ホームレス ニューヨークと寝た男の幸せとは?ネタバレと感想

      2017/04/11

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1月28日より日本でも公開されることになっているドキュメンタリー映画「ホームレス
ニューヨークと寝た男」

外見は見るからにニューヨークでの勝ち組というスタイリッシュでスマートなロマンスグレーの
写真家マーク・レイですが、その外見とは裏腹に実はホームレスで、とあるビルの屋上で6年も
寝ています。

そんな彼の3年間の密着ドキュメンタリーを映画にした本作品をみて、色々と考えさせられた
ことを紹介して行きたいと思います。





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ホームレスになる理由

映画の冒頭はマークがビルの屋上でビールを片手に花火を見ているシーンから始まります。
続いて髭を剃り、髪を整えて高級なスタイリッシュなスーツに身を包むマーク。

ところが何故か公園の公衆トイレから出てくるシーンが挟まったあと、写真家として
ニューヨークの街なかで目についた女性に路上撮影をさせてほしいと声をかけるシーンが
続きます。

彼の撮影はプロのモデルとファッションデザイナーの撮影会でも行われ、仕事の後にジムで
鍛えるシーンも映されます。

が、ジムで運動をし終わった後、洗面所で服の洗濯を手で行い、複数のロッカーには個人の
荷物を収納しています。

次のシーンでは、お店で材質に非常にこだわりながら大きなビニールシートを物色して、
雨の多くなる季節になる前に、良いシートを見つけて買わないと、とつぶやきます。

さらに、ファッションショーで撮影を行い、スタバに移動して撮影した写真をコンピューター
で確認。そのスタバが閉店したら、更に別のバーへ移動して仕事を続けます。

その店が閉まったら、とあるアパートビルへ戻りますが、彼が戻った場所はそのビルのどの
部屋でもなく、ビルの屋上の作で囲まれた場所。そこは外から死角になっているくぼみが
あってビニールシートで覆われています。

マークはそのシートの下にある寝袋に入り込み、「おやすみ」と言ってシートを閉めるのでした。

それまでの彼がいた華やかな世界からは想像がつかないほどですが、彼を含めてそれまでの
映像がきらびやかでスタイリッシュであるからこそ、彼がホームレスだという事実がビルの屋上で
寝るシーンまで信じられない、すごいコントラストとなっています。

マークがホームレスになってしまった理由は単純に経済的に家を借りるだけの稼ぎがないから
ですが、きちんと仕事をして、身なりも整え、さっそうと街を歩く姿からは、彼がホームレスだ
とは感じられません。

実際に何度も他のホームレスの姿が映し出されますが、その誰もが、路上にボロのようになって
いる姿で、このコントラストもすごいというか、それよりひどいと感じました。

ある時点でせざるを得ない究極の選択

20代の頃はモデルとしてアメリカだけでなくヨーロッパでも撮影され、映画のエキストラとして
俳優もしています。作品中は52歳で写真家を職業としていて、有名なファッションデザイナーや
モデル、エージェントともコネを持っています。

ただし、考えようによってはマークが培ってきた経験やコネ、仕事にできる技術は都会にいないと
発揮できないものばかりで、競争相手も多く、有名になるまでは都会で生活するだけは稼げない
という、厳しい現実、作品中では「アメリカンドリームの悪夢」から抜け出せない理由では
ないでしょうか。

マークの場合、物価の安い田舎に戻る選択もあったのでしょうが、彼はそれを選ばず、華やかな
世界でやっていくことを選び、そのために不必要なものや諦めなくてはならないものを切り捨てて
いったのでした。

それが家族であったり、恋であったり、家であったりしたわけです。

一旦そう、決心してしまえば、都会に住んでいるということはかなりのメリットで、世間一般に
考えられているホームレスとは程遠い生活をキープすることで、誰にもホームレスとは気が
付かれずに生活することが可能です。

ニューヨークで仕事に打ち込んでいるときのマークはホームレスであることを気にしている
様子も、これからについて悩んでいる様子も見せはしませんでした。

しかし、マークが母親の家に戻り、兄弟などの家族と再会するとき、自分の境遇に後ろめたさを
感じており、年老いた母親を経済的に助けられないことに気落ちするのでした。

彼の本心が僕には見えなかったのかも…

俳優もしているマークですので、彼が本当にどう思っているのか、なかなかわかりづらかった
と感じました。

もしかすると、彼自身も自分の本心に気がついていないのではないか、もしくは知りたくないので
毎日を忙しくしてその時を生きていくことにしているのかもしれません。

気が上がってくれば、こんな生活も悪くない、十分楽しい毎日を生きていける、と思うでしょうし、
気が落ちてくれば、一体自分の人生は何だったんだ、今自分は何をしているんだ、と自問自答して
思い悩むでしょう。

今回の映画の日本公演に合わせてマークはプロモーションのため、日本を訪れることが決まって
います。
それに合わせ、ゆくゆくは日本で仕事を見つけたい、そのための資金をクラウドファンドで募集
しているという動画をユーチューブにアップしています。

ホームレスになってまで、仕事を続け、身だしなみにも気をつけているマークには日本で
生活をしたいという新たな希望を持つことになったのでしょう。

おそらく、この希望や目標というものが、同じホームレスでもボロのように路上で寝ている
人たちとマークとの違いなのでは、と思いました。

彼にとっての幸せは、そのためにいろいろなことを犠牲にしてまでもつかみたい、「成功」
ナノではないでしょうか。





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