ハンスがエルサを助けた」という行動は、

    ハンスが王国乗っ取りを企てているとした場合には、完全に矛盾する行動である

ということになるのでした。

本物のディズニーヴィランズはトロール?



このように、映画の中でハンスの取っている行動を見ていると、始めからアレンデール王国を乗っ取ろうとしていたわけではないのでは、という結論に落ち着いてしまうのです。

では、ハンスはどうしてアナに嘘をつき、王国の乗っ取り計画をペラペラと話してしまったのでしょう?


ここで考えられるのは、何者かによってそのように仕向けられたのではないか?ということです。

しかし本当に、ハンスの意思に反し、彼にそのような行動を起こさせることのできる存在はいるのでしょうか?


実は映画の中にはいたのです。

そんなことのできる唯一の存在はトロール!

トロールによってハンスは利用されたと考えるとつじつまが合ってしまうのです!

人間の常識を超えた存在



映画の中ではアナを助けるシーンで登場したトロール。

その行為から人間的で、親切な生き物だと感じた人も多いと思います。


が、トロールは人間ではありません。
ですので人間が普通に持っている一般常識というものも持ち合わせていないと考えられます。


その疑惑を一番大きくしているのがクリストフです。

クリストフは幼いころに両親を亡くし、スヴェンと二人きりで生きてきた、と証言しています。

が、実際には男たちと混じって山の上へ出向き、凍った池の氷をブロックにして街に運ぶという仕事を幼いころからしていました。


大の大人に混じって子供のクリストフが危険な採氷の仕事をしていたわけですから、一緒にいた大人たちはクリストフのことを全く気にかけていないわけはないと思います。

親代わりのような人物もいたと考えるの普通でしょうし、少なくとも仕事を教える人物がいたに違いありません。


そんなクリストフとスヴェンはある日トロールたちと出会います。

そこでトロールのバルダはクリストフとスヴェンを見て、2人を引き取ると宣言しています


おそらくそれ以来、クリストフはトロールと一緒に過ごすことになったようですが、この時、バルダは、クリストフが孤児であることを気にかけて「引き取る」宣言をしたようには思えませんでした。

どちらかといえば、野良猫を拾ったかのような、そんな軽さがあり、クリストフの事情については何ら無頓着であるように感じられたのです。

それこそ、拾った猫を野良猫と決めつけて自分のものにしてしまうような感じで、そこには全く悪意はないものの、もしかすると、というような思いには至らない、よく言えば無邪気さが感じ取れたのでした。


そしてトロールは魔法を使います。

その力はアナの記憶を書き換えたことで分かるように、他人の記憶に影響を与えるほどの強力なものです。

そのことを考えれば、クリストフのことをトロールが引き取った後、一緒に採氷していた大人たちがクリストフのことを、例えば、「ついこないだまで一緒に氷を取っていたあの少年はどこで暮らすようになったのか?」というような疑問を持たないように魔法を使った可能性があるといえるのではないでしょうか。

トロールたちはアナとクリストフを結婚させたがった



そんなトロールたちのもとにクリストフが訪れたのは傷付いたアナを助けるためでした。

が、トロールたちはクリストフの説明も聞かず、アナとクリストフを結婚させようとします





その一部始終を歌った歌「愛さえあれば」の中で、クリストフがアナに婚約者がいることを伝えても、

    婚約者と別れればそれでいい

と歌っている始末。


ちなみにオリジナルの英語版でのこの箇所は、

    「Get the fiance out of the way and the whole thing will be fixed.」

日本語訳をすれば、「婚約者を追い出せばすべてが完璧になる」となります。


そしてこの言葉がただの歌の歌詞ではなく、本当にトロールが実行したとしたら


つまりアナと親密な関係になっていたハンスを婚約者という立場から追い出し、クリストフと結婚できるように、トロールが魔法と使ったのではないか、ということになるわけなのです。

ハンスがアナに企みを話した理由



トロールの魔法によってハンスは王国を乗っ取ろうとしてアナに近づいたことを話してしまったのでしょう。


というのも、あの時点でハンスがアナに、王国乗っ取りのことを明かす必要がないからです。

王国乗っ取りの計画を話さず、アナとキスをしたとしてもアナの心を傷つけたエルサの魔法は解けることはありません。

なぜなら、この時点でハンスは王国乗っ取りが最重要事項であり、アナと愛によって結婚する気はないからです。

そんなハンスがあの時点でアナに自分の企みを明したのは、「百害あって一利なし」の行動であり、アレンデール王国に来る前から本当に王国乗っ取りを計画してやってきていたのであれば、してはいけない行為でしかありません。

それをあえてした、というのは、もともとハンスは王国乗っ取りを計画していたわけではなく、トロールの魔法によってアナとの仲を引き裂かれるため、と考えるほうが自然ではないでしょうか。

考察のまとめ


    ハンスがアレンデール王国の乗っ取りをいつから考えていたのか?

この問いに関して考えてみると、

    「アレンデール王国を訪れる前から計画していた悪事である」

という答えになりそうです。


が、映画内のハンスの表情や行動を見てみると、どうやらそうではない、と思わざるを得ないシーンがいくつも出てきてしまうのでした。


そしてそのことから、ハンスがもともとアレンデール王国の乗っ取りを考えていたのではないのでは、という仮説が浮かび上がってきます。

であれば、誰によってアナをだまして王国乗っ取りを実行しようとしていたのか、と考えると、一つの可能性も浮かび上がってきたのでした。

それはトロールたちの仕業

しかもその動機は、アナとクリストフを結婚させたいがために、邪魔なハンスをアナと仲たがいさせるため、というもの。


それによってハンスのその後の立場がどうなるか、といった思いやりは全く考慮せず、最も効果的に、そして確実にアナとハンスの仲を断ち切るために行った行為だったのでした。

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今回紹介した「アナと雪の女王」の考察について、再度映画を視聴して確認したい、考えてみたい、と思った方もいらっしゃるかもしれません。

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関連記事:ディズニーアニメ映画「アナと雪の女王」を視聴するには











コメント

  1. ケータイ より:

    初めエルサを守ろうとしたハンスがそのあと手にかけようとしたのは、エルサが「自分は冬を終わらせることができない」と言ったからではないですか?

    エルサに冬を終わらせたあとで始末する予定だったが、それが無理なら先に殺してしまえ、ということです。

    • takmori83 より:

      ケータイさん、

      コメント、ありがとうございます。

      確かにケータイさんの言われる説も、可能性はありますね。

      ただ、個人的に思うのは、明らかに冬を招いたのはエルサであるため、エルサを亡き者にした後も永遠に冬が続くとは考えにくいでしょう。
      エルサが自分自身ではコントロールできない力を発して冬にしてしまっているので、エルサが亡くなれば、その力も消えると考えるほうが普通ではないでしょうか?

      エルサが死んだ後も冬が続くのであれば、もう呪いの範疇になってしまいますので。

      ということで、僕は本文に書いたような考察に落ち着きました。

  2. ゼノン より:

    こういう考察とても大好きです。

    私は、それ以外にもハンスが「鏡」であるという点から、その時々の人に合わせた言動をしているだけで、別に最初から王になる願望はなかったというのもあると思います。
    エルザは王族としての責任を放り捨てていますが、国をまとめる女王がおらず冬が終わらないという現状に心を痛めていると思います。
    ハンスの王になり、エルザを殺すという行動はエルザや周囲の人間の内に秘めた願望を反映しただけとも考えられます。
    この説でもハンスの行き当たりばったりな行動に説明がつくと思います。

    • takmori83 より:

      ゼノンさん、コメント、ありがとうございます。

      おっしゃる通り、ハンスは鏡というキャラクターであるわけですから、エルサを亡き者にしたい、という思いを持った人たちの心を反映しただけ、という説明も納得がいきますね。

      しかし、こんな感じでは、国王になってもうまく国を運営していけるとは到底思えないですけどね。

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