アニメ「地獄楽」の主人公・画眉丸。
殺人マシーンとして育てられた忍者という設定で、伊賀にある忍者の里「石隠れ衆」の筆頭かつ最強を誇るキャラクターです。
今回はこの画眉丸について、名前の由来を調べてみましたので、その結果から考察をしていきたいと思います。
さらに、作中では明らかにされていない画眉丸の本名についても紹介していきます。
地獄楽の主人公「画眉丸」
アニメ「地獄楽」で主人公の「画眉丸」
その名前について、なぜそんな名前になったのだろうと考えると、とても不思議に思えてきました。
あだ名込みで「がらんの画眉丸」と呼ばれており、韻を踏んでいるだけ、響きはいいですよね。
ただ、ちょっと考えると「がらん」とか「画眉丸」とかいったいどういった意味があるのか?と疑問に思えてきます。
画眉丸という名の設定
「地獄楽」での「画眉丸」という名前は忍者集団「石隠れの衆」で筆頭の忍者に与えられる屋号ということになっています。
子供のころから最強の忍者になるように鍛え上げられ、その過酷さに亡くなってしまうものが多くいたのだとか。
全く愛情を注がれることなく、まさに殺戮マシーンとして仕込まれた忍びたちの頂点に立つ忍者が「画眉丸」の名前を継ぐことができます。
その継承儀式も壮絶で、前代の「画眉丸」と決闘して抹殺することで受け継ぐのだとか。
確かに壮絶で、厳しさが伝わる継承方法ですが、もし万が一に「画眉丸」が任務中に殉職した場合、どのような継承方法がとられるのでしょうか?
ちょっと疑問に思ってしまいました。
「がらん」の意味は「がらんどう」
また「画眉丸」の前に付けられる「がらん」という言葉の意味も作品内で紹介されています。
「がらん」は空っぽを意味する「がらんどう」からとられており、「画眉丸」を名乗るものは心を空にして「与えられた任務をこなす=ターゲットを殺戮する」から。
邪魔な存在をついでに消し去る際にも何のためらいや思いもなく、手を下せることから、
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「がらんどう」の心を持つ「画眉丸」
が縮まって「がらんの画眉丸」となったのでした。
ちなみにこの「がらんどう」の語源は、
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もともと伽藍神を祭る「伽藍堂(がらんどう)」が語源といわれる。
「伽藍堂のように広々とした部屋」などといわれた事から、そのように言われるようになった。
(出典:ウィキペディア)
そうです。
なぜ「画眉丸」?由来を考察
ところでなぜ、石隠れ衆忍は筆頭忍者を「画眉丸」という屋号で呼ぶようになったのでしょうか?
「画眉丸」について調べてみました。
「画眉」の意味は
「画眉丸」
読んで字のごとく「眉を画く」という意味になります。
実際「画眉」を辞書で調べると単語として登録されていました。
しかし「眉を画く」ことと忍者と、何か関係があるのでしょうか?
日本史内で「眉を画く」と言えば、真っ先に思い浮かべることのできるのはお公家様。
顔を真っ白に塗って眉をそり、丸く眉を描いて、歯にはお歯黒を塗っている姿です。
しかし「地獄楽」の「画眉丸」はお公家様ではなくて忍者。
忍者に顔を化粧するという風習があったなんて聞いたことがありません。
ではなぜ「画眉丸」なのでしょうか?
中国語でトラツグミという意味
「画眉」について調べてみると中国語でトラツグミという鳥のことである、ということが分かりました。
「地獄楽」は中国の文化や歴史、言葉を背景にしている部分も多いため、この「画眉」も中国語との関連があるのではないか、と考えてみたのです。
「トラツグミ」という鳥は、日本に多く生息しており、本州、四国、九州の低山から亜高山帯で繁殖しています。
北海道でも見ることができますが、夏鳥として渡来しているようで、冬に見かけることはありません。
体長は30cmほどでヒヨドリ並みの大きさです。
頭部から腰までや翼などの体表は、黄褐色で黒い鱗状の斑が密にあります。
体の下面は白っぽいですし、嘴は黒く、脚は肉色です。
雌雄同色で違いはありません。
トラツグミで一番有名なのは、さえずりでしょう。
「ヒィー、ヒィー」「ヒョー、ヒョー」とさえずり、地鳴きで「ガッ」という音を発します。
主に夜間に鳴くのが最大の特徴、雨天や曇っている時には日中でも鳴いていることもあります。
この夜間に鳴くことから、トラツグミは人々に気味悪がられてきました。
森の中で夜中に細い声で鳴くため、鵺(ぬえ)または鵺鳥(ぬえどり)とも呼ばれています。
そしてそのイメージから、和歌では「鵺鳥の」は、「うらなけ」「片恋づま」「のどよふ」という悲しげな言葉の枕詞となっているのでした。
さらには「鵺」は猿の顔、狸の胴体、虎の手足を持ち、尾は蛇という姿の日本で伝承される妖怪に変貌し、平家物語などに登場するようになります。
一説には雷が落ちた際にあらわれる雷獣であるともされ、恐れられてきました。
「地獄楽」の「画眉丸」は火の気を扱うことのできるという設定で、雷や電気ではありませんが、作品に登場する気は「火・水・木・金・土」だけであり、雷はありません。
落雷後に樹木などが燃えることから5つの気の中で一番火に近いという印象を持てることから関連付けられた、と考えるのは飛躍しすぎているでしょうか?
画眉丸の本名は朔?
「地獄楽」の作品中、「画眉丸」は画眉丸としか呼ばれません。
しかしこの画眉丸という呼び名が屋号であり、石隠れ衆の筆頭忍者しか名乗れないことから、彼が画眉丸出なかった時の本名がある、と考えられています。
しかし本作ではその本名が登場しませんでした。
が、別のところから彼の本名が「朔」である、ということが紹介されたのです。
公式キャラブックで紹介されていた
2021年4月30日に単行本の最終巻となる第13巻と同時発売された公式ファンブック「地獄楽解体新書」
内容は「地獄楽」本編では語られなかったキャラクターの裏設定や、週刊少年ジャンプ出張版読切2篇、描き下ろしおまけ漫画、賀来先生へのQ&Aなどが含まれていました。
その中の書き下ろし漫画の中で「画眉丸」が「朔」と呼ばれていたことから、「朔」が本名ではないか、とされたのでした。
「朔」という意味を解説
この「朔」という漢字、なかなか見られない特殊な漢字です。
早速調べてみると読み方には3つ、
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音読みで「サク」
訓読みで「ついたち」「きた」
とありました。
調べてみると、もともと「サク」という言葉の意味があり、その後、訓読みの「ついたち」「きた」が出来上がったようです。
「サク」とは専門的に説明すると月と太陽の視黄経が等しくなること、また、その時刻のことを指します。
現代的な定義での新月(しんげつ)と同義で用いられています。
今でも中国でつかわれている太陰暦では、新月は月初めを意味します。
そのため、月初めの日である朔日は「ついたち」と読まれるようになりました。
また、十二支の最初であるネズミが北を指し示すことから、朔も方角の「きた」を表すということで訓読みとして用いられるようになったようです。
朔という名前となった理由の考察
朔という本名を持つという理由ですが、妻である結が関係していると考えられます。
結とは文字通り、最後。
その対比として始まりである朔が選ばれたのと考えられるのではないでしょうか。
まとめ
アニメ「地獄楽」の主人公「画眉丸」の名前の由来について考察してみました。
「画眉丸」とは忍者集団「石隠れ衆」の中で筆頭忍者に与えられる屋号です。
その屋号を与えられた忍者はどのような暗殺任務でも何の感情もあらわさずに遂行するため「がらんどう」から「がらん」というあだ名を付けられてきました。
これらに関しては作品内で説明されているのですが、ではなぜ「画眉」という名前が使われたかについて、一切説明はありません。
いろいろと調べてみると「画眉」という単語には中国語で「トラツグミ」という鳥の意味であることが分かりました。
日本において「トラツグミ」はあまりありがたいという印象を持たれていない鳥であり、夜鳴くことから妖怪の「鵺」が誕生した元にもなっています。
一説には鵺は雷獣であるとすることもあり、これらを総合し、「画眉丸」という屋号が使われるようになったのではないでしょうか。
また、「画眉丸」の本名ですが、「朔」であることが公式ファンブック内で明かされています。
朔とは新月を意味し、そこから転じて「始まり」「最初」という意味になりました。
画眉丸が命を賭けて再会を願った妻の名前が「終わり」「束ねる」を意味する「結」であることから、夫婦として見事に対比した名前であると思わざるを得ません。
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