映画「グレイテスト・ショーマン」でラブロマンスを展開する若い二人、フィリップ・
カーライルとアン・ウィーラー。
肌の色から出自の背景まで全く異なる二人が惹かれ合うのですが、19世紀半ばの時代背景
から、裕福層の子息がどこの馬の骨とも付かないサーカスのパフォーマーと一緒になる
のは、身分の差から以ての外。
しかも白人と黒人という人種の違いまであってはほぼ不可能です。
そんなロミオとジュリエットも真っ青な障害を乗り越えて自分の信じた恋の道を突き
進もうと覚悟を決めたフィリップが歌に乗せて思いを打ち明けるときの曲が「Rewight
the Star」です。
実は英語の言い回しで「Written the stars」というのは、運命に定められているという
意味があります。
ですので「Rewight」で「書き直す」、つまり運命を変えるという意味の題名になって
いるのです。
そんなフィリップの切実な思いと自分たちの思いを貫くには大きすぎる障害があることに
恐れるアンの思いを十分に表している歌詞を和訳してみました。
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歌詞と和訳
[フィリップ・カーライル]
You know I want you
It’s not a secret I try to hide
僕が君を欲しているのはわかっているだろう
僕が隠そうとしているのは誰もが知っている
I know you want me
So don’t keep saying our hands are tied
君も僕のことを欲している事は知っている
だから、僕達にとって実現はムリと言い続けないで
You claim it’s not in the cards
But fate is pulling you miles away
And out of reach from me
君は選択の余地すらないという
宿命が君を僕の手の届かない遠くへ連れ去っていく
But you’re here in my heart
So who can stop me if I decide
That you’re my destiny?
けど、君は僕の心のなかにいる
だからもし僕が君のことを運命の人と決めたとしたら
一体誰が止められると言うんだ、
What if we rewrite the stars?
Say you were made to be mine
もし運命を変えられるなら
君は僕と一緒になるために生まれてきたと言ってくれ
Nothing could keep us apart
You’d be the one I was meant to find
何も僕らのことを引き裂けはしない
君は僕と出会う宿命のたった一人の人
It’s up to you, and it’s up to me
No one can say what we get to be
君次第、そして僕次第で
僕達がどうなるかなんて誰にもわかるわけがない
So why don’t we rewrite the stars?
Maybe the world could be ours
Tonight
だから二人で運命を変えてしまおう
世界は僕らのものになるかもしれない
今夜は
[アン・ウィーラー]
You think it’s easy
You think I don’t want to run to you
アナタにとって簡単そうに見えるのでしょう
私がアナタのもとへ行きたくないと思っているでしょう
But there are mountains
And there are doors that we can’t walk through
でも幾つもの山や
扉があって私たちは乗り越えてはいけないわ
I know you’re wondering why
Because we’re able to be
Just you and me
Within these walls
なぜと思っているのはわかる
だって誰もいない壁の内側で
あなたと私だけなら
一緒にいることはできる
But when we go outside
You’re going to wake up and see that it was hopeless after all
でも外に出たときには
あなたはどうしたって希望がないことに気付かされることになる
No one can rewrite the stars
How can you say you’ll be mine?
運命は変えられない
だからどうしたらあなたは私のものだということが言えるようになるの?
Everything keeps us apart
And I’m not the one you were meant to find
全てが私達を引き裂く
そして私はあなたの運命の人ではないわ
It’s not up to you
It’s not up to me
私もあなたもどうすることもできない
When everyone tells us what we can be
How can we rewrite the stars?
Say that the world can be ours
Tonight
みんなが私達ができることを決めつけるのに
今夜世界が私達のものになるって言える程の
運命を変えることがどうやってできるの?
[フィリップ・カーライル&アン・ウィーラー]
All I want is to fly with you
All I want is to fall with you
So just give me all of you
私がほしいのはあなたと一緒に飛んで
あなたと一緒におちること
あなたのすべてを私に与えて
[アン・ウィーラー]
It feels impossible
不可能だわ
[フィリップ・カーライル]
It’s not impossible
不可能じゃない
[アン・ウィーラー]
Is it impossible?
できると思うの?
[フィリップ・カーライル&アン・ウィーラー]
Say that it’s possible
できると言って
How do we rewrite the stars?
Say you were made to be mine?
どうやって運命を変えることができる?
僕達は一緒になるために生まれてきたと言って
Nothing can keep us apart
Cause you are the one I was meant to find
何も私達のことを引き裂けはしない
私達はお互いに出会う宿命だったのだから
It’s up to you
And it’s up to me
No one can say what we get to be
君次第、そして僕次第
僕達がどうなるかなんて誰にもわかるわけがない
And why don’t we rewrite the stars?
Changing the world to be ours
なぜ運命を変えようとしない?
世界を私達のものにするために
[アン・ウィーラー]
You know I want you
It’s not a secret I try to hide
私があなたを欲しているのはわかっているだしょう
私が隠そうとしているのは誰もが知っている
But I can’t have you
We’re bound to break and
My hands are tied
でもあなたと結ばれることはできない
別れは私達の運命で
私にはどうすることもできない…
フィリップ・カーライルとアン・ウィーラー
映画を見ていますと、フィリップがアンに一目惚れしたのははっきりとわかります。
ある意味、凄くわかりやすい程なのですが、そうなってしまうためのフィリップの背景
など、説得力が薄いかな、と思ってしまいました。
例えば主人公のP・T・バーナムと妻になるチャリティは、出身階級の違いを物ともせず、
結婚して子供まで産んでしまう程の強い愛を育む過程が、映画の中できちんと描かれて
いました。
実際のP・Tは映画のようにホームレスをしていたほど貧困にはなっていませんが、映画で
描かれているP・Tのような境遇のもとに、それこそ何不自由なく育ったチャリティが、
どんなに貧しい生活になっても、家族全員で生活することの幸せをいつも感じていたこと
に強い説得力がありました。
その一方でフィリップがアンに一目惚れしたシーンは、たしかにアンがとても幻想的に
登場して、目を奪われてしまいますが、人種の垣根を飛び越えてまで一目惚れするのは
どうなのか、と思ってしまいます。
ある意味、人種差別が激しい時代でもあり、白人が黒人を同じ人間と思っていないような
時代でもあります。
そんな時代に、人種の違いだけでなく、裕福層出身とサーカスのパフォーマーという
身分の違いもある相手に恋い焦がれるのでしょうか?
まぁ、映画のストーリー上、一目惚れしてくれないと困るし、サーカスに携わっている
人々はパフォーマーを差別せずに接していたので、フィリップもそのうちの一人として
勝手に思い込んでしまうのかもしれません。
僕としてはアンのほうが不自然さを感じました。
というのも、アンのほうがいつフィリップに気があるようになったのかわからず、
気付いたらアンもフィリップに好意を持っていることになっていたからです。
これまた両思いでないとその後の展開が出来ないというのはありますが、アンの気持ちの
演出に関しては、ちょっと手抜きがすぎるのでは、と思ってしまいました。
二人の関係で思い直したこと-2018年7月1日追記
映画を見たときには気が付かなかったと、アンとフィリップの関係で感じたことを
追記していきます。
ボク個人の人生経験の貧弱さが原因だとは思うのですが、アンがフィリップのことを
はじめから気にしていたような素振りを見せているのでは、と最近思うようになりました。
DVDを購入して何度も見返す事ができたので、鈍感なボクでも、「これは…」とおもう
素振りを見せているんじゃないか、と思えてきたのです。
例えば、PTがフィリップのことをアンに紹介したとき、アンがフィリップに対して
セリフをいいました。
思わせぶりのある、セリフでしたし、興味がないのであれば、フィリップに質問を
する必要もなかったはずです。
特に時代背景からして黒人の女性が白人の男性に質問する、という事自体、眉をひそめられる、
下手すれば、罰せられる行為であったでしょうから。
あと、英国女王への謁見の話に対して、パフォーマー全員ができるかどうかと確認したのも
裏の理由があったと思います。
つまりフィリップがパフォーマーをどのように見ているかを知る、ということ。
ひいてはアン自身へも対等に見ていてくれているのか、ということを知るためだったのでしょう。
で、その後、フィリップのアンに対する好意が、行動を伴うようになってきたことに対して、
嬉しくもありながら、戸惑いのほうが大きかったため、彼を受け入れようとしなかった、
という行動になっていったのではないか、と思い直しました。
ザック・エフロンとゼンデイヤ
ザック・エフロンはディズニー映画の「ハイスクール・ミュージカル」シリーズに出演
しており、ディズニー出身であることは有名ですが、ゼンデイヤもディズニー・
チャンネル出身です。
インタビューに出演した際、ザックがゼンデイヤに「今まで映画の中で何度もキスシーン
をこなしてきたけど、ゼンデイヤとのシーンが一番だった」と言ったことを暴露して
います。
ゼンデイヤは映画の中でサーカスのパフォーマーという役をこなしていますが、全ての
シーンでスタントは使用せず、彼女自身でパフォーマンスをを行いました。
その身体能力は恐るべきものがあります。
彼女自身、新しく履歴書に書くことのできる特技を習得できて楽しかったと言っています
が、そのトレーニングは相当のものだったそうです。
二人はこの映画の撮影まで一緒に仕事したことがないだけでなく、始めてきちんと会う
というレベルでした。
それが、会ってお互いのことを話すくらいの少しの時間を過ごした後、すぐにこの曲の
シーン撮影に入ってふたりとも空中に釣り上げられたそうです。
そこから二人の悪戦苦闘が始まるのですが、OKシーンを収めるまで何度もボディスラムを
お互いにしあったとインタビューで答えていました。
ザックの話では、最初にセットに入っていくとある女性がほぼ完璧に空中曲芸をしており、
その出来にとても驚いていたそうですが、それがゼンデイヤであることに気付いてさらに
驚いたそうです。
ゼンデイヤは数週間前からすでに特訓をしていて、かなりの経験を積んでいたので
そのような事になったのですが、それでも彼女がセットに始めて来たときに、驚いた
そうです。
というのも、練習では曲芸をする下に安全ネットが常に設置されていたのですが、
セットには安全ネットがありませんでした。19世紀中頃のサーカスではまだ安全
ネットなるものがなく、時代考証をきちんとするために、セットにも設置してなかった
そうです。
もちろん、安全用のハーネスを付けていたので、失敗しても大丈夫なのですが、
4、50メートルもの上空からネットのない地面を見ると、やはり恐怖心がわいたと
答えていました。
で、最初に紹介したザックの言う「最高のキス」ですが、詳しいことについて、とある
インタビューでザックが答えています。
役に入り込みすぎてフィリップになりきってしまっていたそうで、19世紀中頃の時代
背景として人前でキスをするという行為が今ほど当たり前ではなかったこと、人種間を
超えた恋、そういった諸々の二人の思いを阻害する障害が多々ある中で、遂にすることに
なったキスだったから、というのがザックをして「最高のキス」だと思わしめたそうです。
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コメント
>4、50メートルもの上空
14、5メートルくらいじゃないかな・・・?
まるさん、コメントありがとうございます!
僕もご指摘の通りではないかと思ったのですが、何度インタビューを聞いても「フォーティ、フィフッティ」と聞こえ、「フォーティーン、フィフティーン」と聞こえなかったので、このように記載しました。
もしかするとまるさんのご指摘が正しいのかもしれません。
>4、50メートルもの上空
ひょー、50mって相当な高さですよ。
観覧車のてっぺんくらいです。
で、空中ブランコは一般的に15mくらいです。
イメージしてみてください。
実際の3倍の高さで練習。。。?
言い間違えだとおもうなー。
観覧車さん、コメント、ありがとうございます!
確かにご指摘のとおり、「4、50メートル」はあまりに高すぎますね。
おっしゃるように言い間違えか聞き間違えの可能性が高いと思いますが、一つ気がついたのは「メートル」ではなくてアメリカで使われる「フィート」の間違いでは、ということでした。
これですと「4、50フィート = 12.19メートル ~ 15.24メートル」となり、それほどおかしくない数字になりますので。
パフォーマーのことがもう少し知りたくて、あなたの記事を見つけ、そのまま他の記事も楽しく読ませていただきました。
私はアンの気持ちの演出の部分が手抜きだったとは思いません。それにフィリップの一目惚れも、人種が違おうが、身分が違おうが、するときはすると思います。アンについては、人種差別は感じていても、パフォーマーとしての自信はある程度あっただろうから、フィリップを最初は何とも思っていなかったと思います。でも好意を寄せられていることには気づいていたようなシーンもあるし、差別されてきたのとは逆に好意を寄せられたなら意識もするだろうし、でも歌のとおり無理だとハナから諦めの気持ちもあって、態度には出さないと思います。なので、アンがいつからフィリップを好きになったのかと言われるとアン自身にもはっきりわからないだろうと思うし、たぶん徐々に目が合うたびにとか気持ちが育っていって、空中ブランコではっきり告白されて、でも無理で、火事ではっきり受け入れた、って感じじゃないかと思います。私はこの2人の恋のシーンが障害のある恋の王道でロマンチック過ぎて大好きです。
まりさん、コメント、ありがとうございます!
この記事とともに他の記事も楽しく読んでいただいて、とても嬉しいです。ありがとうございます!
正直にいいますと、「アンの気持ちの部分の演出の手抜き」の下りは、反省しないといけないかも、と思っています。
というのも、最近、映画公開の後のDVDが発売され、ボクも好きな映画なので、購入して何度も見る機会ができました。
見返してみると、アンがフィリップに気がありそうな振る舞いをしているように思えてきたからです。
お恥ずかしい話、女性心理に鈍感で、これまで持ててきた経験もないので、パッと見では気が付かなかったのですが、今から思うとそれなりにシグナルは送っていたのかな、という気になってきました。
アンとしてはその時代背景や人種の差などもあり、いくら気があっても向こうがなんとも思っていなければ、どう仕様もない立場なので、慎重にフィリップの気持ちを確かめる必要があったと思います。
イギリス女王に謁見する前も、PTとフィリップだけでなく、パフォーマー全員が謁見できるのかどうかを確認したりしていますし。
表向きの理由は額面通りでしょうが、裏の理由としてフィリップがパフォーマーに偏見の気持ちを持っていないか、確かめたかったのではないか、と邪推してしまいました。
そして、いざフィリップがアンのことを好きだと態度で示して迫ってきたときに、自分もその思いに正直で痛いけど、社会やフィリップの家族の反応を考えると、やはり恐ろしくなってしまったのだと思います。
まりさんがご指摘のとおり、「障害のある恋の王道」で逆に引き込まれますよね。
ネタも落ちもわかっていながら、いつ二人は一緒になれるのだろうかとハラハラしたり、受け入れたときのハッピーエンドに喜んだり。
この映画は、色々なメッセージが上手く映画の中に取り込まれていて、それらが綺麗にまとまっているし、何より曲がとてもいいので、最近の一番のお気に入りです。