アニメ「地獄楽」で主人公たちが極楽浄土と呼ばれる島から不良長寿の薬を持ち帰る任務を受けることになるのですが、時の将軍の命令が原因でした。
将軍・徳川慶斉(よしなり)は不老不死を手にすることができるという魅力に取りつかれ、死罪人に対して無罪放免にするという恩赦をエサに、とんでもない危険が潜む島に主人公以下たくさんの死罪人を送り込みます。
ところで、この将軍・徳川慶斉とは実在した人物だったのでしょうか?
また、将軍・徳川慶斉はファンの間では石隠れ衆の里長と並んで最も嫌われているキャラとなっています。
登場回数は多くないこのキャラクターがなぜ最も嫌われるキャラクターの一人になったのか、考察していきたいと思います。
地獄楽の11代将軍・徳川慶斉は実在した?
アニメ「地獄楽」は時の将軍、徳川慶斉の一つの命令によって物語が動き出すことになります。
不老不死の薬・仙薬が存在すると思われる極楽浄土と呼ばれる島から薬を持ってこさせる命令を下したからです。
はじめは普通の侍が島に渡っていましたが、誰一人として戻ってこず、帰ってきたのはかつて人間であったモノ。
将軍は、このような不可解な事象が起こることこそ、本物の極楽浄土であり、不老不死の仙薬があるに違いない、と決めつけるわけです。
なんとしても薬が欲しい将軍は、死んでもともとの死罪人を送り込むことを思いつきます。
無事持ち帰れば無罪放免とし、将軍家の保護のもと、余生を暮らしていけるという特典で死罪人のモチベーションを上げ、怪しげな島に多くの死罪人を送り込むのでした。
このように描かれている徳川慶斉という将軍。
実際には存在した将軍なのでしょうか?
将軍・徳川慶斉は実在しない架空のキャラ
第11代将軍として作品内では描かれていますが、実在した将軍ではありません。
徳川家で将軍職に就いたのは15名。
それらの人物は、というと、
代数 | 名前 | 在籍年度 |
---|---|---|
初代 | 徳川家康(いえやす) | 1603年~1605年 2年2か月 |
2代目 | 徳川秀忠(ひでただ) | 1605年~1623年 18年3が月 |
3代目 | 徳川家光(いえみつ) | 1623年~1651年 27年9か月 |
4代目 | 徳川家綱(いえつな) | 1651年~1680年 28年9か月 |
5代目 | 徳川綱吉(つなよし) | 1680年~1709年 28年5か月 |
6代目 | 徳川家宜(いえのぶ) | 1709年~1712年 3年5か月 |
7代目 | 徳川家継(いえつぐ) | 1713年~1716年 3年1か月 |
8代目 | 徳川吉宗(よしむね) | 1716年~1745年 29年1か月 |
9代目 | 徳川家重(いえしげ) | 1745年~1760年 14年6か月 |
10代目 | 徳川家治(いえはる) | 1760年~1786年 26年4か月 |
11代目 | 徳川家斉(いえなり) | 1787年~1837年 50年 |
12代目 | 徳川家慶(いえよし) | 1837年~1853年 16年2か月 |
13代目 | 徳川家定(いえさだ) | 1853年~1858年 4年8か月 |
14代目 | 徳川家茂(いえもち) | 1858年~1866年 7年9か月 |
15代目 | 徳川慶喜(よしのぶ) | 1867年~1868年 1年 |
徳川慶斉という人物は存在していません。
実際の第11代将軍は家斉という人物でした。
実在した第11代将軍は徳川家斉
実際の第11代将軍は徳川家斉という人物です。
どのような将軍であったか、というと、余りいい将軍ではない、というのが、一般的な評価でしょう。
というのも、一番有名な逸話が、17人の側室との間に55人の子供をもうけた、という点。
それだけの子供を設けていた将軍ですので、ほとんどを大奥で過ごし、贅沢三昧で子作りに励んでいたのです。
そんな将軍では、政治がうまくいくわけがありません。
政治は老中に任せっきりでしたが、その老中が賄賂政治を行ったため、人々の経済格差が開くことになってしまいます。
さらにこのころ、日本近海に現れるようになった外国船に対して、問答無用で追い返す「打ち払い令」も出しており、この点でも財政支出が膨大になっていきました。
徳川家斉は、自身の贅沢、不公平な政治、外国船の打ち払い令などで、徳川幕府の財政を悪化させた将軍だったのです。
もちろん悪い面だけではなく、この時代に江戸の町人文化が花開いた、という功績はありましたが、総じて評価すれば、とても良い将軍であった、とは言えないのではないでしょうか。
最も嫌いなキャラは徳川慶斉!理由を考察
アニメ「地獄楽」に登場するキャラクターの中で、将軍・徳川慶斉は1位2位を争う、嫌われキャラです。
登場場面はそれほど多くないのに、これほどまでに嫌われる理由は何なのでしょうか?
悪意がないから
一番の理由は、慶斉に悪意が無い点、ではないでしょうか。
「悪意が無い」と言っても、それだからかわいらしげがあるというたぐいのものではなく、だからこそ、たちが悪い、というか、より悪質と感じてしまうという結果になっていると思います。
生まれながらの将軍として望んだことはすべて思いのままに叶えてきたでしょう。
何かしたいことがあれば、周りにいる家来に向かって言葉を発するだけですべてが叶ってきた人生を、子供のころから送ってきたはずです。
そんな生活をしていたら、他人を思いやる心なんてものは育つはずがありません。
自分の願いを叶えるために、家来がどのような努力や手間をかけているのか。それを感じることができない生活を送ってきていたわけですから。
「食べるパンがなければケーキを食べればいいのに。」
マリーアントワネットが言ったとされる有名なセリフです。
実際には彼女が本当に言ったのではない、と言われていますが、オーストリアのお姫様として生まれ、フランスの王妃になった彼女も同じような境遇で育ってきたのでしょう。
パンが食べられないのにケーキを食べられるわけがない、という庶民の常識を知らないからこそのセリフを発したと噂され、それが本当のことだと信じられてきた程、庶民とはかけ離れた生活をしていた上級国民なわけです。
同じように慶斉も、極楽浄土という島で命をかけて、自分が欲しいと思っているものを持って帰ってくることなど、他人が当たり前にする行為である、と信じて疑いません。
そこにどのような努力や苦労があろうと、そんなことは気にすることがない立場なのです。
別の言葉でいえば、このような生死を賭けた任務を与えて申し訳ないな、ありがたいな、などと思うことはない、ということです。
それはつまり、悪気が一切ない、ということに結びつくわけなのです。
押しキャラの死亡理由だから
このような状況でアニメのストーリーは進んでいきます。
そして人気が出るだけの、魅力的なキャラクターたちの人間ドラマが繰り広げられるわけです。
そんな中で、志半ばで死んでいくキャラクターが多く出てきます。
中には、主人公ら仲間を助けるために自身を犠牲にするキャラクターもいるでしょう。
そんなキャラクターが、自分の推しキャラであったらがっかりしてしまうのが人情というものです。
中には、余りに主要なキャラクターが死に過ぎる展開に、後半になるとつまらない、と感じてしまう方も少なくない、と聞いています。
そして、推しキャラの死亡の理由を考えると、ほぼ、選択肢のない状況で過酷な島に送り込んだ張本人、将軍慶斉のせいである、という結論に行きついてしまうのでした。
さらにそれに輪をかけてムカついてしまうのが、先に挙げた将軍の悪意の無さ。
推しキャラが死ななくてはならない状況になってしまったにもかかわらず、そのことに将軍は感謝をするわけでもなく、悲しむわけでもありません。
将軍のために与えられた任務をこなし、死ぬのが当たり前、と思っているのですから。
現場の苦労を知りもしようとしない、上級国民としか言いようのない振る舞い。
これで嫌われキャラにならないはずがありません。
まとめ
アニメ「地獄楽」で登場する将軍・徳川慶斉。
第11代将軍ということですが、実在した将軍ではなく、このアニメのために作り上げられた架空の人物でした。
ちなみに第11代徳川将軍は、家斉という人物。
15代続いた徳川将軍の中で一番、将軍という地位の在籍が長かった人物です。
ですが、評価としては余りパッとせず、どちらかといえば幕府の財政を傾けた将軍という評価を受けています。
一番有名なのは17人の側室の間に55人の子供をもうけたという事実。
将軍職に在籍中、ずっとではないにしても、後年は政治を顧みず、大奥に入り浸って贅沢三昧をし、子作りに励んでいた将軍です。
アニメの将軍慶斉も、家斉の暗愚な部分を参考にしてキャラ設定されている感がぬぐえません。
生まれながらにして将軍という権力者になっているため、他人を思いやるという気持ちが皆無であり、それが嫌われキャラになっている一番の理由でしょう。
特に島での過酷な戦闘の末、死んでいったキャラクターたちは、こんな人物のために死んでいったのか、と思うと腹立ちしか感じません。
登場回数が少ないにもかかわらず、嫌われキャラ筆頭というレベルで多くの人に認識されているは、このような理由からだとおもわれます。
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