超実写版のライオンキングが公開されました。
1994年のオリジナルアニメから25年の月日を経て、ここ数年、ディズニーが力を入れているディズニー・クラシックの名作の実写映画化をおこなっているプロジェクトの一環です。
これまでの実写映画化では大なり小なり、ストーリーに手を加え、現代風にしたり、矛盾やおかしいところを修正したりしてきていました。
で、この「ライオンキング」は、というとストーリーはほぼ、オリジナルアニメと一緒。
大きく、新たに付け加えられてエピソードなどは見当たりません。
が、注意して一語一句を観察していると、かなりの数の僅かな修正がなされていることに気が付きます。
今回はそんな修正について、特にスカーに対してなされた修正についてまとめてみたいと思います。
スカーの左目の傷跡
ライオンキングの登場キャラクターたちの名前は、ほとんどがスワヒリ語を元ネタにしています。
例えばシンバがライオン、ナラが贈り物、といった形で。
(登場キャラクターたちの名前の意味はこちらをご覧ください)
ところがスカーに関しては、英語の「Scar(傷跡)」が元ネタです。
そしてなぜその名前がついたのかは、ひと目見てわかるほど。
キャラクターデザインで左目に大きな傷跡がついています。
オリジナルアニメではこの傷跡が、どのようにしてついたのかは、語られていませんでした。
が、今回の超実写版において、このスカーの傷跡は、ムファサによってつけられたのではないか、という可能性が出てきたと思うのです。
では、その理由を上げていきましょう。
二度と逆らわない?過去の何があった?
シンバのお披露目式にスカーが出席しなかったことを咎めに来たムファサ。
そこでかわされた二人の会話の中で、
-
スカー「兄さんこそ油断しないように」
ムファサ「それは挑戦か?」
スカー「そんな無茶はしませんよ」
というやり取りがありました。
この「そんな無茶はしませんよ」という会話の原文は、
「I wouldn’t dream of challenging you.」
(あなたにチャレンジしようなんて夢にも思わない)
となっていましたが、超実写版では文の最後に「again」という単語が付け加えられたのです。
つまり
-
「そんな無茶は二度としませんよ」
というふうに修正されたのでした。
このことが示すのは、スカーは少なくとも一度、ムファサに挑んで打ちのめされた事があるという過去です。
そうであれば、スカーの左目の傷跡は、そのとき、ムファサによってつけられたのではないか?、と考えられないでしょうか。
スカーの復讐?
さらにその可能性をより強く想像させる出来事が、超実写版では付け加えられています。
シンバの危機を救うために大暴走しているヌーの中へ飛び込んだムファサ。
なんとか崖にしがみついてよじ登りますが、足場が悪く、今にも落ちてしまいそうになります。
そこにスカーが現れ、助けを乞うムファサを無情にも崖下に突き落としますが、超実写版ではスカーがムファサを殴りつけて突き落とす描写が付け加えられていました。
これは、スカーがムファサによって左目の傷を受けたときの復讐からくる一撃ではなかったか、と考えられます。
スカーの本名
一方で、スカーの本名がタカであることが、広く知られています。
その出どころはというと、1994年のオリジナルアニメ映画が公開された後に、子供向けの6冊のスピンオフ絵本が出版されました。
この6冊の絵本は、シンバとナラの間に生まれた息子コパに関する話でストーリーは進んでいくのですが、1冊目の「A Tales of Two Brothers(二人の兄弟の話)」で、ムファサとスカーの幼い頃の話が登場します。
そこでは、スカーの本名がスワヒリ語でゴミという意味の「タカ」であることが明かされていたのです。
そして、
-
・傷跡は、子供の頃に、ヌーの角によって左目を大きく傷つけられたためにできた。
・更にそれ以来「スカー」と名乗るようになった。
それらのことが紹介されていました。
このシリーズ絵本は、ディズニーが出版したわけではありませんでしたが、発行にあたってきちんとディズニーの監修が入っています。
ということは、ディズニー公認の設定ということになりますが、正式な設定か、というとそこは微妙だと言わざるを得ないでしょう。
特にこの絵本は日本では翻訳出版されておらず、スカーの本名や傷を受けた過去の話は知らない人のほうが多いのではないでしょうか。
また、絵本で登場する設定は、その後ディズニーから発表された続編映画と合わないところもいくつか見受けられます。
ですので、超実写版を作成するにあたって、この絵本のスカーの過去に対する設定は無視され、全く新しい設定がつくられた可能性がある、と思うわけです。
スカーの想い人
スカーがムファアを害した理由の一つに、シンバの母親であるサラビの存在があるらしいことを連想させるセリフが付け加えられていました。
スカーが王となってからサラビとの会話の中で、
-
「自分とムファサのうち、お前はムファサを選んだ。が、今は私が王だ。」
と発言しています。
これは、スカーもサラビに好意を寄せていたものの、サラビはそれには答えず、ムファサを選んだ、という過去があることを示しています。
また、ムファサもスカーがサラビのことについて発言したとき、怒りを発していた描写がありました。
これは、ムファサもスカーがサラビのことを思っていたことを知っているからの嫉妬や不安の現れ、ということになります。
さらに、スカーは王となった後にサラビに対して、はっきりとムファサを忘れてスカーのパートナーになることを要求していました。
おそらくこれは、ずっと欲していたサラビを手に入れようとしたことと、他のライオン、特にメスライオンから本当に支持されていないと感じたスカーが、サラビと結ばれることで、サラビに対して払われていたメスライオン達からの敬意を、スカー自身も払われるのでは、と期待したのだと思います。
ところでオリジナルアニメでは制作時点カットされたエピソードがいくつかあるのですが、その中にはスカーがナラに対して女王になるように要求したシーンが含まれていました。
ナラはその要求を断りますが、スカーはナラを脅して、欲しいものは必ず手に入れる、と宣言します。
このスカーの行動が、ナラがこの後、プライドロックを去って助けを求める旅に出、シンバと再開するという流れになるのでした。
スカーとハイエナは仲間でない?
超実写版とオリジナルアニメで異なっていると思われる点の一つに、スカーとハイエナの関係があります。
オリジナルアニメでは、映画の物語が始まる前から、スカーとハイエナは仲間同士であるように描かれています。
スカーの姿を気がついたシェンジ、バンザイ、エドは、スカーのことを仲間として対応していますし、スカーも三人のために獲物を持ってきていました。
一方で、超実写版では、スカーがハイエナたちの前に姿を表したとき、シェンジはスカーを食い殺してやろうか、と脅しています。
ここから考えられるのは、超実写版では、スカーがハイエナに初めて接触したのは、シンバとナラを捕まえようとして、ムファサに撃退された後、ということになります。
つまり、スカーがシンバを象の墓場に行くように勧めたときには、ハイエナの習性を利用してシンバを亡き者にしようとしただけであり、事前にハイエナにシンバが来たら始末するように命じたわけではないことを示しているのです。
シンバを精神的に追い込んで追放するスカー
スカーがシンバを渓谷におびき寄せ、ムファサともども亡き者にしようとした計画。
結果的にはムファサの尽力でシンバはなんとか生き残ることはできましたが、ムファサは犠牲になってしまいました。
ムファサの死にショックを受けるシンバ。
そのシンバに追い打ちをかけ、プライドランドから自分で姿を消すように差し向けたスカーですが、超実写版ではその精神的追い込みはかなり強く、ひどいものになっていました。
最初渓谷にシンバを誘った際、オリジナルアニメでは見せたいサプライズがある、と言っています。
そして渓谷で待つ間に、ライオンの咆哮ができるように練習していてはどうか、と勧めていました。
一方で、超実写版では最初からライオンの咆哮の練習のために、と渓谷に誘い出しています。
しかもその際、ムファサのことを持ち出し、ムファサも子供の頃にここで練習をした、と付け加えていました。
おそらくそうすることで、シンバにヌーの暴走がシンバの咆哮の練習のために引き起こされた事故だったと信じさせたかったのかと思います。
さらにムファサのことを持ち出すことで、余計に自己責任を感じるように暗示したのでしょう。
追い打ちをかけるように、スカーは、動かなくなったムファサのもとで大きなショックと悲しみに襲われているシンバにささやきます。
-
「ムファサはどれだけシンバに期待をかけ、愛情を注いでいたか…。そんな父親に対する仕打ちがこれなのか…。」
と。
しかもスカーはシンバに面と向かって「父の死の原因となった息子、王を殺した子供」とまで言い放ちます。
果たしてシンバの年齢は、どれくらいなのかはわかりませんが、人間の年齢で10歳にも達していないのではないでしょうか。
そんな年齢の子供がここまで追い込まれてしまっては、必ず大きなトラウマになるでしょう。
それを思うと、よくシンバは故郷に帰ってきたと感心してしまいます。
ムファサとスカーは兄弟?オリジナルアニメからの修正
オリジナルアニメの公開から長い間、ファンの間ではこの疑問が議論されてきました。
というのも、スカーはシンバのお披露目に出席しなかったスカーを咎めに来たときの会話の続きで、この様に発言していたからでした。
-
「知恵比べなら俺の勝ちだが-、」
「ちから勝負となると…」
「兄さんにかなうわけないでしょ。」
この「兄さんにかなうわけないでしょ。」の原文は、
-
「I’m afraid I’m at the shallow end of the gene pool.」
となり、これを訳すると、
-
「残念ながら弱い遺伝子を受け継いだようだ。」
となります。
つまり「弱い遺伝子」がムファサと同じ親から来たものではないのでは、と考える人達がいたわけなのです。
しかもムファサとスカーの姿形はとても兄弟とは思えないほど、異なっています。
とはいえ、実際の兄弟でもまったく似ていない事はありえますが。
この議論が大きくなった結果、制作スタッフがコメントを出すまでに至りました。
2017年、プロデューサーの一人、ドン・ハーンはインタビューで、
-
「ムファサとスカーが血のつながった兄弟ではないという設定の可能性を最後の最後まで残しておいた。」
と語ったのです。
ファンの間では大きな話題となり、ムファサとスカーは本当の兄弟ではなかったんだ、という声が大きくなりました。
が、その数週間後、監督であるロブ・ミンコフが、やはりインタビューでムファサとスカーは血のつながった兄弟である、とはっきりコメントしたのでした。
これによってこの議論は結論を迎え、ムファサとスカーは実の兄弟である、という結果になったのでした。
超実写版ではこのような誤解が続かないように、「I’m afraid I’m at the shallow end of the gene pool.」というスカーのセリフは完全にカットされています。
そのかわりに、
「I’m afraid my big brother will always rule.」
(残念ながら兄さんがいつも勝ってしまうようだ。)
というセリフが付け加えられ、「兄さん」という意味の「Big brother」という言葉がはっきりとスカーの口から発せられたのでした。
さらにもう一シーン、ムファサとスカーが実の兄弟であることを示唆するセリフが、シンバの口から発せられています。
最後、シンバとスカーが決闘を始める寸前、スカーがシンバに、
-
「ムファサを殺したのは自分だ」
と打ち明けます。
そのリアクションとして、オリジナルアニメではなかったシンバのセリフ、
-
「実の兄を…、どうして?」
が、付け加えられました。
これによって、シンバもスカーを血のつながった叔父として理解していたことになり、スカーのムファサに対して行った所業がいかに非人道的であったかを、より強く印象付けられたのでした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ディズニー・ヴィランズとして1位、2位を争う人気を誇るスカー。
そのスカーが、いかに魅力的な悪役になったのか、彼の過去に思いを馳せる手がかりとなるエピソードが散りばめられていました。
スターウォーズでもダース・ベイダーに大きな人気があり、エピソード1~3は、どうやってダース・ベイダーが誕生したのかがわかるストーリーになっています。
ライオンキングもスカーがどうして実の兄を手に掛けるまでになったか、その過去を紐解くスピンオフを作成してみるのもいいのでは、と期待してしまいます。
超実写版ではスカーだけでなく、オリジナルアニメで見つけられるいくつかの間違いがきちんと修正されています。
そちらに関する記事は、こちらで紹介していますので、よろしければ、ご覧ください。
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