アニメ「ダンジョン飯」で登場したミミックですが、正直驚きました。
自分の中でのミミックのイメージは宝箱のような姿をしたモンスターだったからです。
「ダンジョン飯」のような、宝箱の中に住みついて奇襲で餌を捕らえるヤドカリのような姿のイメージはまったくありませんでした。
そこでミミックという魔物についてその元ネタを調べましたので、紹介しつつ、ダンジョン飯では、なぜヤドカリのような魔物に変化したのか、この理由も考察してみたいと思います。
ミミックの元ネタ解説!
「ミミック」という名前ですが、英語の単語、「Mimic」という、「マネする」という動詞から取られています。
その意味通り、見た目は宝箱の姿をしており、安心して近づいてきた冒険者に襲い掛かるという方法で、獲物を手に入れるのでした。
このミミックというモンスター、ダンジョン飯で登場するほかの魔物と異なり、昔から存在したものではなくて、近年にとあるゲームデザイナーによって作られた魔物でした。
1970年代後半に作られた魔物
ミミックは1977年に出版されたPRGゲーム「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」に初めて登場しました。
つまり、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」のデザイナー、ゲイリー・ガイギャックスによって作られたモンスターだったのです。
この最初の段階では、
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ミミックは一か所にとどまっているわけではなく、獲物を求めて自由に動き回れる。
ミミックは彫刻や扉、宝箱などに自在に変化することができる。
獲物が擬態したミミックに触れると、触手を形成して殴り掛かってくる。
触手は粘着性の分泌液を発することができ、触れたものを確実に確保する。
という設定になっていました。
さらには、ミミックには2種類が存在しており、一方は知性もあって言葉をしゃべり、食料を提供することで情報を得ることが可能な友好的な性格をしているとなっています。
もう一方は、キラーミミックという肉食のミミックで、こちらが冒険者を宝箱などに化けて襲う、としています。
ミミックの設定はかなり詳細
さらに、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」のゲーム世界をサポートする雑誌「ドラゴン」の中で、エド・グリーンウッドという人物による、ミミックに関するより詳細な設定が発表されました。
それによるとミミックは、外皮が灰色のため、見た目は石のように見えるそうです。
さらにミミックは内部細胞と外部細胞の間に茶色の色素を含んだ体液を移動させ、皮膚表面すぐ下にある多くの毛細血管をその体液で満たすことで、外面の色と質感を木目調に変えられる能力を有するとも記されていました。
これによって木でできた宝箱のような擬態を可能にしているのだそうです。
さらに触手と粘着性の体液を駆使して、床はおろか壁や天井を簡単に移動することができるとしています。
感覚に関して、全身に存在する、熱、光、振動に敏感な知覚器官を使って周囲の状況を観察しているそうです。
しかし、日光のような強烈な光に対しては、この知覚器官がマヒしてしまうとか。
そのため、ダンジョンなどの光の届かない場所に生息してるのでした。
さらに1985年にはメタルミミックという金属をも模倣できる種類がいる、という設定も発表されました。
このミミックはアダマンタイトを除く、鉄、金、銀、プラチナなどのあらゆる純粋な金属を模倣することができ、その色、光沢、質感は決して見分けることができないほど、となっています。
しかも形状は、未加工、または完成した金属アイテムの形状となんにでも変化することができ、攻撃する際の触手も剣などの武器の形にして、相手に襲い掛かることができるのでした。
1989年にはさらに強力でチート級のミミックが発表されます。
それは超巨大なミミックで、建物に変化することが可能というものです。
宿屋や寺院といった建物に変化し、中に入った犠牲者を捕食するというタイプなのでした。
日本ではドラクエ3で有名に
日本ではドラクエ3に登場した非常に防御力があり、攻撃力も強力なモンスターで有名になりました。
ドラクエに登場するミミックは、移動ができないらしく、プレイヤーがフィールドを冒険中に遭遇することはありません。
しかし宝箱だと思って近寄って調べると、襲われて戦闘に突入します。
基本的に、バランスがおかしいほどの強敵として能力値が設定されていましたので、よくて数名死んだ末に逃亡が可能という状態、運が悪ければ全滅といった結果になったのは、今ではいい思い出です。
また、ドラクエではそのミミック系のイラストから、開いたとたんにたくさんの牙を持った大きな口で丸かじりされるというイメージがついてしまったと思います。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」のミミックのように、宝箱から突然触手が伸びて殴られる、といった攻撃を受けるというイメージは、ないのではないでしょうか。
アニメ「ダンジョン飯」のミミックがヤドカリになった理由の考察
アニメ「ダンジョン飯」ではミミックは宝箱や瓶、つぼ、おかしなものでは兜の中に住んでいて、近寄ってきたものに対して攻撃を加える魔物として描かれています。
必ず宝箱の半である必要はなく、成長に合わせてその自身の体の大きさから、住みつく対象を変えているようです。
箱も、上部が開くタイプのものだけでなく、全面両開きのタイプでも構わないようで、おおよそ、体が入りさえすれば、形状が何であっても問題ないのでしょう。
ヤドカリの巨大化した外見ですが、ヤシガニといってよく、調理の方法はカニと一緒。
特に大きな爪内部の肉が、一番食べ応えがあると思われます。
「ダンジョン飯」のミミックが、今までのミミックの概念を壊してヤドカリの魔物となった理由ですが、おそらくは調理の仕方を考えて、ではないかと思います。
ヤドカリであれば、体を取り出し、煮るなり蒸すなりすれば、簡単に調理ができます。
ですが、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」で登場しているミミックだと、まったく新しい調理法を考え出さないといけません。
そしてその結果、どんなにおいしそうな料理ができたとしても、それがおいしいという説得力を持たせるのは至難の業だと思います。
ミミックの回はチルチャックにストーリーの中心を任せた回。
どちらかといえばチルチャックの過去などをもっと混ぜ込んで、チルチャックというキャラをより深い者にしないといけない回でもありました。
そこで、ミミックの調理法であ~だ、こ~だと話を引っ張るよりも、できるだけチルチャックの話やキャラ設定の紹介を進めたいと思ったに違いありません。
これらの理由から、「ダンジョン飯」でミミックはヤドカリの魔物という設定になったと思います。
まとめ
アニメ「ダンジョン飯」に登場したミミックの元ネタ解説をしてみました。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」オリジナルの魔物だったのですね。
もしかすると著作権などの関係で、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」と全く同じ魔物にすることができなかったのかもしれません。
「ミミック」とは英単語で「模倣する」という意味の言葉。
そのミミックが名前となっている通り、石や木などで作られたものと同じ姿に体を変えられるという魔物でした。
作り出されてから最初の設定は、攻撃には近寄ってきた相手に対し、触手によって殴りかかるという方法を取ります。
この触手は粘着性のある体液を発することができるため、攻撃した相手をからめとることもでき、子の触手と体液を使って、自由に動き回れることもわかっています。
一方でダンジョン飯出のミミックはヤドカリの魔物として登場していました。
成長していく過程で、体の大きさにあったモノに変化してく必要があり、必ずしも宝箱の中に潜まなければならないわけではありません。
「ダンジョン飯」の世界のミミックがヤドカリの魔物となった理由ですが、調理場面で調理法を難しく考えなくてもいいから、というものがあると思います。
この回ではミミックをどう食するのか、というよりも過去のことがあまり知られていないチルチャックについて、深掘りしたいという意図があったように思われます。
そちらに時間を割いた反動で、ミミックの調理時間を詳細にできなくなったことも関係しているのではないでしょうか。
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