トイストーリー4でウッディがボイスボックスをギャビーギャビーにあげたのはなぜ?を考察

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「トイ・ストーリー4」がついに公開されました!

そのエンディングでウッディがバズたちと別れて持ち主のないおもちゃという存在になる決断をしたことには驚きでした。

これで完結、ということですが、ウッディの新しい生活がまさに始まろうとしている終わり方で、エンディングというよりオープニングといったほうがピッタリです

そしてもう一つ驚いたのは、ウッディがギャビーギャビーにボイスボックスを譲る決断をしたこと

これもまったくもって映画を見るまでは想像すらしてできなかった展開でした。

ウッディはなぜ、ボイスボックスをギャビーギャビーに譲る決断をしたのでしょうか?

そのことを考えるとトイ・ストーリーシリーズを通してボイスボックスが暗示しているものも見えてくるのでした。









ウッディにとってのボイスボックスとは

トイ・ストーリーシリーズを思い出してもらえるとわかると思うのですが、ウッディは自身がこわれてしまうことに、非常に恐怖を感じていました。

特にトイ・ストーリー2で、腕の縫い目が壊れたことでアンディと一緒にカウボーイキャンプにいけなくなってしまいましたし、壊れたおもちゃが捨てられる運命にあることもよく理解しています。

壊れたおもちゃをかくまったり、助け出したり、直せるように取り計らってみたりとしていました。


また、ボイスレコードについて見てみると、実はとても重要な役割を果たしていたことに気が付きます

1作めのトイ・ストーリーでは、ウッディの一番最初のセリフはボイスボックスから発せられたものです。

人間の前では動いてはいけないというルールがある中、ウッディがアンディとコミュニケーションを取る方法もボイスボックスを使ってでした。

またこのコミュニケーションは、アンディとだけではなく、トイ・ストーリー3でボニーに初めて会ったときにも、アンディの時と同じようにボイスボックスによって親密になっていっています。

つまり、ウッディのボイスボックスは、まさに「子どもたちとの結びつきを象徴する物」といえるのではないでしょうか。

ボイスボックスを諦めたわけは?

ボイスボックスがウッディにとって「子どもたちとの結びつきを象徴する物」だとしたら、ではなぜ、そんな大切なものを諦める決心をしたのでしょうか?

その答えを導き出すのは、ボニーにとってのウッディの存在と、持ち主のないおもちゃとしての活動をしているボー・ピープとの再会ではないでしょうか。

ボニーに対してウッディの存在意義

トイ・ストーリー3ではボニーはウッディのことを気に入って一緒に遊んでいました。
が、アンディの他のおもちゃと出会ったことで、ボニーのお気に入りはジェシーになってしまいます。

トイ・ストーリー4ではボニーの部屋で遊ばれているおもちゃの中に、ウッディは入っておらず、クローゼットの中で寂しく他のおもちゃがボニーによって遊ばれているのを眺めているしかありませんでした。

さらに家族旅行に同行したものの、逃げ出したフォーキーを連れ戻すべく、キャンピングカーの外に出たウッディ。
当然、ボニーはお気に入りのフォーキーが無いことで、泣きながら探し回ります。
が、そのときにウッディもキャンピングカーの中に無いのですが、そのことにはまったく気が付きません。

さらにウッディの尽力でフォーキーをボニーのもとに戻しても、ボニーはフォーキーが戻ってきたことには大喜びしますが、ウッディの存在には全く見向きもしませんでした。

アンディにとってもウッディはいつも一番の存在であったのに、ボニーからの扱いの差は格段に違っており、アンディを楽しませるようにボニーも楽しんでもらうことは、ウッディにはできなくなってしまっています。

そうなると、アンディのときとは別の違った存在意義を見出さないといけないことになり、それがフォーキーのお目付け役ということになるのでした。

つまり、自分以外のおもちゃを必要としている子供たちに、そのおもちゃが無くならないようにすることで持ち主に幸せなおもちゃとの思い出をつくってあげるというサポートする立場になることだったのです。

ボー・ピープがウッディに気付かせたもの

そんなウッディに対して数年ぶりに再会したボー・ピープは持ち主のないおもちゃとして過ごす世界を見せてまわります。

いままで一人の子供、自分の持ち主のためだけに生きてきたウッディですが、外の世界にはどれだけ多くの子供がいて、たとえ一人の子供が飽きて遊ばなくなったおもちゃでも、他の子供達にとってはとても楽しいおもちゃであることを知ります。

持ち主を持たないおもちゃでも、子どもたちを楽しませることができるとわかったウッディは、自身も必ず持ち主がいなくてはならないというこれまでの価値感とは違った見方をすることができるようになるのでした

そして失くし物として、誰の目にも触れなくなったおもちゃを保護するボー・ピープと同じように、そのことを存在意義にすることも可能である事に無意識ではありますが、気が付き始めます。

ボイスボックスを諦めるという決断

ここで考えられるのは、ボイスボックスがウッディにとって特定の子供、ウッディの持ち主と絆を象徴するアイテムだとした場合、これからは特定の子供ではなく、不特定の子供と失くしものとしてのおもちゃのために生きていくことを決断したのであれば、ウッディにとってボイスボックスはもう必要のないものとなります

つまり、ボイスボックスを諦めた時点で、ウッディは持ち主であるボニーのための存在をやめた、と考えることはできないでしょうか。

ボイスボックスを手に入れたギャビーギャビー

一方でボイスボックスを手に入れたギャビーギャビーは、それまでずっと夢見ていたアンティーク店主の孫娘、ハーモニーに気に入ってもらえるとばかり思っていました。

しかし、結果は心破れるもので、ハーモニーはギャビーギャビーを受け入れません。

てっきりボイスボックスさえ手に入れれば、持ち主のものになるとばかり思っていたギャビーギャビーは、失意のどん底に落とされてしまいます。

そのときにはまだ、持ち主のないおもちゃのために生きることをはっきりとは気がついていないウッディでしたが、ギャビーギャビーのために手助けをすることにします。

そしてボイスボックスのおかげもあって、ギャビーギャビーは彼女を必要とする新しい女の子を持ち主としてめぐりあうことができたのでした。

それは、まさにボイスボックスが「子どもたちとの結びつきを象徴する物」であることを示していることにほかならないと思ったシーンでもありました。

考察のまとめ

ボイスボックスをギャビーギャビーにあげたのは、その時点でははっきりと認識していなかったとしても、ゆくゆくはウッディがいままでとはまったく違う世界で、全く違う生き方をしていくことを暗に望んでいたからだと思います。

ボイスボックスが「子どもたちとの結びつきを象徴する物」である以上、それをウッディが自身から取り外したことで、ボニーと今後、結びつくことはなかったわけであり、逆にウッディから譲り受けたギャビーギャビーは、思っていた人物とは違いましたが、持ち主を持つことができる結末になりました。

こうしてウッディはボー・ピープとともに新しい世界で、まったく新しい存在意義をもって生きていくことになります。

それはまさに、シリーズ完結という意味では持ち主のおもちゃとしてのウッディの最後の話であったでしょう。

しかし完結というよりは、全く新しい冒険の始まりという形のエンディングです。

今後、第5作が制作される可能性も残しての終わり方ではなかったでしょうか。



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