映画「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」から登場するベケット卿。
ジャックに敵対する新しいヴィランズです。
ジャックを捕まえるためにウィルとエリザベスを利用するところも悪役そのものですね。
そんなベケット卿がウィルとの会話の中でジャックとの関係を、
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お互いに傷をつけあった仲
と評していました。
これは一体、具体的にはどのような意味なのでしょうか?
今回はベケット卿の発言の意味、特にベケット卿がジャックによってつけられた傷あとについて、考察していきたいと思います。
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン2」のベケット卿
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ第2作目から登場したベケット卿。
本名は「カトラー・ベケット」と言い、東インド貿易会社の権力者で、カリブ海のトップとして赴任してきました。
イングランドの商人の家で育ったという設定で、会社の利益を第一に考えているようです。
口癖は「It’s just good business.」
字幕では「損のない商取引を」、吹き替え版では「全ては利益のため」と訳されました。
シリーズでは第2作から登場ですが、キャラクターの設定では第1作以前に、ジャックと面識があったことになっています。
その昔、若いころ、ジャックは東インド貿易会社に雇われていました。
その時の上司がベケット卿で、ある時、「ウィキッド・ウェンチ号」(のちのブラックパール号)で積み荷を運搬する役割を命じられました。
しかし、ジャックは船に乗っているのが奴隷だとわかると運ぶのをやめ、乗っていた奴隷たちをアフリカ大陸で解放してしまったのです。
そしてこの事件が、二人が互いに、傷をつけあった原因になったのでした。
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ベケット卿がジャックに付けた傷あとは「P」マーク
ジャックの勝手な行動で積み荷を失ったベケット卿は激怒してジャックを捕らえます。
彼が船長を務めていた船は沈められ、ジャックには海賊を意味する「P」の焼印を押すよう命じたのでした。
この時に付けられたのが、1作目でジェームズ・ノリントンに海賊と見破られるきっかけになった「P」のマークとなります。
また、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのスピンオフ作品として出版された小説があるのですが、その中の2011年発行の、
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「Pirates of the Caribbean: The Price of Freedom 」
(パイレーツ・オブ・カリビアン: 自由の代償)
の中で、この時の事件の詳細が語られているのですが、この事件のほかにも、伝説の島「カーマ島」の場所を知っているジャックが、ベケット卿の命令に反して、教えなかった事件もあり、二人の関係は微妙なものであったことがわかるのでした。
ベケット卿がジャックにつけられた傷あとを考察
しかし、一方でジャックがベケット卿に付けた傷については具体的な説明や描写はされていません。
一体、どのような傷であったのかを考えてみるに、おそらくベケット卿の体を傷つけたのではなく、比喩的な意味での傷であったのではないか、と考えられるのでした。
ジャックが奴隷たちを解放したという事件は、会社にとっては積み荷を失ったことを意味します。
しかもその理由が、嵐に遭遇して失ったというような類ではなく、ジャックの明確な意思によって行われたことが問題となってしまったのでしょう。
この行為を行った当のジャックは罰として、海賊のしるしである「P」マークの焼き印を押されてしまいました。
しかし船長のジャック一人を処分すれば済む話ではありません。
ジャックを船長に任命し、積み荷を預ける決定をしたベケット卿にも、監督不行き届きの責任が問題視されたと考えたほうが自然でしょう。
肉体的な罰を与えられることはありませんが、会社内で責任を問われ、左遷させられたとしても不思議ではありません。
そして将来的によほどの成果を出さない限り、出世レースから脱落してしまったはずです。
加えてこの問題がベケット個人としても大変なダメージになったのでした。
というのも、ジャックが解放した奴隷用の黒人は、当時のベケットのパトロンであったペンワロウ卿の積み荷だったのです。
ベケットは商人の家の生まれで貴族ではなく、才覚だけでのし上がり、ついには有力貴族に認められ、上流階級の仲間入りができるところまで来ていました。
が、パトロンに損失を出してしまったことで信頼を失い、その道が閉ざされてしまったのです。
これらのことがベケット卿にとって忘れることのできない屈辱として、心の傷になったのではないでしょうか。
ベケット卿「お互いに傷をつけあった仲」のセリフはなぜ?
ベケット卿がウィルに対してなぜこの発言をしたのでしょうか?
おそらくは、ウィルに彼がどれだけジャックのことを知っているのか、ということを伝えたかったのではないでしょうか。
そして、自分が与えた信頼に対し、それを裏切った際の代償がどのようなものか、暗に脅しとしての効果も狙ったと考えられます。
しかしウィルにジャックによってどのような屈辱を受けたのか、と問われ、苦い過去を思い出さされてしまいました。
ベケット卿はウィルの性格にも、ジャックと似たようなところがある、と感じたに違いありません。
まとめ
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの作目、「デッドマンズ・チェスト」より登場したベケット卿。
ジャックと敵対するヴィランズの一人で、ジャックの若いころを知っているというキャラクターでした。
そして、彼らの性格の不一致は、最終的に大事に発展し、ベケット卿がジャックに海賊のしるしである「P」マークを付けたのです。
そしてジャックも、ベケット卿に対して治りがたい傷あとを、彼の心の中に残しました。
会社のルールを大きく逸脱したジャックに罰を下しましたが、この事件によってベケット卿も、左遷、そして出世レースの本流過ぎから外された可能性が高いと思われます。
このことがベケット卿の心に大きな傷跡となるトラウマを植え付けたのでした。
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