ディズニー&ピクサー映画の新作「リメンバー・ミー」は、期待通りの感動的なアニメーションでした。
初めて取り扱ったメキシコの文化をメインストーリーに、とてもカラフルで幻想的な世界を見事にスクリーンに映し出しています。
でも、そのストーリーで後からよく考えると、あれ?、と思う部分がいくつかあることに気が付きました。
今回はそのうちの一つ、「ヘクターが持っていた写真」の謎について考察したいと思います。
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死者の国に物を持っていけるのか?
「ヘクターが持っていた写真」の謎について最初にはっきりさせておかないといけないのは、死者の国に現世の物品を持ち込めるのか?ということでしょう。
「リメンバー・ミー」が描いているメキシコの文化では、亡くなった人は死者の国で骸骨姿になって生きていることになっています。
映画の描写から、死者の国にいる骸骨も、服装を着て、メガネや帽子などをかけていたりしていることがわかりますね。
これはおそらく、埋葬されたときに、一緒に棺桶に入れられた物を所有物として持っていけるのではないか、と考えられると思います。
あと、死者の日に現世に戻ってきて、お墓や祭壇に飾られている物を持って帰るような描写もあり、死んでからもお供え物は手に入れられるようです。
また、エンディングでギターを引くミゲルからヘクターがギターをコピー(?)して受け取り、演奏するシーンがありますので、ある程度、死者の意思で死者の国に物を持って帰ってくることは可能のようです。
国境(?)でも死者の国に帰ってきた際に持ってきたものの申請を行う決まりになっているようですし、それほど珍しい行為ではない、と考えられます。
結論として死者の国に現世の物品を持ち込むことは可能ということになりますね。
ヘクターが持っていた写真の出処は?
ところがヘクターが持っていた自身の写真、ミゲルに渡して祭壇に飾ってもらおうとした写真ですが、あれはどこから手に入れたのでしょうか?
自分で持ってきた説
最初に考えるべきは、ヘクターが死んだ時に写真を持っていて一緒に持ってきた、という可能性です。
ヘクターの死はエルネスト・デラクルスによる毒殺で、ヘクターが亡くなった後、エルネストがヘクターの死体をどう処理したかは、描写がありません。
とはいえ、エルネストは犯罪を犯したわけですし、ヘクターの死体をそのままにしておく可能性は低いと思います。
エルネストが亡くなったのが1942年ですので、おそらくヘクターの死は遅くてもその数年前だと思われます。
つまり、1940年前後。
たとえ昔であっても不審死体があれば警察の調査が行われないわけはないでしょう。
であれば、死体に工作をして浮浪者の野垂れ死にのような偽装をしたと考えたほうが普通です。
その際、ヘクターが持っていた荷物はエルネストが全て奪ったでしょうし、マリアッチの衣装ではおかしいので、ボロい服に着替えさせたと考えられます。
だいたい、エルネストの目的はヘクターの作詞作曲した歌を奪うことでしたので、彼の荷物をそのままにしていくわけがありませんし。
ヘクターのような結婚して子供のいる男性が自分だけが写った写真を持ち歩いているほうが不思議です。
これが家族と一緒に写った写真なら納得いきますが、そんな写真を身につけたまま死体としてエルネストが遺棄するとは思えません。
また、現に家族に通報がなかったところをみると、ヘクターと家族をつなぐ手がかりが死体に残されてなかったとするほうが自然です。
結論としてヘクターは写真を自分自身で持ってこなかった、ということになります。
自分で取ってきた説
続いての可能性はヘクターが現世に戻って取ってきた、という可能性ですが、こちらも不可能でしょう。
というのも、ヘクターの写真が祭壇に飾られていないため、現世に戻ることが出来ないでいるからです。
戻れない以上、持っても来れない、と結論づいてしまいます。
ファンに死者の国でもらった説
次に可能性としてあるのは、死者の国で誰かからもらった可能性です。
しかしヘクターが亡くなったときには彼は無名の音楽家で、ファンがいたとは思えません。
とくにエルネストが、ヘクターが亡くなった後、全国的に大人気の歌手になれたという事実があります。
もしヘクターのことが少しでも知られていたのであれば、あそこまで成功する前にエルネストの歌はヘクターのものでは、ということを言い出す声があってもおかしくないのではないでしょうか?
今ほど情報拡散技術が発展していないので、ヘクターと彼の歌を知っているファンがいたとしても難しいのかもしれませんが。
とはいえ、写真の構図から着ている服は普段着のようにラフですし、ファン向けのブロマイドだったのなら、正装しているほうが自然だと思います。
ですので、死者の国からファンによって渡されたという線も、可能性は低いと言わざるを得ないでしょう。
家族メンバーから渡された説
となると最後に残る、家族から渡してもらったという可能性を考えてみたいと思います。
家族からと言ってもヘクターの写真がリヴェラ家に残っていた可能性は殆どないと言えるでしょう。
イメルダとエレナの家庭教育がよく行き届いていて音楽は禁止。
誰一人、イメルダの夫の顔は愚か名前までがなんであったかも伝わっていません。
そんな家庭にヘクターの写真が残っているでしょうか?
ココですら、自分の部屋に置いた手帳の中に隠し持っていたくらいですから、死んだ家族が写真を死者の国にもってきてヘクターに渡したという説はかなり信憑性が低いでしょう。
では、ヘクターが死者の国で自身の写真を持っていることはありえないことだったのでしょうか?
唯一の可能性、それは…
唯一考えられ、しかもかなりの可能性がある説が残されていました。
それはイメルダから渡された、です!
イメルダのヘクターに対する言動は、未だに怒っていてヘクターを許すことができていません。
しかし、あの怒りはヘクターに対する強い愛情の裏返しとも取れるわけです。
家族を捨てて出ていったヘクター。
その後、何の音信もなく、ついには二度と会うことが出来ずに死んでしまうことになります。
それでも強く愛していた、そして家族を捨てたことに怒っていたイメルダは死ぬ時にひそかにヘクターの写真を見に付けていた、と考えることは不自然ではないと思います。
こうしてヘクターの写真は死者の国に持ってこられました。
その後どうなったのでしょうか?
イメルダとヘクターの再会シーンを見ると、このときが初めて再会したのではないことが会話から読み取れます。
おそらく死者の国ではるか以前に二人は再会していたと思われます。
そして再会するとイメルダは愛しいよりも今までの寂しさからくる怒りのほうが強くなってしまい、ヘクターの言葉もろくに聞かず、「あなたの顔など二度と見たくない!」と三行半を突きつけたことは想像に難くありません。
ヘクターも調子のいいところがあるのは、映画でもわかります。
ですから、真剣に謝らず、罪悪感の照れ隠しという気持ちもあって、なんとかごまかそうとイメルダに言い寄った可能性は否定出来ないと思います。
その結果、イメルダはヘクターに密かに持っていた写真を投げつけ、ヘクターを叩き出した、というストーリーが想像できるのでしあt。
まとめ
いかがでしょうか?
イメルダが密かに隠し持っていたヘクターの写真を、再会したときの怒りに任せて投げつけたことで、ヘクターが自分の写真を持つことができるようになった。
それなりに説得力が出る説に落ち着いたと思います。
それはさておき、1940年前後の写真撮影はいくらくらいだったのでしょうか?
写真がそれなりに普及していたとは思いますが、今ほど気軽に撮影できるものではなかったと思います。
特別な状況でしか写せない代物だったことは簡単に想像できますが、そうであれば、あのヘクターの写真の構図は、一体どういったシチュエーションで映されたものだったのでしょうか?
新たな謎が生まれてしまいました。
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コメント
ヘクターの死について、家族への通報は無かったと記述されていますが、
映画開始のミゲルの語りで、
遠くに出かけた旦那は棺桶になって帰ってきた、というような描写があったと思います。
(他のコメントの見方が分からないので、既出でしたらすみません)
リートさん、コメント、ありがとうございます!
ご指摘を受けて見返したのですが、そのような描写は見つけられませんでした。
北米で販売されているブルーレイでの確認でしたので、もしかすると日本向けと内容が違うのかもしれませんが。
もしそうであれば、教えてくださいね。