映画「クワイエット・プレイス」ですが、ホラーという感じではありませんでした。
どちらかというとスリラーになるのかな。
怖さというものはあまり感じません。
と、いうよりはかなりストレスを感じる映画だと思います。
いえ、ストーリーが進まないとか、そういうストレスではなくて、映画の登場人物の心情を思いやると、いついかなる時も心が休まらないことがひしひしと感じ取れて、それでストレスを感じてしまったんですよ。
そういう意味では、ストーリーも良く、俳優さんたちの演技も素晴らしいということなのでしょう。
北米で大ヒットを記録し、評判を集めた映画だけはあると思いました。
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キャストの紹介
イヴリン・アボット: エミリー・ブラント
一家の母親。妊娠して出産をする。
リー・アボット: ジョン・クラシンスキー
一家の父親で必死に一家を守る。ビューとの一件でリーガンと溝ができている。
リーガン・アボット: ミリセント・シモンズ
長女。生まれつき聴覚に障害を持つ。
マーカス・アボット: ノア・ジュープ
長男。父親とリーガンの溝に心痛めている。
簡単なあらすじ
「ボーダーライン」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のエミリー・ブラントが主演、ブラントの夫でもある俳優のジョン・クラシンスキーが監督・脚本を手がけ、全米でスマッシュヒットを記録したサスペンスホラー。
ブラントが主人公となる一家の母親エヴリンに扮し、エヴリンを支える夫のリーをクラシンスキーが自ら演じ、夫婦共演も果たした。
聴覚障害を持つ娘役は、自身も同じ障害を持つ「ワンダーストラック」のミリセント・シモンズ。
音に反応して人間を襲う「何か」によって人類が滅亡の危機に瀕した世界で、「決して音を立ててはいけない」というルールを守り、生き延びている家族がいた。
彼らは会話に手話を使い、歩くときは裸足で、道には砂を敷き詰め、静寂とともに暮らしていた。
しかし、そんな一家を想像を絶する恐怖が襲う。
引用「映画ドットコム:eiga.com/movie/88476/」
ネタバレ感想 1 ほとんど音のない、不思議な世界
見終わってから映画全体を思い出すと、音のない静かな映画だったな、という印象です。
設定上、音に敏感に反応する怪物から隠れて暮らしているため、普段から音を立てない生活をしており、その関係でBGMもほぼない、という映画。
映画といえば、普通は音の情報量が多大にあるということを改めて気が付かせてくれました。
それでも、人がいなくなり、荒廃した町とそれを覆い尽くそうとする自然をバックグランドにしている映像が多かったためか、そんな静かな話の進み具合がなんか心地よかったです。
とはいえ、音に反応する怪物という設定で、全く音を立ててはいけないわけですが、僕のように寝ている間にいびきや歯ぎしりなどをしてしまう場合は、まったく生存率がないわけですよね。
自然環境が無駄な音を立てない存在ばかりを生き延びさせるようになりましたので僕のようにいびきをかく人間は死に絶え、いびきをかかない鼻や喉を生まれつき持っている人間だけが生き延びるようになるのでしょう。
そして人類はいびきをかかないようになっていく、という進化を刺ざるを得ないと思います。もし、こんな怪物と共存していく世界で生き延びていくのであれば。
ネタバレ感想2 ホラー映画と言われているけど
ホラー映画と銘打って広く宣伝されていますが、ホラー映画という感じではありません。
それよりもスリラーかな、と、個人的には思ってしまいました。
最初の数分で怪物の姿が拝めますし、どうしたら襲われるかの条件も明確。
あとはアクシデントで音を立ててしまった場合に、どうやって見つからないように生き延びるか、という点だけに手に汗握るというシチュエーションですので。
とはいえ、その場は乗り切れても、根本的な解決はできていないわけですから、いつ何時、事故で音を立ててしまうかわからないという状況が続きますので、心休まらないだろうな、と同情してしまいました。
そしてそんな状況で暮らしていかないといけないというのであれば、とくにリーのように家族の長として家族を守っていかなければいけないというのであれば、と考えると絶望に近い心境になってしまいます。
ですので、僕にはストレスを感じる映画という評価になるわけです。
特に二人の子供は僕に似てうるさいので。
まず持って、生き延びることは不可能でしょうね(笑)。
そんな中で、末っ子のビューがリーガンの不注意から怪物に殺されてしまいます。
そのシーンが映画の冒頭で起こり、怪物におびえて生きているという状況の説明だけでなく、家族の中でリーガンが自らそのことで責め続けてリーとの間に溝ができてしまうという、家族の問題が映画に盛り込まれていました。
音を立ててはいけないから、家族間での会話も少なく、そのことがより状況を悪くしているのか、とも思ったのですが、もともと彼女は耳が聞こえないので、普通の会話が彼女に対して出来ず、コミュニケーションは手話で行っています。
だったら、怪物に会話を聞かれる心配なく、話し合えばいいのに、と思ってしまいました。
あんな世界ですから、時間はたっぷりあるでしょうし。
リーが最後の方で怪物に囮となって殺されてしまうのは、リーガンとの間に溝があった時点でフラグが立っているお約束のような気がしましたが、それ以外の理由でストーリー上、殺してしまうのはどうなのかな、と思ってしまい、あまり感動出来ずに見ていました。
だって、母親と生まれたばかりの赤ん坊、10代になるかならないかくらいの年端の二人が残されて、どれくらい長く生きながらえれるのでしょうか。
リーが殺された時点では、かなり絶望感に支配されていた僕です。
それがあんな方法での撃退が可能とわかっちゃうなんて、かなり拍子抜けしました。
リーが囮になってリーガンとマーカスの命を救ったから、怪物の弱点を知ることが出来たわけですが、その弱点、「高周波の音波に弱い」って、形態みたら結構あっという間に気が付きそうなものだったのも、拍子抜けした理由の一つかもしれません。
ネタバレ感想 3 モンスターの設定に?
目は見えず、発達した聴覚でものの位置を把握し、破壊する。
その動きは俊敏で、力強い。
とても人間が対抗できるような相手ではありません。
どこから来たのかも謎ですし、そもそも正体を考えること自体、意味があるかどうかはわかりませんが、少し考察してみたいと思います。
地球上で進化の結果、生まれた生物だとした場合、視覚がないということは、もともと光がない環境にいた、と考えられます。
光がまったくない洞窟で一生を終える生物や光が差し込まない深海に住む魚などは、資格の存在が無意味なため、退化して目がありません。
この怪物も同様に視力を無くしたという仮説が成り立つでしょう。
ただしその場合、太陽の光がささない環境に適するように進化していますので、紫外線に対する肌の反応も考えなくてはいけないと思います。あと、温度も。
光がささない以上、紫外線に対する防御機能も発達させる意味はなくなりますので、退化する可能性があります。
また、「光がささない」=「環境温度が低い」ところで適するような体温になっているはずですが、映画内の動きではそれを感じさせない運動能力を示しています。
その運動能力ですが、視覚を必要としない環境で生きてきた生物が、あれ程の運動能力を必要とするのでしょうか?
あそこまで俊敏で、怪力でいるのには、そういった能力に秀でていないと生存競争に勝てない必要があります。
そんな環境が地球上で存在するのか、ちょっと想像できません。
となると、地球外生命体の可能性があります。
ただ、エイリアン、という話になると、ホラーというよりはSFになってしまう(いっその事、SFホラーかな)ので、個人的にはその設定は、興ざめになってしまいます。
というか、北米の映画の話だと、どうしても幽霊よりもモンスターといった描写になるんですよね。
目に見えない超常現象とか、無表情の怖さってモンスターが暴れまわるよりもより絶望感があって、怖いと思うんですけどね。
ちなみに8月31日付で2020年5月15日に続編が全米公開が決定したというニュースが発表されています。
脚本と監督を努めたリー役のジョン・クラシンスキーがすでに続編の脚本執筆に取り掛かっているということなので、怪物の正体ももっとはっきりしてくるのではないでしょうか。
9/21 追記
怪物がどこから来たのか、について謎としていましたが、実は映画の中に答えらしきものがあったことがわかりました。
地下室にはられた新聞の切り抜きの一つに、「メキシコに落下した隕石から出現」と読み取れる見出しがあるのです。
つまり、この怪物はエイリアン、ということになるのでしょう。
ただ、この切り抜きの一文は、背景の一部としてサラッと移されていたもので、かなりしっかりと注意してみていないと気が付かない様な代物です。
次回作の計画も進んでいるようですし、それによっては、なかったこと、にされる設定になるかもしれません。
ネタバレ感想 4 音を立ててはいけない状況で出産?!
音をたてると怪物に気が付かれて殺されるという設定の中で、なにゆえ妊娠出産を話に盛り込んできたのか。
僕の妻は二人子供を生んでいますが、出産と育児を経験している者として、「絶対に詰んでいるじゃん」とのコメント。
僕も育児は手伝いましたが、赤ん坊が静かにしていられるわけはありません。
あっという間に怪物に見つかってやられちゃいます。
だいたい、出産の時に赤ん坊が泣くのは、始めて呼吸器を自分で使用するための必要不可欠の行動だと聞いたことがあります。
もちろん、全く泣かない赤ん坊もいないわけではなく、世界のホームラン王でもある王貞治さんは、双子として生まれた際に、全く泣かなかったと自伝でおっしゃっていました。
ですので、泣かない赤ん坊が、泣かないから生き残れないわけではないでしょうが、でもそれはかなりレアなケース。
だいたい、エヴリンが今まさに子供を産み落とそうとしていた後ろで、怪物が近寄ってきていました。
あんなに近くにいて、大丈夫だったというのは、ちょっとご都合主義がひどいと感じてしまいます。
それと出産のときの痛みはとんでもないものですので、よく声を上げずに我慢できていたものですね。
ついでにいうと破水してから出産まであっという間に済ましてしまいました。
もちろん、状況的にあのくらいすぐに済まさないと命がありませんが、僕の妻は30時間以上、頑張った上での帝王切開でしたので、あんなに早く済むなら羨ましい、と漏らしていました。
最後に、出産シーンと関係があるのかどうかわかりませんが、階段に飛び出ていた釘で右足を貫いたのはなにか意味があったのでしょうか?
あの足の痛みで出産の痛みが紛らわされた、というのでは、説得力にかけます。
だいたい、選択袋が引っかかった時点で、無理やり引っ張らず、引っかかったところをきちんと目視しないと。
あの釘を立ち上げるだけの力を加えたわけですから、釘に引っかかっていたのではなかった場合、その力がどんな騒音を立てるかもしれない恐れはあるはずです。
たとえば、引っ掛かりが取れてその反動で袋が前に飛び跳ね、その先においてあった何かにあたって音を出す、ということもあり得たわけですから。
あと、釘をそのままにしておくのもどうかと。
状況的に何もできるような余裕がないのもわかりますが、あまりに危険でしょう。
あの釘は今でも謎です。
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コメント
釘を踏んでしまったことで彼女が持っていた物を床に落としガラスが割れ、その音で家に奴が来てしまったので、意味は大ありだと思いますよ。
字幕版の場合に「メキシコで隕石落下」と出てたので、関係性はかなり大きい
釘が立ってたことは気づいてない?
まあ、ショットガンで殺せるのに軍が対応出来てないとか、音で反応するならどうとでも対策は取れるとか、アメリカには地下にシェルター(勿論防音)が多くあんのに死にすぎだろとか、ストーリーの細々としたとこはガバッてましたが雰囲気は良かったんじゃないでしょうか?それも最後はなかったですが