映画「パターソン」はなんだか不思議な映画です。
パターソンという男性の日常生活を1週間、朝から晩まで描いていますが、全く平凡で平和な
毎日が繰り広げられます。
毎朝、だいたい同じような時間に起き、同じ仕事をして、夕方うちに帰り、妻と夕食を
取りながらその日に起こったことを話し、夜は犬の散歩がてら近所のバーでビールを飲む。
ただ、それだけの毎日ですが、もちろん、その日にだけ起こる特別なイベントも有ります。
とはいえ、本当に取るに足りない小さいイベントですが、それが映画の中ではとても重要な
出来事のように見えてしまうのです。
はたしてパターソンのような生活をしたとしたら、人生を楽しくいきられるのかどうか、
思わず考え込んでしまいました。
予告動画はこちら
キャストの紹介
パターソン: アダム・ドライバー
ニュージャージー州パターソン市に住むバスドライバー。詩を書くことが趣味。
ローラ: ゴルシフテ・ファラハニ
パターソンの妻。イングリッシュ・ブルドッグのマーヴィンを飼っている。
ドク: バリー・シャバカ・ヘンリー
パターソンが毎晩行くバーのオーナー。
エヴェレット: ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
パターソンの友人。マリーに恋している。
マリー: チャステン・ハーモン
パターソンの友人。しつこいエヴェレットを持て余し気味。
日本人旅行者: 永瀬正敏
パターソンが出会った旅行者。詩人。
ネタバレあらすじ
パターソンの一日はだいたい同じようなルーティーンで過ぎていきます。
朝6時から6時半の間に目を覚まし、一人で朝食を取って仕事に出かけ、バスの運転手を
して夕方に帰宅。夕飯を妻と一緒に取りながら会話を楽しみ、夜、犬の散歩に出かけて
近所のバーでビールを一杯飲む。
そんなパターソンの趣味は詩を書くこと。
専用のノートにずっと、日常生活を通じて目にしたものや耳にしたものから、心が感じた
ままに湧き上がってくる言葉を書き続けています。
例えば、バスの中で乗客がかわす会話であったり、バーで会う知り合いや友人との何気ない
会話であったり、たまたま知り合った少女との会話であったり、です。
妻のローラは、そんなパターソンの詩をとても気に入っていて、彼に自費出版するように
勧めますが、パターソンはあまり乗り気ではありません。
ローラは最低でもノートのコピーを取るべきだと説得し、ついにパターソンは根負けして
週末にコピーをとることを承知します。
妻のローラは仕事についていません。基本的に家にいてカーテンや壁のペイントなど、
自分自身で内装を変えていったり、服を作ったりして過ごしています。
カーテンも自分で作り、ペイントして飾り付けをするなど、独創的ですが、どちらかと言うと
白と黒を基調にした色合いで丸のデザインがメインになっています。
かと思えば、音楽をしたいからとギターとギターを引くためのビデオ講座を初めたり、
地元のバザーでカップケーキを出すからとたくさんのカップケーキを作ったりと、いろんな
ことに興味を持って行動に移しています。
ともすると、全く同じような生活パターンを繰り返すパターソンの対比のような生活を
ローラはしているかのようです。
そんなローラのカップケーキ販売は大成功を納め、200ドル以上を稼ぎ出します。
週末ということもあって、二人はそのお祝いとして、レストランで食事をした後、映画を
見ることにしました。
楽しいひと時を過ごして家に帰ると、リビングには細かくちぎられた紙が散乱しています。
出かける前に、ソファの上で詩を描いていたパターソンは、いつもは自分の部屋にノートを
持っていくのを、今回に限って忘れてしまい、それを見つけたマーヴィンが粉々にして
しまったのでした。
約束していたコピーもまだしていなかったため、ノートに書き溜めた詩をすべてなくして
しまったのです。
ローラは罰としてマーヴィンを車庫に閉じ込めますが、パターソンはショックからなかなか
立ち直れません。
気持ちを落ち着けるために、一人で街を歩くことにし、いつの間にかいつもお昼のお弁当を
食べる、お気に入りのグレートフォールズでベンチに腰掛けているのでした。
そこに日本人旅行者がやってきてパターソンに声をかけます。
一緒に座り、やがて会話を交わし始めますが、彼は日本で詩を書くのを趣味としていて、
パターソン市出身のウィリアム・カーロス・ウィリアムズにあこがれて、やってきたことが
わかるのでした。
彼はパターソンに会話のお礼としてノートをプレゼントします。
そしてパターソンは、そのノートに、新たに詩を書き始めるのでした。
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