「アナと雪の女王」の公エルサは子供の頃から自分の魔力をコントロールすることに苦労していました。
うまくいかない代償として、城の一室に閉じこもってしまったくらいです。
そんなエルサに父アグナル王は手袋を渡します。
すると、触るたびに凍りつかせていた魔力がある程度、抑えられるようになりました。
果たして、アグナル王が渡した手袋は魔法の手袋だったのでしょうか?
手袋で魔法の力を抑えることができていた
実はエルサは幼い頃、魔法の力をコントロールすることができていました。
このことを覚えているでしょうか?
夜中、アナと二人で抜け出して城の一室で遊んでいるとき、エルサはアナを楽しませようと、自在に魔法の力を使っています。
が、ある晩、その魔法の力でアナを傷つけてしまって以来、自分の力に恐れを感じるようになってコントロールできなくなってしまいました。
そんなエルサを、父アグナル王は部屋の一室に隔離することにします。
そう決断した本当の狙いはなんであったのか、判断しかねますが、エルサにとっても良い結果とならなかったと思います。
他と違うから、他から切り離すのではなく、他と違っても同じように愛情を注ぐことで、本人も自分が他人と違うのだ、という孤独感を感じないようになると思うので。
極端な例ですが、シリアルキラーとなったエド・ケンパーは、彼が10代前半の少年時代に、妹を襲うのではないか、という母親の妄想のため、毎晩地下室に閉じ込められていたそうです。
もちろん、これだけでエドがシリアルキラーになったわけではありませんが、他と違う対応、しかも極端に異なる対応をすることで、子供の精神にどれだけ大きな負の影響を与えるかが、垣間見える実例ではないでしょうか。
「アナと雪の女王」では、一室に隔離したエルサを深い愛情をもって何かと助けようとする両親が描かれています。
これによって、エルサが極端に悪い方向に行くことは防がれたでしょうが、しかし、自分は特別な、他の人々を傷つけるかもしれない存在なのだ、と精神に刷り込まれてしまっていたことは否定できないでしょう。
そんなエルサにとって、唯一交流がある両親をとても頼りにしていたに違いありません。
そんな存在の父親に手袋を渡され、これで魔法を隠すことができる、と言われたのです。
その言葉は、エルサの拠り所になったでしょう。
現に、戴冠式の前から、エルサが城を飛び出すまでの間、暴走したエルサの魔法は手袋をしていない手の方から、発せられています。
戴冠式でも手袋を外した手で持った宝珠と笏は、やはり、凍りはじめました。
その場は、すばやくアイテムから手を話したことで事なきを得ましたが、どうやら素手では魔法の力をコントロールすることは難しい様子が描かれていました。
逆に言えば手袋をすることで、魔法をコントロールすることができるわけですが、では、その理由は一体何でしょうか?
これも愛の力?
エルサが戴冠式のときにはめている手袋は、子供の頃アグナル王からもらった手袋ではありません。
成長するにつけ、大きなサイズの手袋が必要になったことでしょう。
では、その度に、魔法の力をコントロールすることのできる魔法の手袋を用意したのでしょうか?
それは違うと思います。
手袋はただの普通の手袋だったのでしょう。
では、なぜ普通の手袋をはめるだけで、魔法の力をコントロールすることができる様になったのでしょうか?
それは一種のプラシーボ効果ではないか、と思うのです。
プラシーボ効果とは、
薬理作用に基づかない薬物の治癒効果、つまり投薬の形式に伴う心理効果(暗示作用)のこと。
薬理学的にまったく不活性な薬物(プラシーボ)を薬と思わせて患者に与え、有効な作用が現れた場合をプラシーボ効果があったという。
プラシーボplaceboとはプラセボともいい、「気に入るようにしましょう」という意味のラテン語で、偽薬(にせ薬)のこと。
内服薬では乳糖、デンプンなどで形、色、味などを本物そっくりにつくり、注射薬では食塩溶液などを用い、本物の薬と偽薬を客観的に評価するための小道具として使われる。
慢性疾患や精神状態に影響を受けやすい疾患では、プラシーボを投与しても、かなりの効果が現れる。
引用:コトバンク
で、このように精神面に非常に効果のある一種の治療法です。
つまり、エルサは唯一のよりどころである両親より、
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「手袋をすることで、魔法の力が弱まって、コントロールすることができる」
と言われたことを、なんの疑いもなく、強く信じたわけです。
そのことで、精神的に安定し、手袋をはめているときは、はめていないときほど、自分の力で誰かを傷つけてしまわないか、と恐怖を感じることがなくなるのでしょう。
興味深いことに、エルサが戴冠式の予告演習を行うシーンで、左手に宝珠を意識した飾り玉、右手に笏を意識したろうそく立てを持ちます。
エルサが父アグナル王の戴冠式の肖像画と対面している間は、両手に持ったアイテムになんの変化も起こりません。
が、回れ右で肖像画に背を向けた途端、飾り玉もろうそく立ても凍り始めてしまいます。
これは、父親を眼の前に感じることができると、精神的に落ち着くものの、父親の姿が視界から消えた途端、不安に襲われた、というエルサの心の動きを、表しているのではないでしょうか?
そしてそれは、エルサが両親からの愛情を感じ取っているからこそ、起こる現象と言えるのだと思うのです。
ストーリーに隠された手袋の意味
もう一つ、手袋には、ストーリーにとって、大きな象徴となっていると思われます。
エルサが城を飛び出し、北の山の上で、唯一はめていたもう一つの手袋も脱ぎ捨てます。
そして、「ありのままに」と、それまで隠していた自分の力をさらけ出し、氷の城を築いてしまいます。
つまり手袋には、本当の自分を隠す、という意味があったのでした。
そしてそれは、エルサだけではありません。
「アナと雪の女王」のディズニーヴィランズであるハンスも、手袋をすることで、自分の本質を隠していたキャラクターなのです。
凍りつきそうなアナを愛のキスで助けようとしながら、そこで本心を明かして本当の狙いを暴露しますが、その際、ハンスは手袋を外しているのです。
そして、アナが死んだという事も含めた、ハンスが作り上げたでっち上げの話を、他の人々に伝えにいく際には、また手袋をはめ直します。
このように、エルサだけでなく、ハンスも手袋をすることで、本当の自分を隠していた、ということがわかるのでした。
ハンスについての考察はこちらの記事でも行っていますので、よろしければ参考にしてみてください。
関連記事: アナと雪の女王のディズニーヴィランズ・ハンスは原作の鏡を象徴している!?
関連記事:映画アナと雪の女王でハンスがいつからアレンデール国王の地位を狙っていたのか、を考察
考察のまとめ
自分の力を恐れ始めてからずっと、その力をコントロールすることができなくなったエルサ。
そんなエルサが手袋をすることで、魔法の力を押さえつけることができたのは、愛する両親の献身的な支えが背景となっていることがわかりました。
エルサが最後に愛に気がついて魔法の力をコントロールすることのできるようになったのは、アナやアレンデールの人々を愛するだけでなく、自分自身のすべてを自分で愛することができるようになったからなのでしょうね。
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