「超実写版」でライオンキングが25年ぶりに戻ってきました。
実写版と見間違うほどの完璧なCG描写で、アフリカで本物の動物を使って撮影したのか?と疑ってしまうほど。
一方でストーリーはオリジナルアニメとほとんど一緒。
実写版「アラジン」のような現代風にアレンジしたり、キャラクターの深みを増すような新しいストーリーは全くと言っていいほど、ありませんでした。
そんな中で、ふと疑問が浮かんできました。
それは、
なぜメスライオンたちは、シンバが生きて戻ってくるまでスカーに反抗しようとはしなかったのか?
です。
今回はその謎について、考察してみることにしましょう。
ライオンキングでのスカーの行動と雌ライオンたちの行動の疑問点
まずはストーリーのおさらいをし、それに付随して感じた雌ライオンたちがなぜ反抗しないのか、などの疑問点を挙げていきたいと思います。
状況のおさらい
この記事を読まれている方は、すでにライオンキングストーリーに精通しているでしょうから、必要がないかもしれませんが、一応状況をおさらいしておきたいと思います。
プライド・ランドをムファサが王として治めていました。
彼の弟、スカーは弟という立場であったため、第2王位継承権を持っていますが、シンバが生まれたため、継承権は3位に下がってしまいます。
つまりスカーが王になるためには、ムファサとシンバが亡くなる必要があったわけです。
そこで、ハイエナと組んであのヌーの暴走を起こさせ、ムファサを亡き者にし、シンバを、二度とプライドランドに戻れないように精神的に追い詰めて、逃亡させました。
その後、プライド・ロックのライオンたちには、自分が助けを求めている間にムファサとシンバが死んだと伝え、王位継承権によって、王となります。
そして、プライドランドにハイエナを招き入れるという、新しい方針を打ち出したのでした。
その結果はというと、ハイエナたちのサークル・オブ・ライフのバランスを無視した狩猟によって、プライドランドは不毛の地へと変わっていきます。
ついにはシンバの母親で女王でもあるサラビが、このままプライドランドに残っていては全員餓死するだけだとし、プライドランドから他の土地に移る必要性をスカーに進言するのでした。
ライオンたちが反抗しない、などの気になる疑問点
さて、状況を時系列的に見ていきましたが、ここでいくつかの疑問点が出てきます。
まず第一にハイエナたちが狩猟を繰り返したために、プライドランドが不毛の地へと変わった点。
たしかに、それまでのバランスが崩れ、ハイエナたちが草食動物をそれまで以上に狩猟によって殺してしまっては、不毛の地へと変わっていくことは理解できます。
しかし、その場合、草食動物が少なくなるため、それらが餌にしている植物は増えるはずです。
ところが映画を見ると、草食動物たちがいなくなるととともに、植物も枯れ果てて、薄暗い不毛の地となっているのです。
まるで干ばつが襲って雨がふらず、そのせいで草木が枯れたように。
こうなると、植物を餌にしている草食動物たちも食べるものが亡くなるので、餓死してしまいます。
そしてその草食動物を餌にしている肉食動物も、餌がなくなって死んでしまう、という流れになるでしょう。
しかし、映画内でははっきりとハイエナのバランスを無視した狩猟によって、プライドランドが不毛の地となりつつある、とナラは発言しています。
たしかに、スカーが王になったから干ばつがやってきたわけではないでしょうから、ムファサがそのまま生きていたとしても、同じことが起こった可能性が高いと言わざるを得ません。
そうであれば、プライドランドが不毛の地となった原因がスカーやハイエナたちにある、という結論を出すのは、間違いであった、と思うのですが。
ライオンキングにまつわるいくつかの都市伝説では、正当な王であるムファサは天候を安定させる能力を持っていたが、簒奪で王位を奪ったスカーは正当な王ではないので、悪天候を招いた、というのがあるくらいです。
真実はさておき、この疑問に対する答えは、超常現象的な、正当な王が天候を安定させる、というような説明ででしか、納得が行くような答えは出てきません。
というわけで、この疑問に対してはスカーの運が悪かった、くらいの考察しか僕には出せないのが、本音です。
続いて第二の疑問。
自分たちの生まれ故郷であるプライドランドが日に日に生態系バランスが壊されていき、不毛な地へと変わりつつあるのに、メスライオンたちはなぜ、スカーに対して意見をしたり、反抗したりしようとはしなかったのでしょうか?
とくに映画を見ている限り、ライオンたちはスカーのことを嫌っているように感じ取れます。
皆に嫌われている新しい王が、ハイエナを招き入れるという、それまでのしきたりにはまったくなかった新しいことを始め、その結果、生まれ故郷の生態系バランスが壊されていく。
明らかにスカーのせいで、生まれ故郷が破壊されているわけです。
ですが、ライオンたちは反抗する素振りを見せないどころか、サラビが他の土地に移動しようと意見するまで、スカーに対してなんの文句も言っていないようなのです。
さらに、超実写版では、ナラは密かにプライド・ロックを抜け出して、助けを求めに生きましたが、オリジナルアニメではそのような描写もなく、ナラがシンバと再会したのは、ナラが獲物を求めて遠出した結果でした。
つまり、スカーを見限って自分たちだけでプライドランドからどこかへ移るという行動すら選択肢にないのです。
これは一体なぜなのでしょうか?
スカーに反抗しないライオンたちの理由
では、なぜライオンたちが最後の最後までスカーに対して反抗をしなかったのか?
この疑問に対する答えを考察していきたいと思います。
ライオンが無意識に従う掟「サークル・オブ・ライフ」
視聴者である我々はスカーがムファサを殺してシンバを追放したことを知っています。
ですので、スカーは完全な悪者なのですが、ライオンたちはムファサとシンバが事故で死んでしまったとしか信じていません。
そうなると、たとえどんなに個人的に嫌っていてもスカーが正当な王位継承権を持つため、彼が王になることに異を唱えるわけにはいかないでしょう。
そして王となった以上、どんなにスカーの方針が気に入らないとしても、プライドランドで生きていくためには、スカーが示す新しいルールに従わざるを得ないのです。
これは死がサークル・オブ・ライフの一部として誰しも避けられない以上、ムファサが亡くなったからにはムファサの統治方針は過去のものとして、次の治世に順応していかないといけない、ということになると思うのです。
つまり、サークル・オブ・ライフは死んでもなお、他の物のための栄養素となるという役割があるわけで、死んだ後も生きているもののために役に立たなくてはならないとも言えると思います。
統治に関していえば、死んだ後、生きているものの役に立つためには、生きているものがどう捉えるか、ということになります。
統治者という立場であれば、亡くなった統治者の統治方法を参考にします。
非統治者はというと、亡くなった統治者の統治方法と比べて、不平不満を言わない、ということになるのではないでしょうか。
こういう考えは今現在を生きる我々には、理解しにくいと思います。
が、大自然の中、それまでの祖先が築いてきた伝統を守って生きていくためには、この方法が大前提になるのではないか、と思うのです。
祖先からの土地を守ることが第一
プライドランドにすむライオンは、プライドランドが祖先から受け継いだ大切な土地です。
そこの中で、今後も子孫を残して反映していくには、ある一定のルールを作り出さないといけません。
そしてそのルールとは、王の命令が絶対、というものだったわけです。
映画には含まれていませんが、ライオンキングのミュージカルにはナラがプライドランドの荒廃を憂いて助けを求めに行くという下りがあります。
これが、超実写版でナラがプライド・ロックを抜け出すシーンを付け加えるというアイデアの素になっているのですが、ミュージカルの中ではプライドランドをさろうとするナラにラフィキとメスライオンたちが旅の安全と成功を祈るために歌を歌います。
この曲は「Shadowland(シャドウランド)」という題名ですが、その中にこんなスワヒリ語のフレーズが出てきます。
「FASTHE LESO LEA HALALELA」
その意味は、というと、
「祖先から受け継いだ土地は神聖」
です。
つまり、プライドランドのライオンたちにとって祖先から受け継いだプライドランドは、彼らのアイデンティティの中で中核を占めるものであり、そのプライドランドから別の土地に移り住む、という選択肢はよっぽどのことがない限り、ありえないわけです。
だからこそ、プライドランドを救うためにナラは助けを求めに旅立ってしまうわけです。
が、オリジナルアニメのカットシーンやミュージカルの中には含まれている逸話も、ナラがプライドランドを離れる決断をするきっかけになっていました。
それは、スカーがナラを妻として迎えようと命じた、からです。
超実写版では、スカーはシンバの母親であるサラビとの間に何やらそっち系の逸話があることを感じ取れるセリフを吐いてはいますが。
劇団四季が演じたミュージカル・ライオンキングの「Shadowland(シャドウランド)」の動画を紹介しておきます。
曲の初めにコーラスで入っているのが「FASTHE LESO LEA HALALELA」となります。
また、ブロードウェイで公演されていたミュージカル・ライオンキングのオリジナルキャストによる動画もありましたので、紹介しておきます。
話が少しそれましたので、もとに戻しましょう。
プライドランドのライオンたちにとって、最も大切なことは、プライドランドで暮らしていくことであり、そのためにいちばん重要なことは、基本的には王の命令には絶対服従という、祖先からの伝統だったのです。
だからこそ、スカーがプライドランドを破滅に導いていると感じても、ナラ以外のライオンはプライドランドを出るという選択肢を選びませんでしたし、スカーに反抗することもしなかったのでした。
スカーに対して反抗を決断させたのは
そうした行動原則を持っていたライオンがついにスカーに反旗を翻しました。
その理由は「実はシンバが生きていた」ですが、実はそれだけではありません。
シンバが現れたからといって、ライオンたちはすぐにスカーに反抗したわけではありませんでした。
もちろんなぜシンバが生きていて、どうして今まで帰ってこなかったのか、を知りたがったこともありましたが、それは、シンバが現れてもスカーが王であるという現実が明確に変化したわけではなかったから、だと思うのです。
その後の会話で、シンバのせいでムファサが死んだというストーリーを聞かされたメスライオンにとっては、詳しいことを聞いていないこともあり、第一位王位継承権をもつシンバが、王という立場を簒奪するためにムファサを亡き者にした、という可能性が出てきました。
そうなるとシンバの王位継承権は無効となり、スカーが王のままということになります。
こうやって見てみると、メスライオンにとって王の命令が絶対で、自分たちが嫌っているスカーであっても、彼が正当な王であれば、スカーの命令を聞かなくてはならない、と感じていると思うのです。
もしかすると認識をせずに、無意識の中で盲目的に彼らの伝統に従っているだけなのかもしれません。
が、その後、スカーの口から彼がムファサを殺したことが白状されるに及んで、誰が正当な王であるかが、はっきりします。
それを合図に、ハイエナたちとの戦闘を開始し、プライドランドを奪い返すのでした。
まとめ
ライオンたちがスカーに対して反抗の行動を起こすまで、かなり時間がかかっていますが、その背景は、このような事情があったのではないか、と考察します。
現代を生きる我々にとってみると、ライオンたちがとった行動原理は、非常に非現代的で、はるか昔の考え方に支配されているように思えます。
それもあって、実写版「アラジン」のように、現代の考え方に沿うような行動をするように、改善することはできなかったのかな?と思わずにいられません。
ただ、「アラジン」と違って、この変更はプロッドをすべて変えてしまい、話をぶち壊す程のインパクトがあるものでもあります。
下手に手を出して作品全体をめちゃくちゃにしてしまうより、オリジナルアニメに忠実なストーリーにして、完全リメイクとして売り出したほうが、冒険はなかったでしょう。
それもあって、現実的な描写にこだわったような気がします。
皆さんはどの様に感じましたか?
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