地獄楽・飢渇丸の材料や作り方は?味や兵糧丸や水渇丸の効能についても

アニメーション

アニメ「地獄楽」で忍者の画眉丸が極楽浄土の島で作っていた食料。

同行していたくのいちの杠からその食べ物が飢渇丸であることが分かりました。


忍者が携帯する非常食ということですが、実際にはどのように作る食べ物なのでしょうか?

そしてお味は?

今回は文献に伝わる飢渇丸の材料や作り方について、紹介していきたいと思います。







地獄楽・画眉丸が作った食べ物・飢渇丸とは?

アニメ「地獄楽」で画眉丸が作った食べ物「飢渇丸」。

作品内では、

    ・穀物が主材料の忍者の携帯食
    ・一日三粒で心身ともに万全

と説明されています。

飢渇丸は実在した忍者の携帯食の一つ

この「飢渇丸」、忍術書として有名な万川集海(まんせんしゅかい/ばんせんしゅうかい)に材料や作り方が乗っている、歴史的に実在した携帯食なのです。

万川集海とは、伊賀国阿拝郡東湯舟村の郷士で、藤林長門守の子孫である、藤林左武次保武(ふじばやし さむじ やすたけ)が、江戸時代前期・延宝4年(1676年)に著した全22巻にもなる日本の忍術伝書なのでした。

この中には飢渇丸のほかに水渇丸という食料の材料と作り方も記されています

飢渇丸以外の携帯食は?

さらに現代に伝わる他の忍術書、甲賀流忍法伝書老談集の中には兵糧丸と呼ばれる別の携帯食の記載もあります。

歴史的な文献を調べてみると、これらの携帯食は忍者だけが利用してきたわけではないことがわかりました。

いざというとき、特に戦などの緊急事態が発生した場合、携帯食料として侍が使用していたのです。


原材料を詳しく見てみると、兵糧丸、飢渇丸、水渇丸はそれぞれ、どのようなときに食するといいのか、目的が異なっています。

後ほど詳しく解説しますが、簡単にまとめると、

    兵糧丸は疲れた体や脳にエネルギーを補充させる目的
    飢渇丸は疲れた体を回復させる目的
    水渇丸はのどの痛みや渇き、咳止めの目的

となっているようです。


それではアニメ「地獄楽」で登場した飢渇丸の材料と作り方、またそのお味について、詳しく見ていくことにしましょう。

飢渇丸の材料を解説!

現代に伝わる忍術書「万川集海」に掲載されている飢渇丸の材料はこちらになります。

    人参:10両(375g)
    そば粉:20両(750g)
    小麦粉:20両(750g)
    山薬:20両(750g)
    甘草:1両(37.5g)
    ヨクイ仁:10両(375g)
    もち米粉:20両(750g)
    酒:3升(5400ml)

材料の中に聞きなれない物が入っています。

それぞれ、説明していくと、

    人参:朝鮮人参
    山薬:長芋、山芋などを小さく切った根菜を干したもの
    甘草:マメ科植物カンゾウの根
    ヨクイ仁:ハト麦の種皮を除いた種の乾物

となります。

飢渇丸の作り方を解説!

飢渇丸の作り方は至ってシンプルです。

すべての材料を粉砕します。

これらの粉を混ぜ合わせ、お酒を少量ずつ混ぜて練り合わせていきます。

そうして丸めていき、一つ20g~30g程の大きさにして、出来上がり、です。


しかし、実はここで落とし穴が。

というのも、でんぷんは生で食べるとおなかをこわす原因になってしまいます

無事に食するためには、加熱をする必要があるのですが、忍者が任務中にいつでも火を起こせるわけではありません。

ですので、酒と混ぜた状態で、3年間、寝かし、発酵によって体に無害な食べ物になるようにしないといけないのです。

アニメの中では、3年という期間、発酵を待つことは不可能ですので、おそらく加熱して調理したものと考えられます。







兵糧丸・水渇丸の材料も紹介

さて、飢渇丸のほかに忍者が実際に使っていたという兵糧丸・水渇丸の材料も紹介していきましょう。

兵糧丸

    もち米:5分(1.88g)
    うるち米:5分(1.88g)
    蓮肉(レンニク):1両(37.5g)
    山薬:1両(37.5g)
    桂心:1両(37.5g)
    ヨクイ仁:1両(37.5g)
    人参:5分(1.88g)
    氷砂糖:1.5斤(900g)

水渇丸

    梅干しの果肉:1両(37.5g)
    氷砂糖:2匁(7.5g)
    麦門冬:1匁(3・75g)

こちらのふたつ、兵糧丸・水渇丸の材料にも実際にどういった物なのか、わかりにくいものが含まれていますので、詳しく解説していきますね。

    蓮肉:ハスの種の乾物
    桂心:シナモン、ニッキ
    麦門冬:ユリ科の植物ジャノヒゲの根にできる肥大根の乾物



以上のような材料をつかって、飢渇丸のように粉にして混ぜ合わせます。

その後、団子状にしていくわけですが、兵糧丸は、飢渇丸と同様、でんぷん質の材料がありますので、発酵させるか、加熱を加えないと、そのままでは食べられません。

飢渇丸・兵糧丸・水渇丸のお味は?

参考にした文献には、飢渇丸、兵糧丸、水渇丸の味についての言及もありましたので紹介しておきます。

飢渇丸は、その材料に多くの漢方薬(スパイス)が使われています。

とくに朝鮮人参の割合が大きく、独特の薬のような味がしますが、噛んでいると他の材料の風味を感じることのできる、甘めのお団子、だそうです。


兵糧丸のメイン材料は氷砂糖です。

それにシナモンの効果でニッキの香りが強く感じられる、砂糖菓子という印象になるようです。


水渇丸ですが、やはり梅干しの果肉の割合が大きいため、酸っぱい味だそうですね。

砂糖が少量使われているところを見ると、多少はこの酸っぱさを和らげようとしていたと考えられます。

飢渇丸・兵糧丸・水渇丸の効用を考えると

忍者の携帯食料である飢渇丸・兵糧丸・水渇丸ですが、それぞれの材料から用途の違いが見えてきます。

飢渇丸のレシピに含まれているスパイスの効用は以下の通りとなります。

    人参:滋養強壮、疲労回復、リラックス効果
    そば粉:胃不調の改善、下痢止め、脳細胞の活性化
    山薬:滋養強壮、食欲増進、胃不調の改善
    甘草:胃腸改善、痛み止め、毒消し
    ヨクイ仁:肌荒れ防止、傷回復、免疫力強化
     など



一方で、兵糧丸は、というと、

    蓮肉:滋養強壮、疲労回復、下痢止め、リラックス効果
    山薬:滋養強壮、食欲増進、胃不調の改善
    桂心:落ち着かせる、痛み緩和、血行促進、風邪予防
    ヨクイ仁:肌荒れ防止、傷回復、免疫力強化
    人参:滋養強壮、疲労回復、リラックス効果
    氷砂糖:エネルギー補給、疲労回復
     など



さらに水渇丸は、というと、

    梅干しの果肉:胃不調の改善
    氷砂糖:エネルギー補給、疲労回復
    麦門冬:のどの痛みや咳を抑える、口渇を癒す
     など

となります。


各忍者食の材料の効用を見てみると、それぞれ、どのような場面で食料として利用されていたのかが、わかります。

飢渇丸はお米などのでんぷんベースの食べ物ですので、疲れた体を回復させることと、今後の活動におけるスタミナを補うための食料と言えるでしょう。

一方で兵糧丸は、より多くの漢方薬に分類されるスパイスを多用しているところから、素早く疲れた脳と体を回復させる目的だといえます。


水渇丸は、口が渇いた時と同時に、喉を傷めないようにすることを主眼としていると考えられます。

忍者として潜んでいる最中、咳きこんでしまえば、隠密性は無くなってしまいます。

ですので、彼らにとって、この死活問題に対する答えとして、開発されたと考えられます。

まとめ

アニメ「地獄楽」で画眉丸が作っていた飢渇丸という名前の食料。

歴史的にも実在した食料であることが分かりました。

現代に伝わる忍術書の中にきちんと記述がなされています。


基本的には砂糖やでんぷん、それに漢方薬でも使用されるスパイスを組み合わせ、粉にして練りこんだ団子状の携帯食でした。

飢渇丸のほかにも兵糧丸、水渇丸といった名前の、レシピの異なる忍者食も、忍術書には記されています。

より詳しく調べていくと、これら携帯食はスタミナや疲労回復をメインに、体調改善も考慮に入れて開発されていることが分かりました。

特に水渇丸は渇きだけでなく喉の状態を正常に保つようにして、忍者という隠密性とは切っても切れない職業を安全に遂行するための工夫がなされていたのです。









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