映画「モアナと伝説の海」では元気だったモアナの祖母タラが急に死んでしまいます。
それまで老衰している素振りすら見せていなかったのに、おかしいと思いませんか?
また、祖母のタラは亡くなった途端、エイに生まれ変わって海に帰っていきました。
そして迷えるモアナの前に現れて、再度未来へモアナを導きます。
しかしなぜ、エイなのでしょうか?
祖母タラとエイには深いかかわりがあったようですが、ではモアナにもそのような動物はいるのでしょうか?もしいるとすれば、何の動物でしょうか?
今回は、以上の質問について考察していきたいと思います。
モアナの祖母タラが急死した理由はタ・フィティの心
先にも書きましたが、モアナの祖母タラはずっと元気な姿で描かれていました。
村の変わり者として通っており、村長の母親という立場もあってか、かなり受有に好き勝手していても文句は言われない存在のようです。
村のイベントの最中も、海辺で一人フラを踊っている姿が描かれていました。
ところがそんなタラですが、モアナに一族の隠した船団を見せ、テ・フィティの心をモアナに渡した後、急に倒れ、そしてそのまま助からずに亡くなってしまいます。
一人おかしい行動をしてはいましたが、一切弱ったような姿は見せず、印象としてはいきなり死んでしまった感が半端ありませんでした。
しかしなぜ、タラは急に死んでしまったのでしょうか?
その答えはモアナに渡したテ・フィティの心にあったと思われます。
というより、それ以外に理由が見つかりそうにありません。
テ・フィティは生命の誕生をつかさどる女神です。
その心の宝石を持つことで、生命力が強化される恩恵にあずかれるとしても何の不思議もありません。
本来であれば老衰してもおかしくない年齢でも、その兆候を見せることなく、元気に要られた。
が、テ・フィティの心をモアナに渡したことで、今まで元気でいられた魔力がなくなり、一気に老衰してしまい、そのまま亡くなってしまった。
これで一応納得のいく説明になると思います。
一方でタラもそのことは理解していたのではないか、と思います。
それは彼女がエイのタトゥーを背負い、死んだ後に自身もエイに生まれ変わったことで、推察されるのでした。
映画「モアナと伝説の海」でタラが生まれ変わったエイの意味は?
タラは背中にエイのタトゥーを彫っています。
海でフラを踊っているときに、数匹のエイがやってきて一緒に踊るシーンでは、エイとすでに意思疎通ができているのでは、と思わせるほど。
そして死んだ後に自身もエイに生まれ変わって海に帰っていきました。
しかしエイはタラとだけにかかわりがあり、他のモトヌゥイの人々には関係があるようには見えませんでした。
魚が取れないということもありましたが、エイを食料として捕獲しているシーンもなければ、漁以外で海自体と一緒に生きているという描写もありません。
そんなモトヌゥイに生きるタラが、自身は交流できるからといってエイの彫り物を背中にしているのは、変に見えなくもないですね。
が、よくよく調べてみるとポリネシア人にとってタトゥーにするデザインには、自分の履歴書ともいうべき情報が含まれていることが分かりました。
そしてエイもポリネシアの人々にとって特別な意味を持つ生き物だったのです。
エイは海底の砂地に紛れて姿を隠すことができ、海の食物連鎖の中で頂点に立つサメですら欺くことができます。
そのことから賢者としてのイメージが生まれ、知恵者、守護精霊という意味となったのです。
これはまさにタラにぴったり重なる姿ではないでしょうか!
実際にタラはモアナの守護精霊として困惑している彼女のもとに戻ってきています。
しかも、悩むモアナに対し、直接的にどうすればいい、というアドバイスはせず、彼女が自分で気づくように仕向けているところも、見事に賢者といえるでしょう。
モアナの最初のタトゥーに海亀がふさわしい理由
おなじことをモアナに対しても考えてみると面白いと思いませんか?
ポリネシアの人々にとってタトゥーはとても重要なアイデンティティの一つであり、男性も女性も身に着けています。
モアナの祖母タラのタトゥーがエイだったわけで、詳しく見てみるととてもぴったりとタラの存在を表していたことが分かりました。
ではモアナが同じようにタトゥーを身に着けるとした場合、何が一番ふさわしいでしょうか?
ポリネシアの人々にとってタトゥーはその人の履歴書みたいなもの、と説明しました。
であるからには、モアナの生まれてからの行動をおさらいしてみると見えてくるかもしれません。
モアナは生まれながらにして海に対し特別なあこがれを持っていました。
父親を初めてしてモトヌゥイの人々が何度も海のことを禁止しても、隙を見ては船で海に漕ぎ出そうとしていました。
つまり生まれながらにして、意味が分からない状態で、だれに教わることもなく、海に向かっていく。
これってまさにウミガメの行動とそっくりではないでしょうか?
ウミガメは砂浜の中に埋められた卵からかえると、海に向かって歩き出し、その後ずっと海の中で暮らします。
そして、どれだけ離れたところにいたとしても、生まれた浜辺に戻ってきて産卵をするという習性をもっています。
事実、ポリネシアの文化の中でウミガメの定義は、
- 海洋生物の中で最も優れたナビゲーター。長寿、幸福、耐久性を現す
となっていました。
ナビゲーターとは自分の現在位置を把握し、目的地までの道のりを示す役割を持つ人のこと。
航海士として、なくてはならない技術です。
1000年もの間、航海を辞めてしまったモトヌゥイの人々にとって、航海術は忘れ去られてしまった技術になっていたでしょうから、マウイの指導によって航海術をマスターしたモアナは、モトヌゥイで唯一のナビゲーター。
そんな彼女が地球上でもっともすぐれたナビゲーターとして認識されているウミガメを最初にタトゥーとして持つことは、まったくもってふさわしいといえるでしょう。
まとめ
映画「モアナと伝説の海」でモアナの祖母タラが急死した理由はテ・フィティの心の魔力で長生きができていたのだが、それをモアナに渡したために魔力の恩恵が亡くなったための老衰死、といえると思います。
そして亡くなったタラがエイに生まれ変わった理由は、彼女が背中にエイのタトゥーをしていたことと深いかかわりがあることが分かりました。
そんなポリネシアの人々にとって重要なタトゥー、モアナが最初にするとしたら、最高のナビゲーターという意味を持つウミガメのタトゥーが一番彼女に似合いそうです。
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