ネタバレ感想 1 類まれなる才能を持って生まれたことは幸せなことなのか?
映画「Gifted ギフテッド」で主人公のメアリーは「10億人に一人」という数学の才能を
もって生まれてきています。
しかしこの才能を持つがゆえに、普通の生活ができないとしたら、果たしてその才能を
持っていることは幸せなことなのでしょうか?
確かに、誰にもできないこと、誰にも解けない問題を解き明かし、その名前は後世に
永遠に残るでしょうが、本当に幸せなのかは誰もわかりません。
数学の天才ではありませんが、音楽家として有名なモーツァルトやベートーヴェンの
名前と作品は今なお、人々の中から忘れ去られることはありませんが、彼らの晩年の生活は
幸せなものではなく、悲惨と言ってもいいくらいのものでした。
逆にモーツァルトのライバルというか、同じ時代に活躍したアントニオ・サリエリという
音楽家はおそらく知る人も少なく、彼の音楽もそれほど聞かれることはないでしょうし、
少なくともモーツァルトの音楽ほど確実に知られてはいません。
しかしサリエリは、彼が生きていた時代は死ぬまで宮廷楽長としてヨーロッパ楽壇の頂点に
立っていましたので、悲惨な生活をしたことはありませんでした。
死んでから如何に評価されようと、生きているうちにその才能で裕福な生活ができること
のほうが、本人にとっては重要だと思うのです。
そういう意味から、フランクがメアリーに普通の生活を送ってほしいという気持ちは
分かりますし、エバリンの愛情は本当にメアリー個人に対して向いているのか、疑問を
持ってしまいます。
もし、メアリーに数学の才能がなければ、エバリンはメアリーに会いにも来ないのでは
ないか、と思ってしまうからです。
それでも映画の最後でエバリンがダイアンのメモ用紙を見て、涙を流したシーンでは、
彼女も娘のことを愛していたことに自分自身で気がついたのだろうな、と思いました。
できれば、数学を通してだけではなく、ありのままの彼女を愛していたことを、ダイアンが
生きているうちに示せてあげていれば、良かったのに。
ネタバレ感想 2 ナビエ・ストークス方程式って何?
と、してみたものの僕も数学の専門家ではないので、ざっくりとした説明しかできません。
たとえ詳しい説明ができても、あまりに専門的すぎてわかりやすく説明はできないと思い
ますが。
「ナビエ・ストークス」というのは、二人の数学者から取られた名前で、一人がアンリ・
ナビエというフランス人数学者。もうひとりがジョージ・ガブリエル・ストークという
アイルランド人数学者です。
まずはアンリ・ナビエが流体力学における基礎方程式を残し、その後、ジョージ・
ガブリエル・ストークが一般方程式をだしました。
と言ってもどういうことなのかさっぱりわかりませんが、ざっくりいうと乱流が作り出す
動きを方程式で持って解いて現そう、という問題のようです。
乱流といってもピンとこないかもしれませんが、一番身近で見られる乱流といえば、水道
の蛇口から流れ出る水となります。
蛇口をひねった際に流れ出る水の動きを方程式で解くことで再現できる、というわけです。
この「ナビエ・ストークス方程式の解の存在と滑らかさ」という問題はミレニアム懸賞
問題の一つであり、これはアメリカのクレイ数学研究所から2000年に発表された7つの
問題で、見事に解き明かすと研究所より100万ドル、日本円にして1億円以上が懸賞金と
してもらえる事になっています。
7つある内、一つは証明がなされており、残り6つになっています。
しかしその問題を読んでみても、数学知識がない僕にはチンプンカンプンで意味すら
わかりません。
たとえばこの「ナビエ・ストークス方程式」の問題も正式には以下のような問題文になります。
「3次元空間と(1次元の)時間の中で、初期速度を与えると、ナビエ・ストークス方程式の
解となる速度ベクトル場と圧力のスカラー場が存在して、双方とも滑らかで大域的に
定義されるか。」
ね、意味不明でしょ。
ネタバレ感想 3 映画のトリビア紹介
この映画の撮影が終わった後、主演のクリス・エヴァンスと先生役のジェニー・スレイト
は付き合い始め、その交際は約1年近く続いて破局しました。
撮影はジョージア州のサバンナという街で行われ、メアリーが通っていた学校、映画内で
ハワードスクールとなっていましたが、実際にはメイ・ハワード小学校という名称でした。
映画に登場する建物は1950年に建てられたもので、撮影中に新しい学校の建設がちょこっと
南に下ったところで行われていました。
今では、古い校舎は取り壊されたそうです。
クリス・エヴァンスとオクタビア・スペンサーはこの映画の前に、2014年に公開された
映画「スノーピアサー」で共演をしており、ジェニー・スレイトとオクタビア・スペンサーは
2016年のディズニー・アニメ「ズートピア」で共演をしています。
片目の猫フレッドが映画に登場したのは、脚本家のトム・フリンのアイデアですが、
フランクとメアリーが共に傷ついて普通ではないキャラクターだったので、同じく傷を
持つ猫として片目の猫を飼い猫として一緒に住んでいることにしたら面白いのでは、と
いう考えからでした。
そのフレッドを貰ってきた動物シェルターでクリス・エヴァンスも犬を貰ってきてドジャー
と名付けて今も飼っています。
北米の配給元としてFoxが担当していますが、同じく数学の天才を題材にした映画「ドリーム」
もFoxが配給しており、オクタビア・スペンサーは両方の映画に出演しています。
コメント
素晴らしい感想にトリビア、ありがとうございました!
とっても参考になりました。
メアリーが最後に同世代の子供たちと遊んでいたのは、おそらく、ガールスカウトの活動ですよね。
制服でわかりました。