映画ダンケルクの戦闘機スピットファイアは本物?ドイツ軍戦闘機&爆撃機の種類は?

映画

映画「ダンケルク」は第二次世界大戦の初期、ドイツの電撃的なフランス侵攻の成功によって
包囲され、イギリス海峡に面する港町ダンケルクに孤立した連合国軍の救出作戦の有様を
迫力ある映像と音で映画化した作品です。

その撤退作戦でイギリス空軍が大きな役割を果たした結果、奇跡とまで言われるほど
見事に完了することができ、この成功がやがてイギリスがドイツに反攻していくこと
につながっていくのです。

映画の撮影には監督クリストファー・ノーラン氏のこだわりで、本物の飛行機を使って
行われています。
そのため、3機のスピットファイアが繰り広げる空中戦の撮影はとても
難しかったそうですが、実物を使用して撮影を繰り返し、見事にスクリーン上に第二次
世界大戦時の空中戦を蘇らせました。

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スピットファイアは撮影用に購入?かつてブラピも購入したことがある。

イギリスの戦闘機は有名なスピットファイア。ドイツとのイギリス制空権争いで活躍した
名機です。
イギリスはこのスピットファイアの他にハリケーンと呼ばれる戦闘機がありますが、
映画ではピーターの会話の中に名前が出てくるだけで、ハリケーンがスクリーン上に
映し出されることはありません。

スピットファイアは格闘能力に優れた戦闘機でドイツの戦闘機メッサーシュミットと
戦う際には、格闘戦に入るとかなり有利に空中戦を繰り広げる事ができました。

ちなみに第二次世界大戦中で空中格闘戦No.1は日本の零戦でしょうが、マレーシア戦線や
ビルマ戦線、オーストラリア戦線で零戦とスピットファイアが空戦を繰り広げたことが
あります。

結果は撃墜数の対比でみても零戦が圧倒的に勝っていました。
たとえはオーストラリアでは零戦が長時間飛行でやってきたところを、レーダーで補足し
待ち伏せ迎撃するという状況であったにも関わらず、零戦5機喪失に対し、スピットファイアの
喪失数は42機であったという戦闘もあったほどです。

映画では撮影に先立ち、監督が実際にスピットファイアに乗り込んで、どんな感じで
コックピットから景色が見られるのか、コックピット内での絵はどうしたら良いのか
などを確認するところから始めたそうです。

そして、スピットファイアに似た飛行機を購入してきて、翼の上にカメラを設置したり、
パイロット越しに計器を映し出したりといろいろ試したそうです。

そうすることで戦闘機による空中戦のシーンでは一切CGを使用することなく、仕上げたと
いうほどのこだわりでした。

しかし、そこで気になるのは第二次世界大戦中の戦闘機であるスピットファイアが未だに
乗り込んで飛べるような状態にあること、ではないでしょうか。

2013年の話ですが、第二次世界大戦のドラマに出演していたブラッド・ピットは、その時の
撮影でスピットファイアがとても気に入ってしまい、その当時で330万ドルでスピットファイア
を購入した、というニュースが有りました。

つまり、いまでも第二次世界大戦中の戦闘機を買い取って所有することができる、という
事になります。

このブラッド・ピットのニュースでは操縦するための訓練も受けた、と伝えている所から
購入したスピットファイアは飛行可能な機体ではないかと、言われています。

もちろん、観賞用の戦闘機もあるでしょうが、まだ飛ぶことのできる機体が残っている
事自体、驚いてしまいます。
ある意味、戦勝国ならではの事例かもしれません。
調べてみましたが、やはり負けた日本には飛行可能な零戦は皆無とのことで、負けたことで
戦後の占領時代に破棄させられたこともそれに関係しているのでしょう。

ただ、兵器に対する思いというものが、日本人とヨーロッパ人との違いにあるのかも
しれません。
同じく敗れたドイツには主力戦闘機であったものがいくつか残っているからです。





敵役のドイツ戦闘機は?

対するドイツの主力戦闘機はメッサーシュミットです。
イギリスのスピットファイアに対してスピード勝負で勝っており、得意の戦法は一撃
離脱でした。

逆に格闘能力はスピットファイアのほうが勝っていました。

一概にどちらの戦闘機が優れている、ということはいえませんが、それぞれの状況に
よってどちらの戦闘機が強いのかは一目瞭然です。

たとえばメッサーシュミットが爆撃機の護衛をしていた場合、移動速度の遅い爆撃機と
一緒に飛んでいては、メッサーシュミットの利点である速さは打ち消されてしまいます。

そんな状況でスピットファイアが攻撃してきた場合、爆撃機の護衛という役目をきちんと
果たせないという状況になってしまいました。

映画でもスピットファイアとメッサーシュミットが戦闘するシーンは2回ありますが、
最初の空中戦は両機によるドッグファイトで、スピットファイアがメッサーシュミットを
撃墜します。

しかしその後、隊長機が被弾し落ちてしまうというように、死角から素早く接近して
気付かれる前に攻撃して撃墜するという戦法では、メッサーシュミットがスピットファイアを
撃墜しています。

2回目は爆撃機の護衛でしたが、スピットファイアはメッサーシュミットと撃墜し、その後、
爆弾投下前に爆撃機も撃墜できていました。

最初にこのシーンを見たとき、僕は2対1の戦闘でスピットファイアが勝てるはずがない、
少なくとも爆撃機の爆弾投下までにメッサーシュミットを撃墜できるはずがない、
と思っていましたが、史実の両戦闘機の性能どおり、見事にスピットファイアはメッサー
シュミットを撃墜し、爆撃機も撃墜しています。

映画によくあるご都合主義の演出かと思いましたが、そうではなくて、きちんと史実に
基づいた描写だったのです。

ドイツ空軍の爆撃機の名前は?

戦闘機、メッサーシュミットの他に爆撃機が映画には登場しておりました。

その爆撃機名はスツーカ。ドイツの電撃作戦を成功に導いたこの爆撃機は、第二次世界大戦
より先に起こったスペイン内戦で大成果を上げたことで、当時のドイツの主力爆撃機に
なっていました。

有名なのは急降下爆撃を行う際に、地上に展開する敵を威嚇するためのサイレン音です。
実際は専用のサイレンをとりつけていたわけではなく、急降下時の風切音がそのように聞こえた
だけでしたが、威嚇音が思いの外、効果的であったことから、プロペラに風を受けることで
音を発するサイレンを取り付ける機体が出てきました。

実際に映画内で浜で列を作っている兵士達が、後に「ジェリコのラッパ」と呼ばれた爆音を
響かせて爆撃してくる爆撃機が近づいてくるのに、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑っている
シーンがありましたが、実際に戦場で、あのような音がし始めたら、身を隠せるところが
ないか、右往左往して逃げるしかないと思います。

このスツーカですが、ドイツ空軍で卓越した戦果を上げていたものの、それがために
「急降下爆撃機至上主義」ともいえる、歪な爆撃機思想をドイツ空軍内に植え付けたとも
いえ、その後ドイツ空軍が爆撃機を制作するに当たって、何でもかんでも急降下爆撃能力を
付け加えようとしたのです。

急降下爆撃は確かに有効な爆撃方法ですが、欠点がないわけでもありません。

例えば急降下に耐えうる機体でないといけないだとか、急降下を始めると、護衛の戦闘機が
ついてこれず、丸裸になって敵の戦闘機にいいように撃墜されるとか、です。

実際ヨーロッパ大陸戦では輝かしい戦果を上げたものの、その後の作戦として、イギリス
に対する攻撃では、爆撃に行くものの、護衛のメッサーシュミットが急降下のスピードに
追いつくことができず、護衛がいなくなったところを、スピットファイアやハリケーンに
撃墜されるということが多々起こってしまいました。

ヨーロッパ大陸で華々しい戦果を上げた理由に制空権をドイツ軍が取っていた、ということも
ありましたが、そのことを考慮に入れずに、戦果を見てどんな爆撃機にも急降下爆撃能力を
つけようとしたのは明らかに失敗で、その失敗はやがてドイツの敗北にまでつながると思って
います。

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コメント

  1. mmkh より:

    7.62ミリ機銃であんなに簡単にbf109やハインケル堕ちないと思ってたんですが。
    最後の方の滑空とか「それは無理!」かな。
    とっくに弾切れでしょうね。
    それ以外、空中戦シーンは良かったです。
    スピット側の「現代的な」相互援護によるドッグファイトもかっこよかった。

    • takmori83 より:

      mmkhさん、コメント、ありがとうございます!

      同感です。映画ですのでそこら辺はご都合主義で仕方がないかなと。
      最後の滑空はちょっとやりすぎですね。

      前評判通りの空中戦、僕も大部分で楽しめました!

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