バックトゥザフューチャー負け組ロレインの性格の矛盾と謎を考察

SF

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は、タイムトラベルをストーリーの軸にして過去に戻ったマーティが、大奮闘の末、現代に戻ってくると家庭がとてもよくなっていた、というハッピーエンドで終わっています。


一説にはマーティにとっては、実は取り返しのつかない悲劇である、という見方もできるのですが。

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ところで、過去に戻る前の両親と、過去の若い頃の両親、そして過去から戻った後の両親が、見違えるように違うことについて、ちょっと考え込んでしまいました。

父親のジョージは自信がなくていじめられっ子のままだったのが、自分に自信が付いたことで成功を収めている、という分かりやすい構図でしたが、母親のロレインに関して考えると、とある疑惑にまで行きついてしまったのです。


今回は、そんなマーティの母親であるロレインの、特に負け組ロレインの性格が形成された理由について、考察していきたいと思います。









バックトゥザフューチャーで登場する3人のロレイン

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では、3人のロレインが重畳するといっていいでしょう。

若いころのロレインは時間軸的に別人ですし、中年のロレイン二人の性格はまるで正反対でしたから。

便宜上、若ロレイン、負けロレイン、勝ちロレインと呼び名をつけて話を進めていきたいと思います。


そんな3人のロレインの性格について、性格の比較をして見てみることにしましょう。

3人のロレインの性格を比較

3人のロレインの性格を比較するにあたって、以下の3つのカテゴリーで見ていきたいと思います。

映画内で描写され、比較的3人の性格の違いが視覚的にもはっきりしていた、

    ・第一印象で受ける性格
    ・喫煙・飲酒について
    ・ロマンスへのイメージ・対応

      の3つです。


      第一印象で受ける3人の性格

      まずは第一印象。

      若ロレインですが、高校生という大人になりつつある年齢の若者として、いろんなものに興味を持っているように見受けられました。

      中でも、特に男性とのロマンスに一番関心がありそうです。


      負けロレインは、というと、すでに人生に疲れた雰囲気が半端ない感じ。

      彼女だけでなく家族全員が詰んでしまった、もしくは詰んでしまう状況に向かっていることに半ばあきらめを感じているように見えてしまいました。

      子供への教育も、自身の失敗から同じ過ちを繰り返さないように否定・禁止をする傾向にあると思われます。


      最後に勝ちロレインですが、自らと家族の成功体験をこれまでたくさん経験してきているように感じられ、若いうちの多少の冒険は必要、失敗してもそこからまねべば良し、というスタンスだという印象を受けました。

      喫煙・飲酒について

      若ロレインは、若者の好奇心から母親に禁止されているにもかかわらず、蔭でこっそり試しているようです。

      気になるマーティの前でわざわざ喫煙も飲酒もしているところを見ると、大人の女を演出するためにわざとやって、強がってい見せている気もしますね。


      負けロレインは、完全に喫煙・飲酒に逃げている感じです。

      おそらくジョージと一緒になった後の生活の苦しさからのストレスで、手が離せなくなったのでしょう。そう考えるのが一番しっくりきてしまうほど、ジョージは情けなさをや頼りなさを全開にしています。


      一方勝ちロレインはというと、一切喫煙・飲酒のシーンはありません。

      おそらく大人の女性として夜のディナーなどでは料理に合った飲酒をすることはあるでしょう。
      ですが、常に酒瓶を手にして、だらしなく飲み続ける、というようなことはないようですし、早朝の運動をしていることを見ると普段から喫煙していることはなさそう、と思えてきます。

      ロマンスへのイメージ・対応

      若ロレインのマーティに対するアプローチを見るに、若者によくある、異性への興味やロマンスへの憧れというものを純粋に持っていると思われます。

      ちょっと積極的すぎる点もありますが。

      負けロレインは、というとマーティの恋人であるジェニファーについて、全く良く思っていません。

      その一方で自分の娘には、将来劇的なロマンチックな出会いで彼氏ができるから、という話を言い聞かせています。

      高校生時代に彼氏を持っているような女子生徒を目の敵にしているように見える半面、自分の娘に聞かせるふりをして、自分の過去の中で唯一、思いがけないサプライズとともに彼氏ができた思い出の出来事を何とか素晴らしいものだったと自分に言い聞かせているようにも見えるのでした。


      勝ちロレインはというと、やはり自身の成功体験からなのでしょう。

      健全な若者の恋人関係に応援することはあっても、頭から否定することはありません。

      その根底には、年頃の娘が男性に興味を持って両思いから恋人関係になることは、当たり前の行動である、という考えがあるのだと思います。

      負け組ロレインの性格がどうやって作られたかを考察

      このように3人の性格を見てみると、若ロレインから負けロレインと勝ちロレインのそれぞれの性格になっていくまでは、正反対の要因があったからに違いないと確信するほど、真逆の性格になっています。

      特に興味深いのが「ロマンスへのイメージ・対応」ですね。


      負けロレインは、マーティの恋人であるジェニファーについて、かなり誤解に満ちた見方をしているように感じ取れました。

      映画の中のロレインのセリフを借りるとすれば、「男の尻をホイホイ追いかけるだらしない女」

      そこには高校生という若いころから男性のことばかり考えていたり、チャンスがあればくっついて恋人になろうとしている女性に対する否定的な見方です。


      が、よくよく考えてみれば、ロレイン自身も高校生でジョージを知り合い、恋に落ちて結婚した口です。

      いってしまえば人のことは何もいえないという立場。

      それでも否定的な考えを持っている、ということは、自分はそれで成功していない、失敗した、という考えを持っているからではないでしょうか。


      事実、映画の中でロレインは彼女が理想とする男性のタイプを明言しています。

        男として自立し、困難に立ち向かい、自分自身だけでなく愛する女性も守れる強い人

      そういうロレインの理想のタイプから言えば、負けジョージはお世辞にもそのようなタイプではないことが分かります。

      言い過ぎかもしれませんが、ロレインはジョージと付き合ったとしてもその後、どういう経緯で結婚まで至ったのか、と首をかしげるレベル。


      おそらくそれは、負けロレイン自身も感じているのでしょう。

      だからこそ、子供たちに彼女らの出会いの思い出を何回も何回も繰り返し言って聞かせているのだと思います。

      それはまるで、子供たちに言って聞かせるというより、自分自身に言い聞かせ、自分のあの時のときめきを再確認し、ジョージと結婚したことは間違いではなかった、と言い聞かせるように。


      そんなロレインの結婚後の思いが見え隠れするからこそ、喫煙・飲酒に関しても納得がいく気がします。

      ジョージが学生から卒業してもビフに付きまとわれ、いいように利用されているのを間近で何度も見ていれば、ロレインだとしても歯がゆく思ってしまうでしょう。

      そして自分の理想とする男性のタイプとのあまりにもの乖離にストレスを貯めていることは想像にむつかしくありません。

      そのストレスを発散させたくなるがために、たばこやお酒に手を出してしまう、というパターンが、これまた容易に想像できてしまいます。


      負けロレインの性格は、ジョージの性格と彼女の理想とする男性のタイプとの乖離から来たのではないでしょうか。

      ロレインが不倫をしていた可能性

      ここからはさらに踏み込んだ考察になります。

      おそらく監督のロバート・ゼミキスや脚本・プロデューサーのボブ・ゲイルは映画を高校生を主人公としたアイドルキャラによるコミカルなSFアドベンチャーとしていることから、このような、ヘビーな設定は考えていないでしょう。


      が、ロレインの恋人を持つ高校生くらいの若い女性に対する否定的な見方は、彼女が旦那の選択において、自分自身で認めたくない失敗をしたからだけなのだろうか、と思えてしまうほどの激しさでした。

      もしかして、それ以外にとんでもない失敗をし、それが罪の意識としてこのような見方をするようになったのだとしたら…。


      では、その「とんでもない失敗」とは何でしょうか?

      若ロレインの性格を考慮して考えると、

        不倫

      という文字が頭をよぎります。


      一つずつ見ていきましょう。

      若ロレインは男性に対して興味深々でした。

      いい感じの若者が現れると、そのアプローチはかなり大胆です。

        ・マーティのズボンを脱がせ、
        ・自宅に泊まることを勧め、
        ・自分の部屋で寝ることを提案する



      また、特に1955年という時代では、女性から男性をデートに誘うという積極的な行為は、まれであったと思うのです。

      しかしロレインはストーカーよろしく、マーティの後をつけてドクの家まで行き、ダンスナイトへデートに誘っています。

      映画のストーリー的に必要だったとはいえ、ロレインの性格は、かなりその当時では特異であっただろう、と思わざるを得ません。


      そんなロマンスに超積極的なロレインです。

      マーティが存在しなかった過去では、ジョージよりも積極的に彼をデートに引きずっていったに違いありません。

      特にロレインはビフに狙われていて、そのビフはジョージをいじめていました。

      そんな3人の関係から考えると、ジョージが積極的にロレインをエスコートしたとは思えないのです。


      そんなジョージと付き合いながら、自分の理想の男性とは違うことは気が付かないはずはありません。

      そこで愛想をつかしてよかったのでしょうが、そうはせず、ジョージとの関係は続いたようです。


      もしかすると一度疎遠になったかもしれません。

      そしてその理由は他に理想の男性が現れたから。

      ところが、その男性には都合よくあしらわれて、事が済んだ後に捨てられたとしたらどうでしょう。
      そんな傷心なロレインを優しく慰めたのがジョージで、そのことが結婚への決定打になった。


      完全な個人的な想像でしかありませんが、一応理想のタイプとはかけ離れた負けジョージと結婚した経緯として、筋は通ると思います。

      そして、この事件、

        ジョージと付き合っていながら、他の男性にも興味を持って行動してしまった

      ことで傷ついた失敗から、若い女性が男性と恋人関係にあることを毛嫌いしている理由にもなると思えるのです。

      考察のまとめ

      いかがでしたでしょうか。

      これはあくまで僕個人が勝手に考えた考察というか、妄想に近いものがあります。

      が、ロレインのあまりにもの違いから、ふと疑問がわいてしまったあと、結構すらすらと頭の中で展開していった考察でした。


      おそらく監督もプロデューサーもそこまで考え込んではないと思いますし、先に述べたように目指している映画のテイストとかなり異なるヘビーは話になってしまいますので、このような展開はふさわしくないのはわかります。

      が、ロレインの性格やジョージの性格、そしてビフを含めた二人の周りの環境を考えると、本当に起こってもおかしくないと思えてきてしまったので、紹介してみました。


      皆さんはどう思いますか?

      よろしければ、教えてくださいね。












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