アニメダンジョン飯のバジリスクとコカトリスは一緒の姿?違いは何?

アニメーション

アニメ「ダンジョン飯」で登場したバジリスクとコカトリス。

数多くのファンタジー物のアニメやゲームで登場しているモンスターで、知名度は抜群です。

しかしその一方、この2つの魔物はよく混同されることがあり、作品によって姿が違っているのではないでしょうか?

「ダンジョン飯」ではバジリスクとコカトリスはともに鶏にしっぽにあたる部分が蛇という形態で登場していました。

今回はバジリスクとコカトリスについて紹介していきたいと思います。







アニメダンジョン飯のバジリスクとコカトリスは一緒の姿?

アニメ「ダンジョン飯」でバジリスクは地下2階、コカトリスは地下5階で登場します。

アニメ内ではまったく一緒の姿ととして描かれており、鶏にしっぽのところに蛇の胴体プラス頭がついているといった姿をしています。

作中の説明によるとバジリスクとコカトリスはともに尾蛇類に属する魔物だそうですが、別種で完全に違う魔物という設定。

具体的に言えば、オオカミと犬の違いであり、シェパードとラブラドールの違いというわけではないようです。


鶏と蛇という頭部を持つため、どちらの頭でも攻撃が可能という魔物ですが、同時に攻撃をされると、二つの脳が体に対して行動を命令しるため混乱をきたし、一瞬隙ができるという弱点を有します。

ただし、コカトリスのほうは、蛇の頭部が相手を石化させる毒を持っているため、バジリスクよりも危険な魔物として認識されています。

バジリスクのほうも牙やかぎ爪の毒を持っていることになっていますが、即効性で死ぬわけではないため、幾分、危険度が下がるのでした。

さらに2つの魔物の違いとして、コカトリスは鶏の翼の先端部分にかぎ爪を備えています。このかぎ爪に毒を有しているかについての言及はありませんでした。

バジリスクとコカトリスの違いは?

バジリスクとコカトリスには違いはあるのでしょうか?

僕のファンタジー歴からすると、バジリスクは毒と石化能力を有するトカゲ、コカトリスは同じく毒と石化能力を有する鶏、という認識でした。

ただし、アニメ「ダンジョン飯」の描写とは違い、蛇の部分は尻尾で頭がついているというイメージはありません。

おそらくこれまでにいろんな作品でいろんな姿で登場していますので、最初に見たバジリスク、コカトリスの姿がただしいと刷り込まれてしまうのではないでしょうか。

バジリスクの伝承

バジリスクについての歴史をちょっと調べてみると、かなり昔から存在していました。

古代ローマ時代、学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスが自然界を網羅する百科全書「博物誌」を著しましたが、その「博物誌」の中にバジリスクのことが書かれています。

西暦77年のことで、そこには、

    ・バジリスクはクレタ・キュレナイカ州で産出されるヘビで、体長は12ディギトゥスに満たない。

    ・頭に王冠を彷彿とさせる白い模様があり、鳴き声を聞くだけで他の全てのヘビは逃げていく。

    ・体をくねらせず、前半身を持ち上げて進む。

    ・その毒は非常に強力で、息だけで草を枯らし石を砕き、馬上の人が手に持った槍でバジリスクを突けば槍を伝った毒がその人を殺しさらに馬すら殺す。

    ・イタチが天敵であり、イタチはその臭いでバジリスクを殺すが、戦いによってイタチもまた死ぬ

と記されていました。

このバジリスクの記述からインドやエジプトに生息するコブラのことからバジリスクは生み出されたのではないか、と考えられているそうです。

「体をくねらせず、前半心を持ち上げて進む」という記述に対し、キングコブラがまさしく同じような行動をとるからです。

また、キングコブラは他の蛇を捕食する蛇でもあるため、蛇の王様と考えられても不思議はありません。

さらにインドコブラには白い輪っかのような模様を持つことから、「頭に王冠をほうふつとさせる白い模様があり、」という表現が使われたのではないか、と考えられています。


その後、聖書の中に倒されるものとしてバジリスクの名前が使われることが目立つようになります。

同じように爬虫類系の魔物として聖書に登場していたドラゴンとともに、時には混同されて、救世主によって倒される悪魔の象徴として認識されるようになっていきました。


一方で、もともとは蛇、もしくは爬虫類として認識されていたバジリスクですが、なぜか雄鶏の特徴が取り入れられるようになっていきました。

5世紀には鶏冠(トサカ)を持ったバジリスクが描かれているそうです。

中には頭だけ鶏、足を8本持ったトカゲの胴体という姿で描かれるバシリスクの絵も存在していました。

さらに9世紀初期には、雄鶏に蛇のしっぽというスタイルのバジリスクも見つけることができます。

その後、中世の時代に時が移ると、バジリスクとコカトリスが同じものとして考えられるようになっていったようです。

コカトリスの伝承

コカトリスの歴史は中世にさかのぼることができそうです。

14世紀にジェフリー・チョーサー記した「カンタベリー物語」。

この作品においてバジリスクがバシリコック (Basilicok) という名前で登場し、ここからコカトリスとバジリスクが同一視されるようになったというのでした。


コカトリスという名前については、このような説があります。

    古代ギリシアの文献ではエジプトのマングース を「イクネウモーン」(後を追うもの)と呼んでいた。

    これがラテン語 Calcatrix に翻訳され、古フランス語 Cocatris を経て「コカトリス」になった。

この説によるとコカトリスは蛇の天敵であるマングースであったわけです。

が、それがなぜか蛇の怪物と思われるようになり、同じく蛇の魔物であるバジリスクと混同されるようになったようでした。

ではなぜ、マングースが蛇の魔物と思われるようになったのでしょうか?

バジリスクを紹介した「博物誌」でイクネウモーン、つまりマングースを、

    ・泥を被って天日で乾かして鎧のようにして、ヘビに襲い掛かって首に噛みつく。

    ・ワニが鳥(トロキルス)に歯を掃除してもらおうと口を開けていると、その口から入って腸を食い破る。

と紹介していました。


その後、別の書物にて「ワニの口から入って腸を食い破る」イクネウモーンはカワウソという意味のエンヒュドルスである、と記されていました。

この記載よりヒュドルスという生き物の伝承が生まれたのですが、その後、イギリスやフランスを中心にヨーロッパで広く信じられていた、様々な動物、鳥、魚、植物、鉱物の特徴や習性とキリスト教的教訓とを結びつけ、そこに寓意や諷刺を込めた内容となっている「動物寓意譚」が12世紀から13世紀にまとめられました。

そこにヒュドルスという動物が紹介されており、ワニの腹を食い破る、四肢を持つヘビまたは無肢のヘビの怪物として記載されています。


コカトリスの元となったイクネウモーン。

そしてそのイクネウモーンの一種であるヒュドルス。

さらにはヒュドルスがヘビの怪物であるという伝承。

これらが混乱して合わさった結果、コカトリスも蛇の怪物となったと考えられていたのでした。


その後、バジリスクとコカトリスが混同されるにいたり、両者は同一のもの、または片方が雄で片方が雌、といった解釈も生まれるようになります。

近年になり、ファンタジー系の作品が多くなるにつれ、数多くのモンスターを登場させたなくてはならない、という需要から、バジリスクとコカトリスが別物として区別されることになったのでしょう。

まとめ

アニメ「ダンジョン飯」に登場するバジリスクとコカトリス。

作品内ではほぼ、同じ姿をしていますが、別の魔物という設定になっています。

その違いは、シェパードとラブラドールというよりも、オオカミと犬という違いになります。

コカトリスのほうが、翼の先にあるかぎ爪、石化能力のある蛇の頭の毒がある分、危険度が増しています。


バジリスクとコカトリスの歴史を調べてみると、もともと蛇に関係している動物と認識されていましたが、別物の動物でした。

が、時代が進むにつれ、どちらも蛇の魔物として認識され、その能力も同じとなり、同一視されるようになります。

ただし、なぜ鶏の蛇の姿をした魔物に鶏の姿がくっついてきたのかについては、まだはっきりわかっていないようでした。









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