ネタバレ感想 1 平凡な生活を彩る登場人物たち
不思議な映画で、パターソンの平凡な生活を淡々と映し出しているのですが、パターソンが
気に留める小さな出来事が、興味深いイベントとなって妙に目を引くのです。
僕やおそらく皆さんの生活でもシチュエーションは違うとはいえ、同じようなことが
起こることがあるのではないでしょうか?
通勤途中に何気なく他人の会話が耳に入ってきたり、いつも使うコンビニで顔見知りに
なった定員や他の客とのたわいない会話であったり、です。
そんななんでもないことが不思議とパターソンの目を通して見ると、妙になんだか特別な
ことのように思えてきたりしてしまうのです。
そんな中で、僕が気に入ったのはバーのお客で関係がうまくいっていないエヴァレットと
マリー。
幼馴染の二人でしたが、エヴァレットがマリーのことを好きになりすぎて付き合うものの、
マリーの方は友人のままのが良かったと後悔しています。
そんな彼女の気持ちをわからないまま、エヴァレットがアタックを掛けるのですが、それは
しつこい行為にしかならず、マリーの心は離れていくばかり。
遂にはエヴァレットがおもちゃの銃で狂言自殺をしだす始末。
しかしおもちゃだとは後でわかったので、バーにはとんでもない迷惑をかけてしまうことに
なります。
恋は盲目にするとはよく言ったもので、エヴァレットの狂言自殺は、上手くいかなかった
時にどんなリスクが降り掛かってくるか、全く考えないものでした。
銃を頭に突きつけた時に、マリーが止めてくれて、エヴァレットの愛に気づいてくれると
信じて疑わなかったようですが、止めてくれなければ、とんでもない恥さらしになって
しまいます。
でも、あんなものかもしれませんよね。恋に狂ってしまった男がやってしまう失敗なんて。
他にもたまたまであった詩の好きな少女とのやり取りも微笑ましいですし、コインランドリー
で出会ったラッパーのラップも凄く良かったと感じました。
ネタバレ感想 2 平凡な生活を楽しむ方法
パターソンが送る平凡な生活は、ともすると誰もが過ごしている毎日とよく似たものの
ように思われます。
しかしパターソンは多くの人が感じるような不平不満を感じていないようで、あまり
喜怒哀楽を大きく出しはしませんが、楽しんでいるようでした。
ああいった同じ毎日を過ごす生活を楽しむ方法は、同じような毎日の中で、その日にしか
起こらない出来事に気がつくようにして、その出来事を自分はどう思うか、どんなところに
興味が起きるのかを考える事ではないでしょうか。
そういう意味では妻のローラは、毎日違うことにチャレンジしているようで、彼女との会話
がパターソンにとってはとても刺激的なことではないかと思います。
平凡の中の非凡を見つけ出す能力、パターソンは詩を書くことでその能力に磨きがかかり、
しかもローラの行動を見ていることや彼女との会話で受ける刺激でも、その能力が研ぎ
澄まされるのでしょう。
ネタバレ感想 3 マーヴィンとの関係
イングリッシュ・ブルドッグのマーヴィンは妻のローラの犬という設定です。
おそらくですが、ローラとパターソンが知り合う前からローラが飼っていたのではないか
と思えるのでした。というもの、必ずローラとパターソンがキスするシーンで二人に向かって
吠えているのです。
ペットが飼い主に恋人ができて、イチャイチャするのを見ると、嫉妬して邪魔しにくる、
ということを聞いたことがあります。
ですからマーヴィンが吠える事は、まさに嫉妬しての行動だと思ったわけです。
マーヴィンに関する行動で面白かったのが、郵便受けです。
毎日パターソンが帰宅すると、左に傾いでいるので、家に入る前に必ずまっすぐに直し
ますが、次の日は決まって傾いています。
でもどうやらそれはマーヴィンの仕業で、扉が開いているチャンスを逃さず、外に出て
いって郵便受けを倒し、家の中に戻ってきてちゃっかりとドアを締めてしまいます。
パターソンが帰宅する時にマーヴィンが窓から覗いていることもありますが、それで
パターソンが郵便受けを直すのを見ているのでしょう。
ある意味、おちょくっているとしか思えません。
あと、散歩の道順もマーヴィンが決めているような描写がありました。
ローラがカップケーキをもって外出し、その後マーヴィンを連れてパターソンが散歩に
出かけようとしますが、いつもと違う方へ行こうとすると、マーヴィンはいつもと同じ
方向にしか行こうとせず、結局パターソンがマーヴィンの行きたい方へ行くことにする
のです。
これも、マーヴィンがパターソンのことを自分より目上だとは思っていないからなのかも
しれません。
だからでしょうか、ノートをビリビリにやぶいてしまったのは。
最後のイタズラは行き過ぎた感がありましたが、それまでのマーヴィンの行動はともて
面白く、時に声を上げて笑ってしまうものでした。
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