映画「ゴジラvsコング」ではメカゴジラが登場します。
エイペックスという大企業が対ゴジラ対策兵器として極秘に開発したもので、作中では、最後に必要なパーツを手に入れ、完成させたとして出動させようとしました。
が、何らかの原因で操縦士である芹沢 漣が意識を失い、メカゴジラはエイペックスのCEOウォルター・シモンズを手にかけて、暴走を始めてしまいます。
結果的にはゴジラやコング、主人公たちの活躍により、完全に破壊されるのですが、なぜメカゴジラが暴走を始めたのか?については明確な説明はありませんでした。
そこで、今回は、「メカゴジラがなぜ暴走してしまったのか?」について、考察していきたいと思います。
映画「ゴジラvsコング」のメカゴジラが作られた理由
映画「ゴジラvsコング」内に登場するメカゴジラはワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズが共同で手掛ける「モンスターバース」シリーズでは初登場となります。
「ゴジラ」フランチャイズの映画として36作品目に当たる映画「ゴジラvsコング」ですが、メカゴジラは、というとすでにフランチャイズの作品の中で7作に登場し、今回が8作目ということになります。
ゴジラの最大の敵、キングギドラが9作品に登場することを考えるとメカゴジラはそれに匹敵するほどのゴジラの敵という地位を確立しているといえるでしょう。
そんなメカゴジラですが、オリジナルは異星人が地球侵略のために作り上げた、という設定でした。
次に登場した作品でも、やはり異星人の地球侵略の道具として登場していますが、3作目以降は対ゴジラ対策の武器として人間側が作り上げた、という設定になっています。
本作のメカゴジラも何度もやってきては破壊活動を繰り返すゴジラに対する武器、という形でエイペックスが極秘裏に開発していた、という設定にしており、人間がゴジラに対抗する兵器、という立ち位置になっています。
そしてその開発に協力したのは前作で犠牲になってキングギドラから地球も守った、かつてモナークの主要メンバーだった芹沢猪四郎博士の息子、芹沢漣。
芹沢猪四郎博士がタイタンと呼ばれる怪獣達と人間は共存できるという考えを持っていたことを思い出すと、その息子の芹沢漣がゴジラを倒すためにメカゴジラの開発に関与し、実際操縦もしていることは、面白い設定だと思いました。
この点を考えるとどうやら漣はタイタンに対して、父猪四郎とは違う考えを持っていたと思えてきます。
さらに深堀して考えれば、猪四郎が亡くなったのは5年前。
今回の漣の姿を見ると、5年前ならすでに成人していてもおかしくないと思われます。
何なら父の傍らでアシスタントとして一緒に働いていても、全く不自然ではなかったでしょう。
それが、前作では全く現れなかったのは、タイタンに関する考え方が全く違って仲たがいをしていた、と空想を膨らましてしまえます。
それでいて父を尊敬し、愛していたので、その父が命を落とすきっかけとなったタイタンやゴジラが許せなくて、今回のプロジェクトで中心人物となってメカゴジラを開発した、と考えることもできるでしょう。
残念なのは、北米版「ゴジラvsコング」では漣の登場シーンが極端に少なく、セリフもほとんどないこと。
これでは漣がどのような人物で、タイタンやゴジラに対してどのような考えを持っているのかが分かりません
日本版では日本用に特別シーンが加わっていて、漣のキャラクターを深く見せることができているのかもしれません。
考えてみれば、マーク・ラッセル博士とその娘マディソン・ラッセルとの関係と比較して描くことのできるおいしいキャラクターとなり得るだけに、もったいないと感じてしまいました。
メカゴジラの完成に必要なアイテム
さて映画の中ではメカゴジラを開発、完成させるために重要なアイテムが二つありました。
一つはすでに回収し、開発に利用しており、二つ目のアイテムの回収が、今回の映画のメインストリートとなっていました。
キングギドラの脳
一つ目のアイテムはキングギドラの頭蓋骨及び脳です。
前作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」で登場したキングギドラは他のタイタンたちを操れる能力を有していました。
その能力に着目し、メカゴジラを遠隔操作するために利用された、という設定です。
実際、芹沢漣がメカゴジラを操るために座る操縦席は、キングギドラの頭蓋骨の中に作られていました。
その周りに置かれているスーパーコンピューターなどの端末は頭上に設置されているキングギドラの脳に接続しているのが確認できます。
これによって芹沢漣が思い描いた行動をメカゴジラに送信し、それを受けてメカゴジラがゴジラと対決することを可能にしているわけです。
地底のエネルギー
二つ目のアイテムは、メカゴジラを完成させるために必要な問題をクリアするために必要な物でした。
その問題とはエネルギー不足。
既存のエネルギー源では数分程度の稼働時間しか得ることができず、実用化に向けて越えなければいけないハードルとなっていました。
そこで目をつけたのが、タイタン、特にゴジラのエネルギー源になっていると思われる地底の未知エネルギー。
青白く光っているところを見ると放射線物質をイメージします。
ただ、全くの未知のもの、というとそうではなさそうな描写がされていました。
マイアがサンプルからデータを取り出し、現物ではなくそのデータを転送させただけでメカゴジラのエネルギー問題が解決しているからです。
それはつまり、現物を持ち帰らなくても、その詳細なデータさえあれば、地表で活動している我々が、すでに手に入れられるもので再構築可能な物質である、と言えます。
ただし、完成したかに思われたメカゴジラでしたが、その後、最大の欠陥が表面化してしまうのでした。
メカゴジラが暴走した理由を考察
エネルギー問題を解決し、対ゴジラ決戦に挑めるようになったメカゴジラでしたが、その結果は「暴走」となってしまいました。
作品内ではこの暴走の理由ははっきりと語られていません。
ですので、この暴走が起こった原因を考察していってみたいと思います。
エネルギーの過出力
地底のエネルギー源を得てメカゴジラを稼働させようとしたシーンで、芹沢漣はエネルギーが高すぎる、と警告のセリフを発しています。
案の定、芹沢漣は気絶をしてしまい、捜査ができない状態になってしまいました。
しかしメカゴジラは操縦士がいなくても動き出し、ウォルターを殺害後、基地から外に出てメカゴジラと決戦を繰り広げます。
この描写から、芹沢漣が気絶して意識を失ったのは、エネルギーが強すぎて、その影響を受けた、と考えられるでしょう。
ただし、芹沢漣の気絶だけではメカゴジラは暴走することはなく、操縦士がいなくなったことで「動かない」だけだったに違いありません。
暴走にはもう一つのトリガーがあったと考えられます。
キングギドラが復活した可能性
操縦士である芹沢漣が意識を失って気絶してただけではメカゴジラは暴走しなかったと思います。
ではなぜ、暴走を始めたのか?
それはメカゴジラを操縦するために使用していたキングギドラの脳に理由があったと考えられます。
地底のエネルギーの出力が高すぎたため、芹沢漣が気絶してしまいました。
が、その一方で使用していたキングギドラの脳内にあったキングギドラの本能を呼び起こしてしまったのではないでしょうか。
それによって脳内から発せられる破壊行動と地球支配の欲望が、メカゴジラに伝えられることになったのです。
ウォルターを手にかけた理由は、彼があの場にいる人間の中で、パスワードを解除して交信システムを無効化することができる唯一の人物であったから、と考えることができます。
キングギドラの脳とメカゴジラをつなぐのは、エイペックスが開発したシステムであり、それがなければ、いくらキングギドラの脳が復活しても動かす物理的な肉体(この場合、機体?)がありません。
ですので、脳とメカゴジラをつなぐシステムの保全を行うためには、リスクになりうるウォルターを排除しておく必要があったのです。
パスワードさえ分からなければ、マディソン、ジョシュ、バーニーの3名は脅威にならないという判断から無視されたわけですが、流石のキングギドラも天下の大企業エイペックスの機材が、1リットルにも満たないアルコール飲料を振りかけられただけでぶっ壊れるとは思わなかったでしょう。
映画に登場するアメリカ海軍の輸送船のブリッジには、海水に漬かっても作動し続ける、コングの鎖を制御する完全防水のシステムを採用しているくらいですので、エイペックスもそれくらいは朝飯前に装備していると思ったのでしょうね。
とまぁ、冗談はこれくらいにして、メカゴジラが暴走をした理由を考察してみました。
高出力のエネルギーのために、キングギドラの本能が目覚め、それによってゴジラを襲い、街を破壊した、と考えられるのではないか、と思います。
考察のまとめ
メカゴジラがなぜ暴走をしたのか、を考察してみました。
その理由は、
-
・メカゴジラの遠隔操作のためにキングギドラの脳を利用したシステムを使っていた。
・高出力の地底エネルギーの影響で操縦士が気絶してしまった。
・同じく地底エネルギーの影響でキングギドラの本能が目覚めてしまった。
と考えられると思います。
メカゴジラというキャラクターはとても大きな魅力を持っていますが、本作で登場した芹沢漣というキャラクターも高いポテンシャルを秘めたキャラクターだと感じました。
しかし、「ゴジラvsコング」での登場シーンは限られており、その魅力は十分に生かしきれず、見せることもできていません。
ぜひ次回作にも登場し、もっと芹沢漣というキャラクターがどのような人物であるかが分かるエピソードを増やしてほしいものですね。
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