カナダ在住20年の筆者が見た映画の感想とふと思った疑問についてを勝手気ままに書いていくブログです。

映画ガルヴェストンのネタバレと感想!結末が現実的すぎて悲しい…

2019/07/24
 
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映画「ガルヴェストン」を視聴しました。

アメリカの底辺に生きる人達がどうやっても抜け出せない世界を見たようで、とても悲しくなってしまいました。

とはいえ、この展開だったからこそ、残されたティファニーはロイやロッキーが夢見た底辺からの脱出に成功したのかな、とも思います。

だからこそ、余計に悲しいのですけどね。







予告動画はこちら

簡単なあらすじとキャストの紹介

「イングロリアス・バスターズ」「グランド・イリュージョン」などハリウッド大作でも活躍するフランスの女優メラニー・ロランがメガホンを取り、「TRUE DETECTIVE」の脚本家ニック・ピゾラットの小説デビュー作「逃亡のガルヴェストン」を映画化。

「マレフィセント」「ネオン・デーモン」のエル・ファニングと、「疑惑のチャンピオン」「最後の追跡」のベン・フォスターが共演し、組織に追われる余命いくばくもない男と孤独な少女の逃避行を描いた。

裏社会で生きてきたロイはある日、末期ガンと診断され、余命宣告を受ける。
その夜、いつものようにボスに命じられて向かった仕事先で何者かの襲撃を受け、自分が組織から切り捨てられたことを悟ったロイは、とっさに相手を撃ち殺し、その場に捕らわれていた少女を連れて逃亡する。

少女はロッキーと名乗り、行く当てもなく身体を売って生活していたという。ともに深い傷を抱えた2人は、果てしない逃避行に出るが……。

ロイ: ベン・フォスター

ロッキー: エル・ファニング

ティファニー(大人): リリ・ラインハート

ティファニー(子供):アニストン・プライス&ティンズリー・プライス

スタン: ボー・ブリッジス

引用「映画ドットコム:eiga.com/movie/90360/」




ハッピーエンドを期待していたけど、

映画「カルヴェストン」は2010年に発表された「逃亡のカルヴェストン」という小説をもとに映画化された作品です。

ギャングのヒットマン、と解説されていましたが、ヒットマンというよりは殺しも平気でやる下っ端というのが主人公のロイです。

それが女関係のいざこざでギャングのボスから殺されかかり、なんとか襲撃者を返り討ちにしてニューオリンズから故郷のテキサス州カルヴェストンに逃げ出す、というお話。

しかも、その待ち伏せされていた場所にたまたまいた19歳の娼婦ロッキーを助け出し、同行することにします。

彼女もテキサス出身でしたが、家出をしてニューオリンズに流れ着き、体を売ることで生計を立てていたのでした。

さらにテキサスに入ったあと、ロッキーは貸した金を回収するからトロイを偽り、生家に戻って3歳半の妹を連れ出します。

こうして、ギャング組織の一員だった40歳の男性が、組織に裏切られて逃避行をしなくてはならなくなり、しかもそのちょっと前に医者から肺癌と告げられ、余命幾ばくもない、という状況に、19歳の娼婦と3歳半の妹が同行するというおまけ付き。

ここまでシチュエーションが揃っていれば、ロイは死ぬ前に二人のために良いことをしてハッピーエンド、となることを期待してしまいます。

だからこそ、冒頭で「1988年」と画面に表示されながら、ずっと昔話を見せられているのに、そのことを忘れてしまうのは、なかなか素晴らしい演出だと思いました。

原作の小説だと1988年と現在が交互に出てくるので、読みながらロイが死んでいないことに気がついてしまいます。

それが映画では、一気に昔話だけを時系列に見させてくれるため、結果的にどうなったか、3人がハッピーエンドを迎えられたのか、そのまま無残な人生を終えてしまったのか、最後までわかりません。

とはいえ、最後の10分ほどで現在に戻り、その後のことをわずかながら語られるのですが、ハッピーエンドとは言えないけど、よくよく考えると一番現実的によかった結果になっていたことがわかります。

だからといって、見終わってああよかったとスッキリすることはありませんでしたけど。

生きる目的を見出そうと

肺癌で余命幾ばくもないロイが、最後の時を迎えるにあたって、生きてきた証を探しているシーンが印象的でした。

元カノのところへ現れて、迷惑している彼女に楽しかった思い出を話して、すこしでも他の人からロイという存在を認めてもらいたいと願うわけですが、元カノはロイとの思い出は楽しかったことよりも辛かったことだけを鮮明に覚えていたのでした。

どこまで忠誠心があったのかは、わかりませんが、裏切られたボスに対してもそれなりの存在意義が組織の中にあったと思いたかったのでしょう。

やってきたことは悪事とはいえ、組織にとって無くてはならない存在だと思っていたのに、ただの便利使いの道具であることを思い知らされたわけです。

しかもつい最近まで付き合っていた女はボスに奪われてしまっていますし、これまで関わったすべてのものにとって、ロイはこれと行った意味を持たない物、つまりロイでなくても他の人間でも構わない程度でしかなかったのです。

だからこそ、妹と言っていたものの本当は自分の娘ティファニーを連れ出す際に、義父を射殺してしまったロッキーがロイだけを頼りにしていたことで、ロッキーとティファニーを守って、より良い暮らしができるようにしてあげることを、最後の自分の使命として没頭していったのでしょう。

それがなかったら、おそらくロイはボスのスタンを脅して口止め料を要求することはなかったように思うのです。

組織に見つかって殺されなかったとしても、どうせすぐに癌でなくなるのだから、最後は静かに暮らしたい。

そう思っていたように思うのです。

しかし、ロッキーとティファニーのために、まとまったお金が必要となり、危ない橋を渡る決意をします。

そしてそれは、組織にロイたちの居場所がバレてしまう結果となり、最悪な結末へと向かっていくのでした。




結末は現実的過ぎる

組織に捕まった結果、ロッキーは殺され、ロイはボスに取られた彼女の助けで何とか逃げ出します。

車を奪って逃走中に交通事故をおこし、指名手配中であったこともあって警察に捕まるのでした。

ただし、事故の治療の際に再検査を行い、胸の病気は癌ではなく、アスペルギルス症で治癒する感染症であることがわかるのでした。

組織は捕まったロイと弁護士を通じて接触し、残されたティファニーの安全と引き換えに組織や特にボスのスタンにとって不利な証言をしない約束を取り付けます。

その約束通り、ロイは組織のことは喋らず、一人罪をかぶって懲役刑を受け、20年後、一人でカルヴェストンに住んでいたのでした。

ここから物語は現在の時間に戻ります。

台風が近づくある日、ロイのもとに成長したティファニーが現れ、断片的な記憶しかない姉のことを聞きに来ます。

そこでロイは、残されたティファニーが、無事に成長し、グラフィックデザイナーとして働いていて、近々恋人と結婚することを知るのでした。

ここで、ふと思ったのですが、もしロイが肺癌で亡くなり、その前に組織から見事に大金をせしめることに成功していたら、ティファニーは、ロイの前に現れたような大人に成長していたのでしょうか。

ロッキーはわずか19歳。
家庭環境からも勉学に打ち込んだようには見受けられません。

そんな彼女が大金を手にした場合、どこまで心を強く持って、将来のために使えたでしょうか?

また、組織も金を取られた以上、なんとかして取り戻そうとしたことは簡単に想像できます。

ロイがいなくなった後、組織の手からロッキーとティファニーだけで逃れることはできたのか、これも心もとないです。

大金を手にし、ロイも肺癌ではなく治療可能な感染症で治癒をして3人で暮らす、となったとしてもバラ色の人生が待っているようには思えません。

特にロイが家族を守るようなタイプの男性ではないのが問題です。

肺癌で余命幾ばくもないというので二人のためにできることをしようとしましたが、そうでなければ、自分勝手に生きてしまうのではないかと思うのです。

どれだけ贔屓目に見てもロイとロッキーの二人よりも、ティファニーを預かったモーテルの人たちのほうが、きちんと子育てをしていけたように思えます。

あえていえば、モーテルのオーナーを始め、ティファニーを預かった従業員たちがとてもいい人たちで、きちんとティファニーを育て上げたことのほうが、非現実的なのかもしれませんが。

まとめ

映画「カルヴェストン」はとても美しく、そして悲しいストーリーの映画です。

見ていてアメリカンヒーロー映画の典型として、ロイが死ぬ前に組織を壊滅に追いやり、ロッキーとティファニーに今後生きていくのに心配をしなくていいだけのお金を残す、というような展開になるのか、と思わせておいて、いい意味で裏切ってくれました。

そこには強烈な説得力のあるリアリティーがありましたが、だからといってスッキリした思いになれる映画ではありません。

ロイのほうは、ある程度自業自得なところもあるでしょうが、ロッキーの人生を思い返してみると、本当に幸せだったのか、少しでも幸せな時があったのか、彼女の人生とは一体何だったのか、と気が重くなってしまいます。

せめてティファニーがまっとうな人生を歩める大人に成長したことだけが、救いであり、そのことをロイが知ったのも、少しだけ救われた気がしました。











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