映画「ザ・ロストシティ」
サンドラ・ブルックとチャニング・テイタムが主役を務め、ダニエル・ラドクリフが悪役を演じるという豪華な出演者の顔ぶれのコメディ・アクション映画です。
そして出演者として名前をあげなければいけないのがブラッド・ピット。
ところが、ブラッド・ピット演じるジャック・トレイナーはスーパーヒーロー的な活躍をするものの、登場してから出番が無くなるまであっという間という扱いを受けていました。
一体、なぜなんでしょうか?
理由を知りたくていろいろ調べたものの、はっきりとした理由は明かされていません。
そこで調べたインタビューの内容などから、個人的な考えではありますが、考察していきたいと思います。
映画「ザ・ロストシティ」でブラッド・ピットが出番が少ない理由を考察
ダニエル・ラドクリフ演ずる億万長者の悪役に誘拐された主人公演ずるサンドラ・ブルック。
そんな彼女を救おうとしたチャニング・テイタム演じるキャラクターが助けを求めたのが、元海兵隊員で今も特殊工作員をしているという設定の凄腕CIAエージェント、ジャック・トレイナー。
あっという間にサンドラ・ブルックのいるところを見つけ出し、監視役のガードたちを次々と倒していきます。
同じように活躍したいと思っているチャニング・テイタムの動きが、ブラッド・ピット演じるジャックの動きに対比させることで笑いを取っていました。
が、無事にサンドラ・ブルックを救出してジャングル内に逃げ込んだものの、車で逃走する前に狙撃手の攻撃の前に頭部を撃たれ、地面に倒れてしまいます。
その後、ブラッド・ピット演じるジャックは映画のスクリーンに帰ってくることはなく、最後の最後に無事であったことを知らせるための登場をするだけでした。
すぐ消えた理由はもともと出演する予定ではなかったから?
いろいろと調べてみると、もともとブラッド・ピットがこの映画に出演する予定ではなかったようなのです。
映画「ザ・ロストシティ」に関してのサンドラ・ブルックへのインタビューの多くで紹介されているのですが、ブラッド・ピットが映画に出演することを承諾したいきさつには、普通とは違った縁があったのです。
プロデューサーも務めたサンドラ・ブルック。
彼女はこれまで多くの映画に出演してきましたが、そんな彼女がいつも任せているヘアスタイリストがいました。
その名前はジニーン・ルース・トンプソン。
映画情報サイト「IMDb」では1997年の「スピード2」よりサンドラ・ブルックのヘアスタイリストとしてコンビを組んでいるレジェンドです。
サンドラ・ブルックの映画の他にも多くかかわり、近年では、
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・スパイダーマン:ファーフロムホーム
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
・アベンジャーズ;エンドゲーム&インフィニティウォー
・キャプテン・マーヴェル
などなどの映画でヘアスタイリスト部門のリーダーを勤めるほどでした。
そんなジニーン・ルース・トンプソンは「ザ・ロストシティ」でもサンドラ・ブルックのヘアスタイリストを務めます。
そして彼女は22年9月1日に日本公開予定のブラッド・ピット主演映画「ブレット・トレイン」のヘアスタイリスト部門のリーダーも担当していたのでした。
ジニーンはある日、ブラッド・ピットにサンドラ・ブルックの映画に携わっていることを話したところ、彼から、
「サンドラ・ブルックにブレット・トレインに出演してくれないか?」
と訪ねてほしいと頼まれます。
ジニーンからブラッド・ピットのお願いを聞いたサンドラ・ブルックはそれに承諾。
こうしてサンドラ・ブルックはブレット・トレインに出演することが決まったのでした。
その後、サンドラ・ブルックはジニーンに対してブラッド・ピットへの伝言を頼みます。
それは、
「出演のお返しとして、「ザ・ロストシティ」へ出演してほしい」
というものでした。
このサンドラ・ブルックの申し出にブラッド・ピットは快諾し、ブラッド・ピットの出演が決まったのでした。
さらに興味深いのは、この間、サンドラ・ブルックとブラッド・ピットのやりとりは常にジニーンを通して行われており、サンドラとブラッドが直接話し合うことはなかったそうです。
しかもサンドラがブラッドを「ザ・ロストシティ」に出演させようとしているという話は監督を務めた内の一人アダム・ニーも耳にしたのですが、
「そんな軽いノリで出演依頼したって話がまとまるわけがない」
と本気にせず、監督や他の制作陣幹部がブラッド・ピットのところに正式な連絡はいれなかったそうなのです。
しかしジニーンというヘアスタイリストを通してサンドラ・ブルックとブラッド・ピットが合意したことで、ブラッド・ピットの映画出演があっさりと決まってしまいました。
が、逆に言うと、制作陣は決定するまで本気にしなかったせいで、ブラド・ピットが演じるにふさわしい役どころを用意しておらず、急遽、ストーリーに齟齬が出ないようなキャラクターを作らなくてはいけない羽目になったのではないか、と推測するのです。
コメディ・アクション作品のネタ
ブラッド・ピットという俳優が出演する以上、わき役で済ませるわけにはいきません。
かといって主役のサンドラ・ブルックやチャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフの存在をかき消してしまうほどの役回りでは映画が成立しなくなってしまいます。
そこで今回の「ザ・ロストシティ」がコメディテイストの強いアクション冒険映画であることを利用して、ジャック・トレイナーというキャラクターが作られたのではないでしょうか。
見た目はかっこいいもののスキルも知識もほとんどないチャニング・テイタムのキャラクターと対比を見せることで、十分笑いが取れます。
また、それほど活躍できるブラッド・ピットのキャラクターが、さぁこれから、というところで急にいなくなります。
その結果、ジャングルの中に放り出されて追手から逃げなければならない二人の右往左往の様子は、見ていて滑稽でコメディ作品としてより魅せられる演出となっていました。
さらに言えば、残された二人の性格が合わずにいがみ合っているところも、ブラッドのキャラクターがいたからこそ、より面白おかしく感じられたと思います。
エンディングで再登場する理由を考察
このように作品を面白おかしくするための重用で強烈なスパイスとなった役回りを演じたブラッド・ピットですが、やはり彼ほどのネームバリューでは、観客に
「あれで終わり?」
という疑問を持たせて映画を終えるわけにはいかないと考えたのでしょう。
そのため、エンディングでジャック・トレイナーが無事であったことをジョークを交えて観客に見せたのだと思われます。
ブラッド・ピットファンには胸のつっかえがとれる、安心したシーンであったかと思いますが、ジョークとしては今一つであまり笑えるものではありません。
アメリカン・ジョークなのか、と思いましたが、いっしょに視聴したカナダ人の妻も今一つ理解できない、と感想を漏らしていました。
なぜ出番が少なく短い時間ですぐに消えたのか?の考察まとめ
ブラッド・ピットが映画「ザ・ロストシティ」に登場しつつも、あっという間にいなくなってしまった理由。
インタビューなどでその裏話などが出てきていませんので、推察する以外ありません。
もともと正式な手順で出演を依頼したわけではなかった事が、大きな理由だと考えられます。
サンドラ・ブルックとブラッド・ピットの個人的なつながりで出演に至ったため、制作陣が主役キャラクターの存在をかき消すほどの存在感を発しない、それでいてブラッド・ピットが演じても遜色ないキャラを強引に作り出したため、と感じられました。
そしてコメディ・アクションというこの映画のジャンル上、逆にブラッド・ピットほどの役者が演じるスーパーヒーローが一瞬でいなくなってしまったほうが、笑えると読んだのではないか、と考察しました。
実際、大慌てしたサンドラ・ブルックとチャニング・テイタムのキャラクター同様、見ていた自分も一瞬、何が起こったのか理解できずに軽いパニックになりました。
そういう意味では、映画製作者側の目論見は見事に決まった、と言えるのではないでしょうか。
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