映画リメンバーミーのメキシカンヘアレスドッグダンテはなぜアレブリヘになれた?

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映画「リメンバー・ミー」で主人公のミゲルと死者の国を旅する野良犬ダンテ

メキシコが原産のメキシカン・ヘアレス・ドッグで正式名称はショロイッツクゥイントリ。
通称ショロ(Xolo)と呼ばれています。

映画内で野良犬のダンテが死者の国で聖獣のアレブリヘになりましたが、その理由を考察してみました。


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メキシカン・ヘアレス・ドッグの歴史 その1 神話との関連

メキシカン・ヘアレス・ドッグは、メキシコの古代文明として知られるマヤ文明やスペインによって滅ぼされたアステカ文明のころには、すでに飼育されていたと考えられています。

紀元前1700年のものと思われる、メキシカン・ヘアレス・ドッグをモデルにした粘土細工の像が見つかっていほど古さです。




この犬の像は女性と一緒に作られていて、この頃すでに犬が人間によって飼育されていたことを示していると言えます。

つまり、南北アメリカ大陸の歴史の中で最も古い、人が犬と関わっていたことを示す遺物になるのでした。

ここからわかるメキシカン・ヘアレス・ドッグの歴史は、3700年も昔から存在していた、ということなのです。


メキシカン・ヘアレス・ドッグは番犬として飼育され、侵入者だけでなく悪霊からも家族を守ると信じられていました。

それ故、飼い主が亡くなると死者の国でも飼い主を守るために殉死させられ、一緒に埋葬されるという風習があったそうです。

それを示す遺跡として、紀元前1400年のお墓からメキシカン・ヘアレス・ドッグの骨が見つかっています。


アステカの神話ではショロトルという名前で犬の顔を持つ神様がいます。
このショロトル神は死者の国で飼い主を守ると信じられていたメキシカン・ヘアレス・ドッグと関連があるからだと信じられていました。

そのショロトル神ですが、神話では彼が死者の国に旅立ち、そこで手に入れた前時代の人間の骨に神が流した血をかけたことで、新しい人間の祖先となる男女が生まれた、と言い伝えられています。

この死者の国での冒険と、そこで行った今につながる人間を作ったというショロトル神の英雄行為。
このことが、死者の国でも力を持つと信じられているメキシカン・ヘアレス・ドッグと関連付けられたと考えられているのでした。

メキシカン・ヘアレス・ドッグの歴史 その2 特別な行事の食材?!

神や神話とも関連があるほどのメキシカン・ヘアレス・ドッグは、いまでもメキシコや中米の国々でこの犬が治癒能力があると信じられています

毛がないため、体温が高いと信じられており、とくに気温が低くなる夜に一緒に寝床で寝ることで湯たんぽのような使われ方をしているそうです。
さらに、悪霊を寄せ付けないと信じられていたことから、病魔も追い払うと思われているとのこと。

特に喘息や歯痛、不眠症やリュウマチを治すと信じられていました。


が、科学的にそのような能力は証明されず、他の犬よりも体温が高いと信じられていたことに関しても、他の種類の犬と変わらない体温であることがわかっています。

ちなみに毛がないのは、おそらく熱帯地方で進化を遂げてきた為であると考えられていて、当然ながら寒さには弱く、また皮膚病にも他の犬以上に気をつけないといけません。








ところで、かつて病気をも治すと信じられているメキシカン・ヘアレス・ドッグ、実は結婚式や葬式などの特別な行事の際に用いられる食材としても用いられていました。

それを知ると、なんて野蛮な、と思われるかもしれませんが、動物性タンパク質の摂取が難しい地域、特に太平洋上に浮かぶ島々ではそのような風習があることも知られています。

また、朝鮮半島でもそのような風習が一部に残っていて、オリンピックの際にヨーロッパからの選手が食用に飼われていた犬を救って自国に持って帰ったなんてニュースもありました。


メキシコの場合は、食材の問題からではないとされています。

遺跡から発掘されるのは90%以上、鹿の骨で通常は鹿の肉が食材として使われていたことがわかっていますので、特別な儀式の際の料理としてのみ、メキシカン・ヘアレス・ドッグが食べられました。

16世紀のスペイ人商人の記録に、とあるお祭りで80話から100話の七面鳥と20頭から40頭のメキシカン・ヘアレス・ドッグが料理として振る舞われた、というものが発見されています。

面白いことに、その際、犬の肉を皿の下に盛り付け、その上に七面鳥の肉を盛ったそうで、その理由として、メキシカン・ヘアレス・ドッグのほうが貴重で神聖だから、だそうです。


もちろん今ではメキシカン・ヘアレス・ドッグと食べるという週間はすっかりなくなっており(中米のジャングル奥深くの村の中ではまだ残っているかもしれませんが…)、ペットとして人気のある犬となっています。

新大陸を発見したコロンブスもその日誌にこの珍しい犬のことを記しており、ヨーロッパへ持ち帰っています。

こうしてヨーロッパに紹介され、その後、世界へと広まっていったのでした。

日本で飼うには?購入は可能?

メキシカン・ヘアレス・ドッグのサイズは中型犬から小型犬の種類があり、性格は人懐こく、友好的で遊び好きです。

しつけもしやすい部類であり、子供にもなつきやすいのでペットとして飼育しやすい犬と言えます。

普通の犬同様、運動が必要ですが、取り立ててハイパーなわけではありません。


しかし毛がない、という特徴のため、その部分では他の犬とは比べ物にならないくらい気を使う必要があります

もともとメキシコや中米が原産ですので、寒さに弱く、日本で飼育するには特に冬は服を着せる必要があるでしょう。

また、夏も日差しが強すぎる際や湿気が高くて熱中症の心配があるときなどは、スキンクリームなどで乾燥を防いだり、屋外に出ず、屋内で快適な環境において置く必要があります。


世界的に希少種であり、日本でブリードをしているという話はあまり聞きません。

普通のペットショップでは取り扱っていないようで、海外からの購入という方法が唯一の手段となると思われます。

その場合、輸入扱いになるため、その手続もせねばならず、その費用も犬の購入代以外ととしてかかるため、かなり高額になリます。

総じて、日本ではなかなか手に入れることのできない犬であると言わざるを得ません。


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コメント

  1. loveberry より:

    ダンテは死者の日に祭壇の食べ物を盗み食いしたから、ミゲルのように死んでるわけでもなく生きてるわけでもないという状態になり、更にあの世のもの(顔に塗ってたクリーム)を食べたからこの世のものではなくなり、アレブリヘになったのだと思った。

    • takmori83 より:

      loveberryさん、コメント、ありがとうございます。

      ダンテに関しては、メキシカンヘアレスドッグが伝統的にスピリチュアルな犬ということで、死者の国ではもともとアレブリヘなのかもしれません。

      ミゲルは始めただの野良犬だと思っていたので、死者の国でも犬としての姿でしたが、ミゲルが神秘性を認めた途端、アレブリヘに変わりました。
      死者の姿同様、全ての姿はミゲルの目を通して見える景色を、映画の中では描かれていたのではないかと、いまでは思います。

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