思い出のマーニーの十一はマーニーのことをどうやって知っていたのかを考察

ジブリ

「思い出のマーニー」に登場する十一(といち)という人物。

寡黙で友人も少ない、気難しそうな老人でしたが、杏奈とはなぜか気が合うようでした。

村の子供たちから十年に一度しか話をしない、と噂されているだけあって、映画内でもセリフを話したのは、映画の最後に一度だけ。


しかしその一度だけのセリフはとても興味深いものでした。

「マーニー、青い窓に閉じ込められた少女。昔の話だ…。」

つまり十一はマーニーのことを知っていたというわけです。

では、いったい、十一はいつ、マーニーのことを知ったのでしょうか?

今回はそのなぞについて考察していきたいと思います。







「思い出のマーニー」の十一はマーニーをどうやって知っていたのか?

全くしゃべらず、湿地で魚釣りしかしていない風に描かれる十一。

自己主張がないため、いったいどのような過去があるのか、全くわからない不思議な人物です。

最後の最後にマーニーについてのセリフを発することで、彼もマーニーを知っていたことが分かるのですが、いったい十一とマーニーの関係とはどのようなものだったのか、とても興味がわいてしまいます。

十一とマーニーの接点の手掛かりは日記

十一とマーニーの接点は全くないように感じます。

マーニーから杏奈に話題をふった話の中で登場する人々の中に、十一らしき人物はいないからです。

ホームパーティーの際にマーニーと庭で踊った花売りの子が、そうなのかも、と思いましたが、確認するとその子はスカートをはいていました。

顔はフードをかぶっていたため、わかりませんが、十一が女装して、ということはまずありえないと思います。


となると、マーニーと十一の間には接点がないのでしょうか?

実はマーニーと十一は、おそらく話したことはないものの、お互いに相手を気になって見ていた可能性が高いことが、映画の中で描かれていたのでした。

それは彩香が見つけたマーニーの日記に書かれていたこと。

杏奈の朗読で、6月3日にマーニーが夜に部屋を抜け出して湿地をボートで回ったことが紹介されますが、3日前の5月31日に村の子供たちが窓の下の湿地まで遊びに来ることが書かれていました。

またパーティーの後の6月11日と12日に村の子供たちがやってきたことが日記に記されていました。


6月11日の内容は、

    この間の村の子たちがまた窓の下のところまで来ている。

    みんなで小さな男の子をからかっていた。

    その子が泣き出したので一人の子がお菓子をあげたら、泣きやんで食べた。

    でも、その子がお菓子の袋まで食べてしまったので、みんなはまたからかいはじめた。

    その子はぜんぜん言い返さないの。

    なんだかとてもかわいそうだった。



続いて6月12日の内容は、

    また昨日の男の子を見かけた。

でした。



日記に出てきた男の子が十一である可能性

マーニーの日記6月11日と12日に書かれていた男の子が十一である可能性はどれほどあるのでしょうか?


11日に記述で「小さな男の子」とありました。

十一は11番目に生まれたことで、その名前が付けられたという設定になっています。

当然、兄達もいて、一緒に遊んでいれば一番小さいことになります。


またその子は翌日の12日にマーニーを見にやってきたようです。

おそらく一人だったのでしょう。

でなければ、マーニーがわざわざ日記に記すことはないと思います。

マーニーの部屋に初めて入った杏奈が見た光景

杏奈が彩香の招待で彼女の部屋に入った際、そこがマーニーの部屋であることに気が付いていました。

そして杏奈は窓から湿地の様子を見ます。

すると窓の下では村の男の子たちが遊んでいる光景を目にするのでした。
思い出のマーニーの十一はマーニーのことをどうやって知っていたのかを考察
その子たちがどのような男の子なのか、確認ができるほどの距離です。


さらにその後の彩香との会話の中で、彩香が杏奈が外から窓を見ていたことに気が付いていたことを話しました。

つまり、窓の中にいたマーニーが外で遊んでいた十一を認識できた、という証明でもあるといえるのです。


また、杏奈も窓を見ていて、窓の外に顔を出した彩香と目が合いました。

つまり十一少年も窓にたたずむマーニーを認識できたことを意味すると考えられます。


このことから、十一もマーニーもお互いのことを認識していたとみて間違いないでしょう。

そして十一は村に住んでいることから、家族や友人、知り合いにマーニーのことを聞くことができたと思います。

少なくとも湿地屋敷に住んでいる金髪白人の少女の名前がマーニーである、ことくらいは知りえたのでしょう。

ただまぁ、マーニーが気になることが、特に兄たちに知られたら、またからかわれかねないので、名前程度でそれ以上のことを探ろうとはしなかったと思われます。

一方マーニーのほうは、意地悪なばあやとお手伝いさんしか周りにいなかったため、彼女を見に来る少年がどのような名前の男の子なのか、知らずにいたと考えるのが自然ではないでしょうか。

十一と久子は年齢的に同世代では?

さらに日記に書かれていた少年が十一である可能性を示すのに、十一と久子さんの年齢が近そうだ、ということが挙げられます。

久子さんはマーニーの数少ない友人で、彼女のお部屋で一緒に遊んだこともある人物。

そんな彼女の年の取り方と十一の年を感じさせる風貌は、似通っていると見れるのではないでしょうか。

ここから言えるのは、十一が少年であったころとマーニーが村の湿地屋敷で住んでいたころとおそらく同時代であったということです。

ですので、十一が実際にマーニーを自分の目で見た可能性は高いと言えるのではないでしょうか。

まとめ

十一がマーニーを知っていた理由。

それは十一が小さな子供で兄たちや他の村の友人と遊んでいた時、マーニーが湿地屋敷に住んでいたから、です。

マーニーも日記に、周りの年上の男の子にからかわれている小さな男の子の話が記載されていますし、その子はマーニーに気が付き、一人でマーニーを見にやってきていたようなのです。

マーニーの友人の久子さんと同じくらいの年齢のような外見もしており、十一が実際に自分の目でマーニーを見たことがある、というのが真相ではないでしょうか。









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