ジブリ映画「ハウルの動く城」では数多くの魔法が登場します。
そんな中で映画のはじめのほうに登場する魔法キャラの「黒いやつ」。
どうやら荒地の魔女が使っている様ですが、いったいどういったキャラクターなのでしょう。
今回は「ゴム人間」とも呼ばれることのあるキャラクター「黒いやつ」について考察をしていきたいと思います。
「ハウルの動く城」の黒いやつとは?
映画「ハウルの動く城」に登場する「黒いやつ」
帽子だけけぶっていて液体のような体つきをしており、一部では「ゴム人間」とも呼ばれています。
この「黒いやつ」もしくは「ゴム人間」と呼ばれるこのキャラクター。
いったいどういった存在なのかを、映画の中で描かれる特徴を拾いながら、考察していきたいと思います。
映画内での黒いやつ(ゴム人間)の描かれ方のまとめ
まずは映画の中で、この「黒いやつ」がどのように描かれているのか、まとめていきたいと思います
荒地の魔女の使い魔として登場
最初の登場は、ソフィーと一緒に歩いていたハウルを捕まえようと、裏路地のあっちこっちから湧き出るように出てきました。
その形容はゴム人間というより液体ぽいと、個人的には思えてきましたね。
さらに別の形態として、荒地の魔女が乗っている輿を担いでいる、服を着て正装しているものも存在しました。
そしてその荒地の魔女は小さな小さなツボのようなものにハウルを追いかけさせていた「黒いやつ」を収納しているシーンも映し出されています。
このように映画の冒頭の時点では、明らかに荒地の魔女によって使用されている使い魔。
不可思議で気持ち悪いキャラクターでした。
結界によって消滅する存在
その後、ソフィーがハウルの代わりにサリマンに会いに、王都の城に向かった際、荒地の魔女もサリマンに呼ばれたということで、正装した「黒いやつ」に輿を運ばせていました。
が、城の付近のとある地点まで来ると、結界が貼ってあったのでしょう。
輿を担いでいた「黒いやつ」は力を吸い取られたかのようにへばりこんでしまい、ついには消滅してしまうのでした。
着ていた服に顔を隠していたマスクが地面に横たわるのみで、そのほかには何にも残っていません。
これはこれで、かなり興味深い描写であるといえると思います。
サリマンも使い魔として使用していた
実はこの「黒いやつ」を使用していたのは荒地の魔女だけではありませんでした。
明確な描写はありませんでしたが、間違いなくサリマンも「黒いやつ」らをハウルやソフィーを捕獲するために解き放ち、二人を追いかけさせています。
この時には荒地の魔女は、すっかり魔法の力を無くしていました。
ハウルの城に連れてこられた後、痴呆が進んだ老人のような言動しかできていません。
その後、サリマンに無理やり手助けをさせられたソフィーの義理の母ハニーがおいていったきんちゃく袋を見つけると、多少、生気が戻ったかのように中身を確認し、手に入れた葉巻をくゆらせてます。
一方で同じくきんちゃく袋に入っていたのぞき虫をカルシファーに食べさせたことでカルシファーの力が弱まってしまいました。
その結果、「黒いやつ」らの侵入が防げなくなって、帽子屋の中庭まで入り込まれています。
この時にこれらの「黒いやつ」らを操っていたのは、明らかに荒地の魔女ではありません。
彼女はすでに魔法の力を失っていますし、「黒いやつ」らを作り出すためになんらか触媒が必要だったとしても、そんなものは所有していません。
さらに言えばカルシファーの城の中にいてハウルが認めた人物以外には魔法は使えないことだったでしょう。
これらを考えれば、この時の「黒いやつ」らを操っていたのは、荒地の魔女ではないことは明白です。
では誰の差し金か?と考えると、それはサリマンが一番しっくりきます。
ハニーを使ってまで、罠を仕掛けるために魔法の品を城の中に持ち込んだわけですから。
その魔法の品を、今度は荒地の魔女を利用してカルシファーの力を弱めるために使い、それが成功したことで「黒いやつ」らの侵入を成功させています。
逆に、のぞき虫と葉巻をハウルの城の中に忍び込ませたのはサリマンでありながら、それによって力の弱まったカルシファーの防御力を突破させて「黒いやつ」らを送り込んだのが、サリマンでないとしたら話が不自然です。
さらに重ねると、サリマンの他にいったい誰がそんなことをする動機を持っているのか、という問いに説得力のある解答は出せないでしょう。
というわけで、あのシーンで「黒いやつ」を操っていたのはサリマンとなり、つまり、荒地の魔女だけでなく、サリマンにも「黒いやつ」を使用する魔法を知っていて、しかも力もあった、ということが分かるのでした。
関連記事:ハウルの動く城ののぞき虫と葉巻タバコについての考察!
ハウルの動く城の黒いやつ(ゴム人間)についての考察
ここからは映画内での黒いやつ(ゴム人間)の描かれ方からわかる設定などについての考察をしていきたいと思います。
荒地の魔女やサリマンレベルの魔法使いが使える高度魔法
映画の中で「黒いやつ」に関する描写のされ方を見ているといくつかの説が浮かび上がってきます。
彼らを使用していたのが荒地の魔女とサリマンだけという描かれ方でした。
これはつまり、ある程度の力がないと使えない、高度な魔法ではないかという考察が導き出されます。
ハウルの世界とは関係なく、魔法全体の傾向としていえるのですが、全く何もないところからとあるものを作り出す、という魔法は、一般的に上級者向けの魔法と位置付けられています。
何か、魔法の触媒を利用して他の物を作り出すほうが少ない魔力で可能、という考え方とも言えます。
このことがよくわかるのは、映画の中で登場する「おたま人」と「黒いやつ」の違いを見てみるとより、わかりやすいのではないでしょうか。
下っ端の魔法使いが変化した「おたま人」との違い
下っ端の魔法使いが自身の姿を変えて「おたま人」。
サリマンの手下の魔法使いが自身の姿を変化させて戦争に参加しています。
こうすることで下っ端の魔法使いでも姿を変えて空を飛べるようになっており、戦闘が可能なだけの攻撃力も持ち合わせているわけです。
ただし、その代償として姿を変え続けていると、人間に戻れなくなってしまう、という設定になっていました。
関連記事:ハウルの動く城おたま人考察!人間に戻れなくなる理由はなぜ?
次のレベルに上がるための厳しい修練をするより、手軽で簡単に使える魔法を使い続けてしまう人間の性のような一面を見せられているような設定です。
そして自身の肉体を「おたま人」に変えるというように、何かを代償にして行う魔法は、全く何もないところから新たに作り出す魔法よりも下位に位置している初歩的な魔法となるのでした。
例えば攻撃魔法として有名なサンダーボルト、ファイヤーボールなどは一瞬で生み出したものが消えるので、代償を必要としない魔法でも比較的楽な部類の魔法と位置づけられています。
さらに言えば、ファイヤーボールの魔法は、魔法使いが火のついた炭などの火種を所有していると、それを巨大化させればいいだけ、という魔法になり、より簡易に使用できると考えられるでしょう。
もう一つ例に出しておくと、シンデレラを舞踏会に参加させるために使用された魔法。
用意されたものは、ほとんどが何かを変化させる魔法となっていました。
唯一全くないところから作り上げられたのガラスの靴で、ガラスの靴は12時を過ぎても消えてなくなっていません。
これに関する考察は、話がそれますので、また別の機会にすることにしたいと思います。
このように多くの魔法の描写で、全く何もないところから何かを作り出す魔法というのはより上級の魔法として扱われており、この「黒いやつ」を生み出して操る魔法もその一つだと考えられます。
そしてそのことを明確に描くために、映画内では荒地の魔女やサリマンといったとてつもなく強大な魔力を持った魔法使いしか使用していない、という形であらわされていたのでしょう。
まとめ
映画の冒頭に荒地の魔女の使い魔として登場した「ゴム人間」こと「黒いやつ」
映画のストーリーが進むにつれ、サリマンも使い魔として利用していたことが分かります。
おそらくハウルの世界の魔法には、「黒いやつ」を生み出して、それらを操る術が体系だって存在するのでしょう。
一方で映画内では荒地の魔女とサリマンしか利用していないので、ある程度の魔法の力がないと使えない、上位高等魔法だと考えることができます。
おそらくハウルも使うことができるとは思いますが、「黒いやつ」の容姿が、ハウルの好みにあっていないと、個人的に思いますので、おそらくあえて使っていない、というのが真相ではないでしょうか。
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