アニメ「地獄楽」で画眉丸と佐切が島の住人である女の子のメイと木人のホウコに出会い、島に関する情報を入手することができました。
と同時にホウコの勧めで彼らが住む村でひと時の休息を楽しむことができたのです。
この時、彼らはお風呂を使わせてもらうことができました。
画眉丸が風呂に入って体を洗った際、メイも一緒に入っていたのです。
佐切も居合わせ、彼女がメイの入浴を手伝いました。
その際に、彼女がメイの髪を洗ったのですが、その時に使った「粉」とはいったい何だったのでしょうか?
今回は江戸時代の風呂事情や洗髪事情を紹介しながら、佐切がメイに対して使った粉について、解説していきたいと思います。
地獄楽・風呂でメイの髪を洗った際に佐切が使った粉はうどんのこ
佐切がメイの湯浴みを手伝った際に使ったのは、
・椿の油粕
・粉
の2品。
椿の油は高いヘアケア効果が、今の時代でも有名です。
髪の毛につけることで、ドライヤーの熱や紫外線などの刺激から髪を守り、枝毛やパサつきを抑える効果を与えてくれます。
また、必要な水分をキープし、髪表面のキューティクルをなめらかに整えることで、潤いとハリのある美しい髪にしてくれるのでした。
その一方で「粉」とは何の粉なのでしょうか?
これはおそらく、小麦粉であったと考えられます。
海藻と一緒に使って洗髪していた
西暦1813に当たる、文化10年に美容本「都風俗化粧伝」(みやこふうぞくけわいでん)が出版されました。
その中の「髪を洗う伝」に、当時の洗髪方法が詳しく書かれています。
それによると、「ふのり」を熱いお湯で溶かし、そこに「うどんのこ」を投入。
よく混ぜたものを髪に揉み込み、熱いお湯ですすぎ、最後に水で洗えば、油も臭いもさっぱりと落ちて艶も出た、と記載されていたのでした。
このことから佐切が使用した「粉」はうどんのこ、つまり小麦粉であった可能性が高いと思われます。
ちなみに、この「都風俗化粧伝」には「ふのり」と「うどんのこ」の使用が書かれていましたが、そのほかにも灰汁(あく・灰を水に浸した上澄み液)や灰、粘土、椿の油粕などが洗髪剤として使われていました。
髪を洗えるのは月に1回か2回程度
江戸時代は今ほど頻繁にお風呂に入れるような生活習慣ではありませんでした。
水道もなければお湯を沸かすのも薪を割って火をおこさないといけないというめんどくさい作業。
先に書いた海藻の「ふのり」や小麦粉を使った洗髪材は作り置きができないので使用する度に事前に作っておかなければいけません。
それでも、この当時の女性は髪に油をつけて形を整えていたこともあり、全く洗わないということはできなかったようです。
地域によって違いはあるようですが、特に江戸は砂埃が多かったそうで、髪につけた油と砂まみれになってしまった髪を、他所より頻繁に洗っていた、という記述を資料に見つけることができるのでした。
しかし、その洗い方の主な方法は、縁側は庭にたらいを持ち出し、そこにお湯を張って髪だけ洗う、というものだったようです。
湯船につかるタイプのお風呂はぜいたく品
アニメ「地獄楽」では、杠や佐切が湯船に体をつけてリラックスしている描写があります。
が、実際に江戸時代のお風呂事情では、このような現代の銭湯のような、大きな湯船にお湯を張って、ということはなかなかできない、かなりの贅沢だったのが真実です。
江戸時代になってから純粋な公衆浴場「銭湯」が登場したのですが、当時の銭湯は、蒸し風呂の一種である「戸棚風呂」という形式でした。
熱く焼いた小石の上に水をかけて湯気を出します。
その湯気によって上半身を蒸らし、浴槽に膝の高さ程お湯を入れ、下半身を浸す仕組みとなっていて、今でいう「サウナ」+「足湯」方式がとられていました。
一方、体をお湯に浸す方式のお風呂も、江戸幕府が開かれてからすぐあたりに登場し始めます。
湯舟は湯量が少なく済むよう、人一人が入れるほどの木桶を利用していて、とにかく大量のお湯を沸かす手間を省くように工夫されていました。
お風呂の形式は
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・鉄砲風呂
・五右衛門風呂
の2種類があり、江戸では「鉄砲風呂」、関西では「五右衛門風呂」がより普及していたようです。
鉄砲風呂とは湯舟の中に鉄の筒が入っており、この中に燃えている薪を入れることで、鉄の筒が熱され、それによって水が温まっていく、というものでした。
五右衛門風呂は風呂桶の下に平釜が付いており、この窯の中で木を燃やすことで桶の中の水を沸かす、というお風呂です。
とはいえ、このようなお風呂を持っている人々はかなり裕福な階級だけと限られていました。
現代のように毎日のように風呂に入ることはできませんでしたし、入ることができたとしてもサウナ+足湯のような銭湯に行くくらいの選択肢しかなかったのが実状のようです。
まとめ
佐切がメイに対して髪を洗った際に使用した粉は小麦粉であることが分かりました。
石鹸がまだないこの時代、椿油や灰、灰汁、ふのり、小麦粉を混ぜ合わせた洗髪剤を使って髪を洗っていたのでした。
また、現代のように毎日のようにお風呂に入れる分けもなく、女性が髪を洗う場合、月に1度か2度、縁側に湯を張ったたらいを持ち出して、髪だけ洗ったというのが実状だったのでした。
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