映画ライオン25年目のただいまのネタバレ感想と考察!サルーが覚えてた赤い揚げ菓子は?

映画

ネタバレ感想 1 勝手に思い悩んでしまっていること

この映画を見て、色々と考えさせられることがありました。

その中で一番強く感じたのは、スーを傷つけることになるのではと心配していたサルーの
悩みが、実はサルー一人で勝手に思い悩んでいた一人相撲だったという点です。

サルー一人で悩んでいたため、必然的にすーとの間のコミュニケーションも少なくなって
しまいます。すると今度はスーが、なぜ急にサルーが変わってしまったのかを、思い悩み
始めてしまうのでした。

悩みの大半は一人で抱え込んでしまっているから生まれるのだ、という言葉を聞いたことが
あります。

特に対人関係では、それが顕著で、「あの人に嫌われているのではないか」といった悩みを
抱えてしまうことが多くあります。
実際には、その人は自分のことをなんとも思っていない、というオチがほとんど、という
ことも多いですが。

サルーとスーの間にも全く同じ事が起こっていて、サルーが話してみたら、スーは全く
気にしていなかった、逆にサルーが心配していた反応と全く正反対のリアクションだった
ことに、サルーは驚かされています。

スーの告白で、実は実子を産めるにも関わらず、養子を迎える決断をした、その結果、
サルーがスーとジョンの息子になったという事実は結構衝撃でした。

特に日本人は純血主義が強い方だと思います。ですので、なかなか養子を迎えるという
行為は、ハードルが高いと思います。さらに子供が外人の容姿をしていて日本人には
とても見えない、というのであれば、なおさらだと思います。

僕も養子を迎え入れるという考えに、抵抗があるほうですので、スーやジョンの考え方に
素直にすごいな、と思う次第です。




ネタバレ感想 2 サルーが欲しがっていたお菓子は?日本で買えるの?

幼少期のサルーが兄のグドゥと仕事をしてお金を稼いたあと、屋台で売りに出ていた
揚げ菓子をねだるシーンが印象的でした。

その記憶が大学に通うようになって、故郷探しを本格的にし始めるきっかけになるように
描かれていましたので、特に強いインパクトが強かったのだと思います。

このお菓子、調べてみるとジャレビという名前の揚げ菓子で、インドだけでなく中東から
北アフリカに渡る広範囲で愛用されていることがわかりました。

原料自体は小麦粉と水で、これをゆる~く練って、熱した油に垂らすように入れ、揚がった
ものを砂糖に漬け込むことでお菓子になるというシンプルな作り方です。

インドではお祝い事や祝日に配られるほどのお菓子で、つける砂糖シロップにクエン酸など
の酸味を混ぜて作られることもあるようで、地方地方で独自の味付けがなされていそうです。

それほど有名なお菓子ですので、日本でもインド料理やパキスタン料理を提供するレストラン
で購入できそうですし、中東から北アフリカまで広がっていますから、そちらのほうの
食料を提供するお店でも入手が可能だと思われます。

ネタバレ感想 3 サルーの気持ちもわかるし、ルーシーの心配も理解できる

故郷探しにどんどんと没頭していくサルーですが、気持ちはわかります。

自分のアイデンティティがない、自分が何者なのかわからないという不安を抱えたまま、
20年以上生きてきたことでしょうし、その不安がどれほど大きなものなのかは、当事者しか
わからないと思います。

また、母親や兄グドゥとの楽しい思い出、そしてサルーの居場所がわからなくなって
しまったことで抱えている彼らの心配や悩みを考えれば、いてもたってもいられなくなる
でしょう。

その結果、今現在の生活全てを投げ打ってでも、故郷探しに没頭していくのは理解できます。

一方で、その苦悩が分からない第3者であるゆえに、今の生活を全て犠牲にしてしまっている
サルーを心配するルーシーも当然の行動でしょう。

過去の思い出は変わらない美しいものですが、それに憧れて探し出せても、その思い出と
同じ美しさが今でも得られるという保証はどこにもありませんし、現実問題、得られない
ことのほうが多いでしょう。

ルーシーが言った、故郷が分かって家族がいなかったら、今度は家族を探し続けるのか、
という疑問。

それこそエンドレスで、目的を果たし終えても、決してハッピーエンドだけが待っている
わけではない、そんな作業に没頭する恋人を支え、待っているしかないのであれば、
誰もが、いつまでも待っていられるわけではないでしょう。

今回の映画では全員がハッピーエンドになれましたから良かったのですが。




ネタバレ感想 その4 その他、色々思ったこと

養子と人身売買

今回のサルーはとても素晴らしい里親と巡り合うことができて、とても幸運だったと思います。

カナダでは養子縁組は比較的、簡単に選択肢の一つとして利用されるものになっています。
僕の友人も子宝に恵まれず、東南アジアの方から養子を迎え入れることを決めました。

ただし、そのことを聞いた共通の別の友人が、養子を迎えることができることになった
彼らを祝福しつつも、カナダ国内でも親のいない子供はいるのに、わざわざ東南アジアから
迎え入れることしかできないのがおかしい、と話していることが興味深かったです。

結局はお金と言いますか、ビジネスとしてできるようなシステムが出来上がっているから
今回は東南アジアから養子を迎える事になったのでしょうし、カナダ国内ではそのような
ビジネスシステムが存在しないゆえ、カナダ人の養子が欲しくても迎え入れられない、という
のが現状だと思います。

ひどい場合では養子を受け入れたあと、自分と思い描いていた子供と違うから、と施設に送り
返されるケースもあると思います。そうしたペット感覚で養子縁組する事によって断られた
子供にはとんでもない精神的ダメージが与えられることになりますが、悲しいかな、
お金目的の組織が存在しないということは、全く言えないと思います。

映画の最後にインドで被害にあっている子供達の数も紹介されていましたが、世界規模で
みれば、特に発展途上国を中心に人身売買がまだ横行しているようですし、先進国ですら、
経済格差が激しくなったため、貧しい人々が犠牲になっているようです。

電車のシステム

サルーは止まっている電車に乗り込み、寝てしまいました。
その電車が回送電車で中に閉じ込められてしまい、カルカッタまで出られませんでした。

実話を元にした映画で、かなり実話に忠実に作られているとのことですので、このエピ
ソードも本当にあった話なのでしょうが、かなり無茶だな、と思わざるを得ません。

つまり、1200キロも離れたところにある列車を、中に乗っている人が降りられないように
扉を閉めたまま、回送させる、ということがです。

もちろん国も違うし、システムも違う。そんな中での話ですので、本当に起こったので
しょうが、なんという無駄なことをしているのだろうと思ってしまいました。

東京から直線で1200キロとなると九州 鹿児島とか北海道 根室位の距離です。もちろん
直線で1200キロではないでしょうが、それでもこの回送のことを日本のレベルで考えると、
札幌で間違えて乗り込んで、東京ではじめて降りられた、みたいな話になるわけです。

ただただ、スケールが違うな~と感心してしまいました。

インドの言語

インドのことって、あんまり知らないんだなと痛感しました。

サルーはヒンズー語で喋っても、ベンガル語を話すカルカッタでは通じない、という点です。
てっきりヒンズー語が出来れば、インドでは問題がない、とばかり思っていました。

実際に調べるとヒンズー語はインドでも北側で主に使用されていて、南の方はまた別の
言語を話しているようです。

バングラデシュはベンガル語が公用語で、それに接するインドの東の2州もベンガル語を
公用語にしています。
インドで言えば東の方だけで、ほんの一部という印象を受けますが、人口が多いため、
それでもベンガル語を話すのは2億人を超え、しかもバングラデシュの人口が約1億6千万人
なので、4千万人のインド人が話す、という計算になります。

実話を元にした映画

実話を元にした映画で、かなり忠実に話はできています。
そんな中で映画の中ではほとんど出てきていませんでしたが、実はグドゥの上にもお兄さん
がいて、その方がグドゥとサルーがいなくなったあと、母親を支えていたそうです。

ですが、僕が少し思ったのが、実際のサルーとサルーを演じたデブ・パテルの容姿の違い。
なんか、あまりに違いすぎていて、驚いてしまいました。

別にそこを似させる必要はまったくないのですが、そこまで違うのはちょっと、と本筋と
は違うところでツッコミを入れたくなってしまうほど。

それとは対象的に、スーとスーを演じたニコール・キッドマンからは同じような雰囲気を
感じ取れてしまったので、余計に強く思ったのかもしれません。

本編とは何の関係もないところの話で申し訳ないです。










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