映画「ライオン 25年目のただいま」を映画館で見そびれてしまい、ようやくDVDで視聴する
事ができました。
グーグルアースで故郷を探し出し、離れ離れになった家族と再会するというストーリーと
いうことを大々的に番宣で使っていたので、僕の頭の中は「グーグルアースでの故郷探し」と
いう先入観だけがありましたが、内容はそれ以上に深いもので、とても勘当し、考えさせ
られました。
予告動画はこちら
キャストの紹介
サルー: デブ・パテル
5歳のときに迷子となり、25年後、グーグルアースで故郷を見つけ出す。
スー: ニコール・キッドマン
サルーを養子に迎え、育てた母親。
ルーシー: ルーニー・マーラ
サルーの恋人。
ジョン: デビッド・ウェンハム
サルーを養子に迎え、育てた父親
サルー(幼少期): サニー・パワール
ネタバレあらすじ
インドの西部の貧村に住むサルーは母親と兄のグドゥ、幼い妹と暮らしていました。
ある日、夜の仕事に行こうとする兄のグドゥの手伝いをしたいと、サルーは一緒に生きますが、
駅で睡魔に勝てず、寝てしまいます。
仕事のあるグドゥは戻ってくると約束して、寝ているサルーを駅において仕事に行きますが
夜中にサルーが目をさますと、辺りには人っ子一人いません。
グドゥを探し回るサルーですが、見つからず、プラットフォームにとまっている列車の中に
いるのではと入り込み、また、車内で寝込んでしまいます。
次に目を覚ますと、列車は見知らぬ景色の中を走っていました。驚いたサルーは助けを求めて
叫びますが、車内には誰もおらず、扉には鍵がかかっていて降りることができません。
サルーが列車から降りることができたのは、遠く離れたインド東部の都会、カルカッタで
した。
サルーはまだ5歳、母親の名前や名字なども知らず、生まれ故郷の村の名前も正式に覚えて
いません。しかもサルーが話す言葉はインドの主要言語のヒンズー語でしたが、カルカッタ
で使われているのはベンガル語で、言葉が通じないのでした。
カルカッタの街は貧困に溢れ、そこら中にサルーのような孤児が路上生活をしていました。
そんな子供を捕まえて、人身売買や臓器売買に利用する犯罪組織も存在し、有無を言わさず
誘拐したり、甘い言葉で誘って警戒心をといておいてから、誘拐するなどの危険な目に
合う数年を過ごしていたのでした。
サルーは幸運にも親切な人に出会って警察で保護されます。
そして同じような境遇の子供達が収容されている政府の施設に送られるのですが、そこは
犯罪を犯した子供も収容される刑務所でもありました。
いじめや暴行も横行しており、中には精神的に大きなダメージを受けてしまっている子供も
いました。
そんな中、サルーは幸運にもオーストラリアの夫婦のもとに養子に出されることになりました。
不安なサルーでしたが、スーとジョン夫婦はとてもいい人達で、サルーはようやく安息の
地を得ることできるのでした。
スーとジョンはサルーに弟を、ともう一人養子に迎えます。
同じくインドからマントッシュが迎え入れられますが、彼はそれまでの辛い生い立ちのせいで
精神的に大きなダメージを受けており、3人の生活は一変してしまうのでした。
それでもサルーは優しいスーが大好きで、タスマニア島での家族4人の生活を楽しく過ごして
いきます。
大人になったサルーは大学に進学、メルボルンへ引っ越します。
そこでインドからの学生や後に恋人になるルーシーとも知り合います。
そして彼ら、特にインドの友人に幼少の頃に起きた出来事を打ち明け、いつも気にかかって
いた故郷、母親や兄のグドゥに思いを募らせるのでした。
やがてその思いは大きくなり、当時の状況を思い出しながら電車のスピード、乗っていた
時間、路線図などをチェックして、本当の故郷がどこなのかを探し始めます。
友人に教えてもらったグーグルアースで、グドゥと別れたときに見た給水塔のある駅の
風景を思い出しながら、可能性がある駅を一個一個、調べていくのでした。
はじめはそんなサルーを手助けしたかったルーシーですが、サルーののめり込みように
心配をし始めます。
やがて過去のことにのみ、没頭し、仕事まで辞めてしまうサルー。現在のことを一切顧み
ないサルーとの間に溝を感じ始めてしまうのでした。
ルーシーはサルーにたずねます。
もし故郷が見つかって、そこに母親や家族がいなかったら、彼らの居場所を探し続ける
のか?と。
またサルーはスーに故郷探しのことを話していませんでした。もし、スーが知ってしまえば、
悲しむだろうと心配したためです。
スーは精神に深い傷を追ってしまったマントッシュのために、とてもつらい時間を送って
きたという記憶が、サルーの中にあるため、血のつながった本当の子供を持てていれば、
どれだけ幸せだっただろうと、思うと、故郷探しがサルーも本当の子供ではないという事実を
突きつけて、スーを傷つけだろうとずっと思っていたからです。
しかし、スーは子供ができないからだではなく、自分から子供を産まず、養子を育てる
選択をジョンとともにしたことをサルーに伝え、サルーを養子に迎えたとき、サルーの
記憶も背負う覚悟もできていたことを伝えるのでした。
サルーはついに故郷を探し当てます。
真っ先にルーシーに話し、一緒にお祝いするのでした。故郷に帰って家族に会いに行く
ことを伝えるサルーに、ルーシーは待っているから、と答えます。
スーも、故郷が見つかったことを大喜びしてくれます。母親に無事に育った姿を見せて
あ気なさい、と。
故郷に戻ったサルーは子供ころに遊んだ村の近くの森や川を歩き回り、子供の頃の記憶を
楽しみます。
そして村の中に入っていき、駆け回った近所の記憶とともに、家に向かうのでした。
家に入ってみると、そこにはやぎが飼われており、長い間、人が住んでいる気配はあり
ませんでした。
そんな可能性があることも覚悟していたサルーですが、失望します。
そこに近所の人達が集まりだし、サルーに声をかけます。
サルーは英語のできる男性を見つけ出し、自分が誰であるかを説明して、家族を探して
いることを告げます。
そうするとその男性はサルーについて来いと言って、別の場所に案内します。
そこには若い女性に手を引かれた老女がいました。その老女こそ、サルーの母親、カムラ
でした。
二人はしばし、再会を喜びあいます。そして若い女性が妹であることも知りました。
家族に会えた喜び一杯のまま、グドゥの居場所を尋ねるサルーですが、グドゥは既に亡く
なっていることが告げられます。
実はグドゥは駅でサルーと別れたあと、別の列車にひかれ、あの夜、亡くなっていたのでした。
母親カムラは、いつの日かサルーが戻ってくることを信じ、村から離れることはありません
でした。
そうして、奇跡の再会を果たし、サルーは自分の本名を知ることになります。
サルーの本名は「シェルゥ」、ライオンを意味する言葉でした。
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