映画「アネット」は風変りなロックミュージカル映画、という感想でした。
独特な世界をどう感じるか、見る人それぞれだと思います。
歌によって全ての会話が表現されており、美しい半面、どうしても上演時間が長くなってしまうデメリットもあったと感じました。
内容は、というと2時間を超える映画でありながら、それほど多くが詰め込まれていないので、無意味に長い、と感じた人もいると思います。
今回はこの映画「アネット」の基本情報や予告動画や登場人物情報、そして映画のあらすじを分かりやすく紹介していきます。
映画「アネット」の基本情報
それでは映画「アネット」の詳細あらすじを紹介する前に、映画の基本情報と予告動画、そして登場人物の紹介をしておきます。
映画「アネット」の基本情報と予告動画
「ポンヌフの恋人」「汚れた血」などの鬼才レオス・カラックスが、「マリッジ・ストーリー」のアダム・ドライバーと「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のマリオン・コティヤールを主演に迎えたロック・オペラ・ミュージカル。
ロン&ラッセル・メイル兄弟によるポップバンド「スパークス」がストーリー仕立てのスタジオアルバムとして構築していた物語を原案に、映画全編を歌で語り、全ての歌をライブで収録した。
スタンダップコメディアンのヘンリーと一流オペラ歌手のアン、その2人の間に生まれたアネットが繰り広げるダークなおとぎ話を、カラックス監督ならではの映像美で描き出す。
ドライバーがプロデュースも手がけた。2021年・第74回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。
引用:映画ドットコム
映画「アネット」の登場人物紹介
続いて登場人物紹介です。
ヘンリー・マックヘンリー
スタンドアップ・コメディアン。
演じるのはアダム・ドライバー。
アン
オペラ歌手。
演じるのはマリオン・コティヤール。
アネット
ヘンリーとアンの間に生まれた少女。
演じるのはデヴィン・マクダウェル。
映画「アネット」の見どころ紹介
映画「アネット」の見どころは、ミュージカル映画であるだけに、その曲と歌でしょう。
会話のほぼすべてを歌として披露していますので、楽しめる人には聞きごたえばっちりだと思います。
一方で、普通の会話であればあっという間に終わってしまうやり取りが歌になっている分、どうしても時間が長くなってしまいます。
そこが楽しめないと、むやみに長く、苦痛な時間を過ごすことになってしまうのではないでしょうか。
映画「アネット」ネタバレあらすじを分かりやすく解説
それでは映画「アネット」のネタバレ有のあらすじを分かりやすくお届けします。
起・愛し合うヘンリーとアン、そしてアネットの誕生
スタンドアップコメディアンとして成功しているヘンリー・マックヘンリーは、こちらも成功している有名なオペラ歌手、アンと交際をしていました。
有名人の二人が付き合っていることは公に知られており、二人は関係を隠そうとしていません。
やがてアンが妊娠し、二人の間に子供ができます。
やがて娘が生まれ、アネットと名付けられて健やかに成長していくのでした。
(アネットはこの出産シーンより登場しますが、映画内では操り人形で表現されます。)
承・すれ違いの大きくなる二人、そして別れ
アネットが誕生後、ヘンリーとアンの間に変化がみられるようになりました。
アンがコンサートの公演で留守にしている際、ヘンリーがアネットを見ています。
が、ヘンリーにはアンとの間でアネットの育児にかける時間が不公平ではないか、という感情が芽生えてきていました。
アンの成功は国内だけにとどまらず、国外でも公演が開かれ、忙しく飛び回っています。
そんな折、ある時アンは移動中の車で居眠りをし、恐ろしい夢を見てしまうのでした。
それは6人の女性が過去にヘンリーにセクハラをされた、と訴えたというものだったのです。
更にその夢は変化し、アンがヘンリーによって殺されるという所で目が覚めるのでした。
国外から戻ったアンですが、そのころヘンリーは舞台がうまくいかなくなりつつありました。
笑いが取れなくなり、公演を途中で止めて舞台を降りてしまうことも有りました。
一方でアンのほうは、今まで通りに成功を修めており、ヘンリーのほうは、終には公演がキャンセルされてしまうほど、評判が落ちてしまうのでした。
この違いからヘンリーとアンの関係はぎくしゃくしたものとなってしまいます。
そこで、二人は、二人の関係を修復させるためにも休暇を取り、家族三人でプライベートヨット旅行に出発することにするのでした。
しかしヨット旅行は、最悪の結末を迎えてしまいます。
というのも、荒れ模様の中、酒に酔ったヘンリーが甲板の上でアンにワルツを踊るように無理強いし、アンが海に落ちてしまったからでした。
酔っぱらったヘンリーはアンを助けることはできず、彼女は海に消えてしまいます。
その後、ボートも沈んだのか、ヘンリーはアネットを連れて救命ボートでとある島に流れ着きます。
その島の上で、疲れから眠りに落ちる二人。
そんなヘンリーの夢の中で、変わり果てたアンの幽霊が現れ、一生ヘンリーを祟ると宣言するのでした。
そしてアネットに自分の歌声をゆずることで、ヘンリーを苦しめると言って海に消え去ります。
その後、二人は救助され、無事、帰宅するのでした。
転・アネットの才能と秘密
救助されたヘンリーは警察より事情徴収を受けます。
その結果、アンの転落死は事故として認められ、処理されるのでした。
アネットと二人きりになったヘンリーは、アネットのためにプレゼントを購入します。
それは傘に星や月の形のくりぬきが付いているランプで、明かりをつけると傘が回って、部屋にくりぬきの模様が映し出されるというものでした。
ヘンリーが驚いたのは、その明かりに反応してアネットが美しい歌声で歌を歌ったことです。
ヘンリーはかつてアンの同僚で今では有名になった演奏家を自宅に招待します。
そしてアネットの歌声を聞かせ、アネットをデビューさせる計画を語るのでした。
演奏家は乗り気ではありませんが、アンを失った今、収入が途絶えたヘンリーはアネットを有名にしてお金を稼ぐ以外、生活をしていく方法はありません。
ひいてはアネットも今の生活を維持していけることになるから、と強引に説得し、協力を取り付けるのでした。
アネットの歌声は一大センセーションを巻き起こします。
その成功に世界ツアーも組まれますが、行く先々で大歓迎出迎えられるのでした。
その成功のおかげもあり、ヘンリーは夜遊びを続けていました。
というのも、アンの死に対する自責の念と後悔にさいなまれ、アンとの思い出に苦しめられていたからです。
ある日の夜、酔っぱらって帰宅したヘンリー。
ヘンリーの不在の間、演奏家がアネットを見ていました。
ふとヘンリーが気が付くと、おもちゃのピアノで遊んでいたアネットが演奏していたのはヘンリーとアンの思い出の曲「We Love Each Other So Much」
演奏家がアネットに教えたのでした。
ヘンリーは二人の思い出の曲を許可なくアネットに教えた演奏家に激しく怒ります。
ところが演奏家は、この曲を作詞作曲したのは彼であり、アンのために作ったことを白状するのでした。
そして彼は、アンがヘンリーに出会う前に彼女と付き合っていたこと、アンが彼の下を離れてヘンリーと結ばれた時間的な関係からアネットの父親が、ヘンリーではなく彼である可能性があることも伝えます。
ヘンリーはアネットをベッドに寝かしつ貸した後、演奏家と庭に出て話し合うとして連れ出し、庭にあるプールに彼を沈めて殺してしまうのでした。
ことが終わった後、アネットの様子を見に行ったヘンリーはアネットがまだ起きていることを知ります。
アネットはヘンリーがプレゼントしたランプを床に落として壊してしまうのでした。
このことでヘンリーは、演奏家に対する行動を、寝室の窓からアネットに目撃されていたことを理解します。
その後、アネットが引退をすることが一大ニュースとして流れます。
と同時に、アメリカンフットボールの最大イベント、スーパーボールのハーフタイムショーの出演が最後になることも伝えられるのでした。
しかしその当日、アネットは大舞台に登場したものの、歌を披露することはありませんでした。
そのかわり、アネットはヘンリーが人殺しをしたことを、この大舞台で告発したのです。
結・再会したヘンリーとアネット
ヘンリーは逮捕され、裁判を受けて有罪となりました。
その間も、ヘンリーはアンの亡霊によって悩まされ続けていたのです。
数年後、アネットが刑務所で服役しているヘンリーの面会に訪れます。
最初は操り人形であったアネットですが、ヘンリーが大きくなったな、と声をかけると生身の少女が現れてヘンリーと会話をし始めました。
ヘンリーはアネットに謝罪しますが、アネットはヘンリーの謝罪を受け入れようとはしません。
そればかりか母親のアンもアネットは非難するのでした。
アネットを彼女の恨みを晴らす道具として扱ったことに対して。
ヘンリーはアネットのことを愛させてほしい、と懇願しますがアネットは、ヘンリーには愛する対象が誰もいない、と告げます。
そして面会時間が終わり、去っていくアネット。
部屋に残されたヘンリーは床に転がってもう動くことがない、アネットの操り人形に気が付くのでした。
最後に簡単な感想
ポスターの真ん中にあったキャッチコピー「愛が、たぎる」
映画を見終わって、ヘンリーが刑務所に入れられ、アネットと離れ離れになってしまったのは彼の「愛」の為なんだろうか?と自問自答していました。
どうしてもヘンリーの描かれ方は、アンやアネットに対する「無償の愛からの破滅」とは感じられません。
どちらかといえば嫉妬や自身のエゴから招いた自業自得感があふれているような気がします。
ですので、見終わった後に感じるモヤモヤ感が拭うことができず、これはアメリカ人と日本人との感性の違いからくるのか、と考え込んでしまいました。
あと、ストーリーとは関係ないのかもしれませんが、操り人形であるアネットが可愛くもあり怖くもあった映画でした。
彼女が両親から利用される道具であったからこそ、最後に両親からの呪縛を逃れることで、生身の女の子になったのだと思った次第です。
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