ディズニーの新作アニメーション映画「リメンバー・ミー」。
今回はメキシコを舞台にしており、代表的な祝日「死者の日」を題材にしたストーリーとなっています。
初めてメキシコを舞台にするということで、制作にあたったピクサーのスタッフは現地にいくことで正確なメキシコを知ることに時間を費やしました。
映画の中で大きなパートを締めている聖なる獣アレブリヘは、メキシコでは普通に見られる工芸品です。
実際には「死者の日」とは直接関係はないものの、やはりメキシコが舞台ということで監督のリー・アンクリッチはストーリーに含めることを決めました。
とはいえ、日本では馴染みのないアレブリヘ。せっかくですので、そのバックグラウンドを紹介したいと思います。
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アレブリヘは昔から存在した工芸品ではない
メキシコの工芸品と言えばアレブリヘを外して語ることはできないほどのものになっていますが、実はその歴史はそんなに古くありませんでした。
このアレブリヘを世に出した芸術家はペドロ・リナーレス。
1906年生まれで1992年に亡くなっています。
このペドロ、もともとはピニャータを作っていました。
ピニャータとは子供の誕生日などに使われる、お菓子やおもちゃなどをつめた紙製のくす玉人形です。
そんな彼が30歳のとき、病気になってしまいました。
しかもその病気で高熱を出し、意識を失ってしまいます。
ペドロは夢の中で奇妙な森の中にいて、全く痛みを感じずにとても幸福感に満たされて歩いていました。
突然、雲や岩、森の中にいた動物たちがとてもカラフルに変化します。
とくに動物は姿かたちまで変化させ、これまでに見たこともない生き物になるのでした。
チョウチョの羽を持つロバや牛の角を持つ雄鶏、鷲の頭を持つライオンなど。
そしてそれらの動物は全て同じ言葉を発しているのでした。
「アレブリヘ」と。
その言葉はどんどん大きくなり、やがて耐えきれないほどになってきます。
ペドロは頭痛に襲われ、彼が立っていた石の道を逃げ出しました。
そしてペドロは道を歩いている男性に出会います。
ペドロは男性に助けを求めました。
すると男性はペドロに、まだここにくるべきではない、と告げます。
そしてこの道をずっと進んでいくと出口があるから、と教えてくれたのでした。
ペドロは走って先へ急ぎます。やがて彼の前に細長い窓が現れました。
ペドロはその窓をくぐり、そして目覚めたのでした。
やがて病気から回復したペドロは夢で見た奇妙な生き物の像を作ることにします。
そして夢で見たとおりの色に装飾したのでした。
こうしてアレブリヘが生まれたのです。
メキシコで認められ、広まっていく
やがてペドロのアレブリヘは他の芸術家によって評価されることでメキシコで人気が出始めます。
1975年にイギリスのフィルムメーカーがドキュメンタリーを撮影して放送することで認知度は絶対的なものとなりました。
そしてついに、1990年ポピュラーアート&トラディション部門でメキシコの国立芸術科学賞を受賞します。
ペドロは彼のアレブリヘを紙やダンボールで作ってカラフルな色で装飾していました。
が、アレブリヘがメキシコ中に知れ渡るとメキシコ南部のオアハカ州で、伝統的な木工の工芸品と融合し、この地で木を彫って作られたアレブリヘが生み出されました。
今ではこの地方の特産品として認知され、主な収入源になっている程です。
ちなみにこのアレブリヘが生み出され、メキシコの代表的な工芸品になった話、僕の友人でメキシコ人に話してみた所、彼、全く知りませんでした!
小さい頃からいたるところにあって、アレブリヘのある生活がとても自然だった為、はるか昔からあるものだと思っていたそうです。
まさか誕生してからまだ100年も立っていない、歴史の浅い工芸品だとは全く思ってもみなかった、と驚いていました。
リメンバー・ミーのパピータの誕生秘話
映画「リメンバー・ミー」の中ではいろいろなアレブリヘが登場しますが、名前を持っているのはイメルダひいひいおばあちゃんのアレブリヘ、「パピータ」だけです。
メインの動物はジャガーで、メキシコの神話の中で一番力強い動物として描かれていることから選ばれました。
それに後ろ足がワシの足、頭にヤギの角を持ち、背中に羽をはやしています。
ちなみにパピータの意味ですが、「ナゲット」とか「かぼちゃの種」というものがあります。
多分、どちらもそれの意味を意図してつけられた名前ではないとは思いますが。
パピータが生まれたプロセスは、想像以上に長い時間がかかっており、まず最初にイラストで、おおよその姿が決められました。
今確認するとイラストの時点では頭に角はありませんでしたし、しっぽもかなりシンプルでした。
そのイラストからデジタルイラストが起こされ、それが完成すると今度は模型が作られます。
模型が完成すると今度は関節などが可動する人形が作られ、その人形にいろんなポーズを取らせて、アニメーターが映画に使用する場面を作り上げていくという工程を踏んでいます。
その時間はというと、イラストからデジタルイラストが完成するまで6ヶ月かかっているほどでした。
映画自体が7年かかっていますが、一つのキャラクターの準備だけでもここまでかかるのですから、不思議ではないかもしれませんね。
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