「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで有名な出演者といえば、
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・主人公マーティ役のマイケル・J・フォックス
・ドク役のクリストファー・ロイド
が挙げられるでしょう。
そしてやはりタイムマシーンのデロリアンもインパクトがあります。。
が、その次にランクインしてくるキャラクターは、シリーズ通しての敵役となったビフ・タネンとその家族ではないでしょうか。
ビフの演技の強烈な印象は、確実に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを最高傑作のエンターテインメントに仕上げているといっていいと思います。
そんなビフ・タネンを演じた俳優については、あまり知られていないのが現状です。
ですので今回はビフ・タネンを演じた俳優の紹介をしていきたいと思います。
【バックトゥザフューチャー】ビフ・タネン役俳優はトーマス・ウィルソン
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でビフ・タネンを演じた俳優はトーマス・ウィルソンというコメディアンです。
トーマス・ウィルソンは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで、ビフ・タネンだけでなく、
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・ビフの孫「グリフ・タネン」
・タネン家の祖先「ビュフォード・”マッドドッグ”・タネン」
と3人のキャラクターを5つの風貌で演じていました。
(ビフ・タネンは高校生時代、中年、老人時代の3つ)
実はトーマス・ウィルソンの映画デビューは、この「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のビフ・タネン役だったのです。
初めてメジャー映画に出演し、そのキャラクター名が自分の名前よりも有名になってしまったという幸運に見舞われたトーマス・ウィルソン。
そんな彼の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」出演までのプロフィールを見ていくことにしましょう。
芸能人になるまでのプロフィール
トーマス・ウィルソンは1959年4月15日生まれ。
出身地はアメリカ合衆国ペンシルベニア州です。
弁護士だった父親を継いで、子供のころは弁護士になることを夢見ていました。
高校生時代に弁論クラブの部長を務めており、将来弁護士になることを考えてのことだったそうです。
一方で、音楽や舞台にも積極的に参加。
学校のバンドでチューバ演奏を担当し、マーチングバンドにも関わっていました。
これらの学校生活の影響でエンターテインメントへの興味はだんだんと大きくなっていったそうです。
とはいえ、ペンシルベニア州では演劇や音楽でプロになることはむつかしいのが現状でした。
しかし高校の担任に強く勧められたことで、エンターテインメントの世界に飛び込んでみることを決心をしたのでした。
高校卒業後の進路として、ニューヨークのアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツという2年生の演劇学校にすすむことにします。
このアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツというのは、1884年にできたアメリカ合衆国で演劇の分野で専門教育を授ける最初の教育機関となった学校です。
いままで、トニー賞、アカデミー賞、エミー賞受賞者をはじめ、優れた人材をエンターテインメント業界に数多く輩出し、現在ではニューヨークだけでなくハリウッドにロサンゼルスキャンパスがあるほどの有名な学校でした。
この専門学校で2年間学び、その後、1983年までにロサンゼルスに移り住むことにします。
こうしてウィルソンは芸能人としての生活をスタートさせたのでした。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」出演前の活躍
まずウィルソンはコメディアンとしてスタンドアップコメディを中心に活動を始めます。
それによって徐々に業界で認知されるようになっていったのでした。
また、日本でも人気のあったアクションドラマ「ナイトライダー」にもシーズン2のとあるエピソードにわき役で出演していました。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのエピソード
そんなトーマス・ウィルソンが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の敵役ビフ・タネンとして大抜擢を受けます。
実はもともとビフ・タネン役はJ.J.コーエンが演じる予定でした。
ところが、当初、マイケル・J・フォックスが出演が無理とのことでマーティ役はエリック・ストルツが演じることになっていました。
が、エリック・ストルツのマーティをいじめるビフを演じたところ、J.J.コーエンとエリック・ストルツでは身長差がないためビジュアル的に迫力が出ないということが分かりました。
つまり、いじめているという説得力がまったくでない絵柄になってしまったのです。
そこで、エリック・ストルツよりもさらに身長の高いトーマス・ウィルソンが、ビフ役を演じることになり、J.J.コーエンはビフの手下の一人であるスキンヘッド役に回ることになるのでした。
その後、撮影6週間を過ぎたところでエリック・ストルツが首になってしまうというハプニングが起きます。
これはもともと撮影スタッフが熱望していたマイケル・J・フォックスが出演可能になったためですが、マーティ役がマイケル・J・フォックスになった後も、ウィルソンはそのままビフ役を演じることができたのでした。
が、この時の様子を2017年のインタビューでこう答えていました。
人生で初めての大役を任されることになり、絶対に失敗してはいけないという決意のもと、セリフを完璧に覚えることはもちろん、監督やプロデューサーのアドバイスを忠実にこなし、すべてをビフ役を演じることに集中していたんだ。
が、ある日、なんとなく撮影現場の雰囲気が変わって何かが起こっていると感じたんだ。
そしたら急に撮影が休みとなり、自宅で待機することになった。その時は心休まることはなく、自分が何か失敗をしたのではないか、問題を起こさなかったか、映画の計画自体が無くなるんじゃないか、と不安の中で過ごしていたよ。
そんな中、急に電話が鳴り、プロデューサーのボブ・ゲイルから「話したいことがあるからスタジオに来てほしい」といわれたんだ。
この時にはついに首を言い渡されるに違いない、とひどく落ち込んだよ。電話でいいから今聞かせてくれ、と頼んだけど、このことは会って話さないといけないことだから、といわれ、車を走らせることにしたけど、今でもその時間がとても長く感じたことを覚えている。
ボブ・ゲイルと会って聞かされたのは、エリック・ストルツがマーティ役から外され、マイケル・J・フォックスが演じることになったということだった。
今まで撮影したシーンをマイケル・J・フォックスで再度撮影しないといけなくなることも同時に知らされた。
正直、その知らせにとても安堵したんだよ。
そのインタビューでは、さすがコメディアンとおもってしまう、笑えるエピソードも付け加えています。
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マイケル・J・フォックスと再撮影となると聞かされた時、これまでの撮影、および、撮り直しをしなくてはならない同じシーンの再撮影はちゃんと支払いの対象になるのか、と確認したこと。
今まで通り、好きなだけ無料で飲食できる軽食が撮影現場に用意されること。
です。
ただ彼はコメディアンだけに、特に軽食の件は話を持っているのでは、と疑ってしまいますがね。
関連記事:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」トリビア!主人公マーティのキャスティングでトラブル!
また、パート3で西部劇を舞台としたストーリーになることを聞いたときには、映画やテレビでしか見たことのないカウボーイのアクション、
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・馬に乗る
・投げ縄を操る。
・銃を腰に下げ、両開きの扉をくぐって酒場に入る。
といった、男子として子供のころからのあこがれたシーンを自分が体験できることにとても興奮したそうです。
また、別のインタビューでは、トーマス・ウィルソンは学生のころ、病気がちで学校を休むことが多く、そのせいもあっていじめられていた時期があったことを告白していました。
ビフ・タネンを演じるにあたり、その時の体験でいじめっ子たちにされたことを思い出し、それを役立てたとか。
映画の中で見えるあれだけの背の高さと力強いガタイからは、想像もつきませんが、その経験がこのような形で活かすことができたのは、とても幸運だったと思いました。
その後の主な活動の紹介
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで有名人の仲間入りをしたトーマス・ウィルソン。
うれしかった半面、有名税を払わざるを得ない部分も出てきました。
というのも、顔バレしていることで、彼個人のことは全く知らない、多くの映画ファンという人たちから話しかけられ、同じような映画の質問を繰り返し繰り返し、されるようになったからです。
最初こそ、その度に答えていたのですが、やがて時間の節約のためにも、自作のQ&Aカードを持ち歩くようになり、質問をしてくるファンにそのカードを渡すようになったのだとか。
いきなり有名になった俳優ならば絶対に通ることになる、うんざりするようなこの有名税。
この煩わしいながらもファンに好印象を持ってもらわないといけないという、頭の痛い状況に対して、舞台の上でスタンドアップコメディをするコメディアンならではの歌ネタにして披露するようにまでなりました。
こちらがその映像。
英語バージョンしかありませんが、歌声はとてもきれいなのが印象的です。
簡単に訳してみると、
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「道を歩いていると知らない人から声をかけられる」
「でも絶対に名前を聞かれない」
「そしてされる質問はいつも一緒」
「マイケル・J・フォックスってどんな人 – とてもいいやつ」
「クリストファー・ロイドってどんな人 – 普段は物静か」
「クリスピン・グローヴァー(ジョージ・マクフライ役)ってどんな人 – やっぱり変わっている」
「ユダヤ人の甥の家を訪ねた時」
「ユダヤ教のお祈りの間もいろいろと聞いてくる」
「本物のたい肥に突っ込んだの? – いいや、偽物だよ」
「デロリアンってどんな感じ – ガラクタだよ」
「ホバー・ボードって本物? – 映画の話だって」
「写真を一緒に取ろう」
「ビデオに向かってバットヘッドって言って」
などなど。
「質問しないでくれ」と嘆いています。
最後は、
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「いくら稼いでるの – 君よりもたくさん」
というフレーズで終わる歌ネタでした。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の後も映画に出演をつづけています。
そして声優としてアニメ作品やゲームにも多数参加し、活動の場を広げているのでした。
芸能生活以外の小話
私生活では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が公開された1985年にキャロライン・トーマスと結婚し、4人の子供に恵まれています。
趣味で絵を描いており、特に昔ながらの子供のおもちゃを好んで作品にしています。
いくつかは彼のインスタグラムにあがっていましたので紹介しておきます。
2006年にはトーマス・ウィルソンが描いたおもちゃの絵のいくつかが、ディズニーランドで開かれた絵画展に展示されるほどでした。
他にも、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」での彼の役のシーンを題材にした絵も発表しています。
また、キリスト教カトリック信者としても知られ、美声を生かしたクリスチャン音楽のアルバムを2000年にリリースしています。
「バックトゥザフューチャー」ビフタネン役俳優トーマス・ウィルソンのまとめ
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で映画のアクセントをより力強くした悪役ビフ・タネンを演じた俳優はトーマス・ウィルソン。
彼にとって初めての映画出演で、その後、彼の代表的なキャラクターとなったはまり役でした。
映画の中ではとても嫌なキャラクターですが、トーマス・ウィルソン自身はコメディアンであり、とても面白く楽しい人物です。
そしてほれぼれするほどの美声で、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をネタにした歌ネタまで持っているというマルチタレントでもあります。
近年はその美声を生かしての声優活動も盛んです。
今後の活躍が楽しみな俳優ですね。
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