映画「オールド」はM・ナイト・シャマラン監督の作品で、時間がとてつもなく早く進むビーチに閉じ込められた人々が体験する恐怖を描いた映画です。
そんな映画を視聴して、個人的に面白かったと思った点や、「ここはどうなの?」と思った面白くなかった点を紹介していきたいと思います。
ネタバレなしを前半に、ネタバレ有の感想を後半に紹介していますので、ネタバレが嫌だ、という人は前半だけご覧ください。
映画オールドのネタバレなし感想
映画「オールド」の感想をネタバレなしで感想を紹介していきたいと思います。
個人的に面白かったと思った見どころと「ここはどうなの?」と感じた面白くなかった点をあげていきましょう。
「ネタバレなし」とは言っていますが、こちらの予告映像でわかる内容までは踏み込んでいますので、ご了承いただきたいと思っています。
この後、ネタバレ有で詳しく深堀していますので、ネタバレしてもいいから知りたい人は、後半もご覧ください。
映画オールド見どころ
まずは映画「オールド」を見て感じた面白かったところ、見どころをあげてみましょう。
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・M・ナイト・シャマラン監督が企んだ謎解き
・ちりばめられている伏線の数々
・ビーチに閉じ込められた人々のそれぞれの対応
一つずつ、ネタバレなしで説明していきます。
やはり第一点目は、やはりM・ナイト・シャマラン監督の作品ということで、どのような謎が隠されているのか?という点でしょう。
実際、監督だけでなく脚本も担当しており、監督が父の日にプレゼントされたフランスの青年向け漫画「Sandcastle」を原作に映画は作成されています。
その原作に、監督が映画として独自の謎解き解釈を加えており、今回もあっと驚くエンディング、M・ナイト・シャマラン監督テイストとなっているわけです。
2点目に上げられるのが、数々の伏線ではないでしょうか。
何人もの人たちが不思議なビーチに閉じ込められることになるのですが、それはなぜなのか?
その謎はエンディングでわかるのですが、それが分かると同時に、ビーチに辿り着くまでの、閉じ込められる人々が取っていた行動に、このような意味があったのか?ということに次々と気が付いていくことになります。
一度映画を見終わってから、またもう一度見てみると、また新たな気付きがある。
そんな楽しみ方ができる映画となっているといえるでしょう。
ホラー映画のジャンルに分類される「オールド」ですが、ホラーやスリラー作品はあり得ない恐ろしい状況に陥ったとき、登場人物がどんな反応をするのか、を見るのも楽しみの一つだと思います。
今回の「オールド」でも9名の人間がビーチに閉じ込められますが、わけのわからない、でも状況は刻々と悪くなっていく中で、どのように反応するのか。
そんな登場人物のコントラストある描かれ方も楽しみの一つだと思いました。
後半のネタバレ込みの感想紹介では、これらの点をもっと詳しく掘り下げています。
興味のある方は、ご覧ください。
映画オールドの面白くなかった点
続いて映画「オールド」を見て「?」と感じたり、「これはどうなの?」と感じた面白くなった点を紹介していきましょう。
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・映画という映像では表現しきれなかった設定
・謎や設定の説得力が今一つ
・ホラー映画として賛否が分かれるエンディング
ということが挙げられるのではないか、と思います。
それではひとつずつ、見ていきましょう。
まずは「映像で表現しきれなかったと思われる設定」について。
時間の経過が普通よりも格段に早いという設定の謎のビーチ。
原作は漫画であるため、1時間が一年という速さで過ぎていき、それに合わせてそこにいる人たちが成長、老衰していくのは描きやすかったと思います。
一方で映画というコマ切れではない映像にした場合、この設定に合わせるためには、登場人物たちの成長具合をきちんと描かないとおかしく見えてしまうことでしょう。
たとえば背景として映る場面であったとしても、成長して変わった姿を写さないといけないわけです。
が、映画を見た感じでは急激に成長をしたと思ったら、しばらくは成長が止まっている、ように見えてしまうのでした。
ここの部分に対してストーリーにのめり込めずに気になってしまう人がいるのではないか、と思ったしだいです。
続いては謎や設定に対して、そのように設定したのであれば、実際はこうなるのでは?と疑問を持ってしまうシーンがあったことです。
これも前のものと同じく、ストーリーにのめり込む前に気になってツッコミを入れたくなってしまう、という気が散る原因になると思いました。
最後はエンディング。
このような終わり方もいいのでしょうが、ホラーという怖さを売りに出すべきジャンルであれば、このようなエンディングではないほうが、より怖く感じられるのでは、と心配になりました。
人それぞれの好みで賛否は分かれますが、ある意味、万人が納得できるエンディングではなかったように思われます。
後半では、ここに上げた映画を面白くさせない点についてネタバレを含めてさらに深堀りし、紹介していきたいと思います。
映画オールドのネタバレ有り感想
それでは映画「オールド」のネタバレ有での感想を紹介していきたいと思います。
全編を視聴し終わって思ったのは、悪い、つまらない、という映画ではありませんでした。
時間が早く進むという面白い設定を上手く使い、しかもその設定を利用して、なぜその場所に人々が送り込まれるのか、の種明かしは見事だったと思います。
が、しばらく時間が経つと、あれ、ここがおかしいな、とかこれは実際にどうなの?といった疑問が湧き上がってきてしまいます。
かなり特殊な設定であり、それを映画という映像がメインの媒体で表現しようとしたのは、素晴らしいチャレンジだったと思いますが、残念ながら100%見事に表現できた、とは思えませんでした。
とても楽しめる映画ではあります。
が、M・ナイト・シャマラン監督であったら、もっとうまく表現できたのではないかな、と思えてしまえる残念さを含む映画であったというのが、正直な感想です。
映画オールドのみどころ・面白かった点をネタバレ有で
それでは前半でも紹介した、映画「オールド」の面白かったと思った見どころをネタバレ有で紹介していきましょう。
M・ナイト・シャマラン監督作品の醍醐味
やはり何といってもM・ナイト・シャマラン監督の作品ということで最後のネタバレや種明かしは楽しみでした。
そして、時間がとんでもなく早いスピードで進むビーチという設定に、そのことを利用して製薬会社のリサーチ部門が、生涯テストを1~2日で済ませるため、実験場として使っている、という種明かしはとても楽しめました。
一方でなぜそのようなことがこのビーチで起こっているのか、という謎解きは明かされないまま。
実際のところ、この現象が起こるための合理的な説明など、つくはずがないのでここに手を出さないのは賢明な判断だと思います。
また、ビーチから出れない設定も、納得できるような、できないような、そんな感じで軽く触れられていましたが、これも仕方のないことでしょう。
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・脱出したくてもできない。
・この場所で超自然現象の影響を受け続けるしかない。
・脱出する方法は本当にないのか?
この流れを主軸にしながら、時折、背後にうごめいている何かの存在を意識させるシーンがいくつか挟まれています。
そして最後に、それが何のために行われていたのか、が明かされた時に全てが腑に落ちる快感を今回も得られたと思ったのでした。
特殊な状況に置かれた人々の反応
「時間が早く進む場所に閉じ込められる」
全く持ってこれまで考えもつかなかった設定。
そんな設定の中に閉じ込められた人々がどのような反応をするのか、は見ていて楽しかったです。
パニックになり、どうしていいかわからなくなって現実逃避を起こしていると感じられたクリスタル。
統合失調症を悪化させ、どんどん攻撃的になっていったチャールズ。
事態を何とか理解し、解決方法を探そうとし、脱出方法を試すパトリシアとジャリン。
次々と仲間が死んでいき、どうにもできない最後を悟って二人の時間を楽しみ感謝するガイとプリスカ。
なんとなくそれぞれのコントラストを感じました。
そんな中、どうにもできない状況の中でそれでも感謝できるものの存在に気づいて、それを最後の時まで楽しむガイとプリスカの最後がとてもきれいに思えたのでした。
見事な伏線回収
映画「オールド」の最大のネタバレは、リゾートホテルとは真の目的を隠すためのもので、実は製薬会社が新薬の治験の時間短縮に利用している、というものでした。
そのため、リゾートに集まってきた客のほとんどは、健康に何か問題を抱えている人々で、ホテルから提供されるドリンクサービスは、実は新薬が混入されている、というものだったのです。
このようにビーチに閉じ込められる前にホテルの中で繰り広げられる小さなイベントは、実はこの時点では隠された設定の伏線でした。
トレントとイドリブが一緒に遊んでいて、リゾートに来ていた客に話しかけ、職業を聞いていたのも、無事生還したトレントとマドックスが行った悪事を暴く行為に役に立っています。
チェックイン後、カッパ家族が部屋でふざけあっていた際、ガイが子供はビーチの立ち入り禁止、と冗談を言っていましたが、案外これは冗談ではありませんでした。
こういったちょっとしたセリフやシーンが、ネタバレをした後で考えると実は大きな意味を持っていた、ということに気づくことができ、他に何か見過ごしたことはないか、ともう一度見返してみたくなる作りになっているのは、さすがだという他ないですね。
ネタバレ有での映画オールドの面白くなかった点
一方で映画「オールド」を見終わってあれこれ考えてみると、つじつまが合わなかったり、ご都合主義的な展開であったりした部分が、いくつか思い返されてしまいます。
もしかすると、視聴した人の中には、そのことが分かった途端、ストーリーとしてつじつまが合わないとひらめいた方もいることでしょう。
そうなってしまうと映画としての面白みは半減以下となってしまいます。
そんな点がいくつも見えてしまうところに、映画として完成しきれていない、と感じる部分がありました。
漫画が原作であったことで感じられる物足りなさ
漫画が原作であったため、おそらく漫画でこの話を読み進めていく分には、時間が早く進むという設定を、あまり違和感を感じなかったのではないでしょうか?
子供たちの成長具合を表現するために6歳、11歳、15~16歳といった年齢役に異なった俳優が演じていました。
そういった演出は必要ですが、今一つ成長スピードが速いことを表現するには物足りなかったように感じたのです。
急に俳優が変わり、その後しばらく変わらずにイベントが起こり、また俳優が変わる。
そんな印象を受け、成長スピードが早くなる時と止まる時があるのか、と思ってしまったくらいでした。
また大人役は、メイクで老衰の様子を表現していました。
が、それほど年が変わったと感じさせられて以内印象を受けました。
この部分が、もう少しうまく表現できていれば、より恐ろしさを感じられたのではないか、と思ったのです。
他にも設定に関しての説得力に疑問が…
「製薬会社が新薬の治験に利用している」という設定は素晴らしかったと思います。
が、そうであれば、この製薬会社が開発しようとしている新薬はとんでもない代物だということになってしまうでしょう。
というのも、対象となった人々が新薬を秘密裏に接種するのはビーチに来る以前。
滞在日数にもよるでしょうが、多くても数回の服用機会しかないはずです。
そしてビーチに送られて経過が観察されるわけですが、その間、薬の服用はされません。
そして結果として薬が治療薬として効いたのかどうか、判断しているわけですから、彼らが開発している薬は服用回数1回で病気を完治させる、みたいなことになるでしょう。
ちょっと、現実的に考えて無理があるように思いました。
その他にも身体的にはあっという間に成長した6歳や11歳が、体付きが大人になったからと言って精神的にも成長しているのか?という疑問も残ります。
明らかにマドックスやトレント、カラは体の成長に合わせて精神的にも大人になっているような言動をしていました。
この部分は、ちょっと納得しがたい描写だと思わざるを得ません。
さらに言えばカラの妊娠・出産も同じことがいえるでしょう。
また、赤ん坊がビーチの時間の流れについていけないから亡くなった、ということになっています。
が、それであればたとえ子供だろうと大人だろうと、時間の流れに合わせた食事や排せつを行っているのか、ということにならないでしょうか。
こういった細部の部分で、考えれば考えるほど、穴が出てきてしまうのは仕方がないでしょうが、見ている最中に気が付くと、ストーリーにのめりこむことはできなくなってしまうでしょう。
エンディングはいまいちかも
ホラー映画としてのエンディグでハッピーエンドというのはどうなんでしょうか?
ハッピーで終わらないことで恐ろしさや不安感が残るという効果があると思っており、折角怖い思いをしたのだから、怖いままで映画を終えたい、と思う人もいると思います。
無事ビーチを抜け出したトレントとマドックスのおかげで警察が介入して製薬会社が行っていた悪事が暴き出され、逮捕者も出て、これ以上の被害者は出なさそうなエンディングでした。
ハッピーエンドで納得した視聴者もいたとは思いますが、暗いブラックな終わり方でこの恐怖は今後も続く、としてもよかったようにも感じたのです。
感想のまとめ
映画「オールド」
漫画を原作とし、これまであまり見られなかった設定を題材に映像化したチャレンジ作だと思います。
そして原作では描かれなかった謎解き部分をM・ナイト・シャマラン監督が付け加えて、あっと驚くネタバレを、今回も提供してくれました。
その部分は大いに楽しめます。
なるほど、と納得するところも大きいです。
が、後からいろいろと考えてみると、ちょっとおかしいのでは、と気が付いてしまうことがいくつもあり、その解決方法を考えてもなかなか思いつきません。
中には視聴中にパッと閃いて、これはおかしい、と気づいてしまう人もいるでしょう。
見ている最中にそうなってしまってはストーリーにのめり込むことはできなくなってしまいます。
そういう点を考えると、残念な部分を含んだ映画であった、と言えると思います。
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