漫画「銃夢」をハリウッド映画化した「アリータ バトルエンジェル」
この映画に関して最初に目を引くのはヒロイン「アリータ」の怖いくらいの大きい瞳ではないでしょうか?
ポスターでもアリータが大々的に写っていますが、見ようによっては逆効果なのでは?というくらい不気味さを感じてしまいます。
なぜここまで目を大きくしてしまったのでしょうか?
今回はその理由を考察してみたいと思います!
アリータが怖い?不気味なほど目をでかくした理由
まずはこちらの画像。
ネットで上がっていたアリータの画像を集めてみました。
どれを見ても、残念ながら…、
綺麗とか、美しいという感想を、個人的には感じませんでした。
特に右上の表情はなにかのバランスが狂っているいるとしか思えません。
なぜこのようなデザインになってしまったのでしょうか?
実はこれにはいくつもの理由があります。
まず、制作のジェームズ・キャメロンが原作を大変気に入っており、それがきっかけで今回の映画化が実現したのですが、原作をリスペクトするあまり、よく日本の漫画に登場する目の大きなキャラクターをそのまま映画でも使いたい、と思ったことが発端でした。
ジェームズ・キャメロンが「銃夢」の映画化構想を抱いていたのはなんと1995年。
でも、その当時彼は「タイタニック」そして「アバター」にかかりっきりであったため、半ば映画化を諦めていました。
そんなとき、今回映画監督を努めたロバート・ロドリゲスがジェームズ・キャメロンの銃夢の映画化という構想を知り、話をしたところ、ジェームズ・キャメロンが書いた脚本を完成させれば、ロバートが監督すればいいと言われて、プロジェクトが再開されたのでした。
その後、ロバート・ロドリゲスが制作を進めていき、疑問や質問が出てくるとジェームズ・キャメロンにメールなどで確認する作業が続きます。
アリータの目のデザインについてもロバート・ロドリゲスはジェームズ・キャメロンの考えを尊重し、そのまま採用しました。
インタビューでは、漫画でよく出てくる大きい目というデザインを銀幕の上で表現したいと思ったし、漫画のような大きな目のキャラクターと普通の人間を並べてカメラに収めたらどうなるか、ということも試したかったと答えています。
よく「瞳は心も窓」といいますが、感情的な場面ではアリータの大きな目は神秘性や魅惑性をとても強く表現できていると思う、とも答えていました。
また、原作の設定をそのまま使用することにしたジェームズ・キャメロンとロバート・ロドリゲスの決定も目が大きくなった理由の一つです。
原作の設定では、アリータは旧式のアンドロイドで、そのため今は廃れてしまった大きな目というデザインを持っていることになっています。
実際に、映画の中でもアリータがなくした記憶の一部を思い出すシーンで、戦闘訓練を行っている場面や、地球を破壊した大戦争「フォール」中にザレムに向かって突撃を行っている場面で登場する教官で上官のゲルダも同じように大きな目を持っているように描かれています。
ちなみに、このゲルダを演じた女優はミッシェル・ロドリゲス。
じつはエンドロールの出演者の欄に、ノバを演じたエドワード・ノートンと同じく名前が明かされていませんでした。
というわけで、目が大きくなった理由はわかったと思いますが、果たしてジェームズ・キャメロンやロバート・ロドリゲスが狙ったような効果をアリータが観客に与えたのかどうか、について。
正直な感想を言うと、ここまで目を大きくさせる決定的な効果はなかったように感じました。
とくに、全編アリータの姿はCGで描かれているのですが、場面場面でアリータの顔が一定していないように感じたからです。
例えば最初に紹介した6つの画像。
明らかに右上の1枚から残りの5枚とでは、受け取る印象が違うと思います。
また、画像を探し出すことはできませんでしたが、最後のシーン、モーターボールの控室から出ていくアリータの後ろ姿で、妙に頭だけでかいデザインが有りました。
ああいった安定しないCGは与える印象は逆効果になってしまうと感じましたし、特に生身の人間が横にいるとその不自然さは、より強くなってしまいます。
映画自体は良かったのですから、このアリータの目に関するデザインは、どちらかと言うと失敗に分けられるのではないでしょうか。
演じた女優は大きな瞳が魅力のあの人!
アリータを演じた女優はローザ・サラザールです。
アメリカ合衆国ワシントンDC出身。キューバ系の血を引いており、インタビューで素の彼女の会話を聞くと、ヒスパニック系の英語を話しているのがわかります。
もちろん全編CGで描かれたアリータですので、モーションキャプチャーによる撮影となりました。
その一部がこちらの動画で確認できます。
これを見ると、顔の表情、特に口の周りなどはローザ・サラザールのそのものをそのまま使用している事がわかります。
またローザ・サラザールの顔を見た後ですと、先に上げたアリータの6枚のイメージの中で特に左下の表上はローザ・サラザールのものということが明白です。
ジェームズ・キャメロンとロバート・ロドリゲスは最終的に4人の女優をアリータの候補としていました。
ローザ・サラザール以外の3人は、
・ゼンダヤ
https://www.instagram.com/p/BuH3vxZlPdo/?utm_source=ig_web_copy_link
・マイカ・モンロー
https://www.instagram.com/p/BHAgvLDsR4X/?utm_source=ig_web_copy_link
・ベラ・ソーン
https://www.instagram.com/p/Bs6LZT2FSwA/?utm_source=ig_web_copy_link
結局はローザ・サラザールに決まりましたが、CGでアリータを描くことが決まっていたのも決定に大きな影響を与えたのかな、と邪推してしまいます。
というのもゼンダヤは22歳。
マイカ・モンローは25歳。
ベラ・ソーンは21歳。
一方でローザ・サラザールは33歳になります。
アリータは設定上、10代の少女の姿をしたアンドロイド。
この10代というアンドロイドを演じるには、容姿から与える印象もどの女優を選ぶかの判断に加えられるべきでしょう。
特にヒューゴ役を演じたキーアン・ジョンソンが22歳ですので、二人のシーンを顔をアップで撮影した際に、年齢差が出てしまっては大変です。
ところが、アリータをCGで描く以上、10代の顔になる女優は必要ありません。
一説にはローザ・サラザールのオーディション演技はジェームズ・キャメロンとロバート・ロドリゲスのイメージしたそのものだったそうです。
ローザ・サラザールはインタビューでロバート・ロドリゲスからアリータ役を射止めたときの話をしていました。
丁度、反対車線の路上パーキングに止めた車に向かっているときに電話が来たそうです。
その電話に出たローザには、メーターが切れて違法路駐になっている彼女の車に、取締官の女性が違反切符を切るのが見えたそうです。
急いで車に向かうローザはロバートからの結果に対しても可不可の返事が早く聞きたくて、半ば違反切符のことはどうでも良くなっていたそうです。
幸いなことにアリータ役を射止めたことを知ったローザは有頂天になり、違反切符を車に貼り付けている取締官に思わず抱きついてしまったのだとか。
というのも、違反切符には発行された正確な日付と時間が記されており、奇しくもその日時がアリータ役を射止めたまさに瞬間。
罰金は払ったものの、ラッキーチケット(幸運の切符)として記念にジェームズ・キャメロンに教えたそうです。
それから撮影の前から撮影の最中に至るまで、厳しいローザ・サラザールへの殺陣の訓練が施され、ついには映画のような見事な映像を作り上げることができました。
ローザ・サラザールがアリータのためにトレーニングをしている動画がありましたので、紹介しておきます。
とはいえ、アリータがサイボーグボディ「バーサーカー」を初めて装着した後に見せた、曲芸師のような動きはローザには不可能ですので、シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーを使って撮影したそうです。
まとめ
アリータの目が大きくなった理由は、最初に「銃夢」を映画化したいと思ったジェームズ・キャメロンの意向が強かった為、と言えます。
そして監督として引き継いだロバート・ロドリゲスもジェームズ・キャメロンの考えに賛成し、同じ方針をとった為、実現したのでした。
また、アリータを演じたのは女優ローザ・サラザールでモーションキャプチャーによって彼女の動きはほぼ忠実に映画の中に生かされています。
一方でモーションキャプチャーであるという点を利用してローザではできない動きも、それを可能にする専門家を使い、人間離れしたアクロバティックな動きを加えたのでした。
目の大きさに対する意見はいろいろとあります。
ボク個人もあまり、この目のデザインは成功した、とは感じていません。
しかし、映画自体はとても良い出来だと思いましたので、ぜひ大銀幕で見てほしいと思います。
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