映画ザリガニの鳴くところでテイトとチェイスがカイアに魅かれた理由を考察

ミステリー

映画「ザリガニの鳴くところ」は、湿地帯で一人で育ったカイアとテイトとチェイスの二人の男性との関係をメインにストーリーが進んでいきます。

その後、(とはいっても映画では冒頭に当たりますが、)チェイスの死体が発見され、誰が彼を殺したのか?というミステリーがメインテーマとなっていきますが。

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ところでふと気になったのですが、なぜテイトとチェイスはカイアにひかれたのでしょうか?

深く考えてみたくなったので考察していきたいと思います。







映画ザリガニの鳴くところでテイトとチェイスがカイアに魅かれた理由

映画「ザリガニの鳴くところ」ではカイアという主人公に対して、テイトとチェイスというかなりタイプの違った二人が親密な関係になります。

この全くタイプの違う二人がどうしてテイトと親密になりたいと思ったのか?などを、映画で語られた二人の青年のセリフなど、彼らの生い立ちや背景から、深堀していきたいと思います。

テイトがカイアに魅かれた理由を考察

テイトはカイアの兄、ジョディの友人でした。

まだカイアの家族が、家族として崩壊していないころ、ジョディを通じてテイトはカイアと面識があったのです。


成長したテイトは大学で生物学を学ぶ、ある意味アカデミーの分野ではエリートに属する立場になっていました。

そして生まれ育った湿地の生態系やそこに住む生物の研究・調査をしています。

このことでテイトは、湿地とそこに住む生き物と深いつながりを築いていたカイアと同じタイプの人間になっていたことが分かります。

だからこそ、子供時代のトラウマから知らない他人には、著しく恐怖心を感じるカイアの心を解きほぐし、距離を縮めることができたのでしょう。

テイトがカイアと距離を置いた理由を考察

一方でテイトは幼いころに母親と妹を事故で亡くし、父親一人に育てられてきました。

父親は湿地で漁をする漁師。
おそらくバークリー・コーヴでは珍しくもない地元男性だったに違いありません。

親の職業をそのまま継ぐということが普通であった時代、テイトも父親と一緒に漁師になっていても不思議はなく、どちらかといえばそれが当たり前のことだと、人々には認識されていたでしょう。


しかしながらテイトは大学に進学していました。

調査助手の役職も得て、大学の研究室で仕事をしながら勉強ができる立場を勝ち取ったのです。

さらには何らかの奨学金も得ていたようでした。


ここまでの成功を勝ち取るためには、テイトはもちろん、テイトの父親の全面的な協力無しでは不可能です。

おそらく父親はテイトの成功のために多くの犠牲を払ってきたのでしょう。

だからこそ、テイトが父親にカイアのことを話した際にも、取り返しのつかないことはするな、と忠告し、テイト自身もカイアと結ばれる寸前で自重したわけです。


そしてテイトは大学に進んでから約束の再開の日に現れず、7年後にカイアの前に姿を現して謝罪しました。

大学でその道で成功するために励めば励むほど、カイアとの生活と大学での成功は両立しないことを痛感してしまったのです。

そして大学での成功は彼だけでなく、父親をはじめとした多くの他人の後押しによって成り立っていました。

ですから、カイアといたいというテイト個人の欲望を押さえつけるしかない、という結論を出してしまったのです。


ただ、個人的に言えば、この結論を出したことは仕方がないにしても約束の日にカイアのもとに戻って、自身の悩みをカイアに正直に打ち明けるべきだと思いました。

余談ですが、一緒に視聴していた妻は、「私なら7年間音信不通で急に表れて誤っても絶対許さない」とのたまっていました。(笑)

チェイスがカイアに魅かれた理由を考察

チェイスは町の名士の家系に生まれたボンボンです。

金持ちの息子らしく、他の人とは明らかに豪華なボートや車を有し、周りの取り巻きも同じようなタイプの取り巻きを侍らしていました。

そんなカイアとは全く違うタイプのチェイスが、なぜかカイアに興味を示し、友人になろうと声を掛けます。

自信家の彼は、カイアの拒絶をものともせず、半ば強引にアタックし、カイアとの距離を縮めるのでした。


チェイスは名士の家族に生まれたことで、物質的には何不自由ない暮らしを過ごしてきました。

しかし一方で、名士社会で生きていくために、彼の意思よりも家族のルールのほうが優先される生活を過ごしてこなければならなかったのです。

そんなチェイスにとって、一人で生きているカイアは全く未知の人種と言っても過言ではありません。

家族のしがらみ、身分のしがらみのないカイアという女性への興味は、相手が美人であるということもあって、すぐに恋心に変わっていったのでしょう。

チェイスがカイアを裏切った理由を考察

ところがチェイスはカイアの自由は、すべての責任を彼女自身が負って、すべて行動しているという事実に気が付きません。

やらなくてはならないことをやらない自由はありますが、それによって後々より大変になった後始末をしなくてはならない責任には、目を向けていなかったのです。


また、彼を慕う女性も多いことからプレイボーイ的な行動にも躊躇なく走っている様子でした。

そんな彼にとって彼の属する上流階級社会と接点のないカイアは、遊び相手としてスキャンダルを起こしても、家族や取り巻きにばれにくいという利点があったわけです。

そんな状況に甘えて二股(もしくはそれ以上)をかけ、おそらく家族の圧力によって婚約者ができてもカイアだけは放さずにいました。


一方カイアは信じていた家族全員から捨てられたという思いトラウマを背負っています。

ですから、信じた人物に裏切られた際のショックははかり知れず、チェイスの婚約者のことを知ったあとは、チェイスとの話し合いも拒否していました。

チェイスはここまで人に拒絶されたことは、おそらくこれまでになかったのでしょう。

望むことはほぼすべてかなえることができてきた彼の人生において、彼の意思の思い通りにならないカイアに対し、暴力をふるうという手段でしか、従わせる方法が思いつかなかったと思われます。

さらにチェイスにとって意外だったのはカイアからの反撃でした。

これによってチェイスは暴力によってカイアを服従させようとしたのです。

カイアの心を得るために必要な代償

カイアという女性は、過ごしてきた彼女の人生から、湿地帯以外で生活をするという選択肢はあり得ませんでした。

テイトもチェイスもカイアに湿地帯以外の世界を紹介しようとしています。

それは二人とも湿地帯以外の世界での生活がメインだったから。


カイアを湿地帯から連れ出そうとした結果、テイトもチェイスもそれが不可能であることを感じます。

テイトはカイアとの生活とそれ以外の生活を天秤にかけ、一度はカイアをあきらめました。

一方チェイスは、無理矢理にもカイアを湿地帯から連れ出そうとします。
その動機は、捕まえた野生動物を家に持ち帰ってペットにしようという独りよがりな欲求そのものだといえると思いますが。


カイアをあきらめたテイトに対して、あきらめきれなかったチェイス。

ある意味、カイアの心を無視して彼女を得ようとしたための代償が、彼の死だったと言えるのではないでしょうか。


テイトはその後、自分にとってカイアの存在がどれほど大きいものかを思い知ります。

そしてどんな代償を払ったとしてもカイアと一緒に暮らす生活を望み、おそらく多くの可能性があった学術世界のほとんどをあきらめ、カイアと暮らすことのできるフィールドワークを職にして、湿地帯に戻ってきました。

ここまでしない限り、カイアを手に入れることはできなかったのです。

まとめ

テイトとチェイスがカイアに魅かれた理由は、それぞれ違いました。

テイトは湿地たちとそこに生きる生物という同じ興味の延長上がカイアとの関係に発展していきました。

チェイスは自分自身が持つことのできないカイアの持つ自由に興味を持ったのが始まりです。


ただし、カイアとの関係が深まるにつれ、テイトは人生の選択をしないといけないことを自覚しました。

一方でチェイスは、将来的にどのような結果になるかに対しても思いいたすことはなく、手に入れたおもちゃを手放したくない、という気持ちとほぼ同じレベルでカイアに執着していったのです。


このチェイスの甘えた考えが、結果的にチェイスの死に結びつくことになったわけでした。

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最終的にカイアと結ばれたテイトはカイアとともに湿地帯で生活することを選びます。

おそらくその結論を出したことで、学術的成功を収めるための多くの可能性を棒に振ったとは思いますが、カイアを手に入れるということは人生をかけて、彼女についていくだけの覚悟が必要だったのだと感じます。









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