実写版ライオン・キングのネタバレと感想!良かったところと悪かったところ

映画

ディズニーが昨年より推し進めているディズニー・クラシックの名作の実写版化。

今回はついに、アニメーション映画でいまだ破られることのない記録をいくつも保持している大ヒット作品「ライオンキング」の登場です。
(ライオンキングの記録の詳細はこちらをご覧ください。)

個人的にもとても気に入っている「アラジン」の出来が良かっただけに、「ライオンキング」にも期待が高まるのですが、ただ、「ライオンキング」はこれまで実写化された他のディズニーアニメと異なり、まったく人間が登場しない、という作品です。

これが実写化に対して吉と出るのか凶と出るのか?

実際に視聴した感想を紹介したいと思います。







予告動画はこちら

簡単なあらすじとキャストの紹介

アフリカの雄大な自然を背景にライオンの王子シンバの成長と冒険を描いたディズニー・アニメの名作「ライオン・キング」を、「ジャングル・ブック」のジョン・ファブロー監督が、フルCGで新たに映画化。

アフリカの広大なサバンナで、動物たちの王であるライオンのムファサの子として生まれたシンバは、いつか父のような偉大な王になることを夢見ながら成長していく。

しかし、ある時、王位を狙う叔父スカーの策略によって父の命を奪われ、シンバ自身もサバンナを追われてしまう。

やがてたどりついた緑豊かなジャングルで、イボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンといった新たな仲間との出会いを得たシンバは、過去を忘れて穏やかに時を過ごしていく。

一方、スカーが支配するサバンナは次第に荒れ果て、存続の危機が迫っていた。

シンバの声を、グラミー賞を受賞したラッパーとしても活躍するドナルド・グローバーが担当し、ジンバの幼なじみナラ役をビヨンセが担当。

2人が新たに歌唱に参加した、エルトン・ジョンによる「愛を感じて」ほか、「サークル・オブ・ライフ」「ハクナ・マタタ」など名曲の数々がスクリーンを彩る。

シンバ(大人): ドナルド・グローバー

ナラ(大人): ビヨンセ

ムファサ: ジェームズ・アール・ジョーンズ

プンヴァ: セス・ローゲン

ティモン: ビリー・アイクナー

引用「映画ドットコム




映画を見た感想・良くも悪くもオリジナルを忠実に再現

ディズニーが推し進めているディズニー・クラシックスの名作の実写化。

実際に賛否両論があり、とくに反対派の意見として、新しくストーリーを作ろうとせず、安易に多くの視聴者を集めるための集客目的だけの方法だ、というものがあります。

それでも僕は、とくにライオンキングの前に公開された実写化作品「アラジン」のできには満足しており、歴史的考証には反するものの、ジャスミンが昔ながらの白馬の王子様を待つだけの典型的なプリンセスから、現代的な自立を目指す女性として描かれているのには好感が持てました。


で、「ライオンキング」なんですが、正直、予告編映像を見たときから不安を感じてしまったのです。

予告編映像から感じたのはディスカバリーチャンネルなどで見ることのできるドキュメンタリーのような印象でした。

オリジナルアニメを見たときに感じたものとはまったく違うものです。

はたしてこれはいい方向に行くのか?
映画を見て、実写化してよかったと感じるのか?
余計なことをして、と感じるのか?

そんな不安がよぎったのです。


果たして映画を見てみると、その嫌な予感は的中してしまったと感じました

確かに映像は素晴らしいです。

本当に動物たちを使ってアフリカで撮影したのか、と勘違いするほどの出来栄えでした。


が、それは映像だけの美しさ。

それだけでは2時間も見ていられるものではありません。

やはり映画である以上、ストーリーや登場人物の魅力が無いと厳しいものがあります

これは、と思う悪かったところをネタバレ込みで

で、そのストーリーですが、オリジナルアニメの実写化というわけですから、基本的にすでにストーリーがどうなるかは、ほとんどの人が知っています。

オリジナルとは違う展開はありえませんので、驚きのどんでん返し、なんてものは存在しません。

正直ネタバレ、というような、まだ見ていない人に教えたくなる秘密はこれっぽっちも無いのです。

となると、登場人物の魅力、実写版「アラジン」でいえばより個性を視聴者に感じやすくなったジャスミンという事になるのですが…。

動物メインのキャラクターによる実写化でリアリティを追求したことが、逆に難しい足かせとなってしまったような気がしました

というのも、アニメでは許される、人間のように顔の表情でその時の感情がわかる、という手法が使えなくなってしまったためです。

どれだけ声優が感情を込めてセリフを話していても、というよりは逆に感情を込めてセリフを話せば話すほど、その感情を感じ取れない動物の表情とのギャップが広がってしまい、とても不自然に感じてしまうのでした。


とはいえ、一つだけネタバレ的な情報があります。

それは、より深く映画を見ていると、特にスカーのキャラクター像に深みをもたせようとしたのでしょう、オリジナルでははっきりと明確に表現していなかった事、特にスカーの過去に何があったのかに想像を巡らせることのできる、台詞回しがいくつも組み込まれていることです。

このスカーのオリジナルアニメからの改善点のまとめはこちらで紹介していますので、よろしければご覧ください。


さて、ストーリーに関して、忠実に再現していると言いました。

特にオープニングはオリジナルアニメとまったく同じコマ割り。

リアリティをとことんまで追求したと思われる内容なのに、わざわざアフリカにはいないはずのハキリアリもそのまま登場させているくらいです
(オリジナルアニメで見られる間違いとその修正についてはこちらをご覧ください)


そこまでオリジナルにリスペクトしているわけですが、何十種類という動物が一堂に会し、シンバのお披露目をお祝いするシーンを実写並のCG映像で見せてくれるので、そこはとても圧巻です。

ただ、あのオープニングのシーンでも、オリジナルアニメでは見られたドヤ顔のムファサとシンバのお披露目を自分のことのように喜んでいるラフィキの笑顔が見られません。

そのせいでしょう、二人は本当に嬉しいと思っているのか、と疑ってしまっていた自分に気づき、逆に驚かされたのを覚えています。




もっと掘り下げてほしかった変更点

動物たちの表情で、キャラクターの心情を伝えられない以上、なんとしてもセリフでそれを伝えるしか、他に方法はありません。

ただ、先にも言いましたが、無表情なキャラの熱いセリフは、ともすると見ている方をしらけさせるというか、今ひとつ感情移入が難しかったと思いました。

一方で唯一成功したのでは、と感じたのはティモンとプンヴァの掛け合い。

これは無表情だからこそ、面白いことを言うことで、自分は冗談を言っているつもりじゃないのに、実は冗談としか取れないというシチュエーションを作り上げて、よりおかしく見えました。

特に、ティモンの声優を演じたビリー・アイクナーやプンヴァの声優を演じたセス・ローゲンともにコメディアンですので、そこらへんの呼吸はお手の物という感じ。

お見事と言う他ありませんでした。


今回のCG版「ライオンキング」で少しだけナラにスポットがあたっていたように感じました

オリジナルアニメではなかった手に汗握るプライド・ロックを抜け出すシーンや、スカーとの決闘の前にはっきりとシンバの味方であることを宣言したシーンなど。

ただ、それだけだったのが、少し残念に感じました。

どうしても比べてしまうのですが、実写版「アラジン」でジャスミンが一人の人間としての深みを増した演出が豊富に含まれていただけに、同じことをナラに対しても出来なかったのかな?と思ってしまったのです。

ジャスミンとナラの立場の違いを考えると、ジャスミンのほうが話を膨らましやすい設定であったことは否定しません。

逆にナラの立場だと、どのようなストーリーを付け加えることができるのか、ちょっと考えてもすぐには出てきませんので。

とはいえ、せっかくなので、そこの部分を広げて見せるなり、ナラでだめならスカーの過去の話などを加えてみせ、全く新しいシーンを映画に加えてみるのもアイデアだったのではないでしょうか。

実写版(ではなくCG版)の良かったところ

とまぁ、あまり実写版(ではなくCG版)の悪口ばかりでは申し訳ないので、良かったところをあげていきたいと思います。

やはり映像の美しさは、素晴らしいものがあります

サバンナやジャングルの描き方は、実際に現場に行って撮影したのではないか、と思われるほどで、あの美しさを手書きで表現するのは、並大抵のものではないでしょう。

背景ですので、あまり気にもならないとは思いますが、背景の美しさ、リアルさに注目してオリジナルと見比べれば、その違いはとんでもなく大きな差があることに気がつくと思います。


またリアリズムを追求しているため、登場する動物の描写はほぼ完璧。

アフリカにしか生息しない不可思議な動物たちをものの見事に描ききっています


もう一つ挙げるのであれば、声優たちのパフォーマンスでしょう。

キャラクターの動物たちに表情がないのを、一所懸命補おうとしていますし、その声だけに集中すると、キャラクターの心情が強く伝わってきます。


最後に上げておきたいのは映画内で搭乗する曲。
25年の歳月が過ぎていますので、それに見合ったアップデートがなされていて、聴き応えがありました。

新曲も2曲含まれていますので、そちらも良かったです。


最後に、赤ん坊シンバの可愛さ

これは実写版ならではのクオリティで、だめとはわかっていながらも、思わずペットにほしい、と思ってしまうほどの愛くるしさでした。

思わず、抱っこして頬ずりしてみたい欲求にかられてしまいます。

まとめ

実写に限りなく近いCG版「ライオンキング」

なかなか厳しい感想ばかりが並び、最後の良かったところも、無理やりあげた感が感じられなくもないのですが…。

正直に言って、僕個人の感想は、そこまで良かったとは思わなかった、です。

例えば「美女と野獣」を見たときは、久しぶりにオリジナルを見たくなって見ましたし、DVDが発売されたら、すぐ購入しました。

また「アラジン」も一度だけでは飽き足らず、すぐに2度めを見に行ってしまいました。
こちらもDVDが発売されたら購入するでしょう。

で、「ライオンキング」は、というと、オリジナルアニメでいいかな、というのが、本音です。

おそらくDVDも購入することはないでしょう。

良くも悪くもオリジナルと一緒で、高評価の人も低評価の人も、同じ理由でその評価をしている気がします

つまり高評価の人は、

「あの美しいライオンキングの世界を実写のような現実的な世界で見ることが出来た」

ですし、逆に低評価の人は、

「映像はきれいだけど、オリジナルと何が違うの?」

というわけです。

ということは、オリジナルがあっての作品であり、単体の作品としては目新しいことはそうそうない、という事になるのではないでしょうか。

皆さんはどの様に感じましたか?

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